2021年のワールドシリーズ

2021年ワールドシリーズ

シリーズ優勝を記念して2022年9月にホワイトハウスを表敬訪問し、当時のアメリカ合衆国大統領ジョー・バイデンユニフォームを贈呈するブレーブス一行。背番号46はバイデンが第46代大統領であることにちなむ[注 1]
チーム 勝数
アトランタ・ブレーブスNL 4
ヒューストン・アストロズAL 2
シリーズ情報
試合日程 10月26日–11月2日
観客動員 6試合合計:25万7671人
1試合平均:04万2945人
MVP ホルヘ・ソレア(ATL)
責任審判 トム・ハリオン(第2戦を除く)、
テッド・バレット(第2戦のみ)[1]
ALCS HOU 4–2 BOS
NLCS ATL 4–2 LAD
チーム情報
アトランタ・ブレーブス(ATL)
シリーズ出場 22年ぶり10回目
GM アレックス・アンソポロス
監督 ブライアン・スニッカー
シーズン成績 88勝73敗・勝率.547
NL東地区優勝
分配金 選手1人あたり39万7391ドル[2]

ヒューストン・アストロズ(HOU)
シリーズ出場 02年ぶり04回目
GM ジェームズ・クリック
監督 ダスティ・ベイカー
シーズン成績 95勝67敗・勝率.586
AL西地区優勝
分配金 選手1人あたり25万8373ドル[2]
全米テレビ中継
放送局 FOX
実況 ジョー・バック
解説 ジョン・スモルツ
平均視聴率 6.5%(前年比1.3ポイント上昇)
ワールドシリーズ
 < 2020 2022 > 

2021年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)優勝決定戦の第117回ワールドシリーズ英語: 117th World Series)は、10月26日から11月2日にかけて計6試合が開催された。その結果、アトランタ・ブレーブスナショナルリーグ)がヒューストン・アストロズアメリカンリーグ)を4勝2敗で下し、26年ぶり4回目の優勝を果たした。

出場両球団監督の年齢はアストロズのダスティ・ベイカーが72歳、ブレーブスのブライアン・スニッカーが66歳で、合計するとシリーズ史上最高齢となる[3]。ベイカーは監督として歴代12位、シリーズ優勝経験がない人物に限れば歴代最多のレギュラーシーズン通算1,987勝を挙げているが[注 2][4]、今回も初優勝を逃した。スニッカーは、1977年に選手として入団して以来45年間ブレーブス一筋に様々な役職を担ってきたが、1995年の前回優勝時はメジャーのスタッフから外れていたため[5]、今回が自身にとって初の優勝となった。シリーズMVPには、第1戦・第4戦・第6戦の3試合で決勝本塁打を放つなど、6試合で打率.300・3本塁打・6打点OPS 1.191という成績を残したブレーブスのホルヘ・ソレアが選出された。

2022年から、MLBは指名打者(DH)制度をアメリカンリーグだけでなくナショナルリーグにも導入した。ワールドシリーズにおけるDH制は1986年以降、アメリカンリーグ球団の本拠地球場で行われる試合にのみ採用されていたが[注 3]2022年以降は開催地に関係なく全試合で採用される[6]。したがって、DH制なしで行われる試合は今シリーズの第5戦が最後となった。その試合で最後に打席に立った投手は、アストロズのケンドール・グレーブマンだった[7]

ワールドシリーズまでの道のり

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両チームの2021年

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アストロズの外野手カイル・タッカー(左。写真は2019年9月13日撮影)と、ブレーブスの内野手オジー・アルビーズ(写真は2018年9月18日撮影)

10月22日にまずアメリカンリーグでアストロズ(西地区)が、そして23日にはナショナルリーグでブレーブス(東地区)が、それぞれリーグ優勝を決めてワールドシリーズへ駒を進めた。

アストロズはエースジャスティン・バーランダートミー・ジョン手術で、正中堅手ジョージ・スプリンガーFA移籍で失ってシーズン開幕を迎えた。しかもこの年は、シーズンを通して敵地でブーイングを浴び続けた。というのも、2017年2018年電子機器を用いた不正な方法でサイン盗みをしていたことが2019年のワールドシリーズ敗退後に発覚し、2020年新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で全試合無観客開催だったため、2021年が不正発覚後に観客の前で試合をする初のシーズンだったからである[8]。それでもアストロズは勝ち星を積み重ねた。序盤はオークランド・アスレチックスに先行を許したものの、6月13日からの11連勝で逆転して地区首位に立ち、前半戦終了時には55勝36敗で2位に3.5ゲーム差をつけた。得点数と打率でリーグトップの強力打線がチームを牽引した[9]。後半戦に入ってもアスレチックスやシアトル・マリナーズを寄せ付けず、9月30日に2年ぶりの地区優勝を決めた[8]。平均得点5.33はリーグ最高、防御率3.78はリーグ4位。打線はOPSリーグ上位20人中5人を擁する層の厚さで得点を奪い、投手陣もバーランダーを欠きながら先発ローテーションの陣容をほぼ固定し多くのイニングを消化していった[10]。チームはカルロス・コレアを中心に団結し、激しい憎悪を向けられた敵地でも44勝37敗と勝ち越した[11]地区シリーズではシカゴ・ホワイトソックスを3勝1敗で[12]リーグ優勝決定戦ではボストン・レッドソックスを4勝2敗で[13]、それぞれ下した。

ブレーブスはシーズン開幕から4連敗を喫し、その後も勝率.500をなかなか超えられないまま、前半戦は44勝45敗と負け越した。その間の5月には、捕手トラビス・ダーノーが左手親指靭帯損傷故障者リスト入りし、左翼手マーセル・オズナドメスティックバイオレンスで逮捕され休職に追い込まれる。さらに前半戦終了前日にも、右翼手ロナルド・アクーニャ・ジュニアが右膝前十字靭帯断裂の大怪我を負ってシーズンを終えた。ただ、こうして打線の主軸が相次いで戦列を離れながらも、東地区の勝ち星が他地区より伸びなかったため、地区首位ニューヨーク・メッツとのゲーム差は4.0と挽回可能な程度にとどまっていた[14]。7月30日のトレード期限までには外野手の補強を重点的に行い、ジョク・ピーダーソンホルヘ・ソレアアダム・デュバルエディ・ロザリオを立て続けに獲得する。翌31日から6戦5勝で初めて勝率.500を超えると、8月15日には地区首位に浮上した[15]。後半戦はメッツが29勝45敗と失速したこともあり[16]、9月30日にブレーブスの地区4連覇が決まった[15]。平均得点4.91はリーグ3位、防御率3.89はリーグ4位。オースティン・ライリーの成長などで故障者の穴を埋めた打線や、チャーリー・モートンマックス・フリードを中心とする投手陣の頑張りに加え、5月下旬から守備シフトを積極的に用いるようになったことも功を奏した[17]地区シリーズではミルウォーキー・ブルワーズを3勝1敗で[18]リーグ優勝決定戦ではロサンゼルス・ドジャースを4勝2敗で[19]、それぞれ下した。

