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$(ドル、ドラー、ダラー、ペソ)は、通貨記号の1つ。ドル記号 (ドルきごう、dollar sign)、ペソ記号 (ペソきごう、signo de pesos)。
ドル、ペソのほか、主にスペイン語・ポルトガル語圏のさまざまな通貨で使われる。
グリフ
[編集]縦線は1本($)と2本()のグリフがある。ドルなどはどちらでもいいが、一部の通貨では常に(コンピュータ上を除き)2本である。更に、表示や印字が潰れるなどの技術的な問題や、それを模した意匠のために、Sの上下だけに棒があり中間部が無いものもある。また、Sのフォントが飾られている場合もある。
LaTeXでは、縦線が2本の$記号を「\textdollaroldstyle」で表示できる。
歴史
[編集]最古の確かな使用としては、1770年代、イギリス領北アメリカとメキシコとの間のビジネス文書で、スペイン領メキシコ・ペソの記号として使われた。なお、当時のペソは、ピアストル、(英語圏では)ダラーとも呼ばれた。
アメリカ合衆国は、独立後、通貨ダラー(ドル)と、通貨記号$を導入した。最初に$記号が刻印された硬貨が鋳造されたのは、1797年、フィラデルフィアにてである。
記号の由来にはさまざまな説があり、
- ヘラクレスの柱(スペインの象徴とされる)にリボンを巻きつけた意匠から。スペインの国章にも使われており、スペイン・ドル硬貨に刻印された。
- ペソ (peso) のPとSのモノグラム(重ね合わせ合字)。
- 1ペソは8レアルだったため、8Rから。
- 古代ローマの通貨セステルティウス (sestertius) の通貨記号HSから。
- 古代ローマの通貨で『中世のドル』と呼ばれたソリドゥス金貨から。
- シリングの通貨記号Sから。
- 「銀の単位」 (unit of silver) のUSから。
- 俗説だが、アメリカ合衆国 (United States) のUSから。
などがある。
$を使う通貨
[編集]国名を表す符号(US$のUSなど)を付けない場合について述べる。なお、縦棒が常に2本の通貨は、ここで指摘したものが全てとは限らない。
いずれかの国で現行
[編集]- エスクード (escudo) - Esc.とも。ポルトガル・エスクード(廃止)、カーボベルデ・エスクードなどは縦棒は2本。
- 新台湾ドル(繁体字中国語: 新臺幣 、New Taiwan Dollar) - 中華民国。NT$とも。
- タラ (tala) - 西サモア。
- ドル (dollar)
- コルドバ (córdoba) - ニカラグア。C$、A$とも。
- パアンガ (paʻanga) - トンガ。P$とも。
- ペソ (peso) - Pとも。チリ・ペソなどは縦棒は2本。フィリピン・ペソは$ではなく₱。
- 香港ドル(Hong Kong Dollar) - 香港。HK$とも。
- レアル (real) - ブラジル。R$とも。縦棒は2本。
廃止
[編集]通貨記号以外の用法
[編集]コンピュータ関連
[編集]- 正規表現で、文字列の終わりを表す。
- PascalやDelphiで、定数の前に付けて16進定数を表す。
- 変数名の一部として、その変数の性質を示す。
- シェルスクリプトで、環境変数を表す。
- 表計算ソフト「Microsoft Excel」で、セルの絶対参照(参照するセルの番号を固定させる指示。セル番号「B5」とした場合、行・列の移動や挿入によって相対的に番号が変化するが、「$B$5」では強制的に参照先のセル番号が「B5」に固定される)を表す。$B5ならば行固定、B$5ならば列固定となる。
- TeXでは、数式モードの区切りを示す。
符号位置
[編集]記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
---|---|---|---|---|
$ | U+0024 | 1-1-80 | $ $ | ドル記号 ペソ記号 DOLLAR SIGN |
﹩ | U+FE69 | - | ﹩ ﹩ | SMALL DOLLAR SIGN CNS 11643互換用 |
$ | U+FF04 | 1-1-80 | $ $ | ドル記号(全角) ペソ記号 FULLWIDTH DOLLAR SIGN |
💲 | U+1F4B2 | - | 💲 💲 | HEAVY DOLLAR SIGN |