渡部愛
渡部愛 女流三段 | |
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名前 | 渡部愛 |
生年月日 | 1993年6月26日(31歳) |
プロ入り年月日 | 2013年10月24日(20歳) |
LPSA番号 | 19 |
出身地 | 日本・北海道帯広市 |
所属 | 日本女子プロ将棋協会 |
師匠 | なし[1] |
段位 | 女流三段 |
プロフィール | LPSA所属女流棋士 |
戦績 | |
タイトル獲得合計 | 1期 女流王位1期 |
一般棋戦優勝回数 | 2回 |
2019年6月13日現在 |
渡部 愛(わたなべ まな、1993年6月26日 - )は、日本女子プロ将棋協会(LPSA)所属の女流棋士。LPSA番号19[2]。北海道帯広市出身[1]。北海高等学校卒業。身長161cm[3]。血液型B型[4]。
棋歴
アマチュア時代
小学2年生の12月、休み時間に担任の先生と同級生が将棋を指しているのを見て興味を持つ。父にルールを教わり、毎日将棋盤に向かう。翌年3月、第28回全十勝小中学生将棋大会(十勝毎日新聞社主催)で大会デビュー、小学2年の部で予選3位入賞。それをきっかけに将棋教室「かちまい将棋スクール」で有段者の指導を受ける[5][6]。
小学4年生の5月頃から父に勝つようになる。9月、第14回北海道女流アマ王位戦(北海道将棋連盟主催)一般戦の部で4戦全勝で初優勝[5](中学1年生でも優勝[7])。翌年2004年12月、第4回朝日全道小学生名人戦(同主催)で6戦全勝優勝[6]。2007年、第28回全国中学生選抜将棋選手権大会女子の部で第3位[8]。
2008年、第40期女流アマ名人戦で準優勝[9]。同年、第46期赤旗名人戦全国大会予選通過[10]。第1回女子アマ王位戦第3位[11]。
ツアー女子プロから女流3級へ
2007年の夏、地元・帯広で中井広恵の指導を受けて、女流棋士という職業に興味を持ち、それが縁で翌年から月一度東京へ通い、当時中井が代表理事を務めていたLPSAに師事するようになる[12]。「東京通いに便利がいい」という理由で、中学卒業と同時に母親と二人で札幌市に転居する[13]。
2009年3月、LPSAの女流棋士育成機関である「中井塾(現・LPSAアカデミー)」の生徒を対象としたツアーライセンス取得試験に合格し、同年4月1日付でLPSA公認ツアー女子プロ(TJP)として登録される[注 1][4]。
同年8月、第27回1dayトーナメントで初優勝[16]。以降、2010年の第41回、2011年の第46回、2012年の第48回で優勝を重ねる。2010〜2012年にかけて、第4〜6期マイナビ女子オープンチャレンジマッチを3年連続通過。
2012年3月に高校を卒業し上京[17]。同年4月、第2期女流王座戦アマ西日本予選通過。
同年7月1日、LPSAの公益社団法人取得に伴って制定された1dayトーナメント優勝通算3回の規定により、女流3級に昇格した[1]。
ところが、日本将棋連盟には女流3級として認められず、連盟主催の女流棋戦に出場出来ない状態が続いた。
2013年4月、第21期倉敷藤花戦予選にはアマチュア枠扱いで出場した[18]。
女流3級になってからちょうど1年程経った2013年7月12日、2013年7月1日付で連盟が特例で渡部を女流3級として認定したと発表した[19][20]。これにより渡部は第25期女流王位戦から将棋連盟が主催している女流棋戦に出場出来ることになった。
2013年10月24日、第25期女流王位戦予選で本田小百合に勝利しリーグ入りを決める。これにより連盟による女流1級の昇級規定を満たしたことから、規定により同日付で女流2級へ昇級した[21]。
女流プロ入り後
2014年3月4日、第41期女流名人戦予選で渡辺弥生に勝利し予選決勝進出。これにより女流1級に昇級。さらに3月13日に同予選決勝で高群佐知子に勝利しリーグ入りを決め、女流初段に昇段した。
2015年2月5日、第46期新人王戦で三枚堂達也四段に勝利。対男性棋士戦の初戦で勝利を収める快挙を達成した。