両チームとも、前GMが在任時の不祥事で職を追われ、他球団から招請した新GMのもとで今シリーズ出場を果たしたという共通点を持つ[20]。アストロズは前述の通り、電子機器を用いた不正なサイン盗みが発覚し、当時のGMジェフ・ルーノウが2020年1月、MLB機構によって1年の資格停止処分を下されたうえに球団から解雇された。後任にはタンパベイ・レイズ編成副代表のジェームズ・クリックが就任した。ブレーブスは、GMのジョン・コッポレラが海外の有望アマチュア選手の獲得に際し、MLB機構が設定する契約金上限を超過していないように見せかけて裏で金銭を渡すなど腐敗を助長したとして、2017年11月にMLB機構によって永久追放処分を受けた。その後、ドジャース編成副代表のアレックス・アンソポロスを後任に据えた。クリックもアンソポロスもチームをいったん解体して一から作り直したわけではなく、両チームとも主力選手の多くは前GMが獲得している[21]

ホームフィールド・アドバンテージ

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ワールドシリーズの第1・2・6・7戦を本拠地で開催できる "ホームフィールド・アドバンテージ" は、レギュラーシーズンの勝率がより高いほうの球団に与えられる。ポストシーズン進出10球団のアドバンテージ優先順位は以下の通り。

優先順位 球団 レギュラーシーズン成績 ポストシーズン結果
WCG DS LCS
01 サンフランシスコ・ジャイアンツ 107勝55敗・勝率.660 NL西地区優勝 地区シリーズ(DS)敗退 免除 2勝3敗
02[※1] ロサンゼルス・ドジャース 106勝56敗・勝率.654 NL西地区2位=第1ワイルドカード リーグ優勝決定戦(LCS)敗退 1勝0敗 3勝2敗 2勝4敗
03[※1] タンパベイ・レイズ 100勝62敗・勝率.617 AL東地区優勝 地区シリーズ(DS)敗退 免除 1勝3敗
04[※1][※2] ヒューストン・アストロズ 095勝67敗・勝率.586 AL西地区優勝 ワールドシリーズ進出 免除 3勝1敗 4勝2敗
05[※1][※2] ミルウォーキー・ブルワーズ 095勝67敗・勝率.586 NL中地区優勝 地区シリーズ(DS)敗退 免除 1勝3敗
06[※1] シカゴ・ホワイトソックス 093勝69敗・勝率.574 AL中地区優勝 地区シリーズ(DS)敗退 免除 1勝3敗
07[※1][※3] ボストン・レッドソックス 092勝70敗・勝率.568 AL東地区2位=第1ワイルドカード リーグ優勝決定戦(LCS)敗退 1勝0敗 3勝1敗 2勝4敗
08[※1][※3] ニューヨーク・ヤンキース 092勝70敗・勝率.568 AL東地区3位=第2ワイルドカード ワイルドカードゲーム(WCG)敗退 0勝1敗
09[※1] セントルイス・カージナルス 090勝72敗・勝率.556 NL中地区2位=第2ワイルドカード ワイルドカードゲーム(WCG)敗退 0勝1敗
10[※1] アトランタ・ブレーブス 088勝73敗・勝率.547 NL東地区優勝 ワールドシリーズ進出 免除 3勝1敗 4勝2敗
※1  同一リーグ内の地区シリーズリーグ優勝決定戦では、勝率に関係なく地区優勝球団はワイルドカード球団より上位に位置づけられるが、ワールドシリーズだけはこれに当てはまらない。
※2  シーズン162試合の勝敗が同じ、かつこの年の直接対決がない場合は、それぞれの球団が同地区他球団相手に残した成績が決め手となる。アストロズがアメリカンリーグ西地区4球団相手に49勝27敗・勝率.645だったのに対し、ブルワーズはナショナルリーグ中地区4球団相手に47勝29敗・勝率.618だったので、アストロズが上位となる。
※3  レッドソックスがヤンキースに対し、シーズン中の直接対決19試合を10勝9敗と勝ち越しているため、レッドソックスが上位となる。

10月22日にまずアストロズがワールドシリーズ進出を決めた。しかしこの時点では、ナショナルリーグリーグ優勝決定戦が未決着だった。対戦していたのは、優先順位がアストロズより上のドジャースと、アストロズより下のブレーブスである。したがって、アストロズとナショナルリーグ優勝球団のどちらにアドバンテージが与えられるかは、まだ決まらなかった。翌23日、ブレーブスがリーグ優勝を果たし、アドバンテージがアストロズへ与えられることとなった。

両チームの過去の対戦

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2007年9月28日の対戦の様子。二塁手がアストロズのクレイグ・ビジオ、走者がブレーブスのマーク・テシェイラ

アストロズは1962年ナショナルリーグの新球団 "ヒューストン・コルトフォーティファイブス" として創設され、2012年シーズン終了後にアメリカンリーグへ転籍した。したがって1962年から51年間、ブレーブスとコルトフォーティファイブス/アストロズは同じリーグに所属し毎年対戦していた。その期間のレギュラーシーズン通算対戦成績は、ブレーブスの379勝321敗・勝率.541である[22]。このうち、1968年9月7日の試合では、ブレーブスの新人ダスティ・ベイカーがメジャー初出場を果たした。53年後の今シリーズでは、ベイカーはアストロズの監督として古巣ブレーブスと対戦する[23]。アストロズがアメリカンリーグへ転籍したあとは、両球団の対戦はインターリーグとして数年に一度しか行われなくなった。転籍後の対戦は2014年に3試合、2017年に4試合の計7試合が組まれており、対戦成績はアストロズの5勝2敗・勝率.714である[24]。直近の2017年は、5月にアストロズの本拠地ミニッツメイド・パークで2試合、7月にブレーブスの本拠地サントラスト・パーク(球場名は当時)で2試合、というように分けて行われ、アストロズが全勝している。

