iOS 18
開発者 | Apple |
---|---|
OSの系統 | iOS |
ソースモデル | オープンソースのコンポーネントを使用したクローズドソース |
RTM版 | 2024年9月16日 |
最新安定版 | 18.2 (22C152) / 2024年12月12日 |
使用できる言語 | [注釈 1] |
プラットフォーム | iPhone
|
カーネル種別 | ハイブリッド(XNU) |
既定のUI | Cocoa Touch (マルチタッチ, GUI) |
ライセンス | プロプライエタリソフトウェア |
先行品 | iOS 17 |
ウェブサイト | Apple - iOS 18 |
iOS 18は、Appleが開発しているモバイルオペレーティングシステムiOSの18番目のメジャーリリースである。開発者向けβ版は、発表当日の2024年6月11日(日本時間)に配信され、正式リリース版が2024年9月16日(日本時間17日)から配信開始された[2]。
概要
[編集]2024年6月11日、WWDC 2024で発表された[3]。対応端末はiPhone XS/XS Max以降のiPhoneで、iOS 17対象の全てのモデルがサポートされる[4]。
新機能・変更点
[編集]Apple Intelligence
[編集]Apple Intelligence(アップル インテリジェンス)が、プライバシー保護に配慮し、パーソナルコンテキストを理解する、独自開発した生成モデルを据えるパーソナルインテリジェンスシステム(人工知能プラットフォーム)として、iOS 18.1、iPadOS 18.1、macOS Sequoia 15.1以降での全面採用と応用した多数の機能が発表された[注釈 2][3][5][6]。
新しいSiriから、外部のChatGPT-4oをOpenAIのアカウントや契約無しで利用することも可能となる。2024年10月から米国英語でのベータテストが始まり、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、南アフリカ、イギリスでの英語は同年12月から、日本語、中国語、スペイン語、フランス語対応は2025年中となる予定[注釈 2][3][6]。iPhoneシリーズにおいてはiPhone 15 Pro/15 Pro Max、iPhone 16、16Plus、iPhone 16 Pro、16 Pro Maxシリーズの計6機種でのみサポートされる[7][8](iOS 18.2現在)。
ホーム画面とロック画面
[編集]ホーム画面
[編集]ホーム画面のアプリを(上段から左詰めにすることなく)画面上の自由な位置に配置する事が可能となった。また、アプリアイコンがダークモードによって黒基調の色彩に変更できたり、任意の色に変更できるオプションやアプリ名の表示を消してアイコンを大きくするオプションが追加された[3][4]。
ロック画面
[編集]ロック画面の下に表示されるアイコンの変更と用途が変更可能になった[3][4]。
アプリのロック
[編集]全てのアプリでFace ID、Touch ID、パスコードでのロック機能に対応したほか、他の人に見られたくないアプリを隠す機能などが搭載された[3][4]。アプリをロックをすることで通知が自動的にオフとなる。
コントロールセンター
[編集]新しくデザインされたコントロールセンター。これまでよりもさらに自由にカスタマイズ可能になり、コントロールギャラリーからアプリなどのコントロールを追加できるようになった。また、ボタンのサイズの変更やページを複数にすることも可能になった[3][4]。さらに、ショートカット、サードパーティーのアプリのコントロールを追加することも可能となった。iOS 18.1で設定からレイアウトをリセットできるようになった。
写真
[編集]iOS18からは写真アプリが一新され、新しい表示方法に変更された。Apple Intelligenceを活用し、自動でアルバムを生成したり、音楽と共にスライドショーを作成する機能の機能向上とより一層複雑な検索キーワードに対応した検索機能や、意図しない写り込みを除去してくれるクリーンアップ機能などが搭載された[注釈 3][3][4]。なお、あまりにもUIの変更が不人気だったのか、iOS 18.2では従来に近いUIに戻されている。
メール
[編集]一新されたデザインに変更され、「重要」「支払い」「プロモーション」などに自動で振り分ける機能が追加される予定である[注釈 4]。また、Apple Intelligenceを使用できるようになるため、メールの返信内容を校閲してくれたり自動で返信内容の提案や文体の変更を行なってくれる[注釈 3][3][4]。
メッセージ
