イングランドの都市および非都市カウンティ

都市および非都市カウンティ
カテゴリー行政カウンティ
位置イングランドの旗 イングランド
所属リージョン
定義地方自治法 1972年
設立1972年4月1日
83(2021年4月1日
候補タイプ 都市カウンティ英語版(6)
非都市カウンティ英語版(77)
候補ステータスカウンシル無
カウンシル有
単一自治体
区分イングランドの大都市バラ(36)
非都市ディストリクト(239)

都市および非都市カウンティ(としおよびひとしカウンティ : metropolitan and non-metropolitan counties)は、地方行政に使われるイングランドの行政区画の4階層の一つである。数回にわたる立法の結果、この階層には複数の行政区分が混在し、#2019年から2021年に自治体再編を進めている。

歴史

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現在の都市および非都市カウンティという行政構造は、1974年4月1日に発効し、同時に行政カウンティカウンティ・バラ英語版は廃止された。グレーター・ロンドンは1965年に別の法律によって創設された。

1990年代に新しいタイプの非都市カウンティ、すなわちカウンティとディストリクトの機能と権限をまとめた単一自治体が創設された。既存の非都市カウンティは、単一自治体との区別のためシャイア・カウンティ英語版と呼ばれるようになった。

1972年の地方行政法

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1960年代の終わりには、イングランドおよびウェールズの地方行政機構に改革が必要であることがはっきりしてきた。ハロルド・ウィルソン労働党政権は大規模改革の提案を目的としたレドクリフ-モード委員会英語版を設置した。委員会の報告書はイングランドのほとんど全域で地方行政機構の2層構造を廃止して、既存の行政区画を無視し、むしろ地理的境界を優先した58の単一自治体を設置して地図をすっかり書き換えてしまうことを提案した。マージーサイドサウスイースト・ランカシャーおよびノースイースト・チェシャーバーミンガム地域の3都市地区では、3つの都市地区に20のディストリクト級の行政体を設置するよう想定されていた。

時の野党であるエドワード・ヒース率いる保守党はこの提案に反対した。保守党は1970年の総選挙で勝利をおさめ、独自の地方行政機構を定める作業に着手した。これにより単一自治体という概念は放棄され(カウンティ・バラ英語版はあったものの)、イングランドおよびウェールズ全域は一様にカウンティとディストリクトへと分割された。イングランドでの新区画は基本的には伝統的カウンティを規範としていたが、都市部以外では抜本的な地区再編が進められた地域もあった。

地方行政再編の結果として誰の忠誠にも影響はなかろうとの再三の政府からの保証にもかかわらず、地方からの強い反対があがり、最も過激な変更は取り下げられた。政府が固執した点の一つは、規模の小さいカウンティの統合である。ラトランドヘレフォードシャーの存続キャンペーンは不首尾に終わったが、ワイト島はその伝統的カウンティであるハンプシャーに編入されたものの、地理的隔離ゆえに独自のカウンティ・カウンシルの維持を認められた。

この地方行政法英語版は1972年に議会を通過し、イングランドのカウンティならびに都市ディストリクトを規定したが、非都市ディストリクトについては規定がなく、既に活動を始めていた境界委員会によって規定された[1]

都市カウンティは以下の通りである。

それ以外の主要な変更点は以下の通りである。

1974年から1995年の区分図

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1974年から1995年にかけてのイングランドのカウンティ
  1. ノーサンバーランド
  2. タインアンドウィア
  3. ダラム
  4. クリーヴランド英語版
  5. ノースヨークシャー
  6. カンブリア
  7. ランカシャー
  8. マージーサイド
  9. グレーター・マンチェスター
  10. ウェストヨークシャー
  11. サウスヨークシャー
  12. ハンバーサイド英語版
  13. リンカンシャー
  14. ノッティンガムシャー
  15. ダービシャー
  16. チェシャー
  17. シュロップシャー
  18. スタッフォードシャー
  19. ウエスト・ミッドランズ
  20. ウォリックシャー
  21. レスターシャー
  22. ノーサンプトンシャー
  23. ケンブリッジシャー
  1. ノーフォーク
  2. サフォーク
  3. エセックス
  4. ハートフォードシャー
  5. ベッドフォードシャー
  6. バッキンガムシャー
  7. オックスフォードシャー
  8. グロスターシャー
  9. ヘレフォード・アンド・ウスター英語版
  10. エイヴォン英語版
  11. ウィルトシャー
  12. バークシャー
  13. グレーター・ロンドン
  14. ケント
  15. イーストサセックス
  16. ウェストサセックス
  17. サリー
  18. ハンプシャー
  19. ワイト島
  20. ドーセット
  21. サマセット
  22. デヴォン
  23. コーンウォール

都市カウンティカウンシルの廃止

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1986年、サッチャー政権は中央政府での論争に続いて都市カウンティ・カウンシルならびにグレーター・ロンドン・カウンシルを廃止したが、カウンティそのものは法的に存続した。

1992年の地方行政法

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1990年代、一部のカウンティ・バラ英語版がカウンティの機能を併せ持つ単一自治体に再編されるなど、イングランドの行政地図は大きく変化した。再編は数次に渡って行われた。

