森田克行

森田 克行(もりた かつゆき、1950年昭和25年〉 - )は、日本の考古学者。高槻市立今城塚古代歴史館・同しろあと歴史館特別館長[1]。現在は高槻市文化財アドバイザー。

略歴

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大阪府高槻市生まれ。大阪府立島上高等学校を卒業[2]龍谷大学文学部史学科考古学専攻卒業。高槻市教育委員会埋蔵文化財調査センター所長、文化財課長、市教育委員会地域教育監[3]、今城塚古代歴史館館長、歴史系登録博物館2館の特別館長を経て、2021年(令和3年)から高槻市文化財アドバイザー。高槻城跡、安満遺跡安満宮山古墳今城塚古墳闘鶏山古墳新池埴輪製作遺跡阿武山古墳昼神車塚古墳などの調査と研究にかかわる。

人物

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育ちも高槻市で、高槻城天守跡に新設された島上高校の時、クラブ活動の考古学クラブで、高槻市にある安満遺跡の環濠弥生時代の土器を発掘し「まだ濡れたままの壺を手にした時に、とても感動して」考古学の道に進むことを決意した[2]

龍谷大学で考古学を学び、周囲から「考古学では食べていけないと反対された」が、高槻市立埋蔵文化財調査センターに入所。ちょうど高度経済成長期の開発ラッシュの最中で、数多くの発掘現場を「『一年に十三ヶ月』発掘している毎日(笑)」という多忙な生活だったが、 「発見し、それを書物にまとめ、評価される 過程は大きな喜び」で「成果が遺跡の保存と啓発につながれば最高」と語り、最近では、高槻市と中国大陸を結ぶ水運ルートや古代船、高槻市と天皇陵の関係などを研究している[2]

著書

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主な編著書

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  • 『摂津高槻城』(高槻市教育委員会、1983年
  • 『新池』新池埴輪製作遺跡発掘調査報告書(高槻市教育委員会1993年
  • 『今城塚と三島古墳群』(同成社2006年
  • 『史跡闘鶏山古墳』(高槻市教育委員会、2009年
  • 『よみがえる大王墓 今城塚古墳』(新泉社、2011年
  • 『安満遺跡確認調査報告書』(高槻市教育委員会、2013年
  • 『ふるさと高槻』(郷土出版社、2013年)
  • 『高槻城から日本の城を読み解く』(高槻市立しろあと歴史館2017年
  • 『写真アルバム 高槻市の80年―高槻市市制施行80周年記念出版―』(樹林舎、2023年)

主な共著

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  • 『弥生土器の様式と編年』近畿編Ⅱ(木耳社1990年
  • 『邪馬台国と安満宮山古墳』(吉川弘文館1999年
  • 『継体天皇の時代』(吉川弘文館、2008年
  • 『継体天皇二つの陵墓、四つの王宮』(新泉社、2008年)
  • 『日本古代の郡衙遺跡』(雄山閣、2009年)
  • 『三島と古代淀川水運Ⅰ・Ⅱ』(今城塚古代歴史館、2011年)
  • 『天皇陵古墳を考える』(学生社2012年
  • 『三島弥生文化の黎明』(今城塚古代歴史館、2013年)
  • 『たかつきの発掘史をたどる』(今城塚古代歴史館、2015年

主な論文

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  • 「「銅鏡百枚」考」『東アジアの古代文化』(1999年)
  • 「最古の銅鐸をめぐって」『究斑』Ⅱ(埋蔵文化財研究会、2002年
  • 「今城塚古墳と筑紫津」『大王の棺を運ぶ実験航海』(石棺文化研究会、2007年
  • 「古代の摂津三島」『摂津三島の遺宝』(高槻市立しろあと歴史館、2008年)
  • 「新埴輪芸能論」『埴輪群像の考古学』(青木書店、2008年)
  • 「古代のウとウカイの用字」『高槻市文化財年報 平成19・20年度』(高槻市教育委員会、2010年)
  • 「秘匿された鎌足墓」『阿武山古墳と牽牛子塚』(今城塚古代歴史館、2012年)
  • 「史・資料にみる古代船」『古墳時代の船と水運』(今城塚古代歴史館、2014年)
  • 「近世をきりひらいた土木技術―胴木組と枠工法護岸施設―」『江戸の開府と土木技術』(吉川弘文館、2014年
  • 「淀川中流域の弥生遺跡」『淀川中流域の弥生文化』(今城塚古代歴史館、2014年)
  • 「鎌足墓と摂津三島の阿威山―乾漆棺、乾漆像の世界と漆部氏―」『藤原鎌足と阿武山古墳』(吉川弘文館、2015年)
  • 「摂津国嶋上郡の「郡衙」と河津の「駅」」『律令時代の摂津嶋上郡』(今城塚古代歴史館、2015年)
  • 「塚原D1号墳の黥面人物埴輪―ヒゲとイレズミの統合表現―」『高槻市文化財年報』平成25年度(高槻市教育委員会、2015年)
  • 「水運王継体と「磐井の乱」」『継体大王と筑紫君磐井』(今城塚古代歴史館、2016年)
  • 「「闘鶏氷室」伝承と阿武山古墳」『日本古代学論叢』(塚口義信先生古希記念会、2016年)
  • 「藍原の開発とヤマト王権」『太田茶臼山古墳の時代』(今城塚古代歴史館、2017年)
  • 「猿形埴輪の真相」『高槻市文化財年報』平成27年度(2017年)
  • 「高槻城修築は「天下泰平」への布石」『天下泰平と高槻城』(高槻市立しろあと歴史館、2017年)
  • 「今城塚古墳の1500年」『遺跡学研究』第14号(日本遺跡学会2017年)
  • 「安満遺跡にみる初期農耕集落の様相」『初期農耕活動と近畿の弥生社会』(雄山閣、2018年)
  • 「倭王権と鵜飼儀礼・序論」『構築と交流の文化史』(雄山閣、2018年)
  • 「4世紀から9世紀の日本における造船・航海術」『古代東アジアの航海と宗像・沖ノ島』(2019年)
  • 「再論・東奈良銅鐸(改訂版)」 『鋳造遺跡研究資料集』(鋳造遺跡研究会、2021年)
  • 「沖縄県与那原の製瓦所見学記ー鉄線挽き造瓦法の追検証ー『高槻市文化財年報』令和元年度 (高槻市、2021年)
  • 「私の古代学―高槻市の埋蔵文化財行政と摂津三島の考古学研究(1)・(2)」『古代文化』VOL.71-4、72-1(古代学協会、2021年)
  • 「瀬戸内航路の神々と倭王権―住吉・大山積・宗像―」『沖ノ島研究』第九号「神宿る島」(宗像・沖ノ島と関連遺産群保存活用協議会、2023年)
  • 「東奈良銅鐸覚書―石製外枠付土製鋳型による製作―」『郵政考古紀要』第79号(通巻88冊)( 大阪・郵政考古学会、2023年)

連載

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  • 「こちら館長室・こちら特別館長室」第1回~第47回(高槻市立今城塚古代歴史館・高槻市ホームページ、2011年~2017年)
  • 「郷土歴史探訪記」1話~100話『ふれあい』第460号~第559号(JA高槻、2013年~2021年)

脚注

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参考

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関連項目

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