商工会

商工会(しょうこうかい)

  1. 明治時代初期の日本において、現在の商工会議所に対して用いられた呼称。商法会議所を参照のこと。
  2. 第二次世界大戦後に設立された日本の特別認可法人。
  3. 静岡商工会 - 2とは異なる静岡県静岡市の小規模業者団体。

本項では2について解説する。


商工会(しょうこうかい)は、商工会法(昭和35年法律第89号)に基づき経済産業大臣の認可を受けて設立された特別認可法人。全国には1673ヶ所(平成26年4月1日現在)に設立されている。

地域内商工業者の経営の改善に関する相談とその指導、地域内経済振興をはかるための諸活動及び社会一般の福祉の増進に資することを目的として、幅広い活動を行っている。商工会の運営をささえ、事業活動の推進力となるのは、会員である。会員は、自分の事業を発展させるために、商工会を十分に活用することが出来る。

商工会が他の商工業者の組織と異なる点は、商工会は運営にあたって、法律で定めてある以下の3つの原則に基づいて、公正な立場で事業を行わなくてはならない点である。

商工会の基本原則

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  • 営利を目的としない
  • 特定の個人や団体の利益のために活動しない
  • 特定の政党のために活動しない

商工会と商工会議所

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区分 商工会議所 商工会
根拠となる法律 商工会議所法 商工会法
管轄する官庁 経済産業省経済産業政策局 経済産業省中小企業庁
主たる地区[1] および特別区の区域(例外あり) 町村の区域(例外あり)
組織構成 日本商工会議所(全国組織)
商工会議所連合会(都道府県)
商工会議所(市、特別区)
全国商工会連合会(全国組織)
商工会連合会(都道府県)
商工会(町村)
会員の規模 地区内の小規模事業者が中心であるが、商工会と比較すると中堅・大企業の割合が高い 地区内の小規模事業者が中心で、9割を超える会員が小規模事業者
事業 地域の総合経済団体として中小企業支援事業の他、原産地証明、商事紛争の仲裁等国際的業務 中小企業施策、特に小規模事業施策に重点を置いており、事業の中心は経営改善普及事業
組織の意思決定 選挙で選任された議員による議員総会で決定、議員選挙は会費1口当たり1票 全ての会員に参加する権利がある総会で意思決定、1会員1票
設立要件 地区内の特定商工業者の過半数が同意(会員要件なし)、経済的基礎・施設・職員を有すること 地区内の商工業者の2分の1以上が会員となること
  1. ^ 原則として、同一の市町村内に複数の法人が存在することはないが、市町村合併などにより、以前の市町村の地区別ごとなどに法人が存在する地方自治体も多い。ただし、他の地区と重複することはない。町村の区域にある商工会議所や、市の区域にある商工会も存在する。

経営改善普及事業

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小規模事業者の経営または技術の改善発達を図るためのもので、国・都道府県の補助を受けて、商工会の事業の中でも特に重要なものの一つである。この事業には、国が認定した経営指導員などが従事しており、秘密厳守、原則無料として小規模事業者のよき相談相手として適切な助言・指導を行う。

  • 金融 - 事業資金についての相談・斡旋(無担保・無保証融資の斡旋もある)。特に商工会・商工会議所から経営指導を受けている事業所は日本政策金融公庫より「マル経融資」という有利な条件による融資を受けられる。
  • 税務 - 所得税や相続税、贈与税等の申告納税についての相談・指導
  • 経理 - 帳簿のつけ方や決算の仕方についての相談・指導
  • 労務 - 従業員の採用、福利厚生、労働、社会保険、各種共済、教育訓練等についての相談
  • 経営 - 仕入、生産、販売、市場調査等についての相談や経営診断
  • その他 - 法律、特許、取引紹介や講習会などの開催、組合事業等の相談

地域総合振興事業

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相互扶助・親睦や情報交換・福利厚生などの社会福祉活動・地域課題に対する調査研究

  • 総合振興事業
  • 商業振興事業
  • 工業水産加工業振興事業
  • 観光振興事業
  • 青年部事業
  • 女性部事業
  • 金融・税務対策
  • 労働・福利厚生対策

組織構成

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総会(総代会)

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商工会の最高意思決定機関。総会は会員全員で組織されている。会員は、公平に一つの議決権を有し、総会に参加して、意見を商工会に反映させることができる。

会員総数が200人以上の商工会は総代会を設けることができる。その場合は、総会に代わり、会員の中から選任される総代が総代会を組織して最高意思決定機関となる。総代は、会員のうちから、住所や事業の種類等に応じて公平に選挙されなければならない。

理事会

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商工会運営に関する事項の審議機関で、会員の中から選ばれた、会長、副会長、理事および監事から構成されている。議長は会長が兼務するが、会長に事故のある場合は副会長が議長を務める。なお、商工会法により副会長は2名設置されている。

青年部・女性部

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45歳(40歳)以下の若手商工業者(経営者・後継者など)により構成される青年部と、女性商工業者(経営者・経営者の妻や子女)から構成される女性部がある。ともに、商工会が行う地域振興事業において大きな役割を占め、地域のイベントを実際に運営しているのが地元商工会の青年部・女性部であることは珍しくない。

部会

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会員が営んでいる主要な事業の種類ごとに、それぞれの事業の適切な改善発達を図るために、部会が置かれている。例えば工業部会やサービス部会などが設置され、各々業種にあわせた会員で構成されている。商工会の活動に対して意見を述べ、業種ごとの情報を吸収する場ともなる。

委員会

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地域商工業の重要な問題について調査研究を行い、また、会長の諮問に応じるための機関、理事会を補佐する審議機関であり学識者や商工会役員などで構成されている。

事務局

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商工会の各種事業ならびに総会や理事会等において決定された施策の執行機関。事務局長が統括し、経営指導員を中心に補助員・記帳専任職員などの職員が常置される。

役員

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以下の役員が設置される(商工会法第30条)。

  • 会長 - 1名。商工会を代表し、その業務を総理する。
  • 副会長 - 2名以内。会長を補佐し、会長に事故がある時は職務を代理し、会長が欠員の時はその職務を行なう。
  • 理事 - 30名以内。会長・副会長を補佐して会務を掌理し、会長・副会長に事故がある時は職務を代理し、会長・副会長が欠員の時はその職務を行なう。
  • 監事 - 2名以内。商工会の業務及び会計の状況を監査し、その監査の結果を総会に報告する。

役員の任免は総会(総代会)によってなされる。また、次の各号のいずれかに該当する者は、役員となることができない(商工会法第32条)。

  1. 心身の故障のため職務を適正に執行することができない者として経済産業省令で定める者[1]
  2. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  3. 未成年者
  4. 禁錮以上の刑に処せられた者で、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しないもの

商工会と役員との関係は、委任に関する規定に従う(商工会法第33条)。役員の任期は、3年以内において定款で定める期間とする(商工会法第34条)。

脚注

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  1. ^ 成年被後見人又は被保佐人欠格条項とする規定については、令和元年6月14日に公布された「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」によって削除され、心身の故障等の状況を個別的、実質的に審査し、必要な能力の有無を判断することとなった。

関連項目

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外部リンク

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