1969年に東西2地区制が導入されると、アストロズとブレーブスはともに西地区に割り振られた。当時は地区優勝しないとポストシーズンへ進めない仕組みだったため、両チームがポストシーズンで対戦することはなかった。1993年シーズン終了後に地区割の再編が実施され、両チームのポストシーズンでの対戦が実現しうるようになった。実際に実現したのは5度、全て地区シリーズでの対戦で、1997年から2005年までの9季内に集中している。この期間はちょうど、ブレーブスによる1991年から2005年にかけての地区14連覇と重なる[注 4][25]。対戦の結果、1997年1999年2001年はブレーブスが、2004年2005年はアストロズが、それぞれシリーズを制してリーグ優勝決定戦へ進んだ。このうち、1999年のシリーズ最終戦は、アストロズにとって当時の本拠地球場アストロドームでの最後の試合となった[26]。また、2005年のシリーズ最終戦は、ポストシーズン史上最長の延長18回までもつれた末に、アストロズのクリス・バークが史上7人目となるポストシーズンのシリーズ勝利決定サヨナラ本塁打を放った[25]。ポストシーズンにおける両チームの対戦はこの試合以来、今シリーズで16年ぶりに実現する[26]

ロースター

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両チームの出場選手登録(ロースター)は以下の通り。

ヒューストン・アストロズ アトランタ・ブレーブス
守備位置 背番号 出身 選手 年齢 ワールドシリーズ経験 守備位置 背番号 出身 選手 年齢 ワールドシリーズ経験
出場 優勝 出場 優勝
投手 77 ベネズエラの旗 ルイス・ガルシア 24 なし 投手 36 アメリカ合衆国の旗 イアン・アンダーソン 23 なし
93 ドミニカ共和国の旗 イーミ・ガルシア 31 なし 60 アメリカ合衆国の旗 ジェシー・チャベス 38 なし
31 アメリカ合衆国の旗 ケンドール・グレーブマン 30 なし 64 アメリカ合衆国の旗 タッカー・デービッドソン[※1] 25 なし
21 アメリカ合衆国の旗 ザック・グレインキー 38 2年ぶり2回目 なし 54 アメリカ合衆国の旗 マックス・フリード 27 なし
53 ドミニカ共和国の旗 クリスチャン・ハビエル 24 なし 77 アメリカ合衆国の旗 ルーク・ジャクソン 30 なし
88 アメリカ合衆国の旗 フィル・メイトン 28 なし 74 アメリカ合衆国の旗 ディラン・リー 27 なし
17 アメリカ合衆国の旗 ジェイク・オドリッジ 31 なし 55 アメリカ合衆国の旗 クリス・マーティン 35 なし
55 アメリカ合衆国の旗 ライアン・プレスリー 32 2年ぶり2回目 なし 68 アメリカ合衆国の旗 タイラー・マツェック 31 なし
58 アメリカ合衆国の旗 ブルックス・ラリー 33 なし 33 アメリカ合衆国の旗 A.J.ミンター 28 なし
45 アメリカ合衆国の旗 ライン・スタネック 30 なし 50 アメリカ合衆国の旗 チャーリー・モートン[※1] 37 2年連続3回目 1回
62 アメリカ合衆国の旗 ブレイク・テイラー 26 なし 51 アメリカ合衆国の旗 ウィル・スミス 32 なし
65 メキシコの旗 ホセ・ウルキディ 26 2年ぶり2回目 なし 18 アメリカ合衆国の旗 ドリュー・スマイリー 32 9年ぶり2回目 なし
59 ドミニカ共和国の旗 フランバー・バルデス 27 なし 30 アメリカ合衆国の旗 カイル・ライト 26 なし
捕手 18 アメリカ合衆国の旗 ジェイソン・カストロ[※2] 34 なし 捕手 24 ベネズエラの旗 ウィリアム・コントレラス 23 なし
15 プエルトリコの旗 マーティン・マルドナード 35 2年ぶり2回目 なし 16 アメリカ合衆国の旗 トラビス・ダーノー 32 6年ぶり2回目 なし
11 アメリカ合衆国の旗 ギャレット・スタッブス[※2] 28 なし 内野手 1 キュラソー島の旗 オジー・アルビーズ 24 なし
内野手 27 ベネズエラの旗 ホセ・アルトゥーベ 31 2年ぶり3回目 1回 9 ベネズエラの旗 オーランド・アルシア 27 なし
2 アメリカ合衆国の旗 アレックス・ブレグマン 27 2年ぶり3回目 1回 17 パナマの旗 ヨハン・カマルゴ[※3] 27 なし
1 プエルトリコの旗 カルロス・コレア 27 2年ぶり3回目 1回 5 アメリカ合衆国の旗 フレディ・フリーマン 32 なし
16 キューバの旗 アレドミス・ディアス 31 2年ぶり2回目 なし 27 アメリカ合衆国の旗 オースティン・ライリー 24 なし
9 ベネズエラの旗 マーウィン・ゴンザレス 32 4年ぶり2回目 1回 7 アメリカ合衆国の旗 ダンズビー・スワンソン 27 なし
10 キューバの旗 ユリ・グリエル 37 2年ぶり3回目 1回 外野手 23 ベネズエラの旗 エイーレ・アドリアンサ[※3] 32 なし
外野手 44 キューバの旗 ヨルダン・アルバレス 24 2年ぶり2回目 なし 14 アメリカ合衆国の旗 アダム・デュバル 33 なし
23 アメリカ合衆国の旗 マイケル・ブラントリー 34 2年ぶり2回目 なし 11 アメリカ合衆国の旗 テレンス・ゴア 30 7年ぶり2回目 なし
20 アメリカ合衆国の旗 チャズ・マコーミック 26 なし 38 キューバの旗 ギジェルモ・エレディア 30 なし
26 ドミニカ共和国の旗 ホセ・シリ 26 なし 22 アメリカ合衆国の旗 ジョク・ピーダーソン 29 2年連続4回目 1回
30 アメリカ合衆国の旗 カイル・タッカー 24 2年ぶり2回目 なし 8 プエルトリコの旗 エディ・ロザリオ#◎ 30 なし
12 キューバの旗 ホルヘ・ソレア 29 5年ぶり2回目 1回
※1  第1戦終了後にモートンが故障のためロースターを外れ、第2戦からはデービッドソンが代わりに登録された。
※2  第3戦終了後にカストロがMLBの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策規定に則りロースターを外れ、第4戦からはスタッブスが代わりに登録された。
※3  第5戦終了後にアドリアンサが妻の出産に立ち会うため父親産休リストに入り、第6戦からはカマルゴが代わりに登録された。

アストロズはリーグ優勝決定戦のロースターから、外野手のジェイク・マイヤーズに代えて内野手のマーウィン・ゴンザレスを登録した。マイヤーズは地区シリーズ第4戦の守備中に外野フェンスへ激突して負傷退場し、リーグ優勝決定戦ではロースター入りしたものの1試合も出場しなかった。ゴンザレスはスイッチヒッターであることや複数のポジションをこなせること4年前のワールドシリーズ出場経験などを買われて、今ポストシーズンで初めてロースター入りした[27]。ただ、この年ゴンザレスの打撃は右投手相手の打率.177・OPS.521に対し左投手相手だと打率.250・OPS.713だったが、アストロズの先発ラインナップで代打を出せそうなタイミングは右打者のところにしかないため、代打起用はそう多くはならないとみられる[28]

