レクサス・HS

レクサス・HS
ANF10型
HS250h(2013年1月マイナーチェンジ型)
フロント
HS250h(2013年1月マイナーチェンジ型)
リア
HS250h(2013年1月マイナーチェンジ型)
インテリア
概要
販売期間 2009年7月14日 - 2018年3月
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 4ドアセダン
エンジン位置 フロント
駆動方式 前輪駆動
パワートレイン
エンジン 2AZ-FXE型:
2,362cc 直列4気筒DOHC
モーター 2JM型:交流同期電動機
最高出力 エンジン:
110kW (150PS)/6,000rpm
モーター:
105kW (143PS)
システム最高出力:
140kW (190PS)
最大トルク エンジン:
187N・m (19.1kgf・m)/
4,400rpm
モーター:
270N・m (27.5kgf・m)
変速機 電気式無段変速機
サスペンション
マクファーソンストラット式
ダブルウィッシュボーン式
車両寸法
ホイールベース 2,700 mm
全長 4,700mm
2009年7月-2013年1月
4,710mm
2013年1月-2018年3月
全幅 1,785mm
全高 1,505mm
2009年7月-2013年1月
1,495mm
2013年1月-2017年8月
車両重量 1,640-1,660kg
その他
ブレーキ 前:ベンチレーテッドディスク
後:ディスク
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HS(エイチエス、Lexus HS)は、トヨタ自動車が展開する高級車ブランド「レクサス」が販売していた4ドアセダントヨタ・アベンシスをベースにしており、レクサス初のハイブリッド専用車である。

概要

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2009年(平成21年)に登場。レクサスとしてはSUVの「GX[注釈 1]以来の新車種であり、また同ブランドでは初となるハイブリッド専用車種である[注釈 2]。また日本で販売されるレクサス車としては初のFF方式の4ドアセダンとなる[注釈 3]

海外ではアメリカのみで販売されていたが、販売不振により2012年1月をもってハワイ以外での販売は終了した。その後円高による輸出採算の悪化や、2011年にはより安価な「CT」の登場により販売不振が加速する結果となり、ハワイでの販売も2012年12月で終了したため、それ以後は完全な日本市場専用車種となった。

同じハイブリッドカーであるプリウスが2代目以降に採用したハッチバックの「トライアングルシルエット」ではなく、コンサバティブなノッチバックスタイルのセダンスタイルをとる。

ボディサイズは、DセグメントFRセダンである「IS」に近い大きさ[注釈 4]で、日本の大都市圏での取回しなどにも配慮したという。プラットフォームは、3代目プリウスアベンシスオーリスなどにも用いられている新MCプラットフォームを採用。リアサスペンションにはダブルウィッシュボーン式を採用した。

パワートレーンは、プリウスなどにも搭載される「リダクション機能付THS-II」を踏襲しており、143PS(105kW)・27.5kgf・m(270Nm)を発生する2JM型電気モーターバッテリーも共通である。ガソリンエンジンはプリウスの1.8L(2ZR-FXE)から、2.4L(2AZ-FXE)へと変更され、パワフルで静粛性の高い走りと同時に、コンパクトカーの「ヴィッツ」をも凌ぐ23.0km/L(10・15モード[注釈 5]という低燃費を実現した。また、日本のレクサス車としては初の直列4気筒エンジン搭載車、かつレギュラーガソリン対応車となった。

エクステリアデザインは、レクサス共通のデザインテーマ「L-finesse」に基づき、空力性能(Cd値=0.27)を実現。のち2013年に、フロントマスクはIS Fからレクサスのテーマデザインとして採用されたスピンドルグリル(糸巻き台形のグリル)に変化。またLS600hRX450hに続き、LEDヘッドライトを採用した。

