ヴァースキ

マンダラ山を回転させるための綱となったヴァースキ。

ヴァースキ (वासुकि Vāsuki) は、インド神話に登場するナーガラージャ婆素鶏(ばすけい)とも漢語に音訳される[1]

地下世界パーターラの支配者で、ボーガヴァティーを都とする。長大な胴体を持ち、猛毒を有する。蛇王シェーシャ (Śeṣa) と同一視されるようになった。また、仏教に取り入れられて八大竜王の1つとなり、漢語化されて和修吉(わしゅきつ)となった[1]。そして、日本に伝来して九頭龍大神となった[1]

概説

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神話では、その長大な体がしばしば重要な役目を担っている。

乳海攪拌のときは、マンダラ山英語版を回転させる綱の役割を果たした。しかし、あまりの苦しさに猛毒ハーラーハラを吐き出してしまい、危うく世界を滅ぼしかけた。シヴァ神はその毒を飲み込んで世界を救ったが、猛毒がシヴァ神の喉を焼いたため、首から上が青黒くなった。シヴァ神の別名ニーラカンタ(青い喉、Nīlakaṇtha)は、これに由来するという。

また、大洪水のときには、人類の祖マヌの乗る方舟が大波に流されないよう、マツヤの角と方舟の舳先を結ぶ綱を担った。

脚注

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  1. ^ a b c 八大龍王”. 滝本仏光堂. 2024年10月20日閲覧。

参考文献

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関連項目

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