[編集]新しいテキストスタイル(太文字、イタリック、下線、取り消し線など)に対応。リアクション機能であるTapbackも強化され、自分の写真から作成したステッカーや絵文字を使用できるようになった。さらに、「あとで送信」機能やRCSに対応した[3][4]。
RCS対応により、iPhoneとAndroidの端末間でのメッセージ機能が強化され、SMSよりも高解像度の写真、動画、大きなファイルサイズのファイル共有、音声メッセージ、絵文字リアクション、入力中のインジケーターの表示、既読機能、携帯電話もしくはWi-Fi経由でのメッセージ送信に対応した[注釈 5][注釈 6][10]。
衛星通信を経由したメッセージ
[編集]iPhone 14以降のモデルの場合、インターネット通信がない場合でも通信衛星を経由してメッセージを送信する機能が登場[3][4]。この機能は、iOS 18.1がリリースされた2024年10月29日から1年間サポートすると公式が発表している。
電話
[編集]電話内容を録音する機能に対応した。さらに録音した音声を自動でテキストに変換する機能も実装された[注釈 7][3][4]。
計算機
[編集]計算機アプリが大幅に強化され、通貨や単位の変換にも対応した。その他、縦画面での関数計算に対応し、「計算メモ」と呼ばれるメモに手書き、もしくは打ち込みで計算式を書くと自動的に計算したりグラフを表示したり、履歴などの機能が搭載された[3][4]。計算メモを使用した場合、メモ帳のページとして残される。
Safari
[編集]Safariに関連項目について自動的に検索し表示してくれる機能やApple Intelligenceを活用した要約機能が追加された[注釈 3][3][4]。
AirPods
[編集]AirPods Pro 2が首振りによる操作に対応。「はい」なら縦に、「いいえ」なら横に首を振ることで人の多いところや話せない場面でもSiriが応答することが可能になった[3][4]。iOS 18.1ではヒアリングチェックとヒアリング補助機能が追加された。
メモ
[編集]メモアプリで音声から自動で文章を書き出す機能やノートに手書き、もしくは打ち込みで計算式を書くと自動的に計算したりグラフを表示する機能が搭載された[3][4]。その他、ハイライトの色や折りたたみ式の書式が追加された。
Apple TVアプリ
[編集]TVアプリで音声の協調に対応[注釈 8]。インサイト(英: InSight)と呼ばれる機能で映画の最中に出演している俳優や音楽を検索しお気に入りやApple Musicに追加する事が可能になった[3][4]。
パスワード
[編集]これまでのiCloudキーチェーンが独立したアプリになった。Webサイトやアプリのアカウント、パスキー、Wi-Fiのパスワードなどを管理することができる。このアプリはiPhone、iPad、Mac、Apple Vision Pro、Windowsに対応している[3][4]。
ゲームモード
[編集]macOS Sonomaで追加されたゲームモードと同様の機能に対応した。これにより、ゲーム時のゲームアプリ以外の動作を極力控えることでゲームパフォーマンスを向上させる[3][4][11]。
マップ
[編集]高度が表示に対応し、ハイキングコースをカスタマイズしたり、オリジナルのウォーキングやハイキングのルートの作成が可能になった[3][4]。
ウォレット
[編集]ウォレットに追加したパスに会場の案内やマップ、当日の天気などが表示できる機能が追加された[3][4]。
ホーム
[編集]iPhoneをポケットに入れたまま、Apple Watchを装着したまま何も操作せずにロックされたドアのロックを解除できる機能が追加された[3][4]。
カレンダー
[編集]新しくなったデザインにより見やすさが向上したほか、リマインダーとの機能連携が可能になった[3][4]。
プライバシーとセキュリティー
[編集]アプリに共有する連絡先が、今までは全てを共有するかしないかの二択だったが、自由に共有する連絡先をユーザー自身が選択する機能が追加された[3][4]。
緊急通報
[編集]緊急通報時に接続している機関とビデオ通話を行う機能に対応した[3][4]。
アクセシビリティ
[編集]「視線トラッキング」によって目線での操作に対応。その他、音楽に合わせiPhoneが振動する「ミュージックの触覚」、Siriが理解できる独自の発話音声を割り当ててタスクを実行させる「ボーカルショートカット」、自動車などに乗車中の乗り物酔いを軽減させるのに役立つ「車両モーションキュー」などの機能が追加された[12][3][4]。
廃止機能
[編集]iOS 8で登場したサードパーティー製の旧式のウィジェットが廃止され使用できなくなった(iOS 14以降に対応のウィジェットについての変更はない)。
バージョン
