iPhone 4
iPhone 4(ブラック) | |
製造元 | Apple |
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種別 | スマートフォン |
世代 | 第四世代 |
発売日 | GSM/UMTS版 黒:2010年6月24日 CDMA版 黒:2011年2月10日 白:2011年4月28日 8GB 白黒:2011年10月14日 |
OS | iOS 4.0(初期搭載) iOS 7.1.2(最終サポート) |
CPU | Apple A4 (シングルコア ARM Cortex-A8), 800MHz |
メモリ | 512 MB |
ストレージ | 8, 16, 32 GB |
ディスプレイ | 3.5インチ (89 mm) 1.5:1比ワイドディスプレイ, LEDバックライト IPS方式TFT液晶 Retinaディスプレイ 640x960, 326ppi 800:1 コントラスト比 最大500 cd/m2輝度 指紋・撥油コーティング |
グラフィック | Apple A4(シングルコア PowerVR SGX535), 200MHz |
入力機器 | マルチタッチタッチスクリーン液晶、ヘッドセットコントロール、近接周囲光センサ、3軸加速度計、デジタルコンパス |
オンラインサービス | iTunes Store, App Store, MobileMe, iCloud |
前世代ハード | iPhone 3GS |
次世代ハード | iPhone 4S |
関連商品 | iPod touch, iPad |
ウェブサイト | アップル - iPhone (Archive) |
iPhone 4(アイフォーン フォー)は、Appleが開発・販売していたiPhoneの第4世代目のモデルである。
概要
[編集]2010年6月7日にWWDCで発表され、同年6月24日から順次世界各国で発売が開始された。iPhone 3G以来、シリーズ2度目のフルモデルチェンジとなった。
日本ではiPhone 3GS同様にソフトバンクモバイルのみが販売していた。
2016年10月に、Appleでのサポート(修理受付・iOSのアップデートなど)が終了した[1]。
特徴
[編集]ボディ背面をポリカーボネイト製の丸みを帯びたデザインから強化ガラスによる平坦なデザインに変更、側面はアンテナラインと呼ばれる樹脂製のパーツを兼ねたステンレス製のフレームの構造となり、従来より小型・薄型化された。システムチップを自社開発のApple A4プロセッサに変更して高速化・省電力化し、「Retinaディスプレイ」と名付けられた326ppiという超高解像度ディスプレイを初搭載、背面にLEDフラッシュライト付500万画素カメラ(裏面照射型CMOSセンサ採用)、さらに「FaceTime」と呼ばれるビデオ通話用に前面カメラを搭載した。
機能面では、HDビデオ記録機能や3軸ジャイロセンサを実装し、バッテリーのさらなる高容量化(19%)、iMovie for iPhone による単体でのビデオ編集、iOS 4で実現したマルチタスクやアプリケーション用フォルダを搭載するなど、大幅な機能の向上を図っている。容量も16GBと32GBモデルが用意されている。
バッテリーの高容量化とA4プロセッサへの移行によりバッテリー駆動時間は約40%向上。iPhone 3GSも引き続き併売されるが、iOS 4を標準搭載した新構成の8GBブラックモデルのみとなり、iPhone 3Gの販売は終了した。
ホワイトモデルの遅れ
[編集]iPhone 4の発表当初、カラーは従来通りホワイトとブラックの2色が発表されたが、当初に発売されたのはブラックモデルのみであり、ホワイトモデルは製造上の問題により2010年7月末→2010年内→2011年春と延期を重ねた。2011年1月12日にアメリカ及び日本のApple公式サイトよりホワイトモデルに関する記述が削除されたが、後に同年4月28日にアメリカや日本などで発売された[2]。
CDMA版iPhone発売
[編集]2011年2月10日からは、アメリカ合衆国にてベライゾン・ワイヤレスのCDMA2000ネットワークに対応したiPhone 4が発売された。これにより、米国でのAppleとAT&Tによる独占パートナーシップは終了した。
CDMA版iPhone 4は、SIMカードスロットが搭載されていない。また、このCDMA版iPhone 4の外観は、後に発売されたiPhone 4Sと全く同じであり、側面のアンテナの位置が異なり、マナーモードボタンと音量ボタンの位置が数ミリ下にずれている。
また、CDMA版であるため、CDMAを展開するキャリアのないヨーロッパなどではローミングは利用できない。
プロトタイプ紛失事件