1995年4月1日ワイト島が単一自治体となった。かつてはワイト島カウンティカウンシルと、バラ・カウンシルのメディナ英語版サウスワイト英語版よりなる2層構造であった。同日グレーター・ロンドンとの境界にあるサリーならびにバッキンガムシャーの小地域がバークシャーへ移された。

1996年4月1日、人口の少ないエイヴォン英語版ハンバーサイド英語版クリーヴランド英語版の3カウンティが廃止され、各地域は単一自治体に分割された。同日、ヨークが拡張の上でノース・ヨークシャーから分離された。

1997年4月1日ボーンマスダーリントンダービーレスタールートンミルトンキーンズ市英語版プールポーツマスラトランドサウスハンプトンの各ディストリクトが単一自治体となった。また、ブライトンおよびホーヴ・ディストリクトが併合されて、新しい単一自治体ブライトン・アンド・ホーヴとなった。

1998年4月1日ブラックプールブラックバーン・ウィズ・ダーウェンハルトン英語版メドウェイ英語版ノッティンガムピーターバラプリマススウィンドン英語版ストーク-オン-トレントサウスエンド・オン・シーテルフォード・アンド・レキン英語版トーベイサーロック英語版ウォリントンが単一自治体となり、ヘレフォード・アンド・ウスター英語版が廃止され、ヘレフォードシャー単一自治体とウスターシャー・シャイア・カウンティに置き換えられた。バークシャーは6単一自治体に分割されたが、法的な廃止はなされなかった。

現在のイングランドにおける都市および非都市カウンティ

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[疑問点]

イングランドの都市および非都市カウンティ
  1. ノーサンバーランド
  2. タイン・アンド・ウィア
  3. ダラム
  4. カンブリア
  5. ランカシャー
  6. ブラックプール*
  7. ブラックバーン・ウィズ・ダーウェン*
  8. ウェスト・ヨークシャー
  9. ノース・ヨークシャー
  10. ダーリントン英語版*
  11. ストックトン=オン=ティー英語版*
  12. ミドルズブラ*
  13. ハートルプール英語版*
  14. レッドカー・アンド・クリーヴランド英語版*
  15. ヨーク*
  16. イースト・ライディング・オブ・ヨークシャー*
  17. ハル*
  18. ノース・リンカンシャー*
  19. ノース・イースト・リンカンシャー*
  20. リンカンシャー
  21. ノッティンガムシャー
  22. ノッティンガム*
  23. サウス・ヨークシャー
  24. ダービシャー
  25. ダービー*
  26. グレーター・マンチェスター
  27. マージーサイド
  28. ハルトン英語版*
  1. ウォリントン*
  2. チェシャー
  3. シュロップシャー
  4. テルフォード・アンド・レキン*
  5. スタッフォードシャー
  6. ストーク=オン=トレント*
  7. ウェスト・ミッドランズ
  8. ウォリックシャー
  9. レスターシャー
  10. レスター*
  11. ラトランド*
  12. ノーサンプトンシャー
  13. ピーターバラ*
  14. ケンブリッジシャー
  15. ノーフォーク
  16. サフォーク
  17. エセックス
  18. サウスエンド・オン・シー*
  19. サーロック英語版*
  20. ハートフォードシャー
  21. ベッドフォードシャー
  22. ルートン*
  23. ミルトンキーンズ市英語版*
  24. バッキンガムシャー
  25. オックスフォードシャー
  26. グロスターシャー
  27. ウスターシャー
  1. ヘレフォードシャー*
  2. サウス・グロスターシャー英語版*
  3. ブリストル*
  4. ノース・サマセット*
  5. バース・アンド・ノース・イースト・サマセット*
  6. ウィルトシャー
  7. スウィンドン英語版*
  8. バークシャー
  9. グレーター・ロンドン¹
  10. メドウェイ英語版*
  11. ケント (イングランド)
  12. イースト・サセックス
  13. ブライトン・アンド・ホーヴ*
  14. ウェスト・サセックス
  15. サリー
  16. ハンプシャー
  17. サウスハンプトン*
  18. ポーツマス*
  19. ワイト島*
  20. ドーセット
  21. プール*
  22. ボーンマス*
  23. サマセット
  24. デヴォン
  25. トーベイ*
  26. プリマス*
  27. コーンウォール
凡例
* 単一自治体
都市カウンティ(カウンティ・カウンシルを持たない)
‡ 非都市カウンティ(カウンティ・カウンシルを持たない)
¹ 「行政地区」かつリージョン(カウンティではない)

都市カウンティ

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都市カウンティはグレーター・マンチェスターマージーサイドサウスヨークシャータインアンドウィアウエスト・ミッドランズウェストヨークシャーである。典型的人口は120万人から280万人[2]

これらカウンティのカウンシルはサッチャー政権により、実際的な理由というよりは政治的事情により1986年に廃止されたが、法的にはまだ存在している[3]。これらは行政上や地理上の目的で使われ、現在でも典礼カウンティである。かつてのカウンティカウンシルの権限のほとんどは大都市バラ(事実上の単一自治体)に移譲されて、現在も都市カウンティ級の連合体は緊急サービス、市民防衛、公共交通を運営している[4]