インテリアデザインは、視認性と操作性を両立するために、計器類やカーナビゲーションのディスプレイはダッシュボード付近に集中して設置されている。そのため、操作デバイスには「リモートタッチ」が採用され、マウスのように手元で操作することができる。インテリアの一部にはエコプラスチック[注釈 6]を採用するなどエコロジーに配慮されている。

年表

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プリウスをはじめとしたハイブリッドカーブームによりHSにも注文が殺到し、同年9月8日にはトヨタ自動車が「9月8日以降注文の納期が2010年4月中旬以降の工場出荷になり、エコカー補助金期間には間に合わない」とプリウス同様、異例の発表を行っている[1]
同時に、特別仕様車「Harmonious Leather Interior」を発売。ベースのHS250hに本革シート(ブラック+キャメルイエローアクセント、またはアイボリー+サドルタンアクセント)などの特別装備と、専用色としてスターライトブラックガラスフレークを設定。
  • 2012年(平成24年)5月17日 - アメリカの自動車メディア「Inside Line」が、同日付の記事でHSの北米向けの販売終了を報じた。
Inside Lineの問い合わせに対してトヨタは「HS250hの生産は2012年1月で終了した」と回答している。また、同年にモデルチェンジされた「ES(6代目モデル)」にハイブリッド仕様のES300hが設定されるが、同車については「HS250hを置き換えるものではない」としている。なお、アメリカにおけるHSの販売は不振を極めており、2011年の販売は前年の10,663台から73%減少し、わずか2,864台に留まっていた[2]
  • 2013年(平成25年)
    • 1月24日 - マイナーチェンジを実施[3][4]
      エクステリアは、レクサスの新たな共通デザイン「スピンドルグリル」やL字型のLEDフォグランプを採用、車高を10mm低下させることによって低重心化。後期車は日本国内専用車となったため、アメリカ合衆国の法規で求められるオレンジサイドリフレクターは廃止、ホワイトリフレクターとなった。
      インテリアは「version L」・「version I」において、インテリアカラーに「エクリュ」、「ブラック&ガーネット」などを新採用し、オーナメントパネルに環境負荷を抑制する「天然素材バンブー」や「縞杢(しまもく)」を設定。装備面ではフロントドアに紫外線を99%カットし、赤外線を遮断する「撥水機能付スーパーUV・IRカットガラス」を採用したほか、イオン発生数を従来比20倍に高めたプラズマクラスター(高濃度タイプ)エアコンを標準仕様を除く全タイプに搭載。センターコンソールのUSB/AUX入力端子脇にスマートフォン用の小物入れを追加。
      ハイブリッドユニットについては、2011年に発売されたトヨタ「カムリ」に新採用された燃費性能のより高い2AR-FXE型エンジンの搭載は見送られ、前期型からのキャリーオーバーとなったが、システムの制御の見直しや充電効率の改良により燃費を向上させている(JC08モード燃費で20.6km/L)。
      走行面では吸・遮音材の追加や材質変更により静粛性を高め、スポット溶接打点の追加によりボディ剛性を強化。車体の前後に微振動や撓みを吸収する「パフォーマンスダンパー」を追加し操舵性や走行安定性と乗り心地を改善。ドライブモードセレクトに「SPORT MODE」を追加し加速性能と電動パワーステアリングの特性を改善した。環境性能では植物由来のエコプラスチックの採用範囲をルーフトリムやピラーガーニッシュの内装表皮などに拡大。
    • 6月5日 - 平成21年6月から10月までの製造車で、電子制御ブレーキシステムにおいて、アキュームレータ(蓄圧器)の強度検討が不足しており制動力が低下する恐れがある為、トヨタ・プリウス ZVW30同様にリコール対象となった[5]
  • 2014年(平成26年)
    • 5月15日 - 一部改良。災害時などに非常用電源として利用できるアクセサリーコンセント(AC100V・1500W/センターコンソール後部・ラゲージルーム内)をメーカーオプション設定に追加。