[編集]凡例: 過去のバージョン 最新のバージョン 最新のベータバージョン
正式版
[編集]バージョン | ビルド | 配信日 | 更新内容[15] | ノート[16] |
---|---|---|---|---|
18.0 | 22A3351 | 2024年9月20日 | iPhone 16シリーズ向けの初期インストール版 | |
22A3354 | 2024年9月17日 | [17][18] | ||
18.0.1 | 22A3370 | 2024年10月4日 | 一部のiPhoneモデルで、メモリ割り当ての不具合によりパフォーマンスに影響が及ぶことがある問題の修正 その他のバグ修正・セキュリティアップデート | [15] |
18.1 | 22B83 | 2024年10月28日 |
| [19] |
18.1.1 | 22B91 | 2024年11月19日 | セキュリティアップデート[20] | |
18.2 | 22C152 | 2024年12月12日 | iPhone16シリーズに搭載されているカメラコントロールの誤反応の修正や感度の向上。 写真アプリのUIの大幅な変更。 Safariの新機能追加。 セキュリティアップデート[21] | [22] |
ベータ版
[編集]版 | バージョン | ビルド | 配信日 | 更新内容 | リリースノート |
---|---|---|---|---|---|
Developerβ Public β | 18.2 RC 2 | 22C151 | 2024年12月10日 | Apple Beta Programに参加している人向け
| [1] |
Developer β | 18.3 | 22D5034e | 2024年12月16日 | Homeアプリにおいてロボット掃除機のサポートが追加 | [2] |
(注:全て日本時間)
対応端末
[編集]以下は、iOS 18に対応している端末の一覧である[4]。
iPhone
[編集]- iPhone XS/XS Max
- iPhone XR
- iPhone 11
- iPhone 11 Pro/11 Pro Max
- iPhone SE (第2世代)
- iPhone 12/12 mini
- iPhone 12 Pro/12 Pro Max
- iPhone 13/13 mini
- iPhone 13 Pro/13 Pro Max
- iPhone SE (第3世代)
- iPhone 14/14 Plus
- iPhone 14 Pro/14 Pro Max
- iPhone 15/15 Plus
- iPhone 15 Pro/15 Pro Max
- iPhone 16/16 Plus
- iPhone 16 Pro/16 Pro Max
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 英語, 広東語, 中国語(繁体字、簡体字), フランス語, ドイツ語, イタリア語, 日本語, 朝鮮語, スペイン語, ポルトガル語, アイヌ語, アルバニア語, アムハラ語, アラビア語, アルメニア語, アッサム語, アッシリア語, アゼルバイジャン語, ベンガル語, ベラルーシ語, ボド語, ブルガリア語, ビルマ語, カタロニア語, チェロキー語, クロアチア語, チェコ語, デンマーク語, ディベヒ語, ドーグリー語, オランダ語, 絵文字, エストニア語, フェロー語, フィリピノ語, フィンランド語, フラニ語, ジョージア語, ギリシャ語, グジャラート語, ハワイ語, ヘブライ語, ヒンディー語, ハンガリー語, アイスランド語, イボ語, インドネシア語, アイルランド・ゲール語, カンナダ語, カシミール語, カザフ語, クメール語, コンカニ語, クルド語, キルギス語, ラオ語, ラトビア語, リトアニア語, マケドニア語, マイティリー語, マレー語, マラヤーラム語, マルタ語, マニプル語, マオリ語, マラーティー語, モンゴル語, ナバホ語, ネパール語, ノルウェー語, オディア語, パシュト語, ペルシャ語, ポーランド語, パンジャブ語, ロヒンギャ語, ルーマニア語, ロシア語, サンスクリット語, サンタル語, セルビア語, シンド語, シンハラ語, スロバキア語, スロベニア語, スワヒリ語, スウェーデン語, タジク語, タミール語, テルグ語, タイ語, チベット語, トンガ語, トルコ語, トルクメン語, ウクライナ語, ウルドゥー語, ウイグル語, ウズベク語, ベトナム語, ウェールズ語[1]
- ^ a b iPhone 15 Pro/15 Pro Max以降に対応
- ^ a b c この機能はiPhone 15 Pro/15 Pro Max以降のみ対応[9]
