大臣補佐官

大臣補佐官(だいじんほさかん)は、2014年平成26年)5月30日に国家公務員法等の一部を改正する法律(平成26年法律第22号)が施行されたことにより、内閣府復興庁、各に設置される必置ではない特別職官職。なおデジタル庁には設置されていない。その職務は、内閣府設置法第14条の2により「内閣官房長官又は特命担当大臣の命を受け、特定の政策に係る内閣官房長官又は特命担当大臣の行う企画及び立案並びに政務(大臣委員会等の所掌に係るものを除く。)に関し、内閣官房長官又は特命担当大臣を補佐する。」、復興庁設置法第10条の2により「復興大臣の命を受け、特定の政策に係る復興大臣の行う企画及び立案並びに政務に関し、復興大臣を補佐する。」、国家行政組織法第17条の2により「その省の大臣の命を受け、特定の政策に係るその省の長である大臣の行う企画及び立案並びに政務に関し、その省の長である大臣を補佐する。」[1][2][3]とされている。内閣法によって内閣官房に設置される内閣総理大臣補佐官とは区別される。

概説

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特別職が定められた国家公務員法第2条の3では、大臣補佐官の序列は、大臣政務官の下、内閣総理大臣秘書官及び国務大臣秘書官並びに特別職たる機関の長の秘書官のうち人事院規則で指定するもの[4]の上に位置している[5]

大臣補佐官の任免は、内閣府と復興庁では内閣総理大臣が、各省では各大臣が申出をした上で、内閣が行う。各国務大臣はその裁量で1人ずつ大臣補佐官を置くことができ、内閣府の大臣補佐官の定数は6人以内、復興庁と各省の大臣補佐官の定数は各1人以内である[6]国会議員の兼任が可能で、勤務形態は常勤と非常勤のいずれも可能で、常勤の大臣補佐官の俸給月額は、内閣官房副長官補内閣広報官及び内閣情報官、常勤の内閣総理大臣補佐官と同額である[7]

イギリス政府の制度をモデルとし、民主党が導入を提唱した[6]2008年(平成20年)の国家公務員制度改革基本法には閣僚を助ける「政務スタッフ」との概念が盛り込まれ、2014年(平成26年)4月成立の国家公務員制度改革関連法で大臣補佐官として具体化した[6]。同年9月の第2次安倍改造内閣から制度の運用が始まった[8]

内閣総理大臣には5人の内閣総理大臣補佐官がおり、これを各省庁へ広げた制度とみることもできる[6]

大臣補佐官の一覧

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2024年(令和6年)1月12日時点で、大臣補佐官は1名(防衛大臣補佐官高見康裕)。

大臣補佐官の一覧(肩書きは当時)
大臣 補佐官氏名 補佐官の主要経歴 補佐官の担当 出典
石破茂
内閣府特命担当大臣(地方創生担当)
伊藤達也 自民党衆議院議員
内閣総理大臣補佐官(社会保障担当)、元金融担当大臣
地方の中小企業振興 [9][10]
塩崎恭久
厚生労働大臣
菅原晶子 経済同友会執行役 社会保障政策、労働政策 [9][10]
高木毅
復興大臣
谷公一 自民党衆議院議員
復興副大臣
復興全般 [9][10]
高市早苗
総務大臣
太田直樹 ボストンコンサルティンググループ
シニアパートナー兼マネージングディレクター
地方創生、情報通信技術 [9][10]
菅義偉
内閣官房長官
松田隆利 総務事務次官 内閣府のスリム化 [9][10]
福田隆之 新日本有限責任監査法人エグゼクティブディレクター・インフラPPP支援室長
野村総合研究所
公共サービス改革 [11][12]
下村博文
文部科学大臣
鈴木寛 東京大学慶應義塾大学教授
文部科学省参与
民主党参議院議員
文部科学副大臣
大学入試改革、学習指導要領改訂
東京オリンピックパラリンピック
[13][14]
馳浩
文部科学大臣
鈴木寛(再任) [15]
松野博一
文部科学大臣
鈴木寛(再任) [16]
林芳正
文部科学大臣
鈴木寛(再任) [17]
甘利明
内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)
福田峰之 自民党衆議院議員
横浜市会議員
個人番号(マイナンバー)制度 [18]
鶴保庸介
内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策担当)
島尻安伊子 元自民党参議院議員
内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策担当)
沖縄振興、子どもの貧困緊急対策 [19]
江崎鉄磨
内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策担当)
島尻安伊子(再任) [20]
福井照
内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策担当)
島尻安伊子(再任) [21]
宮腰光寛
内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策担当)
島尻安伊子(再任) [22]
山本幸三
内閣府特命担当大臣(地方創生担当)
三輪芳朗 大阪学院大学経済学部教授 経済統計の見直しに関する重要政策 [23]
麻生太郎
財務大臣
井上貴博 自民党衆議院議員 G20財務相・中央銀行総裁会議の準備 [24]
河野太郎
内閣府特命担当大臣(規制改革担当)
小林史明 自民党衆議院議員 規制改革 [25]
野田聖子
内閣府特命担当大臣(男女共同参画担当)
三原じゅん子 自民党参議院議員
厚生労働副大臣
男女共同参画に関する政策の企画・立案 [26]
木原稔
防衛大臣
和田義明 自民党衆議院議員 防衛生産・技術基盤の強化 [27]
高見康裕 自民党衆議院議員 [28]

