単位
意義
[編集]「単位」は本来仏教用語で、禅宗寺院で修行僧1人ごとに与えられる畳一枚分のスペースを「単」もしくは「単位」と呼ぶ。ここから、一区切りを「単位」と言うようになった。
人類の歴史における量の観念は数の観念と並行して発達してきた[1]。計量には客観的な基準がなければ困難であり、計量の基準には時間的普遍性、空間的不変性、再現性がなければならない[1]。
同じ種類の量を表すのにも、社会や国により、また歴史的にも異なる多数の単位がある。
科学技術
[編集]科学技術に関する文書中では、「単位」は計量単位を意味することが多い。
国際単位系では計量単位の定義と単位記号の書き方は国際的に決められており、数値の後にスペース(通常は半角スペース(thin space))を空け、単位記号を書く。例えば、1.50 kgと書く。
計算において、単位記号は文字式の文字のように扱えるため、基本的には単位記号も一緒に計算する。例として、100 g+300 g=400 gや、100 m÷25 s=4.0 m/sのように単位記号を書きながら計算することで、計算ミスを減らすことができる。
一般
[編集]- 数学においては「単位」は数の「1」を意味することがあるが、数学以外では「1」に限られたものではなく、状況により様々な数値を取るため注意が必要である。例:単位時間とは、議論の基準となる時間の長さを指す。
- 離散量を表すときの「人」「個」「冊」などは助数詞であり、正式には単位とは見なされていないが、単位に準ずるものとして扱うことはできる[2]。12をひとかたまりとするダースや12ダースをひとかたまりとするグロスは個数という量の単位と見なせる。
数学
[編集]単位(identity)
[編集]数学において、単位とは、「恒等の作用をするもの」(英: identity)を意味する。積では、数の1がこれに当たる。
- 単位元は環や半群において、積に関して恒等的な作用をもつ元のことである。(単位元の存在を構造としてみるとき、単位的環、単位的半群などとも言う。)
- 単位行列は、行列積における単位元を指す。対角成分が1でそのほかが全て0の正方行列となる。
単位(unit)
[編集]また、数学において、単位は数の「1」を意味し(英: unit)、またそれを想起させるさまざまな意味で用いられることもある。
- 単位ベクトルは長さ1のベクトルのことである。
- 単位円は原点を中心とした半径1の円のことである。
- 単位球は原点を中心とした半径1の球のことである。
- 単位区間は0と1を端点とする長さ1の区間のことである。
- 行列単位はただ一つの成分のみが1でそのほかが全て0の行列のことである。
- 虚数単位はその平方が-1となる絶対値1の複素数 i のことである。
医学・薬理学
[編集]- 医薬品等の中には投薬量を「単位」という語で表す物があり、ペニシリンやインスリンなどの薬が一定の効き目を示す量を1単位としている。一部品目については「国際単位(IU)」として世界保健機関が規定している(物理単位を規定する「国際単位系」とは別物)。
- 医学用語ではないが、アルコール乱用の目安飲酒量に「単位(Standard drink)」という単位名が使われることがある。
- 生存率の単位記号は「%」だけでなく何年後の生存率かを明記する必要がある。例: 5年生存率であれば単位記号「%/5年」と表記される。
通貨
[編集]→詳細は「通貨単位」を参照
→「通貨の一覧」も参照
→「現行通貨の一覧」も参照
学校制度
[編集]学校制度における単位(en:Course credit)とは、学校における「科目ごとの学習量」[3]のことである。学校の進学や卒業に必要となる履修すべき学習量を科目毎に表した量である。
→詳細は「単位 (学校)」を参照
→「学年制と単位制」も参照