[編集]AppleのiPhoneベースバンドソフトウェア担当者が、サンノゼのバーにプロトタイプのiPhone 4を置き忘れ、それを何者かが拾ってギズモード記者の手に渡るという事件が起きた。ギズモードはそのプロトタイプiPhone 4を分解し、ネット上に公開した[3]。Appleは「GIZMODOがAppleに帰属するデバイスを現在所有していることについて、この書簡は、当該デバイスのAppleへの正式な返却要請です。当該デバイスをどこで受け取ればいいか、場所を提示して下さい。」としてギズモードに返却を求めたが、ギズモードは応じなかった[4]。これに受けてAppleは警察に捜査を依頼し、ギズモードのオフィスに家宅捜査が入るに至った。
Appleはギズモードに対し、このiPhone 4が発表されたWWDC 2010からプレスパス発給を拒否して出入りを禁じたため、これ以降ギズモードはAppleによる基調講演の実況などを行う際、他社の記事を引用する形で報じる形となっていた[5][6]。
その後、いくつかのやり取りを経てAppleとギズモードは正式に和解し、iPhone 6が発表された2014年9月のイベントからは従来通りプレスパスが発行されるようになった[7]。
iOS
[編集]初期搭載は4.0である。最終サポートは7.1.2までであり、2014年9月にリリースされたiOS 8ではサポートされない。
歴史
[編集]- 2010年4月 - カリフォルニアで従業員が飲食店でiPhone 4試作機を紛失[8]。ガジェット系ブログで売られる騒動となった[9][10]。
- 2010年6月8日 - iPhone 4を発表。
- 2010年6月24日 - iPhone 4、アメリカ・イギリス・ドイツ・日本・フランスにおいて販売を開始。
- 2011年1月11日 - CDMA版iPhone 4を発表。
- 2011年2月10日 - アメリカのベライゾン・ワイヤレスよりCDMA版iPhone 4が発売開始。
- 2011年4月28日 - iPhone 4 ホワイトモデルがアメリカなどで発売開始[2]。
- 2011年10月14日 - iPhone 4の8GBモデル発売開始。同時に従来の16GBモデルと32GBモデルの販売は終了。この日はiPhone 4S発売日でもあった。
- 2016年10月 - Appleでのサポート(修理受付・iOSのアップデートなど)終了[1]。
主な仕様
[編集]- CPU - Apple A4 800MHz、Cortex-A8 ベース、L2キャッシュ640KB
- GPU - PowerVR SGX535 + VXD 375
- メモリ - 512MB Mobile DDR SDRAM
- ストレージ - 8/16/32GB
- ディスプレイ - Retinaディスプレイ、3.5インチ(89mm)、画面比率3:2、アルミノケイ酸ガラス、IPS液晶、960×640px(326ppi)、耐指紋性撥油コーティング
- 初期搭載OS - iOS 4
- 通話方式 - 第3世代携帯電話
- 通信方式
- インターフェース - USB 2.0/ドックコネクタ
- 他 - 3軸ジャイロスコープ、2つのマイクにノイズキャンセリング、microSIM
- 材質 - ジルコニアとイットリウムを用いた材質にシリコンコーティングされたもの[13][14]
- 電池 - 内蔵充電式 リチウムイオンポリマー二次電池[15][16][17]
3.7V 1420mA·h[18] - 連続利用時間
- 待受 - 300時間
- 通話 - 7時間(3G)、14時間(2G)
- ウェブ - 10時間(Wi-Fi)、6時間(3G)
- 音楽 - 40時間
- ビデオ - 10時間
- 本体色 - 黒と白
- サイズ - 115.2×58.6×9.3mm(4.5×2.31×0.37 in)
- 重さ - 137g
- SAR値 - 0.975W/kg(UMTS I 2100)[19]
- 発売開始日(米国)
- 発売終了日(米国)
問題点
[編集]液晶ディスプレイ
[編集]iPhone 4発売以降、一部製品の液晶ディスプレイが変色するという問題が発覚している[20]。
iPhone 4とiPhone 4Sには「人間が知覚出来る以上の解像度」という触れ込みのRetinaディスプレイ(英:Retina display、網膜ディスプレイ。レティナディスプレイとも)が採用された。1ピクセルの幅が78マイクロメートルと小型化され、スペックとしても3.5インチサイズのディスプレイで解像度326ppiと、従来のiPhone比で約2倍の解像度を実現した[21]。実際には人間の網膜の限界には、解像度が足りていないと指摘されている[22]。
アンテナ問題
