ベーブ・ルース賞

ベーブ・ルース賞(Babe Ruth Award)は、メジャーリーグベースボールのポストシーズンで、最も顕著な活躍をした選手に贈られる賞。受賞者の選定は、全米野球記者協会ニューヨーク支部によって行われる。ベーブ・ルース死去の翌1949年に制定された[1]

2006年まではワールドシリーズでの成績を評価対象とする賞であったが、2007年からはワールドシリーズだけでなくポストシーズン全体を評価対象とするように変更された[2][1]。ポストシーズン全体での活躍をもとに選出されるため、ワールドシリーズMVP1955年制定)とは受賞選手が異なる場合も多い(後述)。また、シリーズMVPが最終戦終了時に発表・表彰されるのに対し、ベーブ・ルース賞は通常、シリーズ終了の数週間後に発表・表彰される。

1975年にはその年のワールドシリーズで敗れたボストン・レッドソックスルイス・ティアントが受賞している(シリーズMVPは勝ったシンシナティ・レッズピート・ローズであった)。

2020年には敗れたタンパベイ・レイズランディ・アロサレーナが受賞。史上2人目の敗れたチームからの選出となった。(MVPは勝ったロサンゼルス・ドジャースコーリー・シーガーが受賞)

最も顕著な活躍をした選手に贈られる同賞だが、2001年2017年2019年には2人同時に受賞している。2017年に至っては2人同時にもかかわらず、シリーズMVPを受賞したジョージ・スプリンガーは選出されなかった。逆に1981年にはワールドシリーズで優勝したロサンゼルス・ドジャースから3人ものMVP受賞者がいたが、その中のロン・セイのみが選出された。