非都市カウンティ

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シャイア・カウンティ

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シャイア・カウンティとは非公式の呼び名であり、複数の非都市ディストリクトからなる非都市カウンティを指す。名前が「シャー」で終わっているとは限らない。シャイア・カウンティは27ある。

地方自治体の行政改革の法令英語版が2009年に施行されると、シャイア・カウンティの総数は減らされた。非都市カウンティのベッドフォードシャーならびにチェシャーはそれぞれ別個の非都市カウンティ2件ずつに分割した。コーンウォール、ダーラム(カウンティ)、ノーサンバーランド、シュロップシャー、ウィルトシャーの階層は単一都市に変更した。

全てにカウンティ・カウンシル英語版がある。カウンティカウンシルを持たないバークシャーを除外するために「シャイア・カウンティ」ということもある[訳語疑問点]

都市化はあまり進まず典型的人口は 10万9000 人から140万人[2]

単一自治体

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単一自治体(Unitary Authority) とはカウンシルを一つだけ有する次の56地区を指す。

これらのうち50ヵ所は非都市カウンティと地理上は一致する。ディストリクト・カウンシルを一つだけ有し、カウンティ・カウンシルは持たないと定められた地区は44ある。

次の6地区は法律上はカウンティ・カウンシルを有しディストリクト・カウンシルは持たないが、実際上は同じことである。

バークシャーを構成する単一自治体6件は非都市カウンティではないものの、事実上カウンティカウンシルのないままバークシャー内に存続するという特異な状態にある。

イングランドにおける例外

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地方自治体に関する1972年の法令(Local Government Act 1972)により都市カウンティと非都市カウンティ、ディストリクトに再編する方式が導入された。イングランドの2つの地域は新方式から除外されて今日に至る。(2021年9月時点)

グレーター・ロンドン

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グレーター・ロンドンはリージョンの1つであるとともにカウンティレベルの行政区画でもある。域内にはシティ・オブ・ロンドンと32のロンドン特別区の合計33の自治体がある。

グレーター・ロンドンはロンドン行政法英語版(1963年制定)に基づき、1965年にかつてのカウンティ・オブ・ロンドン英語版ミドルセックスの大部分、隣接する他のカウンティの一部を統合して設置され[5]、1972年の自治体再編からは除外された。当初はグレーター・ロンドン・カウンシルを置いていたが、1986年に都市カウンティのカウンシルと同時に廃止された。1994年に新設された区分であるリージョンの1つとなると全体を統括する組織が再度設置され、2000年には公選制のロンドン議会ロンドン市長が置かれた。これらは2011年に他のリージョンの行政機関が廃止された後も存続している。

典礼カウンティとしてはロンドン特別区を管轄する「グレーター・ロンドン」とシティ・オブ・ロンドンに二分される。

シリー島

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2009年の構造改革

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以下の非都市カウンティが2009年4月より施行された。

非都市カウンティ名 措置
en:Borough of Bedford 新規(旧ディストリクト[6]
en:Bedfordshire 廃止[6]
en:Central Bedfordshire 新規[6]
en:Cheshire 廃止[7]
en:Cheshire East 新規[7]
en:Cheshire West and Chester 新規[7]

ベッドフォードシャーとチェシャーは格付けを典礼カウンティに変更し、同名の非都市カウンティとは扱いを分ける結果となった。

2019年と2020年の再編

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ドーセットバッキンガムシャーの単一自治体を再編した。2021年にノーサンプトンシャーでも行政改革を施行の予定。

脚注

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  1. ^ Arnold-Baker, C (1973). Local Government Act 1972 
  2. ^ a b Jones, B; et al (2004). Politics UK 
  3. ^ Elcock, H (1994). Local Government 
  4. ^ Her Majesty's Stationary Office英語版 (1996). Aspects of Britain: Local Government 
  5. ^ Bryne, T (1994). Local Government in Britain 
  6. ^ a b c Office of Public Sector Information - Bedfordshire (Structural Changes) Order 2008 (Draft)
  7. ^ a b c Office of Public Sector Information - Cheshire (Structural Changes) Order 2008 (Draft)

参考文献

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洋書 主な執筆者名のアルファベット順

和書 主な執筆者名の50音順。

  • 下條美智彦『イギリスの行政』早稲田大学出版部、1995年、246頁。 ISBN 4-657-95936-0
  • 高寄昇三『現代イギリスの地方自治』勁草書房、1996年。 ISBN 4-326-30105-8
  • ウィリアム・ハンプトン『地方自治と都市政治』君村昌(監訳)、敬文堂、1996年、382頁。 ISBN 4-7670-0016-5、原書Local government and urban politics, 2nd edition (1991年)。
  • 山田光矢『パリッシュ―イングランドの地域自治組織(準自治体)の歴史と実態』北樹出版、2004年、172頁。 ISBN 4-89384-942-5

関連項目

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外部リンク

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