関戸本古今和歌集
関戸本古今和歌集(せきどぼんこきんわかしゅう)は、名古屋の豪商・素封家関戸家に伝来する『古今和歌集』の零本。関戸家所蔵の冊子本(27丁)と諸家蔵の断簡[1]数十点ほどが確認されている。書写は11世紀後半か。伝称筆者は藤原行成。平安古筆の代表的遺品の一つで、書家に人気の高い一品。
概要
[編集]現存するものが『古今集』の各巻にわたることから[2]、もとは全20巻を上下2冊に調じたものと考えられる。江戸時代初期には、中院通村による奥書[3]から、1冊48丁となっていたことが解り、さらに明治時代に関戸家が所蔵後、1952年に切断分割されたため、現在は27丁分の冊子として残る。他に、通村の時代以前に切られた断簡数枚が諸家に伝存する。
装丁は列帖装。料紙は鳥の子紙、白紙の他に紫・藍・茶・黄・緑などの染め紙。濃淡を組み合わせ、繧繝彩色の効果を勘案しているか。現存するものでは永青文庫蔵と逸翁美術館蔵の2枚の断簡のみ金銀箔を散らした装飾料紙が用いられている[4]。
江戸時代にいくつかの模刻や模本が作られており、当時から人気があったようだ。
脚注
[編集]- ^ [1]
- ^ 巻一・三・四・十一・十二・十四・十五・二十。
- ^ 関戸家所蔵零本巻末に存する。「此一帖四十八枚者権大納言行成卿真跡無疑貽者依所望加證明之詞而已 前内相府源(花押)」
- ^ このことから、この2枚の断簡が関戸本でない可能性も考えられる。
参考文献
[編集]- 『日本名筆選19 関戸本古今集』 二玄社、1994年。