歴代受賞選手

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太字はワールドシリーズMVPとの同時受賞。

年度 受賞者 チーム 成績 備考
1949年 ジョー・ペイジ英語版 ニューヨーク・ヤンキース 1勝0敗1S 防2.00
1950年 ジェリー・コールマン ニューヨーク・ヤンキース .286 0本 3点
1951年 フィル・リズート ニューヨーク・ヤンキース .320 1本 3点
1952年 ジョニー・マイズ ニューヨーク・ヤンキース .400 3本 6点
1953年 ビリー・マーチン ニューヨーク・ヤンキース .500 2本 8点 1盗
1954年 ダスティ・ローズ ニューヨーク・ジャイアンツ .667 2本 7点
1955年 ジョニー・ポドレス ブルックリン・ドジャース 2勝0敗 防1.00
1956年 ドン・ラーセン ニューヨーク・ヤンキース 1勝0敗 防0.00
1957年 ルー・バーデット ミルウォーキー・ブレーブス 3勝0敗 防0.67
1958年 エルストン・ハワード ニューヨーク・ヤンキース .222 0本 2点 1盗
1959年 ラリー・シェリー英語版 ロサンゼルス・ドジャース 2勝0敗2S 防0.71
1960年 ビル・マゼロスキー ピッツバーグ・パイレーツ .320 2本 5点
1961年 ホワイティー・フォード ニューヨーク・ヤンキース 2勝0敗 防0.00
1962年 ラルフ・テリー英語版 ニューヨーク・ヤンキース 2勝1敗 防1.80
1963年 サンディー・コーファックス(1) ロサンゼルス・ドジャース 2勝0敗 防1.50
1964年 ボブ・ギブソン セントルイス・カージナルス 2勝1敗 防3.00
1965年 サンディー・コーファックス(2) ロサンゼルス・ドジャース 2勝1敗 防0.38
1966年 フランク・ロビンソン ボルチモア・オリオールズ .286 2本 3点
1967年 ルー・ブロック セントルイス・カージナルス .414 1本 3点 7盗
1968年 ミッキー・ロリッチ デトロイト・タイガース 3勝0敗 防1.67
1969年 アル・ワイス英語版 ニューヨーク・メッツ .455 1本 3点
1970年 ブルックス・ロビンソン ボルチモア・オリオールズ .429 2本 6点
1971年 ロベルト・クレメンテ ピッツバーグ・パイレーツ .414 2本 4点
1972年 ジーン・テナス英語版 オークランド・アスレチックス .348 4本 9点
1973年 バート・キャンパネリス オークランド・アスレチックス .290 1本 3点 3盗
1974年 ディック・グリーン英語版 オークランド・アスレチックス .000 0本 1点
1975年 ルイス・ティアント ボストン・レッドソックス 2勝0敗 防3.60 敗れたチームからの受賞
1976年 ジョニー・ベンチ シンシナティ・レッズ .533 2本 6点
1977年 レジー・ジャクソン ニューヨーク・ヤンキース .450 5本 8点
1978年 バッキー・デント ニューヨーク・ヤンキース .417 0本 7点
1979年 ウィリー・スタージェル ピッツバーグ・パイレーツ .400 3本 7点
1980年 タグ・マグロウ フィラデルフィア・フィリーズ 1勝1敗2S 防1.17
1981年 ロン・セイ ロサンゼルス・ドジャース .350 1本 6点
1982年 ブルース・スーター セントルイス・カージナルス 1勝0敗2S 防4.70
1983年 リック・デンプシー ボルチモア・オリオールズ .385 1本 2点
1984年 ジャック・モリス(1) デトロイト・タイガース 2勝0敗 防2.00
1985年 ブレット・セイバーヘイゲン カンザスシティ・ロイヤルズ 2勝0敗 防0.50
1986年 レイ・ナイト ニューヨーク・メッツ .391 1本 5点
1987年 フランク・バイオーラ ミネソタ・ツインズ 2勝1敗 防3.72
1988年 オーレル・ハーシュハイザー ロサンゼルス・ドジャース 2勝0敗 防1.00
1989年 デーブ・スチュワート オークランド・アスレチックス 2勝0敗 防1.00
1990年 ビリー・ハッチャー シンシナティ・レッズ .750 0本 2点
1991年 ジャック・モリス(2) ミネソタ・ツインズ 2勝0敗 防1.17
1992年 デーブ・ウィンフィールド トロント・ブルージェイズ .227 0本 3点
1993年 ポール・モリター トロント・ブルージェイズ .500 2本 8点 1盗
1994年 選手会による1994年から1995年のMLBストライキのためシリーズ中止
1995年 トム・グラビン アトランタ・ブレーブス 2勝0敗 防1.29
1996年 セシル・フィルダー ニューヨーク・ヤンキース .391 0本 2点
1997年 モイゼス・アルー フロリダ・マーリンズ .321 3本 9点 1盗
1998年 スコット・ブロシアス ニューヨーク・ヤンキース .471 2本 6点
1999年 マリアノ・リベラ ニューヨーク・ヤンキース 1勝0敗2S 防0.00
2000年 デレク・ジーター ニューヨーク・ヤンキース .409 2本 2点
2001年 ランディ・ジョンソン アリゾナ・ダイヤモンドバックス 3勝0敗 防1.04 2人同時受賞
カート・シリング 1勝0敗 防1.69
2002年 トロイ・グロース アナハイム・エンゼルス .385 3本 8点
2003年 ジョシュ・ベケット フロリダ・マーリンズ 1勝1敗 防1.13
2004年 キース・フォーク ボストン・レッドソックス 1勝0敗1S 防1.80
2005年 ジャーメイン・ダイ シカゴ・ホワイトソックス .412 1本 4点
2006年 デビッド・エクスタイン セントルイス・カージナルス .364 0本 4点
2007年 ジョナサン・パペルボン ボストン・レッドソックス 0勝0敗3S 防0.00
2008年 コール・ハメルズ フィラデルフィア・フィリーズ 1勝0敗 防2.77
2009年 アレックス・ロドリゲス ニューヨーク・ヤンキース .250 1本 6点 1盗
2010年 ティム・リンスカム サンフランシスコ・ジャイアンツ 2勝0敗 防3.29
2011年 デビッド・フリース セントルイス・カージナルス .348 1本 7点
2012年 パブロ・サンドバル サンフランシスコ・ジャイアンツ .500 3本 4点
2013年 デビッド・オルティーズ ボストン・レッドソックス .688 2本 6点
2014年 マディソン・バンガーナー サンフランシスコ・ジャイアンツ 2勝0敗1S 防0.47
2015年 ウェイド・デービス カンザスシティ・ロイヤルズ 0勝0敗1S 防0.00
2016年 ジョン・レスター シカゴ・カブス 1勝1敗 防3.68
2017年 ホセ・アルトゥーベ ヒューストン・アストロズ .194 2本 6点 1盗 2人同時受賞
ジャスティン・バーランダー 0勝1敗 防3.75
2018年 デビッド・プライス ボストン・レッドソックス 2勝0敗 防1.98
2019年 フアン・ソト ワシントン・ナショナルズ .333 3本 7点 1盗 2人同時受賞
スティーブン・ストラスバーグ 2勝0敗 防2.51
2020年 ランディ・アロサレーナ タンパベイ・レイズ .364 3本 4点 敗れたチームからの受賞
2021年 フレディ・フリーマン アトランタ・ブレーブス .318 2本 5点
2022年 ジェレミー・ペーニャ ヒューストン・アストロズ .400 1本 3点
2023年 アドリス・ガルシア テキサス・レンジャーズ .300 1本 2点 1盗

出典

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外部リンク

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