[編集]アンテナ設計の不備の為に本体を左手で持つとアンテナが塞がれて電波の受信感度が悪化し、最悪の場合通話・通信の切断に至るという不具合が発生しており、アメリカでは欠陥を知りながら注意喚起をせず[23]、不具合品の販売を続けるAppleに対し複数の集団訴訟が起きている。訴訟内容は設計、製造と組み立てにおける欠陥、保証違反、欺瞞的取引行為、意図的および過失による不実表示、隠蔽詐欺など多岐に渡る[24]。当時のApple CEOスティーブ・ジョブズは、Appleの初代マーケティング責任者で引退していたレジス・マッケンナにアドバイスを仰ぎ、解決の糸口を探って、これらの騒動を10日間前後という短期に治めることに成功した[25]。
この不具合はiPhone 4だけの問題ではなくどの携帯電話でも起きることだと反論、アンテナ感度について計算式の間違いにより低く表示していたとしソフトウェアの改善をすると発表したが[26]、後日、Appleはアンテナの件に関する基調講演を行い、一連のアンテナ問題をウォーターゲート事件にちなみ、アンテナゲート事件と命名し、ジョブズは「我々は完璧ではないし、電話もまた完璧ではない」としブラックベリー、HTC、サムスンなどのスマートフォンとiPhoneとのアンテナ感度の比較動画を出して他社の製品でも起こり得ることとした。さらにApple社内の最新電波測定施設の写真をスライドで公開し、その投資額が1億ドル以上であり、18人の博士号を取得した専門エンジニアが設計や研究に当たっていると加えた。ジョブズは「まずスマートフォンには共通のアンテナに関する問題を抱えていること、そしてAppleCareで問い合わせてきたユーザーのアンテナに関する苦情が全体のわずか0.55%だったこと、そして米国でのiPhone提供キャリアであるAT&Tへの返品依頼の割合が3GS時代の3分の1だったこと、そして最後にAT&Tが集計したデータで“Call Drop”(通話中の切断)の割合が3GSの1%未満だということを合わせ、実際にiPhone 4でアンテナにトラブルを抱えているユーザの割合はごく少数でしかない」とした。[27] しかし、指が触れることにより感度が落ちる問題は認め、アンテナ部に指が触れない様にする為の保護ケース(Apple純正のBumperや他社製品)を無償で配布することや、購入後1ヶ月以内の傷が付いていないものに限り購入者からの返品を認めると発表した[28](問題の大きさは想定していたより小さかったとして、保護ケース無償配布は2010年9月30日に終了[29])。
この、他の電話会社のスマートフォンも同じ持ち方をすれば受信感度は弱くなるという主張を、具体的な機種と詳細付きで報道機関向けの発表会やウェブサイトで公表したため[30]、比較対象となった各スマートフォン製造社から反論や非難を浴びた[31][32][33][34]。アンテナの不具合が取り沙汰されるのと前後して、iPhoneのハードウェア部門責任者、マーク・ペーパーマスター上級副社長がAppleを退社している[35][36]。
iPhoneのモデルのタイムライン
[編集]脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b iPhone 4修理サポート終了、ソフトバンクの保証サービスは自動解除に - ケータイWatch 2016年11月15日
- ^ a b アップル、iPhone 4のホワイトを28日より発売 -製品発表から約10カ月越しで発売に,AV Watch,2011年4月27日
- ^ 飲み屋に落ちてた次世代iPhone徹底解剖(その2) | ギズモード・ジャパン
- ^ A Letter: Apple Wants Its Secret iPhone Back
- ^ Appleが米Gizmodoのプレスパス発行を拒否、「iPhone 4」発表前に試作品をゲットしたのが原因か - GIGAZINE
- ^ WWDC 2010 リアルタイム更新終了しました! | ギズモード・ジャパン
- ^ “米Gizmodoにとっても、アップルのイヴェントは特別なものになります”. ギズモード・ジャパン. (2014年9月8日) 2021年5月4日閲覧。
- ^ “「iPhone 4」試作機流出事件の被告ら、罪状認否で無罪を主張”. CNET Japan (2011年9月2日). 2024年2月9日閲覧。
- ^ “「iPhone 4」試作機流出事件、被告2名に判決--執行猶予1年”. CNET Japan (2011年10月12日). 2024年2月9日閲覧。
- ^ “「iPhone 4プロトタイプ流出事件」、端末を買ったGizmodoはおとがめなし”. ITmedia NEWS. 2024年2月9日閲覧。
- ^ “iPhone Components revealed”. 2009年6月22日閲覧。
