幻影城新人賞
幻影城新人賞(げんえいじょうしんじんしょう)は、1975年から1979年まで刊行された探偵小説専門誌『幻影城』誌上で募集された推理小説・評論の新人賞。
1975年6月号で第1回の募集が告知された。規定は小説が原稿用紙100枚以内、評論が原稿用紙30枚以内。賞金は、小説・評論とも入選作が10万円。第1回の募集では、小説が計321編、評論が計42編寄せられた[1]。第5回募集の告知も掲載されたが、1979年7月号で雑誌の発行が途絶えたため、結果は発表されなかった。
新人賞を介さずに『幻影城』からデビューした作家についても、併せて説明する。
選考委員
[編集]受賞作
[編集]小説部門
[編集]入選・佳作作品以外に、「〈幻影城〉推薦新人」として掲載された最終候補作品も示す。結果発表の号と作品掲載の号が異なる場合は、作品タイトルの後ろに示す。
- 第1回(1976年3月号)
- 入選 - 村岡圭三「乾谷(ワディ)」
- 第2回(1977年2月号)
- 入選 - なし
- 第3回(1978年1月号)
- 入選 - 田中芳樹「緑の草原に…」 - 李家豊(りのいえ ゆたか)名義
- 入選 - 連城三紀彦「変調二人羽織」
- 入選 - 堊城白人(あしろ はくと)「蒼月宮殺人事件」
- 佳作 高羽融二(たかは ゆうじ)「異次元の構図」(2月号)
- 第4回(1978年12月号)
評論部門
[編集]入選作品は、全4回で1度も出なかった。
- 第1回(1976年2月号)
- 第2回(1977年1月号)
- 第3回(1978年1月号)
- 佳作 - 夏来健次「屍語の芳香」 - 佐藤貞雄名義
- 佳作 - 佐藤齋(さとう ひとし)「夢野久作「氷の涯」への構想」
- 佳作 - 中村良樹「三好徹と風の世界」
- 佳作 - 滝川秀人(たきかわ ひでと)「シァーロク・ホウムズの呪術」
- 第4回(1978年12月号)
新人賞以外でデビューした幻影城作家
[編集]- 高村信太郎 - 〈幻影城〉推薦大型新人として、1977年3月号掲載の短編「暗黒魔界伝説」でデビューした。
- 竹本健治 - 1977年4月号より連載を開始した長編『匣の中の失楽』でデビューした。
- 京堂司 - 1978年6・7月合併号に連作ショートショート4編を掲載し、その後もショートショートを数回掲載している。2016年、栗本薫のペンネームであることが明かされた。
- 根岸洋 - 評論家の二上洋一。1978年6・7月合併号に連作ショートショート12編を掲載し、その後もショートショートや短編推理小説を掲載している。
雑誌『幻影城』-幻影城作家特集号
[編集]- No.43(1978年5月号) 大特集・幻影城作家書下しオンパレード
- 霜月信二郎「黄金の小指」
- 筑波耕一郎「死者の汀」 - 筑波孔一郎名義
- 田中芳樹「流星航路」 - 李家豊名義
- 村岡圭三「サボテン」
- 竹谷正「夜空のトランペット」
- 田中文雄「夕闇横丁」 - 滝原満名義
- 連城三紀彦「六花の印」
- 竹本健治「陥穽」
- No.54[3](2009年1月号) 特集・「幻影城」作家書き下ろし競作
影の会
[編集]幻影城新人賞の入選・佳作受賞者を中心に結成された会。翻訳家の浅羽莢子は、第4回小説部門で短編「カルシガ・ダイナの七層の都」が最終候補となっており、影の会にも参加している。似た名称のものに「怪の会」があるが、これは『幻影城』の愛読者の集まりである。