2015年8月23日、高崎で行われた第1回女子将棋YAMADAチャレンジ杯の本戦トーナメントで、山口恵梨子、中村桃子、竹俣紅を破り優勝。
2016年8月28日、第2回女子将棋YAMADAチャレンジ杯の本戦トーナメントで、中澤沙耶、貞升南を破り同棋戦2連覇。
2017年4月29日、第10回世田谷花みず木女流オープン戦で優勝。
2017年10月8日、第11回白瀧あゆみ杯争奪戦で優勝。
2017年11月14日、第44期女流名人リーグ最終局で岩根忍に勝ち、女流初段昇段後60勝となり女流二段に昇段した。またその勝利で初めて女流名人リーグ残留を果たした。
2017年度、第29期女流王位戦では4期ぶりに挑戦者決定リーグ入り、挑戦者決定リーグでも紅組で5戦全勝で優勝。そして2018年3月14日の挑戦者決定戦で白組優勝の清水市代に勝ち、タイトル初挑戦を決めた[22][23]。
2018年5月からの同タイトル戦五番勝負では里見香奈を3勝1敗で破り、女流王位を奪取[24]。初の女流タイトル獲得に伴い2018年6月13日付で規定により女流三段に昇段した[25]。
タイトル獲得後
2018年度はタイトルホルダーとして男性棋戦にもエントリーされるようになり、第67期王座戦一次予選で木下浩一、泉正樹、門倉啓太、第60期王位戦予選で川上猛に勝ち、棋士から4勝を挙げた[26][27]。
2019年度は、第30期女流王位戦で里見香奈の挑戦を受け、1勝3敗でタイトルを失冠した。
2020年度になると、コロナ禍の影響によりこれまで行ってきた練習対局での強化機会が大幅に減り、オンライン対局での強化を余儀なくされた。その環境に慣れず調子を落とした[28]。第32期女流王位戦の挑戦者決定リーグでは1勝4敗でリーグ陥落し[29]、第47期女流名人リーグでも大きく負け越す展開となった(最後の2局で勝ち残留に踏み止まった)[30]。しかし、女流順位戦設立のために新たに設立された第1期白玲戦の順位決定リーグでは星を集め、6勝1敗のトップとなり初代タイトルの可能性を残す[31]。
2021年度、第1期白玲戦のタイトル戦出場を決める1-8位決定トーナメントの準決勝で里見香奈に勝ち、第1期白玲戦七番勝負出場を決めた[28][32]。七番勝負では西山朋佳を相手に4連敗でストレート負けを喫した[33]。
棋風
本格派の居飛車党で攻め将棋[34]。
人物
- LPSA所属ながら、日本将棋連盟のイベントなどにも数多く出演している[35]。
- 2016年4月よりNHK Eテレ『将棋フォーカス』において、「村山慈明の知って得する序盤術」、同年10月から翌年3月まで「天彦流 中盤の読み解き方」の聞き手を務めていた[36][37]。
- それまで思うような成績が出なかった事もあり、2016年初め頃から同郷の野月浩貴などの指導を受けるようになり大きく棋力を伸ばした[12][38]。
- その野月と同様、地元のJリーグクラブ北海道コンサドーレ札幌のファンであり、野月と一緒に応援しに行くこともある[39][40]。元々中学生の頃からサッカーをテレビ観戦するのが好きで、高校時代には携帯電話の待受画面をフェルナンド・トーレスの写真にしていた[13]。
- 野月と渡部は2024年1月に結婚、日本将棋連盟と日本女子プロ将棋協会(LPSA)を通じて同年2月14日に結婚発表をした[41]。ともに北海道出身の将棋棋士・女流棋士同士の結婚は初[42]。渡部は結婚後も渡部姓で活動する。
昇段履歴
- 2009年4月 - LPSA公認ツアー女子プロ
- 2012年7月 - 女流3級(1dayトーナメント3回以上優勝) 1日
- 2013年 7月 1日 - 女流3級を日本将棋連盟が認定
- 2013年10月24日 - 女流2級(女流王位戦リーグ入り)
- 2014年3月 - 女流1級( 4日女流名人戦予選決勝進出)
- 2014年3月13日 - 女流初段(女流名人戦リーグ入り)
- 2017年11月14日 - 女流二段(勝数規定)
- 2018年6月13日 - 女流三段(タイトル1期 = 第29期女流王位戦)
主な成績
獲得タイトル
- 女流王位: 1期(第29期=2018年度)
- タイトル獲得:合計 1期
- タイトル戦登場
- 女流王位: 2回(第29期=2018年度 - 2019年度)