ブレーブスはリーグ優勝決定戦終了時のロースターから投手と野手をひとりずつ入れ替え、ジェイコブ・ウェブヨハン・カマルゴを外してカイル・ライトテレンス・ゴアを加えた。リーグ優勝決定戦では、ウェブは救援登板2試合のうち第5戦で1.0イニング4失点を喫し、カマルゴは代打4打席で無安打2三振に終わっていた。そのシリーズ途中で先発ローテーション4番手のワスカル・イノアが肩の炎症により離脱したことから、ライトにはその穴埋めとしてイニングを消化することが期待される[29]。ゴアはこの年「生涯の夢」だったというブレーブス入団を果たし[30]、レギュラーシーズン中は傘下マイナーリーグのAAA級で過ごしたものの、ポストシーズンで代走要員としてメジャーへ昇格、地区シリーズ第2戦の1試合に出場していた[31]

今シリーズのロースターには、シリーズ史上初あるいは史上最多となることがらが複数ある。

2015年ドラフト全体1位指名を受けたダンズビー・スワンソン(左。写真は2021年4月6日撮影)と、その次の全体2位指名を受けたアレックス・ブレグマン(写真は2018年4月23日撮影)
2015年6月のドラフトでは、ヴァンダービルト大学ダンズビー・スワンソンが全体1位でアリゾナ・ダイヤモンドバックスに、ルイジアナ州立大学アレックス・ブレグマンが全体2位でアストロズに、それぞれ指名されて入団した。スワンソンは同年12月にトレードでブレーブスへ移籍し、翌2016年には23日違いで両選手ともメジャー初出場を果たした[5]。今シリーズは、同じ年のドラフト全体1位指名選手と全体2位指名選手が対戦する史上初のシリーズとなる[32]
アストロズではユリ・グリエルヨルダン・アルバレス、それにアレドミス・ディアスの3人が、ブレーブスではギジェルモ・エレディアホルヘ・ソレアの2人が、キューバ出身である。同国出身選手が5人ロースター入りするというのは、1965年の4人を上回りシリーズ歴代最多となる[注 5][33]
シリーズ開幕時点でのロースターのうち、アストロズではブレグマンが、ブレーブスではジョク・ピーダーソンマックス・フリードの2人が、ユダヤ系アメリカ人である。ユダヤ系アメリカ人選手が3人ロースター入りするというのは、1959年に並ぶシリーズ歴代最多タイだった[注 6]。その後、アストロズのジェイソン・カストロがMLBの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策規定に則りシリーズ途中でロースターを外れ、ユダヤ系アメリカ人のギャレット・スタッブスが代わりに登録されたことで、記録が更新された[34]

開幕前の予想

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MLB.comが所属記者・アナリスト76人にどちらがシリーズを制するか予想させたところ、アストロズ勝利予想が52人に対しブレーブス勝利予想が24人という結果となった[35]ESPNも同様の企画を自社の記者15人で実施し、アストロズ勝利を予想したのが12人と、ブレーブス勝利予想3人の4倍にのぼった[36]。『ガーディアン』国際版の企画では、記者3人のうちふたりがアストロズを、ひとりがブレーブスを支持した[37]。他のメディアでは、両者への支持が拮抗した。CBSスポーツでは記者4人がふたりずつ[38]、『USAトゥデイ』では記者6人が3人ずつ[39]、『スポーツ・イラストレイテッド』でも記者6人が3人ずつ[40]、といずれもアストロズ支持とブレーブス支持が半々に分かれた。

試合結果

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2021年のワールドシリーズは10月26日に開幕し、途中に移動日を挟んで8日間で6試合が行われた。日程・結果は以下の通り。

日付 試合 ビジター球団(先攻) スコア ホーム球団(後攻) 開催球場
10月26日(火) 第1戦 アトランタ・ブレーブス 6-2 ヒューストン・アストロズ ミニッツメイド・パーク
10月27日(水) 第2戦 アトランタ・ブレーブス 2-7 ヒューストン・アストロズ
10月28日(木) 移動日
10月29日(金) 第3戦 ヒューストン・アストロズ 0-2 アトランタ・ブレーブス トゥルーイスト・パーク
10月30日(土) 第4戦 ヒューストン・アストロズ 2-3 アトランタ・ブレーブス
10月31日(日) 第5戦 ヒューストン・アストロズ 9-5 アトランタ・ブレーブス
11月01日(月) 移動日
11月02日(火) 第6戦 アトランタ・ブレーブス 7-0 ヒューストン・アストロズ ミニッツメイド・パーク
優勝:アトランタ・ブレーブス(4勝2敗 / 26年ぶり4度目)

第1戦 10月26日

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映像外部リンク
動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿したハイライト映像(英語、9分16秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
アトランタ・ブレーブス 2 1 2 0 0 0 0 1 0 6 12 1
ヒューストン・アストロズ 0 0 0 1 0 0 0 1 0 2 8 1
  1. 勝利A.J.ミンター(1勝)  
  2. 敗戦フランバー・バルデス(1敗)  
  3. 本塁打
    ATL:ホルヘ・ソレア1号ソロ、アダム・デュバル1号2ラン
  4. 審判
    [球審]クリス・コンロイ
    [塁審]一塁: トム・ハリオン、二塁: ダン・ベリーノ、三塁: テッド・バレット
    [外審]左翼: マイク・ムフリンスキー、右翼: アルフォンソ・マルケス
  5. 試合開始時刻: 中部夏時間UTC-5)午後7時11分 試合時間: 4時間6分 観客: 4万2825人 気温: 73°F(22.8°C)
    詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / FanGraphs
両チームの先発ラインナップ
アトランタ・ブレーブス ヒューストン・アストロズ
打順 守備 選手 打席 打順 守備 選手 打席
1 DH J・ソレア 1 J・アルトゥーベ
2 F・フリーマン 2 M・ブラントリー
3 O・アルビーズ 3 A・ブレグマン
4 A・ライリー 4 DH Y・アルバレス
5 E・ロザリオ 5 C・コレア
6 A・デュバル 6 K・タッカー
7 T・ダーノー 7 Y・グリエル
8 J・ピーダーソン 8 C・マコーミック
9 D・スワンソン 9 M・マルドナード
先発投手 投球 先発投手 投球
C・モートン F・バルデス

