組織暴力

組織暴力
Organized Violence
監督 佐藤純彌
脚本 佐治乾
鈴樹三千夫
出演者 丹波哲郎
千葉真一
城野ゆき
宮園純子
渡辺文雄
内田良平
月形龍之介
鶴田浩二
音楽 佐藤勝
撮影 仲沢半次郎
編集 田中修
製作会社 東映
配給 日本の旗 東映
公開 日本の旗 1967年2月24日[1]
上映時間 90分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語英語
次作 続・組織暴力
テンプレートを表示

組織暴力』(そしきぼうりょく、Organized Violence[1])は、1967年日本映画主演丹波哲郎[2]千葉真一[1]監督佐藤純彌製作東映。90分[1]。フォーマットはカラーシネマスコープ[1]。『組織暴力シリーズ』の第1作。

概要

[編集]

縄張りを死守する抗争に命を賭す暴力団武器密売する死の商人、これら非合法な組織を警察は摘発しようとするが、その利益を上納させる右翼や武器を密輸する外交官などが暗躍する物語。仁義侠気を矜持するヤクザ(千葉真一)が、自分以外のヤクザは義理人情でなく利害得失によってのみ動く者たちばかりで失望することや、取り締まる側の警察(丹波哲郎ら)が右翼と外交特権に阻まれる様を、佐藤純彌が二つの視点から描いたドキュメンタリータッチの映画である[1][3]日本公開時には、折しも第一次頂上作戦で騒然としていた世相を反映する作品となった。

あらすじ

[編集]

高杉晋次は新宿を地盤とする矢東組組員で、子分のチョロ吉・助盆ら5,6人を引き連れ、シマを荒す赤松組組員と抗争をする日々が続いている。関西を拠点とする新生会は、5年前まで愚連隊でしかなかった赤松組を橋頭保にし、東京を手中に収めようと企んでいた。晋次の兄で矢東組若頭・高杉哲夫は武器が足りないと危惧し、横田米軍基地界隈に住む幼馴染でブローカー・河北と会う。手元に捌ける拳銃がない河北は、山手 (横浜市) のCLUB BACCHUS支配人・今西が、闇商売として扱っていることを教えた。哲夫は背に腹は代えられないと行く決心をするが、河北は今西がハリソン商会から密輸していると踏んでおり、そこを突けば手に入るかもしれないが、芳しくない噂も耳にしていることから、気をつけるよう哲夫に念押しする。

同時刻、矢東組は旅館「わかくさ」で賭場を開き、収益確保に走っていた。高杉哲夫は今西に会うと、ハリソン協会との関係を匂わしながら、とぼける今西と交渉を進める。この時、わかくさでは赤松組が組員4人で襲撃し。入り口を守っていた高杉晋次の子分が銃撃で負傷した。この事件で警察が来ることが想定した代貸・竜村は客を急ぎ帰し、賭場を止む無く閉める。警視庁捜査四課の浦上警部は矢東組の報復を抑えるため、組員たちを賭博容疑で新宿署に留置した。その翌朝、多摩川沿いで高杉哲夫が死体で発見された。浦上は敵対する赤松組の犯行と睨み、部下の芦田・堀池両刑事や新宿署員と共に、赤松組のガサ入れを行うが、拳銃を発見できなかった。

浦上たちは高杉晋次を参考人として呼び出し、兄・哲夫が河北と会っていた裏付けを取ると、危険な動きをする可能性が高い晋次を留置。赤松組はわかくさの襲撃を認め、主犯が出頭し、自首する。一方、矢東組若頭が殺されたことに驚愕し、「敵対する組若頭のタマを獲ることは、ヤクザ社会の勲章だから、むしろ進んで自首をする。今回は全く知らないし、関わりはない」と頑強に否定する。拳銃捜査班は浦上たちに、わかくさで使用された弾丸と哲夫の遺体に残っていた弾丸が一致しないこと、わかくさの弾丸はライフリングがなく、去年の夏から暴力事件で出回っているフィリピン製のCRS密造拳銃から発射されたものと報告した。その頃、CLUB BACCHUS支配人・今西は暴力団同士の抗争が激しくなっているので、ハリソン商会に拳銃50丁を注文していた。

