西武8000系電車

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西武8000系電車
西武8000系8103編成
(2025年1月14日 高麗駅 - 東飯能駅間)
基本情報
運用者 西武鉄道
種車 小田急8000形電車
改造所 武蔵丘車両検修場
施工者 小田急エンジニアリング
改造年 2024年 -
改造数 7編成42両(予定)
運用開始 2025年5月末(予定)
投入先 西武国分寺線(予定)
主要諸元
編成 6両編成
軌間 1,067 mm(狭軌
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
車両定員 147人(クハ8100、クハ8000)
157人(それ以外)
自重 編成表を参照
全長 20,000 mm
全幅 2967mm
全高 4040mm(クハ8100、サハ8300、モハ8900、クハ8000)
4166mm(モハ8200、モハ8800)
車体 普通鋼
台車 住友金属工業アルストムリンク式空気ばね台車
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西武8000系電車(せいぶ8000けいでんしゃ)は、2025年令和7年)に登場した西武鉄道通勤形電車

本項では個別の編成について、東村山西武新宿飯能方先頭車の車両番号で代表し、「N編成」の表記とする(例:8103編成)。なお、小田急時代に関する記述については同社での表記に倣うものとする。

概要

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環境負荷の低減などを目的として車両のVVVFインバータ制御化などを進めるために導入する「サステナ車両」として、小田急電鉄8000形を授受、改造した車両。

第1編成は2024年(令和6年)5月に到着、2025年(令和7年)1月に主要な改造が完了しており、同年5月末より営業運転を開始する予定である。6両編成7本の導入が予定されており、サステナ車両全体として2029年度に導入が完了する見込み。なお、サステナ車両としては本系列のほかに東急9000系9020系の授受が予定されている。

登場の経緯

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先に発表されていた「サステナ車両」として、元小田急8000形6両編成約40両を国分寺線に導入し、その第1編成が2024年度より運行を開始する予定であることが2023年(令和5年)9月26日に公表された[1]。小田急時代に、徹底した更新工事(車体修理工事)が行われていることから、車齢の割に、状態が良好であることが評価された模様で[2]、具体的な導入数は6両編成7本の42両となることが2024年(令和6年)9月20日発売の鉄道ファン誌で明かされてる[2]

西武鉄道での形式名(8000系)とデザインは、前述の発表からちょうど1年後となる2024年(令和6年)9月26日に公表された。形式名については、譲渡前の形式名が小田急電鉄の「8000形」であることも踏まえられている[3][4]

譲渡第1編成は小田急8261×6→西武8103編成で、2024年(令和6年)5月19日から20日にかけて、小田急電鉄の新松田駅から、JR線を経由し西武鉄道の小手指車両基地まで甲種輸送が行われた[5][6][7]。その後6月30日終電後(7月1日の未明)に武蔵丘車両基地まで自力回送[注 1]の上、同日日中に隣接する武蔵丘車両検修場へ入場[8][9]。その後2025年(令和7年)1月7日に主な更新工事が終了し武蔵丘車両検修場を出場[10]武蔵丘車両基地へ移動した。1月14日南入曽車両基地への回送を兼ねて初の本線試運転が行われており、以後各路線での試運転や乗務員訓練が行われている。

西武鉄道では同編成の甲種輸送や自力回送、また改造やデザイン検討時の様子を公式X(旧Twitter)やYouTubeに随時投稿しているほか、かわら版にもレポートを掲載している。

改造内容

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外観デザインは大きく変更されたが、内装は車端部の座席数が変更された点を除けば従来とほぼ変わらない[11]。改造中の様子は公式YouTubeのほか各種報道によって公開されており、主な改造内容として以下のものが明かされている。

外観

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デザイン

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小田急時代より薄いアイボリーをベースに、コーポレートカラーのグラデーション(青・緑・青)を配したデザインとした。配色は30000系に近くなっている。グラデーションの意匠については30000系40000系では横方向のストライプ状であったところ、本系列では新たに「永遠」「発展」「繁栄」を表す市松模様が採用された。模様のサイズは検討を重ねた上で、前面・側面とも角丸の50mm角とされている[12]

前面は窓からライトまでの間を黒く塗装した上で、この下に市松模様のグラデーションを配置。前面のグラデーションは下部を楕円状のデザインとした上で、アイボリーとの境目はフェードアウトするようなぼかしがかかっている。模様にかかる部分の手摺は黒色に塗装されている。

側面は各扉間の窓下に前面同様のグラデーション模様を配置、車端部や乗務員室扉との間にも同様に(扉間のものを途中でカットするような形で)配されているほか、肩部には同系統のグラデーションで単純な帯が入れられている。前面の車両番号表記は白色で窓の左下に配置、側面は灰色で異例となる片面2箇所の配置(車端上部:通常サイズ、逆エンドの扉付近裾部:小さめ)となっている。その他各種表記類は40000系と同系統のデザインが用いられ、ドアの戸当たり部には黄色の警戒帯が追加された。

車体の改造

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車体の改造箇所としては、乗務員扉脇の握り棒の変更(客室寄りの2段になっている箇所を1段に変更)、また従来の表記・銘板類[注 2]の取り外し、列車無線アンテナの変更が公式動画で紹介されている[12][11]

内装

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大きな変更点として、車端部の座席を4人掛けから3人掛けへ変更した点があげられる。従来の小田急仕様では、車端部の1席あたりの幅が410mm[注 3]と比較的狭かったが、変更後の西武仕様では、約547mmと大きく変更された。このほか、室内灯のLED化、広告枠サイズの変更が各種報道にて明かされている[13][14][15]。車内に掲示される銘板は、車体修理工事の際に取付けられた小田急車両の改造銘板を残した上で[16]、新たに小田急エンジニアリングによる改造の表示が追加されている[17]