第2戦 10月27日

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映像外部リンク
動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿したハイライト映像(英語、8分)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
アトランタ・ブレーブス 0 1 0 0 1 0 0 0 0 2 7 2
ヒューストン・アストロズ 1 4 0 0 0 1 1 0 X 7 9 0
  1. 勝利ホセ・ウルキディ(1勝)  
  2. 敗戦マックス・フリード(1敗)  
  3. 本塁打
    ATL:トラビス・ダーノー1号ソロ
    HOU:ホセ・アルトゥーベ1号ソロ
  4. 審判
    [球審]ロン・カルパ
    [塁審]一塁: ダン・ベリーノ、二塁: テッド・バレット、三塁: マイク・ムフリンスキー
    [外審]左翼: アルフォンソ・マルケス、右翼: クリス・コンロイ
  5. 試合開始時刻: 中部夏時間UTC-5)午後7時9分 試合時間: 3時間11分 観客: 4万2833人 気温: 73°F(22.8°C)
    詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / FanGraphs
両チームの先発ラインナップ
アトランタ・ブレーブス ヒューストン・アストロズ
打順 守備 選手 打席 打順 守備 選手 打席
1 E・ロザリオ 1 J・アルトゥーベ
2 F・フリーマン 2 M・ブラントリー
3 O・アルビーズ 3 A・ブレグマン
4 A・ライリー 4 DH Y・アルバレス
5 DH J・ソレア 5 C・コレア
6 J・ピーダーソン 6 K・タッカー
7 A・デュバル 7 Y・グリエル
8 T・ダーノー 8 J・シリ
9 D・スワンソン 9 M・マルドナード
先発投手 投球 先発投手 投球
M・フリード J・ウルキディ

第3戦 10月29日

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映像外部リンク
動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿したハイライト映像(英語、9分40秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
ヒューストン・アストロズ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0
アトランタ・ブレーブス 0 0 1 0 0 0 0 1 X 2 6 1
  1. 勝利イアン・アンダーソン(1勝)  
  2. セーブウィル・スミス(1S)  
  3. 敗戦ルイス・ガルシア(1敗)  
  4. 本塁打
    ATL:トラビス・ダーノー2号ソロ
  5. 審判
    [球審]トム・ハリオン
    [塁審]一塁: テッド・バレット、二塁: マイク・ムフリンスキー、三塁: アルフォンソ・マルケス
    [外審]左翼: クリス・コンロイ、右翼: ロン・カルパ
  6. 試合開始時刻: 東部夏時間UTC-4)午後8時12分 試合時間: 3時間24分 観客: 4万2898人 気温: 49°F(9.4°C)
    詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / FanGraphs
両チームの先発ラインナップ
ヒューストン・アストロズ アトランタ・ブレーブス
打順 守備 選手 打席 打順 守備 選手 打席
1 J・アルトゥーベ 1 E・ロザリオ
2 M・ブラントリー 2 F・フリーマン
3 A・ブレグマン 3 O・アルビーズ
4 Y・アルバレス 4 A・ライリー
5 C・コレア 5 J・ソレア
6 K・タッカー 6 A・デュバル
7 Y・グリエル 7 T・ダーノー
8 M・マルドナード 8 D・スワンソン
9 L・ガルシア 9 I・アンダーソン
先発投手 投球 先発投手 投球
L・ガルシア I・アンダーソン

第4戦 10月30日

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映像外部リンク
動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿したハイライト映像(英語、9分18秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
ヒューストン・アストロズ 1 0 0 1 0 0 0 0 0 2 8 0
アトランタ・ブレーブス 0 0 0 0 0 1 2 0 X 3 8 1
  1. 勝利タイラー・マツェック(1勝)  
  2. セーブウィル・スミス(2S)  
  3. 敗戦クリスチャン・ハビエル(1敗)  
  4. 本塁打
    HOU:ホセ・アルトゥーベ2号ソロ
    ATL:ダンズビー・スワンソン1号ソロ、ホルヘ・ソレア2号ソロ
  5. 審判
    [球審]ダン・ベリーノ
    [塁審]一塁: マイク・ムフリンスキー、二塁: アルフォンソ・マルケス、三塁: クリス・コンロイ
    [外審]左翼: ロン・カルパ、右翼: トム・ハリオン
  6. 試合開始時刻: 東部夏時間UTC-4)午後8時11分 試合時間: 3時間45分 観客: 4万3125人 気温: 53°F(11.7°C)
    詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / FanGraphs
両チームの先発ラインナップ
ヒューストン・アストロズ アトランタ・ブレーブス
打順 守備 選手 打席 打順 守備 選手 打席
1 J・アルトゥーベ 1 E・ロザリオ
2 M・ブラントリー 2 F・フリーマン
3 A・ブレグマン 3 O・アルビーズ
4 Y・アルバレス 4 A・ライリー
5 C・コレア 5 J・ピーダーソン
6 K・タッカー 6 T・ダーノー
7 Y・グリエル 7 A・デュバル
8 Z・グレインキー 8 D・スワンソン
9 M・マルドナード 9 D・リー
先発投手 投球 先発投手 投球
Z・グレインキー D・リー

第5戦 10月31日

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映像外部リンク
動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿したハイライト映像(英語、8分47秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
ヒューストン・アストロズ 0 2 2 0 3 0 1 1 0 9 12 0
アトランタ・ブレーブス 4 0 1 0 0 0 0 0 0 5 8 1
  1. 勝利ホセ・ウルキディ(2勝)  
  2. 敗戦A.J.ミンター(1勝1敗)  
  3. 本塁打
    ATL:アダム・デュバル2号満塁フレディ・フリーマン1号ソロ
  4. 審判
    [球審]テッド・バレット
    [塁審]一塁: アルフォンソ・マルケス、二塁: クリス・コンロイ、三塁: ロン・カルパ
    [外審]左翼: トム・ハリオン、右翼: ダン・ベリーノ
  5. 試合開始時刻: 東部夏時間UTC-4)午後8時15分 試合時間: 4時間0分 観客: 4万3122人 気温: 52°F(11.1°C)
    詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / FanGraphs
両チームの先発ラインナップ
ヒューストン・アストロズ アトランタ・ブレーブス
打順 守備 選手 打席 打順 守備 選手 打席
1 J・アルトゥーベ 1 J・ソレア
2 M・ブラントリー 2 F・フリーマン
3 C・コレア 3 O・アルビーズ
4 Y・アルバレス 4 A・ライリー
5 Y・グリエル 5 E・ロザリオ
6 K・タッカー 6 A・デュバル
7 A・ブレグマン 7 T・ダーノー
8 M・マルドナード 8 D・スワンソン
9 F・バルデス 9 T・デービッドソン
先発投手 投球 先発投手 投球
F・バルデス T・デービッドソン