      同時に特別仕様車「Harmonious Leather Interior II」を発表。今回はベース車が「version C」となり、バイオレットの専用シートステッチを配した専用本革シート表皮(バイオレットパーフォレーション)、バーズアイメイプルとホワイトゴールドの専用本木目と本革を組み合わせたステアリング(本革パッド・ステッチ・ステアリングスイッチ付)、アッシュバールとホワイトゴールドの専用本木目のドアトリムスイッチベース+コンソールオーナメントパネル、ピアノブラック塗装のナビゲーション画面フレームとセンターレジスターを装備し、ブラックを基調にメローホワイトを配した専用インテリアを採用した。
      ボディカラーは前回同様、特別色の「スターライトブラックガラスフレーク」が設定されるが、カラーバリエーションが前回の7色から4色増えて11色となった(一部改良並びに特別仕様車の発売は6月16日)[6]
    • 9月18日 - 特別仕様車「Harmonious Leather Interior II」を一部改良(11月3日販売開始)[7]
      専用インテリアカラーにおいて、既存の「ブラック&メローホワイト」に加え、ツートーンのレッド系である「レッドスピネル」を追加設定。「レッドスピネル」設定時は専用本革シート表皮がインテリアカラー同色となるほか、専用カラーメーターフードにダークガーネット、専用シートステッチにエクリュをそれぞれ採用した。ボディカラーは入れ替えを行い、新たに色を表現する塗装膜を意匠と機能の2層構造し、意匠面を乾燥させて体積収縮することで光輝材(マイカ粒子)並びをきめ細かく整え、滑らかな質感と強い反射による陰影感を実現した独自の塗装技術「ソニック技術」を用いた「ソニッククォーツ」と「ソニックチタニウム」を追加した。
  • 2015年(平成27年)8月27日 - 一部改良[8]
    ボディカラーに「ディープブルーマイカ」と「アンバークリスタルシャイン」を追加して10色展開にするとともに、全色に洗車などによる小さなすり傷を自己修復するクリア塗装「セルフリストアリングコート」を採用。また、約99%カットできる紫外線の波長の上限を380nmから400nmに変更した撥水機能付スーパーUV400・IRカットガラス(遮音タイプ/フロントドア)を採用。サスペンションはチューニングやステアリングギア比の変更を行うことで操舵時の車両応答性を高め、すぐれた操舵安定性を実現。ナビゲーションではmicroSDカードを採用することで情報更新のスピーディ化やパソコン・オーディオ機器で保存した音楽データの再生が可能な上、G-Linkの新機能である「エージェント」や「LEXUS Apps(レクサス アップス)」を搭載したSDナビゲーションシステムを全車に標準装備。その他、ドアミラーの形状を変更し、ライセンスランプに白色LEDを採用した。
  • 2016年(平成28年)
    • 8月25日 - 一部改良[9]
      ボディカラーの入れ替えを行い、新たに「グラファイトブラックガラスフレーク」を追加。また、クリアランスソナーとワイドビューフロントモニターを標準設定し、G-Linkのサービスである「LEXUS Apps」や「マップオンデマンド」などで高速データ通信を可能にするLTE通信に対応。標準仕様はシート表皮をファブリックとL texのコンビシートに変更した。
    • 12月15日 - 特別仕様車「Harmonious Style Edition」を発表(2017年1月16日販売開始)[10]
      標準仕様をベースに、外観はフロントグリルにシルバーメッキ塗装を、リアガーニッシュにメッキをそれぞれ施し、内装は専用仕様のファブリック/L texシートを採用。内装色はブルーステッチを施したブラック&ブルーとアイボリーステッチを施したアイボリー&ベージュの2種類を用意。ボディカラーは5色が用意されるが、このうち3色は内装色の選択が可能、2色はどちらか一方の内装色のみの設定となる。装備面では、ミリ波レーダー方式のプリクラッシュセーフティ、ブレーキ制御付レーダークルーズコントロール、レインクリアリング機能・サイドターンランプ・ヒーターを備えたオート電動格納式ドアミラーを特別装備した。
  • 2017年(平成29年)12月11日 - ホームページにて販売終了の告知がなされた。
  • 2018年(平成30年)3月9日 - ホームページへの掲載を終了。販売も終了した。

