大蔵省専売局
大蔵省専売局(おおくらしょうせんばいきょく)は、日本の大蔵省に置かれていた外局である。1949年の日本専売公社の発足に伴って分離独立。食塩・樟脳・煙草・アルコールなどの専売業務を担当した。
沿革
[編集]- 1898年(明治31年)1月1日、日本政府は葉タバコの専売を開始し[1]、その担当部署として前年4月に大蔵省が管轄する葉煙草専売所を全国に61箇所設置した[2]。同年11月1日、大蔵省の外局として葉煙草専売所を管轄する専売局が設置され、局長、鑑定官、属、鑑定官補が置かれた[3]。
- 1899年(明治32年)5月1日、葉煙草専売所が廃止され、その機能を担う専売支局を全国56箇所に設置した[4]。
- 1903年(明治36年)10月1日 粗製樟脳、樟脳油の専売を実施し[5]、その担当部署として大蔵省が管轄する樟脳事務局を、全国に5箇所に設置した[6]。
- 1904年(明治37年)7月1日 タバコ製造を専売とし[7]、これに伴い専売局を煙草専売局に改組し、その下部組織として葉煙草収納所(全国20箇所)、煙草製造所(全国5箇所)を設置した[8]。
- 1905年(明治38年)6月1日から、塩を専売とし[9]、同年4月1日にその担当部署として大蔵省が管轄する塩務局を全国22箇所に設置した[10]。
- 1906年(明治39年)12月1日、煙草専売局長を煙草専売局長官と改称し、新に煙草販売所を全国に14箇所設置した。
- 1907年(明治40年)10月1日、煙草専売局、樟脳事務局、塩務局を統合し、新たに専売局を設置した。専売局には長官、4部長(収納部・販売部・製造部・計理部)が置かれ、地方部局として、収納所(全国22箇所)、製造所(全国28箇所)、販売所(全国19箇所)が設置された[11]。
- 1937年(昭和12年)4月1日 政府は専売の品目にアルコールを加えた。[12]
- 1943年(昭和18年)7月1日に石油が追加された[13]。
- 1949年(昭和24年)6月1日、第二次世界大戦後、専売局は大蔵省から分離独立し、たばこ・塩・樟脳の専売業務を担う特殊法人・日本専売公社が発足した。
組織の変遷
[編集]本局各部
[編集]- 1907年(明治40年)10月1日現在[11][14]。
- 長官官房 収納部 販売部 製造部 計理部
- 1913年(大正2年)6月16日現在[15]。
- 長官官房 事業部 製造部
- 1921年(大正10年)7月1日現在[16]。
- 長官官房 事業部 製造部 経理部
- 1931年(昭和6年)4月11日現在[17]。
- 長官官房 販売部 収納部 製造部 経理部
- 1939年(昭和14年)7月5日現在[18]。
- 長官官房 販売部 収納部 煙草製造部 酒精製造部 経理部
- 1941年(昭和16年)4月21日現在[19]。
- 長官官房 煙草事業部 煙草製造部 塩脳部 酒精部 経理部
- 1942年(昭和17年)4月1日現在[20]。
- 長官官房 煙草事業部 煙草製造部 塩脳部 経理部
- 1945年(昭和20年)5月10日現在[21]。
- 長官官房 煙草部 塩脳部
- 1946年(昭和21年)12月10日現在[22]。
- 長官官房 煙草部 製造部 塩脳部
- 1947年(昭和22年)4月28日現在[23]。
- 長官官房 煙草部 製造部 塩脳部 経理部
専売支局
[編集]- 1909年(明治42年)3月20日設置[24]。
- 東京専売支局 → 浅草専売支局 芝専売支局 淀橋専売支局(1913.6.16)[15]
- 水戸専売支局
- 茂木専売支局
- 宇都宮専売支局(1913.6.16新設)[15]
- 高崎専売支局(1913.6.16新設)[15]
- 三春専売支局 → 郡山専売支局(1913.6.16)[15]
- 仙台専売支局(1910.3.31廃止[25]、1913.6.16再設置[15])
- 山形専売支局(1913.6.16新設)[15]
- 函館専売支局
- 小出雲専売支局(1913.6.16廃止)[15]
- 秦野専売支局
- 見付専売支局(1913.6.16新設)[15]
- 名古屋専売支局
- 金沢専売支局(1910.3.31廃止[25]、1913.6.16再設置[15])
- 京都専売支局(1913.6.16新設)[15]
- 大阪専売支局(1913.6.16新設)[15]
- 神戸専売支局
- 赤穂専売支局(1913.6.16廃止)[15]
- 味野専売支局 → 岡山専売支局(1913.6.16)[15]
- 高梁専売支局(1913.6.16廃止)[15]
- 尾道専売支局 → 広島専売支局(1913.6.16)[15]
- 三田尻専売支局
- 阪出専売支局 → 坂出専売支局(1920.9.18)[26]
- 撫養専売支局 → 徳島専売支局(1913.6.16)[15]
- 池田専売支局
- 福岡専売支局(1913.6.16新設)[15]
- 熊本専売支局
- 鹿児島専売支局
地方専売局
[編集]- 1921年(大正10年)7月1日設置[16]。
- 東京地方専売局
- 水戸地方専売局(1945.5.10廃止[21]、1946.12.10再設置[22])
- 宇都宮地方専売局(1941.4.21廃止[19]、1946.12.10再設置[22])
- 高崎地方専売局(1941.4.21廃止)[19]
- 郡山地方専売局(1941.4.21廃止[19]、1946.12.10再設置[22])
- 仙台地方専売局
- 山形地方専売局(1924.12.20廃止)[27]
