四神足
四神足(しじんそく、巴: cattāro iddhipādā[1], 梵: catvāra ṛddhipādā[2])とは、仏教における「三十七道品」の中の1つ[2]。『倶舎論記』においては神通力を起こす基礎となる4つの三昧。『アビダンマッタサンガハ』(摂阿毘達磨義論)においては禅(jhāna)、道(magga)、果(phala)を得るための基礎(iddhipādā)[1]。「四如意足」(しにょいそく)[注 1]とも[2]。
内容
[編集]倶舎論記における四神足
[編集]- 欲三摩地断行成就神足(梵: Chanda-samādhiprahāṇasaṃskārasamanvāgata ṛddhipāda[3][4]、よくさんまじだんぎょうじょうじゅじんそく) - 意欲によって様々な神通力を起こす三昧[2]。
- 勤三摩地断行成就神足(梵: Vīrya-samādhiprahāṇasaṃskārasamanvāgata ṛddhipāda[3]、ごんさんまじだんぎょうじょうじゅじんそく) - 精進によって様々な神通力を起こす三昧[2]。
- 心三摩地断行成就神足(梵: Citta-samādhiprahāṇasaṃskārasamanvāgata ṛddhipāda[3]、しんさんまじだんぎょうじょうじゅじんそく) - 心によって様々な神通力を起こす三昧[2]。
- 観三摩地断行成就神足(梵: Mīmāṃsā-samādhiprahāṇasaṃskārasamanvāgata ṛddhipāda[3]、かんさんまじだんぎょうじょうじゅじんそく) - 観によって様々な神通力を起こす三昧[2]。
アビダンマッタサンガハにおける四神足
[編集]- 欲神足 (巴: chandiddhipāda[1]) - 禅・道・果の成就のための、意欲という基礎[1]。
- 勤神足 (巴: viriyiddhipāda[1]) - 禅・道・果の成就のための、精進という基礎[1]。
- 心神足 (巴: cittiddhipāda[1]) - 禅・道・果の成就のための(二十一種の善心である)心という基礎[1]。
- 観神足 (巴: vīmaṃsiddhipāda[1]) - 禅・道・果の成就のための、観という基礎[1]。
中村元における四神足
[編集]- 欲神足 - すぐれた瞑想を得ようと願うこと[5]。
- 勤神足 - すぐれた瞑想を得ようと努力すること[5]。
- 心神足 - 心をおさめて、すぐれた瞑想を得ようとすること[5]。
- 観神足 - 智慧をもって思惟観察して、すぐれた瞑想を得ること[5]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]参考文献
[編集]- 今西, 順吉「品類足論の原文について」『北海道大學文學部紀要』第25巻第2号、北海道大學文學部、1977年、1-37頁。
- 宮崎, 泉「『中観優波提舎開宝篋』テキスト・訳注」『京都大學文學部研究紀要印度學佛教學研究』第46巻、京都大學大學院文學研究科・文學部、2007年、1-126頁。