姉妹車種

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後にトヨタブランドから発売された「SAI」は、HSの姉妹車にあたり、プラットフォームは勿論のこと、ハイブリッドシステムや車体の基本骨格、フロントドアなどの部材に至るまで多くが共通設計であった。SAIは日本国内専売車種として車体サイズが僅かに縮小されているほか、吸音材の違いにより車重も軽く、静粛性の差異や内外装の製造基準など、全般にはLEXUS車たる「HS250h」の方が高品質であった。

ただSAIはトヨタブランドでありながら、LEXUS車と同一の製造ライン(トヨタ自動車九州宮田工場)で生産され、他のトヨタ車と比較しても、眼に見えない処にコストをかけた、付加価値の高い商品に仕上がっており、クラウンに比肩する静粛性と、それに準じた内装、装備品を備えていた。

このため、価格の近接していたHSのエントリーモデルとSAIの最上級車種(G-Aパッケージ)とでは、価格の相違、装備品の充実度などから選択肢としての議論があった。もっとも、SAIにしても車輌サイズ(見栄え)と価格帯が万人受けすることがなかったため、販売面では苦戦を強いられ、HSよりも早々に販売を終了することとなった。最終的にはかつてのプログレブレビスでもそうであったように、日本国内における「小さな高級車」の難しさを証明するかのような結果となった。

車名の由来

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  • 車名「HS」は「Harmonious Sedan」の略で、「地球・人・上質」との調和(ハーモニー)を目指して開発されたことに由来。

脚注

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注釈

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  1. ^ 2002年登場。日本未発売。
  2. ^ トヨタ自動車全体で見ると「プリウス」に次いで2車種目。
  3. ^ HSの投入時点において、日本国外ではFF方式の4ドアセダンとして「ES」が既に存在した。
  4. ^ HSは、ISと比較して全高が70mmほど高く、全幅はほぼ同じで全長が若干長い。
  5. ^ JC08モードでは19.8km/L。
  6. ^ 部位により植物由来、植物+石油由来を使い分ける。

出典

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  1. ^ 新型HS250hの納期目処のご案内
  2. ^ Paul Lienert (2012年5月17日). “Lexus Quietly Kills HS 250h Hybrid”. Inside Line. 2012年5月17日閲覧。
  3. ^ 2012年11月に一部メディアが報じた情報によれば、発売後約3年が経過していることから、2013年初頭に大幅な改良が予告されていた
    レクサス HS、大幅改良か…スピンドルグリルで表情一新GAZOO 2012年11月24日
  4. ^ LEXUS、HS250hをマイナーチェンジ LEXUS プレスリリース
  5. ^ HS250hのリコール - トヨタ自動車 2013年6月5日
  6. ^ LEXUS、HS250hに特別仕様車を設定』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2014年5月15日https://global.toyota/jp/detail/25873222014年5月15日閲覧 
  7. ^ LEXUS、HS250h特別仕様車に、新内装色を設定』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2014年9月18日https://global.toyota/jp/detail/39618012014年9月18日閲覧 
  8. ^ LEXUS、HS250hを一部改良』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2015年8月27日https://global.toyota/en/detail/92179822015年8月27日閲覧 
  9. ^ LEXUS、CTに特別仕様車“Cool Touring Style”を設定 -同時に、HS、RC、RC F、NX、LSを一部改良-』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2016年8月25日https://global.toyota/jp/detail/131655232016年8月25日閲覧 
  10. ^ LEXUS、HSに特別仕様車“Harmonious Style Edition”を設定』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2016年12月15日https://global.toyota/jp/detail/143111052016年12月15日閲覧 

関連項目

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外部リンク

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