その他

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その他、乗務員室の床の張り替えや各種保安装置の変更が行われている[11]

編成表・車歴表

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出典:[18]

編成表

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飯能
号車 1 2 3 4 5 6
形式 クハ8100

(Tc1)

モハ8200 (M1)

サハ8300

(T)

モハ8800 (M3)

モハ8900

(M4)

クハ8000

(Tc2)

機器配置 CP VVVF

1C4M×1群

SIV・蓄電池 VVVF

1C4M×2群

SIV・蓄電池 CP
自重 31.0t 39.8t 33.6t 40.3t 39.3t 31.2t
全高 4040mm 4166mm 4040mm 4166mm 4040mm 4040mm
車両定員 147人 157人 157人 157人 157人 147人

車歴表

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1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 備考
8103編成

(旧8261×6)

8103

(旧8561)

8203

(旧8511)

8303

(旧8461)

8803

(旧8311)

8903

(旧8211)

8003

(旧8261)

譲渡第1編成

2024年導入、2025年運行開始(予定)

脚注

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注釈

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  1. ^ この時点ではまだ西武線内での走行に必要な保安装置を搭載していなかったことから、線路閉鎖を行ったうえで深夜に回送された。
  2. ^ 車号表記や「OER」の文字や「小田急電鉄」の車籍銘板。
  3. ^ 扉間は3,000mm幅で7人掛け=1人あたり約429mm。参考に西武2000系では扉間が約436mm、車端が約483mmである。

出典

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  1. ^ 西武鉄道と東急電鉄・小田急電鉄 「サステナ車両(※)」を授受 各社連携して、SDGsへの貢献を加速してまいります”. 西武鉄道 (2023年9月26日). 2023年10月2日閲覧。
  2. ^ a b 『鉄道ファン』2024年11月号(通巻763号)小田急電鉄8000形の足跡/橋本政明 pp.058 - 065,158
  3. ^ 「サステナ車両※」小田急電鉄譲受車両のデザイン・車両形式が決定』(プレスリリース)西武鉄道、2024年9月26日。オリジナルの2025年1月8日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20250108161902/https://www.seiburailway.jp/newsroom/news/20240926_sasutenatrain/2025年1月8日閲覧 
  4. ^ 西武へ渡った元・小田急車両、形式&デザイン決定! 社内公募から - 乗りものニュース(2024年9月26日)
  5. ^ Xユーザーの西武鉄道【公式】さん: 「小田急電鉄から授受された #サステナ車両 「8000形」の第1編成が小手指車両基地に到着しました🚃ロイヤルブルーの帯がとても輝いていますね✨ 西武の電車との貴重なツーショットもお届け!国分寺線での営業運転開始に向け着々と準備していきます✨   #西武鉄道 #西武線 #小田急電鉄 #小田急 #8000形 https://t.co/sdOoShdcjx」 - X(旧Twitter) 2024年5月20日の投稿
  6. ^ 「サステナ車両」第1弾がとうとう西武へやってきた 小田急8000形を西武新101系263Fが牽引する場面も | 鉄道ニュース | 鉄道チャンネル 2024年5月23日掲載
  7. ^ 西武鉄道へ赴いた小田急車両なぜ遠回り? 新松田→新秋津の輸送ルート 動画が公開に! - 乗りものニュース(2024年6月26日)
  8. ^ 【サステナ車両】小田急電鉄8000形が初めて西武線内を自力走行しました - YouTube(西武鉄道公式チャンネルーSEIBU RAILWAY Official Channel 2024年7月25日公開)
  9. ^ 「小田急の車両」が埼玉県を走った! “白い車体に青い帯”小手指駅に出現 西武鉄道が映像公開 - 乗りものニュース(2024年7月28日)
  10. ^ 「サステナ車両(8000系)」運行開始が2025年5月末に決定!”. 西武鉄道Webサイト. 2025年1月28日閲覧。
  11. ^ a b c 【サステナ車両】小田急電鉄8000形が西武鉄道8000系として生まれ変わります - YouTube(西武鉄道公式チャンネルーSEIBU RAILWAY Official Channel 2025年1月7日公開)
  12. ^ a b 【サステナ車両】小田急電鉄8000形(西武鉄道の車両形式は8000系に決定!)改修工事の状況を追いました - YouTube(西武鉄道公式チャンネルーSEIBU RAILWAY Official Channel 2024年9月26日公開)
  13. ^ 西武が導入する「小田急車」どう改造する? 外装は大変化!車内にも“異変” 今年度末にデビューへ - 乗りものニュース(2024年9月28日)
  14. ^ 小田急8000形が西武8000系に 「サステナ車両」発表 消費電力少なく - NHK首都圏ナビ(2024年9月26日)
  15. ^ 【動画】西武8000系改修は?「サステナ車両」ミニ映像にまとめました 小田急8000形 - NHK首都圏ネットワーク(2024年9月30日)
  16. ^ 【サステナ車両】西武鉄道、なぜ小田急の車両入手? 動画でみる改造現場【東京ふしぎ探検隊】 - YouTube(日本経済新聞 2024年11月15日)
  17. ^ 【動画】小田急の省エネ車両が西武で生まれ変わって出発 市松模様のデザイン、5月末から営業運転 - 産経ニュース(2025年1月7日)
  18. ^ 西武鉄道、元小田急のサステナ車両「8000系」お披露目 | 話題”. 鉄道新聞 - 鉄道ニュース. 2025年4月12日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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