釈放された高杉晋次は、代貸・竜村から「赤松組は50丁、うちは20丁しかないから、拳銃はもっと入手しよう」と聞かされ、河北のところへ向かう。ところが河北は参考人として警察へ留置されていた。晋次らは河北の情婦から哲夫の足取りを教えてもらい、CLUB BACCHUSへ向かう。捜査四課では施条痕が一致しないので赤松組ではなく、晋次の証言を根拠に、課長・浦上警部・芦田・堀池両刑事で河北を取り調べるが、何もしゃべらない。晋次たちはCLUB BACCHUSのショータイム中に支配人・今西を客席へ呼び出し、哲夫の消息と拳銃を売ってほしいと頼むが、今西はそのような物騒なものは取り扱っていないと断った。竜村はなぜ自分たちには売らないのか怪訝に思う。そのあと、新生会幹部・寺町がボディーガードと共にCLUB BACCHUSへ来店したのを見て、今西と新生会の繋がりや哲夫は新生会に殺されたとみなした。晋次は仇を討とうとするが、竜村は寺町が連れている直参が多いので「今は返り討ちに遭うから止めろ。おまえが無駄死にすることを兄が望んでいると思っているのか?辛抱しろ」ときつく諭す。晋次はこの場での襲撃を諦め、竜村と共にCLUB BACCHUSを離れた。

赤松組は新生会関東支部として、お披露目をするという書状をあちこちに回していた。捜査四課の浦上警部は前々から続く矢東組と赤松組の抗争が更に激しくなることを懸念し、取り締まりを強化すると芦田・堀池両刑事に厳命。矢東組は堅気の人たちが赤松組に流れていることを危惧し、新生会関東支部発会式を襲撃する決意をする。代貸・竜村はヒットマンを選ぶが、高杉晋次は面が割れているという理由で外され、組員の大塚・浅田・荒井・早川・佐々木の5名でチームを組んだ。当日の発会式には捜査四課が会場周辺を警戒し、新生会関係者だけでなく、CLUB BACCHUS支配人・今西や右翼の大物・大田黒正堂が来賓として招かれていた。ヒットチームは拳銃をの中へ隠し、捜査四課のボディチェックもクリアし、招待状を持ち、会場へ潜入。赤松の命を狙うが、新生会・寺町はすぐ気づき、赤松を庇う。5人に乱射されたが、赤松は足を撃たれたのみで未遂に終わる。浦上たちもすぐに突入し、5人を逮捕。死人は出ずに済んだ。

矢東組は山藤組・栗林組・中里組ら東京のヤクザと共に、赤松組とそれを支援する新生会と戦うことを決意し、抗争は更に激しくなる一方、パチンコ屋に勤務する娘が組員のケンカに巻き込まれ、両目を失明する事件が勃発。新宿だけでなく池袋にも抗争が拡がった。CLUB BACCHUS支配人・今西とハリソン商会がこの機に乗じて儲けようと死の商人として暗躍する。一般人に被害が及んだことで、警察は反社会的勢力を取り締まり、捜査四課は全てを解散させようと頂上作戦へ動き出す。しかし暴力団や密輸組織の背後にいる黒幕は、警察の捜査を嘲笑うかのような手法で、抗争と世論の抑えに動き出した。それは高杉晋次と仲間たちに影響を及ぼし、彼らの関係は変化することとなる。果たして兄・哲夫の仇を討てるのか?

キャスト

[編集]

出演者

[編集]

※クレジット順

ノンクレジット

[編集]

スタッフ

[編集]

製作

[編集]

ロケーション撮影は、オープニングと中盤の矢東組と赤松組の抗争は新宿駅周辺と歌舞伎町、序盤の高杉哲夫が河北を訪ねるスナック横田飛行場界隈、今西が経営するCLUB BACCHUSはクリフサイド、ハリソン商会が密輸した拳銃を高杉晋次がスーツケースごと奪う山場は大さん橋と、首都圏で行われた。

興行

[編集]

日本では1967年2月24日に封切り公開され[1]、併映作は『懲役十八年』。

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f g 『組織暴力』 - 日本映画製作者連盟
  2. ^ キネマ旬報1967年3月上旬号 p.95
  3. ^ 組織暴力 - 東映チャンネル at the Wayback Machine (archived 2021年2月1日)

外部リンク

[編集]