- 白玲: 1回(第1期=2021年度)
- タイトル戦登場:合計 3回
女流一般棋戦(将棋連盟主催)
- 女子将棋YAMADAチャレンジ杯 優勝 2回(2015年(第1回) - 2016年)
女流非公式棋戦(将棋連盟主催)
- 世田谷花みず木女流オープン戦 優勝1回(2017年 = 第10回)
- 白瀧あゆみ杯争奪戦 優勝1回(2017年 = 第11回)
LPSA主催棋戦
- 日レスインビテーションカップ 1回 2013年(第7回)
- 1dayトーナメント 14回 (第27回・41・46・48・53・58・59・61 - 64・66・69・77)
将棋大賞
- 第46回(2018年度)
- 優秀女流棋士賞
- 名局賞特別賞(第45期女流名人リーグ・対上田初美女流四段)
- 女流名局賞(第29期女流王位戦五番勝負・対里見香奈女流王位)
出演
ゲーム
- 将棋レボリューション 激指15(2019年7月8日、マイナビ)※パソコン用ソフト
関連項目
脚注
出典
- ^ a b c “当協会所属新女流棋士誕生のお知らせ”. LPSA (2012年7月2日). 2018年8月18日閲覧。
- ^ “所属棋士”. LPSA. 2018年8月18日閲覧。
- ^ “渡部愛のTwitter” (2016年8月3日). 2016年8月13日閲覧。
- ^ a b “LPSA公認ツアー女子プロ誕生のお知らせ”. LPSA (2009年4月2日). 2018年8月18日閲覧。
- ^ a b “女流アマ王位戦で"女王"に 音更鈴蘭小4年の渡部さん 初出場で優勝 大人も破り全勝 「将棋の指導者が夢」”. 十勝毎日新聞. (2003年9月25日). オリジナルの2016年8月14日時点におけるアーカイブ。 2018年8月18日閲覧。
- ^ a b “小学生女流棋士快挙 鈴蘭小の渡部さん 全道名人戦で初の女子児童優勝 「目標は全国の舞台」”. 十勝毎日新聞. (2004年12月21日). オリジナルの2009年1月7日時点におけるアーカイブ。 2016年8月13日閲覧。
- ^ “13歳棋士全道女流アマ頂点に 下音更中の渡部さん王位戦で初優勝”. 十勝毎日新聞. (2006年10月12日). オリジナルの2008年2月2日時点におけるアーカイブ。 2016年8月13日閲覧。
- ^ “第28回全国中学生選抜将棋選手権大会 女子決勝トーナメント”. 日本将棋連盟 (2007年8月3日). 2018年8月18日閲覧。
- ^ “第40期女流アマ名人戦”. 日本将棋連盟 (2008年9月14日). 2018年8月18日閲覧。
- ^ “あすから しんぶん赤旗 全国囲碁・将棋大会 強豪112人熱戦 10代選手21人”. しんぶん赤旗. (2008年11月7日) 2016年8月13日閲覧。
- ^ “第1回女子アマ王位戦・優勝者決定戦”. LPSA (2008年10月24日). 2018年8月18日閲覧。
- ^ a b 読売新聞 2018年7月25日付夕刊 なるほど囲碁将棋
- ^ a b 『財界さっぽろ』2019年4月号 pp.246 - 249
- ^ “LPSA公認プロ制度の見直しについて”. LPSA (2015年4月13日). 2017年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年8月18日閲覧。
- ^ “LPSA公認プロ制度概要と応募要項について”. LPSA (2009年3月12日). 2017年10月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年8月18日閲覧。
- ^ “第27回1dayトーナメント・シュヴァリエカップ”. LPSA (2009年8月16日). 2017年10月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年8月18日閲覧。
- ^ “十勝初、渡部さん女流棋士に”. 十勝毎日新聞社 (2012年7月3日). 2012年7月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月5日閲覧。