第6戦 11月2日

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映像外部リンク
動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿したハイライト映像(英語、9分3秒)
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
アトランタ・ブレーブス 0 0 3 0 3 0 1 0 0 7 7 1
ヒューストン・アストロズ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6 0
  1. 勝利マックス・フリード(1勝1敗)  
  2. 敗戦ルイス・ガルシア(2敗)  
  3. 本塁打
    ATL:ホルヘ・ソレア3号3ラン、ダンズビー・スワンソン2号2ラン、フレディ・フリーマン2号ソロ
  4. 審判
    [球審]マイク・ムフリンスキー
    [塁審]一塁: クリス・コンロイ、二塁: ロン・カルパ、三塁: トム・ハリオン
    [外審]左翼: ダン・ベリーノ、右翼: テッド・バレット
  5. 試合開始時刻: 中部夏時間UTC-5)午後7時10分 試合時間: 3時間22分 観客: 4万2868人 気温: 72°F(22.2°C)
    詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / FanGraphs
両チームの先発ラインナップ
アトランタ・ブレーブス ヒューストン・アストロズ
打順 守備 選手 打席 打順 守備 選手 打席
1 E・ロザリオ 1 J・アルトゥーベ
2 DH J・ソレア 2 M・ブラントリー
3 F・フリーマン 3 C・コレア
4 A・ライリー 4 DH Y・アルバレス
5 A・デュバル 5 Y・グリエル
6 J・ピーダーソン 6 K・タッカー
7 O・アルビーズ 7 A・ブレグマン
8 T・ダーノー 8 J・シリ
9 D・スワンソン 9 M・マルドナード
先発投手 投球 先発投手 投球
M・フリード L・ガルシア

セレモニー

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第2戦開始前の式典でアメリカ合衆国国歌星条旗』を歌う海軍一等兵曹ジアバニー・ウォーカー

試合前のアメリカ合衆国国歌星条旗』独唱と始球式を行った人物は、それぞれ以下の通り。

試合 国歌独唱 始球式
投手役 捕手役
第1戦 キキ・パーマー[41] クレイグ・ビジオ[42] アレドミス・ディアス[42]
第2戦 ジアバニー・ウォーカー
アメリカ海軍一等兵曹)[43]
ジェフ・バグウェル[44] チャズ・マコーミック[44]
第3戦 ザック・ブラウン
ザック・ブラウン・バンド[45]
ジェイダ・ターナー、ウェス・アビラ、
ジャネット・カッツ(実業家)[46]
(不明)
ハンク・アーロンJr.
ハンク・アーロンの息子)[47]
フレディ・フリーマン[47]
第4戦 ジョーダン・フィッシャー[48] エリザベス・オコナー
(ステージIVの膵癌サバイバー)[49]
(不明)
第5戦 ローレン・アライナ[50] グレッグ・マダックス[51] エディ・ペレス[51]
第6戦 カーリー・ピアース[52] メアリー・オーガスティン・ファム
ドミニコ会修道女[53]
チャズ・マコーミック[53]

第3戦の試合前、ふたつの始球式が別個に行われた。そのうち実業家の3人は、いわゆる "スモールビジネス" を立ち上げた人物である。MLBとそのスポンサー企業であるマスターカードは、この年7月のオールスターゲームに合わせてスモールビジネス・コンテストの開催を発表した[54]。このコンテストはジョージア州アトランタマサチューセッツ州ボストンカリフォルニア州ロサンゼルスの3都市で開催され、それぞれの優勝者へ特典として賞金1万ドルやマスターカードからの経営コンサルティング受講権のほか、ワールドシリーズでの始球式権が贈呈された[46]。3人のうち、結果的にはシリーズ開催地となるアトランタでコンテストを制したのはジャネット・カッツである。彼女はエルサルバドル移民で、夫ケンとともにププサなどを供するレストランを営んでいる。夫婦のうちどちらが始球式で投じるかについて、ジャネットは「率直に言うと議決権の51%を握っているのは私なのよ」と冗談めかして話した[55]。ケンはブレーブスのファンとして「投手に怪我人が出たので厳しい戦いになるが、勝ってほしい」とチームを心配していた[54]

第4戦で始球式を務めたエリザベス・オコナーも始球式権を贈呈された人物である。MLBは悪性腫瘍(癌)研究支援の慈善団体 "スタンド・アップ・トゥー・キャンサー"(SU2C)に協賛しており、この年はシリーズ第4戦の始球式権をチャリティオークションにかけた。その結果、オークランド・アスレチックス名誉会長のルー・ウルフ英語版が50万ドルで落札して、SU2Cと共同で始球式の人選を行いオコナーに白羽の矢を立てた[49]。オコナーはブレーブスのファンであり、執刀医ダニエル・ボンホフ英語版が「1年以上生きられるのも6人に1人」というほど進行した膵癌――発見されたのは第2子出産の2週間後だった――を患いながらも、化学療法外科手術で克服した経験を持つ[56]

第6戦の始球式に登場した修道女メアリー・オーガスティン・ファムは、アストロズの地元テキサス州ヒューストンにある無原罪懐胎管区ドミニコ修道女会に所属する。同会は9人の修道女によって1978年に設立された。9人中7人はベトナム戦争末期のサイゴン陥落によってベトナムから逃れてきた修道女であり、同会はベトナム系移民の支援や低中所得世帯向けカトリック保育学校の運営などを行ってきた[57]。これを称えるため、同市内の実業家ジム・マッキンベイル英語版が試合の入場券を自腹で購入し、彼女らを試合へ招待するようになった。マッキンベイルが経営する家具店ギャラリー・ファーニチャーの施設内にも保育学校があり、同会がそこで週1回の子供向け聖書教育を実施しているほか[58]、マッキンベイルも同会へ家具を寄贈していた[59]アメリカンリーグ優勝決定戦の初戦にマッキンベイルが彼女たちを55人ほど招待し、その試合でアストロズが逆転勝ちを収めたことで、彼女たちは "反撃の修道女"(英語: Rally Nuns)と呼ばれるようになった[58]。同シリーズの第6戦でも修道女のうちのひとり、メアリー・キャサリン・ドゥが始球式を行い、そこでカルロス・コレアの決めポーズを真似したことでファンの心をつかんだ[注 7][60]。彼女たちが観戦に訪れたときアストロズは、同シリーズ2試合ではいずれも勝利し[59]、続くワールドシリーズでは第1戦で敗れたあと第2戦では勝利していた[61]。そしてこの第6戦でアストロズは敗れ、4年ぶりの優勝とはならなかったが、マッキンベイルは「彼女たちは彼女たちで楽しんでたし、ファンも彼女たちと楽しい時間を過ごした。とてもいいことだった」と喜んだ[58]