- 函館地方専売局 → 札幌地方専売局(1938.4.11)[28]
- 秦野地方専売局(1924.12.20廃止)[27]
- 見付地方専売局(1924.12.20廃止)[27]
- 名古屋地方専売局
- 金沢地方専売局(1945.5.10廃止)[21]
- 大阪地方専売局
- 岡山地方専売局(1941.4.21廃止[19]、1946.12.10再設置[22])
- 広島地方専売局
- 三田尻地方専売局(1924.12.20廃止)[27]
- 坂出地方専売局 → 高松地方専売局(1941.4.21)[19]
- 徳島地方専売局(1941.4.21廃止)[19]
- 福岡地方専売局(1941.4.21廃止[19]、1946.12.10再設置[22])
- 熊本地方専売局
- 鹿児島地方専売局(1945.5.10廃止)[21]
歴代局長・長官
[編集]氏名 | 在任期間 | 備考 |
---|---|---|
専売局長 | ||
仁尾惟茂 | 1898年11月1日 - 1904年6月1日 | |
煙草専売局長 | ||
仁尾惟茂 | 1904年6月1日 - 1906年12月1日 | |
煙草専売局長官 | ||
仁尾惟茂 | 1906年12月1日 - 1907年10月1日 | |
専売局長官 | ||
仁尾惟茂 | 1907年10月1日 - 1907年12月16日 | |
濱口雄幸 | 1907年12月16日 - 1912年12月24日 | |
桜井鉄太郎 | 1912年12月24日 - 1916年1月15日 | |
嘉納徳三郎 | 1916年1月15日 - 1918年6月7日 | |
杉浦倹一 | 1918年6月7日 - 1918年6月20日 | 心得 |
野中清 | 1918年6月20日 - 1923年12月20日 | |
今北策之助 | 1923年12月20日 - 1929年2月7日 | |
平野亮平 | 1929年2月7日 - 1932年1月11日 | 心得 |
佐々木謙一郎 | 1932年1月11日 - 1934年7月25日 | |
佐野正次 | 1934年7月25日 - 1934年12月8日 | |
中島鉄平 | 1934年12月8日 - 1936年3月13日 | |
荒井誠一郎 | 1936年3月13日 - 1940年2月3日 | |
花田政春 | 1940年2月3日 - 1941年9月25日 | |
山田鉄之助 | 1941年9月25日 - 1942年11月1日 | |
木内四郎 | 1942年11月1日 - 1943年11月5日 | |
浜田幸雄 | 1943年11月5日 - 1945年4月13日 | |
植木庚子郎 | 1945年4月13日 - 1946年1月30日 | |
杉山昌作 | 1946年1月30日 - 1947年9月2日 | |
野田卯一 | 1947年9月2日 - 1948年3月11日 | |
野田卯一 | 1948年3月11日 - 1948年4月14日 | 事務取扱 |
原田富一 | 1948年4月14日 - 1949年5月31日 |
脚注
[編集]- ^ 葉煙草専売法(明治29年3月28日法律第35号)
- ^ 葉煙草専売所官制 (明治30年4月28日勅令第121号)
- ^ 専売局官制(明治31年10月22日勅令第274号)
- ^ 明治32年4月22日勅令第170号
- ^ 粗製樟脳、樟脳油専売法(明治36年6月17日法律第5号)
- ^ 樟脳事務局官制 (明治36年9月15日勅令第138号)
- ^ 煙草専売法(明治37年4月1日法律第14号)
- ^ 煙草専売局官制(明治37年5月25日勅令第152号)
- ^ 塩専売法(明治38年1月1日法律第11号)
- ^ 塩務局官制(明治38年3月28日勅令第83号)
- ^ a b 専売局官制(明治40年9月26日勅令第304号)
- ^ アルコール専売法(昭和12年3月31日法律第32号)
- ^ 石油専売法(昭和18年3月12日法律第50号)・石油専売法施行期日ノ件(昭和18年6月25日勅令第534号)
- ^ 『昭和財政史 第2巻 ー財政機関ー(P206-212)』財務総合政策研究所(PDF)
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 専売局官制中改正ノ件(大正2年6月13日勅令第157号)
- ^ a b 専売局官制(大正10年7月1日勅令第300号)
- ^ 専売局官制中改正ノ件(昭和6年4月11日勅令第52号)
- ^ 専売局官制中改正ノ件(昭和14年7月5日勅令第439号)
- ^ a b c d e f g h 専売局官制中改正ノ件(昭和16年4月21日勅令第465号)
- ^ 専売局官制中改正ノ件(昭和17年4月1日勅令第352号)
- ^ a b c d 専売局官制中改正ノ件(昭和20年5月10日勅令第268号)
- ^ a b c d e f 専売局官制中の一部を改正する勅令(昭和21年12月4日勅令第587号)
- ^ 大蔵省官制の一部を改正する等の勅令(昭和22年4月28日勅令第155号)
- ^ 専売局官制中改正ノ件(明治42年3月20日勅令第28号)
- ^ a b 専売局官制中改正ノ件(明治43年3月28日勅令第41号)
- ^ 専売局官制中改正ノ件(大正9年9月18日勅令第411号)
- ^ a b c d 専売局官制中改正ノ件(大正13年12月20日勅令第332号)
- ^ 専売局官制中改正ノ件(昭和13年4月11日勅令第232号)