- ^ “Apple — iPhone — Technical Specifications”. Apple. 2010年6月9日閲覧。
- ^ “iPhone 3G isn't plastic & Zirconia ceramic casing?”. 2010年6月12日閲覧。
- ^ “United States Patent Application: 0060268528”. 2010年6月12日閲覧。
- ^ “iPhone 1st Generation Teardown — Page 2 - iFixit”. iFixit. 2009年10月4日閲覧。
- ^ “iPhone 3G Teardown — Page 4 - iFixit”. iFixit. 2009年10月4日閲覧。
- ^ “iPhone 3GS Teardown — Page 2 - iFixit”. iFixit. 2009年10月4日閲覧。
- ^ “iPhone 4 Teardown”. iFixit.com. p. 1 (2010年6月24日). 2009年6月26日閲覧。
- ^ iPhone 4 - この製品についての 重要なお知らせ
- ^ 一部の「iPhone 4」に液晶ディスプレイの変色が発生、ユーザーから多数報告が寄せられる - GIGAZINE
- ^ Retinaディスプレイ IT用語辞典バイナリ
- ^ iPhone 4「網膜ディスプレイ」は誇大広告:専門家が指摘 « WIRED.jp Archives 変換すると、目の「網膜ディスプレイ」のより正確な解像度は、1フィートの距離で477ppiになるとSoneira氏は言う。
- ^ 米アップル、1年前にiPhone 4のトラブル把握か 米紙報道
- ^ iPhone 4アンテナ問題、集団訴訟に発展(IT Pro)
- ^ “Steve Jobs’s PR Guru: ‘1984’ More Successful than the Mac” (英語). The Mac Observer. 2022年2月1日閲覧。
- ^ Apple (2010年7月5日). “iPhone 4に関するAppleからのお知らせ”. 2010年7月17日閲覧。
- ^ https://ascii.jp/elem/000/000/539/539163/index-2.html
- ^ iPhone 4のアンテナ感度問題でバンパーを無償配布、返品受け入れへ(2010年7月18日)
- ^ iPhone 4ケース無償配布、9月30日で終了 「アンテナ問題、思ったより小さい」
- ^ Engadget Japanese (2010年7月18日). “アップル、アンテナ問題解説ページをオープン”. 2019年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月19日閲覧。
- ^ Engadget Japanese (2010年7月19日). “ノキア「対立したら、外見よりアンテナ性能が優先です」”. 2019年6月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月19日閲覧。
- ^ Engadget Japanese (2010年7月19日). “RIMからアップルへ:自爆に人を巻き込むな。”. 2019年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月19日閲覧。
- ^ Engadget Japanese (2010年7月19日). “アップルの「アンテナ性能デモ」にHTCもコメント”. 2019年5月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月19日閲覧。
- ^ Engadget Japanese (2010年7月19日). “アップルの「アンテナ性能」釈明にサムスンも反論”. 2019年5月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月19日閲覧。
- ^ “AppleのiPhoneハードウェア開発最高責任者が辞職 - IBMから転身後1年半”. マイナビニュース (2010年8月9日). 2024年2月9日閲覧。
- ^ “アップル上級副社長が退社 iPhoneの技術責任者”. 日本経済新聞 (2010年8月9日). 2024年2月9日閲覧。
- ^ Apple Inc. (2007-2020). iPhone News - Newsroom Archive. Retrieved january 28, 2021.
外部リンク
[編集]先代 iPhone 3GS | iPhone 4 第4世代 | 次代 iPhone 4S |