094型原子力潜水艦

晋型原子力潜水艦
基本情報
艦種 戦略ミサイル原子力潜水艦
建造所 遼寧省葫芦島市葫蘆島造船所
運用者  中国人民解放軍海軍
就役期間 2007年 - 就役中
計画数 6隻
建造数 2隻(094型)
4隻(094A型)
前級 092型原子力潜水艦
次級 096型原子力潜水艦
要目
排水量 12,000t
全長 137m
最大幅 12.5-13m
最大速力 20ノット以上
乗員 140名
兵装
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094型原子力潜水艦は、中国人民解放軍海軍が運用する原子力弾道ミサイル潜水艦[1]NATOコードネーム晋王朝に因んで晋級(Jin Class)。

建造

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093型原子力潜水艦(商級)の船体を延長し潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載した潜水艦であり[1]、旧式かつ1隻の建造に留まった092型原子力潜水艦に代わり、核抑止力確保のための弾道ミサイル搭載原子力潜水艦である。

2001年[2]遼寧省葫蘆島造船所で建造が始まり、1番艦は2007年に就役した[2][3]2014年2月には、海南島の亜竜湾海軍基地(楡林海軍基地)に3隻の094型原子力潜水艦が結集していることが報道され[4]、2016年までに4番艦[5]、2022年までに6番艦が就役したとされている[2]

中国共産党系の英字ニュース「グローバルタイムズ」は2020年4月22日、094型原子力潜水艦(晋級)とみられる「新たな戦略原子力潜水艦」が最近就役したことを明らかにした[6]

米国防総省は、2020年9月1日に発表した中国の軍事力についての年次報告書「2020 China Military Power Report」の中で、094型原子力潜水艦(SSBN)4隻をすでに運用し、新たに2隻が各種装備などを船体に取り付ける艤装中と指摘した。さらに、同報告書は中国海軍が2030年までに094型と、現在開発中の最新の096型原子力潜水艦(唐級)を合わせてSSBN8隻を保有する可能性があると指摘した[7]

2021年11月29日、台湾海峡で潜水艦が浮上航行している姿が衛星画像から発見された。潜水艦の専門家は、浮上した潜水艦が094型原子力潜水艦であるとの見方を示した[8]

設計

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JL-1とJL-2の比較画像

094型原子力潜水艦は12基のJL-2「巨浪二型」SLBM(射程6,000km以上)を運用可能で、生残性と即応性が大幅に向上したとされている。JL-2の最初の試射は、ゴルフ級通常動力潜水艦によって2002年8月に行われた[9]。これは水中発射で到達射程は6,000kmであった。2回目の試射は2003年に、3回目の試射は2004年8月に実施された。

1番艦は2007年に就役したが、SLBMの戦力化は2014年まで遅れ[2]核抑止パトロールは2015年12月に開始された[10]。094B型では、改良型のJL-2A(射程8,000km以上)を搭載するとされている[2]

アメリカ海軍では094型の静粛性は高くないと推測しており、秘匿性に問題があるとしている[1]が、原型の094型は1番艦・2番艦のみで、3-5番艦は改良型の094A型[11]、6番艦は094B型と区別されている。094B型はセイルの形状を改良し、水中航走時の雑音を低減したとされている[2]

比較表

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世界の弾道ミサイル原子力潜水艦
ロシアの旗955型(ボレイ型) 中華人民共和国の旗094型(晋級) フランスの旗ル・トリオンファン級 イギリスの旗ヴァンガード級 アメリカ合衆国の旗オハイオ級
船体 水中排水量 24,000 t 12,000 t 14,335 t 15,900 t 18,750 t
全長 170 m 135 m 138 m 149.9 m 170.67 m
全幅 13.5 m 12.5 m 12.5 m 12.8 m 12.8 m
吃水 9.0 m 不明 12.5 m 12 m 11.1 m
主機 機関 原子炉+蒸気タービン+発電機 原子炉+蒸気タービン+発電機+電動機 原子炉+蒸気タービン
方式 ギアード・タービン ターボ・エレクトリック ギアード・タービン
出力 不明 41,500 hp 27,500 shp 60,000 shp
水中速力 25 kt 20 kt以上 25 kt 24 kt(推定)
兵装 水雷 533mm魚雷発射管×6門 533mm魚雷発射管×4門
SLBM 3M14×16基 JL-2×12基 M51×16基 トライデントD5×16基 トライデントC4/D5×24基
同型艦数 14隻予定 8隻予定 4隻 4隻 18隻[注 1]


同型艦

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建造順序 艦番号 造船所 艦名 就役 配備先
1番艦 411 渤海造船所 長征09 2007年 南海艦隊
2番艦 413 長征11 2009年
3番艦 412 長征10 2011年
4番艦 414 長征12 2012年
5番艦 420 不明 2020年
6番艦 421 長征18 2021年4月23日[12]

画像流出事件

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2007年にアメリカの商用人工衛星により、大連市葫芦島市で停泊中の094型が撮影された[13]。また、同年、至近距離から撮影した画像が中国語系の匿名掲示板に投稿された[14]。この写真の画像解析により、弾道ミサイル区画の挿入により全長が20mほど延長されていること、弾道ミサイル搭載数は当初推定されていた16基でなく12基であることなどが判明した。

脚注

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注釈

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  1. ^ 4隻はSSGNに改装

出典

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  1. ^ a b c 戦略原潜「晋」型,小林正男,『世界の艦船』2014年6月号,P82-83
  2. ^ a b c d e f 「写真特集 中国軍艦2022」 『世界の艦船』第969集(2022年4月号)海人社 P.22
  3. ^ 「中国の現代軍艦」,『世界の艦船』2014年6月号,P22,海人社
  4. ^ “中国原潜3隻が集結=南シナ海で海軍力誇示”. 時事ドットコム (時事通信社). (2014年2月9日). http://www.jiji.com/jc/zc?k=201402/2014020800253&g=int 2014年2月9日閲覧。 
  5. ^ Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2016,国防総省,P26,2016年
  6. ^ 中国海軍、最新の原子力潜水艦を就役”. 高橋浩祐. Yahoo!ニュース. 2020年4月24日閲覧。
  7. ^ 「中国が世界最大の海軍を保有」米国防総省が指摘”. 高橋浩祐. Yahoo!ニュース. 2020年9月2日閲覧。
  8. ^ 中国原潜が台湾海峡を浮上航行か、不測事態のリスク浮き彫りに”. CNN (2021年12月4日). 2023年8月25日閲覧。
  9. ^ 阿部純一『第二砲兵部隊と核ミサイル戦力』 「中国をめぐる安全保障」収録 ミネルヴァ書房 2007年 ISBN 978-4623048595
  10. ^ Fisher, Richard D., Jr. (16 December 2015). “China advances sea- and land-based nuclear deterrent capabilities”. Jane's Defence Weekly (Surrey, UK: Jane's Information Group) 53 (6). ISSN 0265-3818. 
  11. ^ 今日の中国軍艦 原子力弾道ミサイル潜水艦「晋」型/094・094A型,『世界の艦船』2021年4月号,P22,海人社
  12. ^ 习近平出席海军3型舰艇集中入列仪式 海南舰正式服役”. 2021年4月27日閲覧。
  13. ^ Technobahn 2007/7/10 GoogleEarthが偶然に捉えた中国海軍の最新鋭の潜水艦
    大連市:写真位置座標、葫芦島市:写真位置座標
  14. ^ Technobahn 2007/10/31 ネット上に流出? 中国海軍の最新鋭原子力潜水艦の画像

関連項目

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外部リンク

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