テレビ中継

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アメリカ合衆国

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アメリカ合衆国におけるテレビ中継はFOXが放送した。実況はジョー・バックが、解説はジョン・スモルツが、フィールドリポートはケン・ローゼンタールトム・バードゥッチ英語版が、それぞれ務めた。バックのシリーズ中継出演は通算24回目で、これはかつての解説者ティム・マッカーバーと並ぶ歴代最多タイである[62]。また試合前にはケビン・バークハート英語版進行のコーナーがあり、デビッド・オルティーズアレックス・ロドリゲスフランク・トーマスが出演して試合の見所などを語った。今シリーズ6試合でFOXが得た広告収入は総額2億ドル前後とみられる[63]CM出稿状況について今シリーズを前年と比較すると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行にともなう製品供給網混乱の影響を受けた自動車産業が半減させたのに対し、ソーシャル・ネットワーキング・サービスTikTok暗号通貨取引所のFTXなどが大幅に増やすという傾向がみられた[64]

全6試合の平均視聴率は6.5%で、前年から1.3ポイント上昇した[65]。シリーズを通しての、全米および出場両チームの本拠地都市圏における視聴率等は以下の通り。

全米および出場両チームの本拠地都市圏における視聴率等
試合 日付 放送時間 全米 ジョージア州アトランタ テキサス州ヒューストン
視聴率 占拠率 視聴者数 視聴率 占拠率 視聴率 占拠率
第1戦[66][67] 10月26日(火) 午後08時05分〜00時08分 6.1% 15% 1081万人 26.0% 49% 25.2% 48%
第2戦[68][67] 10月27日(水) 午後08時03分〜11時17分 5.8% 14% 1028万人 23.3% 42% 27.4% 50%
第3戦[69][67] 10月29日(金) 午後08時07分〜11時45分 6.1% 16% 1123万人 26.3% 48% 24.2% 49%
第4戦[70][67] 10月30日(土) 午後08時04分〜11時57分 5.7% 15% 1051万人 26.0% 49% 23.6% 50%
第5戦[70][67] 10月31日(日) 午後08時12分〜00時08分 7.4% 18% 1364万人 31.4% 56% 26.4% 50%
第6戦[71][67] 11月02日(火) 午後08時04分〜11時35分 7.9% 18% 1397万人 33.5% 54% 25.6% 47%
平均[65] 6.5% 16% 1175万人 不明 不明 不明 不明
参考:前年裏番組との比較
今シリーズ 前年からの変動 裏番組の最高視聴率
試合 視聴率 視聴者数 前年視聴率 前年視聴者数 番組 放送局 放送時間 視聴率
変動 変動
第1戦[66] 6.1% 1081万人 5.1% 1.0ポイント上昇 920万人 161万人増加 ザ・ヴォイス NBC 午後08時00分〜09時00分 4.0%
第2戦[68] 5.8% 1028万人 5.0% 0.8ポイント上昇 895万人 133万人増加 シカゴ・ファイア NBC 午後09時00分〜10時00分 4.3%
第3戦[69] 6.1% 1123万人 4.3% 1.8ポイント上昇 816万人 307万人増加 Shark Tank ABC 午後08時00分〜09時01分 2.3%
第4戦[70] 5.7% 1051万人 4.8% 0.9ポイント上昇 933万人 118万人増加 Saturday Night Football[注 8] ABC 午後07時39分〜11時29分 3.7%
第5戦[70] 7.4% 1364万人 5.3% 2.1ポイント上昇 1006万人 358万人増加 サンデーナイトフットボール NBC 午後08時23分〜11時33分 8.7%
第6戦[71] 7.9% 1397万人 6.8% 1.1ポイント上昇 1263万人 134万人増加 FBI: 特別捜査班 CBS 午後08時00分〜09時00分 4.3%
平均[65] 6.5% 1175万人 5.2% 1.3ポイント上昇 979万人 196万人増加 [註]放送時間は東部夏時間中部夏時間は-1時間

第6戦の7回表、フレディ・フリーマンのソロ本塁打でブレーブスが7-0とリードを広げた。試合がこのまま進めばブレーブスの勝利でシリーズが決着し、フリーマンはブレーブスとの契約を満了してFAとなる。この場面でバックは以下のように実況した。

1-1 pitch. Flies into left center field… well hit… back at the wall… it is gone! A home run for Freddie Freeman! How about that!? In what might be his last at-bat for the Atlanta Braves he just made it 7-0 with a shot into left-center field.
カウント1-1からの投球、打球は左中間へ上がりました…打球が伸びる…外野手が下がる…入りました! フレディ・フリーマンのホームラン! なんということでしょうか!? これがブレーブスでの最後の打席になるかもしれない、その場面で左中間へ一発を打ち込んで試合を7-0としました) — ジョー・バック[72]

これに対し、フリーマンの残留を信じるブレーブスのファンから「せっかくの場面が台無し」「ブレーブスがフリーマンを流出させるわけがない」などとTwitter上で批判が相次ぎ、炎上状態となった[73]。ただ、この試合の直後にはフリーマン自身も残留希望を明言していたものの、契約交渉は結局まとまらず、この試合を最後にフリーマンはロサンゼルス・ドジャースへ移籍することとなった[74]。またバックも、残り1年となっていたFOXとの出演契約を破棄してESPNへ移籍したため、ワールドシリーズ実況を行うのは今シリーズが最後となった[75]

日本

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2021年ワールドシリーズ各試合 NHKの実況・解説
試合 中継日
日本時間
実況 スタジオ解説 現地解説
第1戦[76] 10月27日(水) 小野卓哉 長谷川滋利斎藤隆 高橋尚成
第2戦[77] 10月28日(木) 竹林宏 長谷川滋利武田一浩 高橋尚成
第3戦[78] 10月30日(土) 竹林宏 上原浩治小早川毅彦 高橋尚成
第4戦[79] 10月31日(日) 高瀬登志彦 長谷川滋利今中慎二 高橋尚成
第5戦[80] 11月01日(月) 高瀬登志彦 長谷川滋利岡島秀樹 高橋尚成
第6戦[81] 11月03日(水) 高木修平 秋山翔吾新井宏昌 (なし)