- ^ 年内に使用可能(2024年)
- ^ 米国の一部キャリア(RCSに対応したキャリア)を使用する利用者が利用可能。[10]
- ^ Wi-Fi経由でのRCSメッセージ送信は無料
- ^ 英語の他、日本語にも対応
- ^ iPhone 11以降対応
出典
[編集]- ^ “iOSとiPadOS - 利用できる機能”. Apple(日本). 2021年9月20日閲覧。
- ^ “iOS 18” (英語). Apple. 2024年9月10日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z “Keynote - WWDC24 - Videos” (英語). Apple Developer. 2024年6月12日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y “iOS 18 Preview” (英語). Apple. 2024年6月11日閲覧。
- ^ “macOS Sequoiaは、Macの生産性とインテリジェンスを新たな高みへと引き上げます”. Apple Newsroom (日本). 2024年6月11日閲覧。
- ^ a b “Apple IntelligenceがiPhone、iPad、Macに来月から登場”. Apple Newsroom (日本). 2024年9月17日閲覧。
- ^ “How to get Apple Intelligence on iPhone - Apple サポート (日本)”. Apple Support (2024年). 2024年9月17日閲覧。
- ^ “iPhone、iPad、MacにApple Intelligenceが登場”. Apple Newsroom (日本). 2024年6月11日閲覧。
- ^ published (June 10, 2024). “Here are the devices that will support Apple Intelligence — no older iPhones allowed” (英語). Tom's Guide. June 10, 2024閲覧。
- ^ a b “iOS18の開発者向けベータ2で、米国の一部ユーザーがRCSを利用可能に - iPhone Mania”. iphone-mania.jp (2024年6月26日). 2024年6月27日閲覧。
- ^ “iPhoneの新機能ゲームモードがiOS 18にて登場決定”. Yahoo! ニュース (日本). 2024年6月11日閲覧。
- ^ “Apple、視線トラッキングなどの新しいアクセシビリティ機能を発表”. Apple Newsroom (日本). 2024年9月6日閲覧。
- ^ iOS 18 - Apple(日本)
- ^ “Appleのセキュリティリリース”. Apple Support. 2024年9月18日閲覧。
- ^ a b c “iOS 18 のアップデートについて - Apple サポート (日本)”. Apple Support (2024年). 2024年10月5日閲覧。
- ^ “iOS & iPadOS Release Notes” (英語). Apple Developer Documentation. 2024年12月12日閲覧。
- ^ “iOS 18 (22A3354) - Releases - Apple Developer” (英語). developer.apple.com. 2024年9月20日閲覧。
- ^ “iOS & iPadOS 18 Release Notes” (英語). Apple Developer Documentation. 2024年9月20日閲覧。
- ^ “iOS & iPadOS 18.1 Release Notes” (英語). Apple Developer Documentation. 2024年12月12日閲覧。
- ^ “About the security content of iOS 18.1.1 and iPadOS 18.1.1 - Apple サポート (日本)”. Apple Support (2024年). 2024年11月19日閲覧。
- ^ “About the security content of iOS 18.2 and iPadOS 18.2 - Apple サポート (日本)”. Apple Support (2024年). 2024年12月12日閲覧。
- ^ “iOS & iPadOS 18.2 Release Notes” (英語). Apple Developer Documentation. 2024年12月12日閲覧。