敗戦投手

敗戦投手(はいせんとうしゅ、英語: Losing pitcher)は、野球試合において敗戦チームの責任投手を指す[1]負け投手(まけとうしゅ)[2]敗投手[3]ともいう。

敗戦投手になるケース

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自らに記録された失点によって相手チームにリードを許し、その後同点あるいは逆転することなくチームが敗戦した場合、その投手が敗戦投手となる[4]。失点が記録される投手は、基本的には得点した走者が出塁した時に登板中の投手である。これはイニングの途中に投手交代があった場合も同じであり、後任投手の登板中に前任投手の残した走者が得点しても、前任投手に失点が記録される。

なお、没収試合によって勝敗が逆転した場合は、敗戦投手の記録は取り消しとなる。また、加害チームがリードした状況で没収試合の場合は、記録されない。

日本プロ野球

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通算記録

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順位 選手名 敗戦
1 金田正一 298
2 米田哲也 285
3 梶本隆夫 255
4 東尾修 247
5 鈴木啓示 238
6 小山正明 232
7 長谷川良平 208
8 平松政次 196
9 松岡弘 190
10 石川雅規 189
順位 選手名 敗戦
11 坂井勝二 186
12 石井茂雄 185
13 三浦大輔 184
14 別所毅彦 178
15 村田兆治 177
16 V.スタルヒン 176
17 秋山登 171
18 山田久志 166
19 山本昌 165
20 涌井秀章 161
  • 記録は2024年シーズン終了時点[5]

シーズン記録

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順位 選手名 所属球団 敗戦 記録年
1 中山正嘉 名古屋金鯱軍 29 1940年
2 福士勇 朝日軍 28 1941年
3 亀田忠 イーグルス 27 1939年
望月潤一
菊矢吉男 ライオン軍 1940年
長谷川良平 広島カープ 1950年
小林恒夫 松竹ロビンス 1952年
秋山登 大洋ホエールズ 1957年
9 石原繁三 大和軍 26 1942年
真田重蔵 パシフィック 1946年
井上佳明 国鉄スワローズ 1953年
記録は2024年シーズン終了時点[6]
2リーグ制後
順位 選手名 所属球団 敗戦 記録年 備考
1 長谷川良平 広島カープ 27 1950年 セ・リーグ記録
小林恒夫 松竹ロビンス 1952年
秋山登 大洋ホエールズ 1957年
4 井上佳明 国鉄スワローズ 26 1953年
5 金田正一 国鉄スワローズ 25 1952年
秋山登 大洋ホエールズ 1956年
東尾修 西鉄ライオンズ 1972年 パ・リーグ記録
8 天保義夫 阪急ブレーブス 24 1950年
長谷川良平 広島カープ 1952年
米田哲也 阪急ブレーブス 1959年
徳久利明 近鉄バファローズ 1961年
記録は2024年シーズン終了時点[7]

シーズン最多敗戦

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  • 最多記録 5度 東尾修(1971・1972・1975・1977・1984)
  • 連続記録 4年 秋山登(1956・1957・1958・1959)

1球敗戦投手

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選手名 所属球団 記録日 対戦相手 備考
川崎徳次 巨人 1948年5月29日 中日 日本プロ野球史上初
サヨナラ本塁打
片山博 広島 1954年6月12日 国鉄 セ・リーグ初
長光告直 南海 1958年6月4日 近鉄 パ・リーグ初
サヨナラ本塁打
大羽進 広島 1962年5月2日 巨人
村上雅則 南海 1974年4月13日 阪急
佐藤政夫 中日 1977年9月3日 大洋
星野仙一 中日 1978年9月19日 ヤクルト サヨナラ本塁打
永射保 西武 1982年10月3日 南海
森浩二 阪急 1984年6月30日 ロッテ
渡辺久信 西武 1985年6月6日 日本ハム サヨナラ本塁打
森浩二 オリックス 1989年7月22日 ダイエー 通算2度目
今野隆裕 ロッテ 1989年9月20日 オリックス
落合英二 中日 1995年4月27日 阪神 サヨナラ本塁打
1球勝利、1球セーブ、1球ホールドも記録
柴田佳主也 近鉄 1997年5月14日 ダイエー プロ初黒星
河野博文 巨人 1999年8月5日 ヤクルト
礒恒之 ロッテ 1999年9月15日 西武 サヨナラ本塁打
梅津智弘 広島 2005年6月29日 阪神 プロ初黒星
林昌樹 広島 2006年6月24日 横浜 1球勝利も記録
野口茂樹 巨人 2007年8月11日 中日
根本朋久 ロッテ 2008年5月20日 巨人 プロ初黒星、交流戦
吉野誠 オリックス 2008年7月29日 西武
清水章夫 オリックス 2008年8月28日 ソフトバンク 1球勝利も記録
川岸強 楽天 2010年7月30日 オリックス
柳瀬明宏 ソフトバンク 2012年9月5日 西武 サヨナラ本塁打
藤江均 DeNA 2012年10月7日 巨人 サヨナラ本塁打
加藤康介 阪神 2013年7月16日 巨人
菊地和正 DeNA 2014年4月4日 広島 サヨナラ本塁打
平内龍太 巨人 2024年8月18日 DeNA サヨナラ本塁打

