ピアノソナタ第2番 (スクリャービン)
ピアノソナタ第2番 嬰ト短調 作品19 は、アレクサンドル・スクリャービンが1897年に出版したピアノソナタ。作曲者自身によって『幻想ソナタ』("Соната - фантазия")というタイトルが付けられている。
概要
[編集]本作は、前作である『第1番 ヘ短調』(作品6)が完成した直後の1892年に着手された作品であるが、完成したのはそれから5年後の1897年のことであった。本作が作曲されている間には、初期の代表作である『12の練習曲』(作品8)や、初めての管弦楽曲である『交響的詩曲(交響的アレグロ)』(作品番号なし)が作曲されている。
また、その間には自作自演のピアニストとして西ヨーロッパにデビューしており、パリでデビューした1896年5月5日のリサイタルで本作の終楽章のみが披露されたが、全曲の初演はそれから2年後の1898年1月31日に、同じくパリで催されたリサイタルで行われた。
曲の構成
[編集]全2楽章、演奏時間は約11分。作曲者自身によると、黒海を訪れた時の印象に基づいているとされ、対照的な2つの楽章は、夜の海の凪と嵐を象徴するものとされる。また、ショパンに倣った抒情的かつ劇的な表現と、ベートーヴェンを思わせる緊密な構成の一方、とりわけ第1楽章の繊細なピアノのテクスチュアは、晩年のリストや同時代のフランス印象主義音楽にも通じている。以前はさほど有名ではなかったが、近年その美しさゆえに幅広く評価され、演奏や録音の機会も増えている。
- 第2楽章 プレスト( 𝅗𝅥 =96-100)