日本での生中継の放送は、日本放送協会(NHK)衛星放送チャンネル "BS1" で行われた。この年の放送では、アメリカ合衆国在住の高橋尚成が第6戦を除く5試合で球場から随時リポートしたが、実況アナウンサーと解説者は前年同様に現地へは行かず、現地からの映像をスタジオで観ながら実況・解説を行う形式がとられた。上原浩治は第3戦の中継に解説者として出演した翌日、第4戦を映像観戦しながら、現地にいる高橋を羨むつぶやきをTwitterに投稿した[82]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ ブレーブスの背番号46は、ホワイトハウスを訪問した2022年ライラン・バノンが、シリーズを制した2021年ブライス・ウィルソンが、それぞれ着用していた。
  2. ^ ベイカーは選手としては、1981年シリーズでロサンゼルス・ドジャースの一員として優勝を経験している。
  3. ^ 2020年を除く。この年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い、特別ルールで全試合をDH制ありとした。
  4. ^ 1994年選手会によるストライキが長期化したためシーズンが途中で打ち切られ、地区優勝は決まらなかった。
  5. ^ 1965年のシリーズでは、ドジャースとミネソタ・ツインズが対戦した。キューバ出身選手はドジャースにはひとりもいない一方で、ツインズにはトニー・オリバソイロ・ベルサイエスサンディー・バルデスピーノ、そしてカミロ・パスカルの4人いた。
  6. ^ 1959年のシリーズでは、ドジャースとシカゴ・ホワイトソックスが対戦した。ユダヤ系アメリカ人選手は、ドジャースにはサンディー・コーファックスラリー・シェリーの2人が、ホワイトソックスにはバリー・ラットマンが所属していた。ただしラットマンはシリーズで出場機会を得られなかった。
  7. ^ カルロス・コレアは、本塁打を放ったときなどに右手で左手首を指し示し、腕時計を着用しているように見せる決めポーズをしていた。このポーズは "It's my time"(「俺の番」)と呼ばれている。
  8. ^ カレッジフットボール中継番組。この日はペンステート・ニタニーライオンズペンシルベニア州立大学)対オハイオステート・バックアイズオハイオ州立大学)戦を放送した。AP通信記者投票ランキングでは、全米大学体育協会(NCAA)ディビジョンIフットボール・ボウル・サブディビジョン全130校中オハイオステートが5位、ペンステートが20位だった。

出典

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  1. ^ "Umpires for the 2021 World Series announced / Tom Hallion to Serve as Primary Crew Chief of the 117th Fall Classic," MLB.com, October 26, 2021. 2021年10月27日閲覧。
  2. ^ a b "Full share on World Series champion Braves worth $397,391," Associated Press News, December 11, 2021. 2021年12月12日閲覧。
  3. ^ Ronald Blum, "Braves throw 2-hitter, blank Astros 2-0 for 2-1 Series lead," Associated Press News, October 30, 2021. 2021年11月3日閲覧。
  4. ^ Sarah Langs, "He's back! 7 incredible facts on Dusty in WS," MLB.com, October 26, 2021. 2021年11月3日閲覧。
  5. ^ a b Stephen Hawkins, "World Series notebook: McCullers out; top 2 picks of 2015 in," Associated Press News, October 26, 2021. 2021年11月3日閲覧。
  6. ^ Kevin Skiver, "MLB universal DH rule, explained: Why National League pitchers won't be hitting in 2022," Sporting News, April 7, 2022. 2022年10月4日閲覧。
  7. ^ Chandler Rome, Staff writer, "Astros' Kendall Graveman may have taken the final at-bat by a traditional MLB pitcher," Houston Chronicle, November 2, 2021. 2022年10月4日閲覧。
  8. ^ a b Mike Axisa, "Astros clinch fourth AL West title in past five years and will play White Sox in the ALDS," CBSSports.com, September 30, 2021. 2022年8月20日閲覧。
  9. ^ Kristie Rieken, "Baker settles in with Astros in second season in Houston," AP News, July 16, 2021. 2022年8月20日閲覧。
  10. ^ 出野哲也 「30球団通信簿 全選手最終成績+GM通信簿 ヒューストン・アストロズ 正々堂々の戦いでブーイングを跳ね返し地区V奪回」 『隔月刊スラッガー』2021年12月号増刊、日本スポーツ企画出版社、2021年、雑誌15510-12、68頁。
  11. ^ Chandler Rome, Staff writer, "Carlos Correa knows playoffs might be his last Astros hurrah," Houston Chronicle, October 1, 2021. 2022年8月20日閲覧。
  12. ^ Brian McTaggart, "'We came out hungry': Astros romp to ALCS / Correa, Bregman, Altuve get the big hits to set up date with the Red Sox," MLB.com, October 15, 2021. 2022年8月20日閲覧。
  13. ^ Brian McTaggart, "Astros reach 3rd World Series in 5 seasons," MLB.com, October 26, 2021. 2022年8月20日閲覧。
  14. ^ Gabriel Burns, The Atlanta Journal-Constitution, "July could make or break Braves' season," AJC.com, July 16, 2021. 2022年8月20日閲覧。
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  16. ^ Mike Puma, "Big Mets changes coming as season ends with brutal loss," New York Post, October 3, 2021. 2022年8月20日閲覧。
  17. ^ 城ノ井道人 「30球団通信簿 全選手最終成績+GM通信簿 アトランタ・ブレーブス 総力を結集して逆境を克服し、逆転で地区4連覇」 『隔月刊スラッガー』2021年12月号増刊、日本スポーツ企画出版社、2021年、雑誌15510-12、73頁。
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  25. ^ a b Andrew Simon, "Top Astros-Braves playoff moments," MLB.com, October 24, 2021. 2021年11月20日閲覧。
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  27. ^ Chandler Rome, Staff writer, "Astros set World Series roster: Jake Meyers off, Marwin Gonzalez on," Houston Chronicle, October 26, 2021. 2021年11月14日閲覧。
  28. ^ Mike Axisa, "Astros vs. Braves: Marwin Gonzalez, Terrance Gore, Kyle Wright added to World Series rosters," CBSSports.com, October 26, 2021. 2021年11月14日閲覧。
  29. ^ Gabriel Burns, The Atlanta Journal-Constitution, "Braves switch up roster for World Series," The Atlanta Journal-Constitution, October 26, 2021. 2021年11月14日閲覧。
  30. ^ Raime Cohen, "Jones County hero Terrance Gore lives dream of joining Atlanta Braves in World Series," 13wmaz.com, October 29, 2021. 2021年11月14日閲覧。
  31. ^ Mark Bowman, "With Wright & Gore in, Braves set WS roster," MLB.com, October 27, 2021. 2021年11月14日閲覧。
  32. ^ Brian McTaggart, "Bregman, Swanson forever linked by Draft / Top two picks from 2015 face off in World Series," MLB.com, October 26, 2021. 2021年10月27日閲覧。
  33. ^ Aliet Arzola, "TODOS LOS PELOTEROS: Se actualizó listado cubano en Series Mundiales," SwingCompleto, 26 de octubre de 2021. 2021年11月14日閲覧。
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外部リンク

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