メジャーリーグベースボール

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通算記録

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  • 記録は2024年シーズン終了時点[8]

シーズン記録

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順位 選手名 所属球団 敗戦 記録年
1 ジョン・コールマン フィラデルフィア・クエーカーズ 48 1883年
2 ウィル・ホワイト シンシナティ・レッズ 42 1880年
3 ラリー・マッキオン インディアナポリス・フージャーズ 41 1884年
4 ジム・マコーミック クリーブランド・ブルース 40 1879年
ジョージ・ブラッドリー トロイ・トロージャンズ
6 ヘンリー・ポーター カンザスシティ・カウボーイズ 37 1888年
キッド・カーシー ワシントン・ステイツメン 1891年
ジョージ・カッブ ボルチモア・オリオールズ 1892年
9 ジョージ・ウェイドマン カンザスシティ・カウボーイズ 36 1886年
ビル・ハッチソン シカゴ・コルツ 1892年
記録は2024年シーズン終了時点[9]
20世紀以降
順位 選手名 所属球団 敗戦 記録年
1 ビック・ウィリス ボストン・ビーンイーターズ 29 1905年
2 ダミー・テイラー英語版 ニューヨーク・ジャイアンツ 27 1901年
ジョージ・ベル英語版 ブルックリン・スーパーバス 1910年
ポール・デリンジャー英語版 カージナルスレッズ 1933年
5 ハッピー・タウンゼント英語版 ワシントン・セネタース 26 1904年
ガス・ドーナー英語版 レッズ→ビーンイーターズ 1906年
ボブ・グルーム英語版 ワシントン・セネタース 1909年
8 ピート・ダウリング ブルワーズブルース 25 1901年
パッシー・フラハティ シカゴ・ホワイトソックス 1903年
ビック・ウィリス ボストン・ビーンイーターズ 1904年
オスカー・ジョーンズ ブルックリン・スーパーバス
ハリー・マッキンタイア 1905年
フレッド・グレイド セントルイス・ブラウンズ
アーヴ・ヤング ボストン・ビーンイーターズ 1906年
ストーニー・マクグリン セントルイス・カージナルス 1907年
バグズ・レイモンド 1908年
ウォルター・ジョンソン ワシントン・セネタース 1909年
スコット・ペリー フィラデルフィア・アスレチックス 1920年
レッド・ラフィング ボストン・レッドソックス 1928年
ベン・キャントウェル ボストン・ブレーブス 1935年
記録は2024年シーズン終了時点[9]
ライブボール時代以降
順位 選手名 所属球団 敗戦 記録年 備考
1 ポール・デリンジャー カージナルスレッズ 27 1933年 ナ・リーグ記録[10]
2 スコット・ペリー フィラデルフィア・アスレチックス 25 1920年 ア・リーグ記録[11]
レッド・ラフィング ボストン・レッドソックス 1928年
ベン・キャントウェル ボストン・ブレーブス 1935年
5 パット・キャラウェイ シカゴ・ホワイトソックス 24 1931年 左投手記録[12]
サム・グレイ セントルイス・ブラウンズ
ロジャー・クレイグ ニューヨーク・メッツ 1962年
ジャック・フィッシャー 1965年
9 ロリー・ネイラー フィラデルフィア・アスレチックス 23 1920年
エディ・ロンメル 1921年
ドルフ・ルケ シンシナティ・レッズ 1922年
記録は2024年シーズン終了時点[9]

脚注

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  1. ^ 敗戦投手」『精選版 日本国語大辞典』https://kotobank.jp/word/%E6%95%97%E6%88%A6%E6%8A%95%E6%89%8Bコトバンクより2023年1月26日閲覧 
  2. ^ 負け投手」『デジタル大辞泉』https://kotobank.jp/word/%E8%B2%A0%E3%81%91%E6%8A%95%E6%89%8Bコトバンクより2023年1月26日閲覧 
  3. ^ 一般社団法人日本野球機構. “2024年4月20日 【公式戦】 試合結果 (阪神vs中日)”. npb.jp. 2024年12月13日閲覧。
  4. ^ 2013年公認野球規則10.17『勝投手、敗投手の決定』の(d)項。
  5. ^ NPB 通算記録 - NPB.jp 日本野球機構
  6. ^ NPB シーズン記録 - NPB.jp 日本野球機構
  7. ^ https://npb.jp/bis/history/ssp_l.html
  8. ^ 通算記録 (MLB) (Baseball-Reference.com)
  9. ^ a b c https://www.baseball-reference.com/leaders/L_season.shtml
  10. ^ 20世紀以降では上記のビック・ウィリス、19世紀を含めると上記のジョン・コールマン
  11. ^ 20世紀以降では上記のハッピー・タウンゼント、ボブ・グルーム
  12. ^ 20世紀以降では上記のピート・ダウリング、パッシー・フラハティ、アーヴ・ヤング。19世紀を含めると上記のジョージ・カッブ

関連項目

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