脚注

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出典

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  1. ^ 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)”. e-Gov (2019年5月31日). 2019年12月24日閲覧。 “2019年10月1日施行分”
  2. ^ 復興庁設置法(平成二十三年法律第百二十五号)”. e-Gov (2018年5月23日). 2019年12月24日閲覧。 “2018年9月25日施行分”
  3. ^ 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)”. e-Gov (2018年12月14日). 2019年12月24日閲覧。 “2019年4月1日施行分”
  4. ^ 人事院総裁秘書官、会計検査院長秘書官、内閣法制局長官秘書官、宮内庁長官秘書官
  5. ^ 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)”. e-Gov (2019年6月14日). 2019年12月24日閲覧。 “2019年9月14日施行分”
  6. ^ a b c d 日本大百科全書(ニッポニカ),デジタル大辞泉. “大臣補佐官とは”. コトバンク. 2022年12月26日閲覧。
  7. ^ 特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号)”. e-Gov (2018年11月30日). 2019年12月24日閲覧。 “2018年4月1日施行分”
  8. ^ 新設ポストの大臣補佐官に期待はできるか”. 現代ビジネス (2014年9月14日). 2016年7月6日閲覧。
  9. ^ a b c d e 読売新聞 2015年3月1日
  10. ^ a b c d e (いちからわかる!)大臣をサポートする「補佐官」とは? 朝日新聞 2015年2月27日
  11. ^ 菅官房長官、補佐官に監査法人室長の福田隆之氏起用 公共サービス改革で
  12. ^ 第5回 仙台空港600万人・5万トン実現サポーター会議 講師等略歴
  13. ^ “文科相補佐官に鈴木氏 元民主参院議員”. 日本経済新聞 電子版. (2015年2月6日). https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG06H10_W5A200C1EAF000/ 2015年5月4日閲覧。 
  14. ^ 平成27年2月6日(金)定例閣議案件 人事”. 首相官邸 (2015年2月6日). 2015年5月4日閲覧。
  15. ^ 平成27年10月23日(金)定例閣議案件”. 首相官邸. 2021年1月26日閲覧。
  16. ^ 平成28年10月4日(火)定例閣議案件”. 首相官邸. 2021年1月26日閲覧。
  17. ^ 平成29年9月8日(金)定例閣議案件”. 首相官邸. 2021年1月26日閲覧。[リンク切れ]
  18. ^ 甘利氏が福田峰之衆院議員を大臣補佐官に任命 マイナンバー制度の担当
  19. ^ 沖北相補佐官に島尻氏起用 沖縄振興を担当 日本経済新聞 2016年8月24日付
  20. ^ 落選の自民・島尻氏、引き続き補佐官に 次期へ布石か - 沖縄:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞 (2017年8月10日). 2017年8月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月26日閲覧。
  21. ^ 沖縄・北方相補佐官に島尻氏再任 沖縄振興を担当”. 日本経済新聞 (2018年3月2日). 2022年12月26日閲覧。
  22. ^ 沖北相補佐官に島尻氏”. 日本経済新聞 (2018年10月5日). 2022年12月26日閲覧。
  23. ^ 地方創生相、大臣補佐官に大阪学院大の三輪教授 日本経済新聞 2016年9月16日付
  24. ^ 財務相補佐官に井上貴博衆院議員、G20福岡会合の準備を担当 日本経済新聞 2016年11月1日付
  25. ^ ワクチン補佐官に小林史明氏 河野氏をサポート 日本経済新聞 2021年1月20日付
  26. ^ 少子化相補佐官に三原氏 日本経済新聞 2021年11月19日付
  27. ^ “防衛相補佐官に和田氏 生産・技術基盤強化担当”. 産経新聞. (2023年10月10日). https://www.sankei.com/article/20231010-LY4ED25RFVPNVOPAD7FAQEJUNY/ 2023年10月10日閲覧。 
  28. ^ “防衛相補佐官に高見康裕衆院議員 生産・技術基盤強化担当”. 産経新聞. (2024年1月12日). https://www.sankei.com/article/20240112-LYUN75LE5FIV7AXZNV6LS3NXJ4/ 2024年1月12日閲覧。 

関連項目

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