- ^ “第21期 倉敷藤花戦”. 日本将棋連盟. 2015年11月5日閲覧。
- ^ “LPSA、渡部愛さんへの対応について”. 日本将棋連盟 (2013年7月12日). 2018年8月18日閲覧。
- ^ “渡部愛さんの女流3級、特例で認める…将棋連盟”. 読売新聞 (2013年7月12日). 2013年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月5日閲覧。
- ^ “将棋、渡部3級が女流プロに 規定で昇級、LPSA所属”. 47NEWS (2013年10月24日). 2014年12月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月5日閲覧。
- ^ “第29期女流王位戦挑戦者決定戦、渡部愛女流二段がタイトル挑戦を決める”. 日本将棋連盟 (2018年3月14日). 2018年10月6日閲覧。
- ^ “渡部女流二段がタイトル初挑戦”. 女流王位戦中継Blog (2018年3月14日). 2018年10月6日閲覧。
- ^ “渡部が初タイトル、女流王位を奪取!”. 女流王位戦中継Blog (2018年6月13日). 2018年10月6日閲覧。
- ^ “渡部愛女流二段が女流王位獲得、女流三段に昇段”. LPSA (2018年6月15日). 2018年10月6日閲覧。
- ^ “今年は女流棋士が大健闘!渡部愛女流王位、男性棋戦で4勝目/将棋・王座戦一次予選”. abematimes (2018年11月30日). 2018年11月30日閲覧。
- ^ “渡部愛女流王位が川上猛七段を破り勝ち進む 王位戦予選”. 日本将棋連盟 (2018年9月25日). 2018年10月6日閲覧。
- ^ a b “渡部愛女流三段が初代タイトルに挑む 西山女流3冠と新設「白玲戦」争う”. 日刊スポーツ. (2021年9月5日) 2021年9月6日閲覧。
- ^ “第32期女流王位戦 挑戦者決定リーグ”. 日本将棋連盟. 2021年9月7日閲覧。
- ^ “第47期岡田美術館杯女流名人戦 女流名人リーグ”. 日本将棋連盟. 2021年9月6日閲覧。
- ^ “第1期ヒューリック杯 白玲戦・女流順位戦 順位決定リーグ戦E組~H組”. 日本将棋連盟. 2021年9月6日閲覧。
- ^ “第1期ヒューリック杯 白玲戦・女流順位戦 順位決定トーナメント戦”. 日本将棋連盟. 2021年9月6日閲覧。
- ^ “タイトル獲得、失冠、再挑戦… 28歳・渡部愛女流三段が「今の勝ち負けはどうでもいい」と言われ続けるワケ<将棋界初のコーチング>”. Number Web (2022年1月20日). 2022年6月28日閲覧。
- ^ 女流王位戦対局者プロフィール
- ^ 第20回京急将棋まつり 一日目
- ^ 「NHK 将棋講座」2016年4月号、NHK出版、2016年3月16日、JAN 491-0-09-191046-0。
- ^ 「NHK 将棋講座」2016年10月号、NHK出版、2016年9月15日、JAN 491-0-09-191106-1。
- ^ ““平凡な女流棋士”だった22歳の決断「自分を変えないと、ここから先には…」渡部愛がすがった“将棋界初のコーチング”とは”. Number Web (2022年1月20日). 2022年6月28日閲覧。
- ^ 2018年9月29日の発言
- ^ 2018年10月6日の発言
- ^
- 『野月浩貴八段と渡部愛女流三段が結婚|将棋ニュース』日本将棋連盟、2024年2月14日 。
- 『渡部愛女流三段に関するお知らせ』日本女子プロ将棋協会(LPSA)、2024年2月14日 。
- ^ 『将棋の野月八段と渡部女流三段が結婚 ともに北海道出身』北海道新聞デジタル、2024年2月14日 。
外部リンク
- LPSA 公式サイト プロフィール
- LPSA 公式サイト プロフィール(棋歴)
- 渡部 愛(わたなべまな) (@nanu_ke) - X(旧Twitter)
- チーム渡部 (@jabT_watanabe) - X(旧Twitter)