ファリスク語
ファリスク語 | |
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話される国 | イタリア |
地域 | イタリア半島 |
消滅時期 | 紀元前150年頃 |
言語系統 | インド・ヨーロッパ語族
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表記体系 | ファリスク文字、エトルリア文字、ラテン文字 |
言語コード | |
ISO 639-3 | xfa |
Linguist List | xfa |
ファリスク語(ファリスクご、英語:Faliscan language)は、古代イタリアで用いられた言語の一つ。インド・ヨーロッパ語族イタリック語派のうち、ラテン語と同じラテン・ファリスク語群に含まれる。後にラテン語に同化されて消滅したが、少なくとも紀元前150年頃までは使用されていたとされる。
ファリスク語はローマの北にあったエトルリアの町ファレリイ(今のチーヴィタ・カステッラーナ)で話されていた言語である。現存する資料は墓碑銘や器の銘文で、あまり充分とは言えない[1]。
- foied vino pipafo cra carefo.
上の文をラテン語に直すと、次のようになる。
ファリスク語はラテン語にくらべて、以下のような特徴がある[2]。
- インド・ヨーロッパ祖語の *bh, *dh が母音間で f になる。ラテン語では b, d になる。上の例では carefo(ラテン語 carebo)にそれが現れている。この点はオスク語・ウンブリア語と共通する。
- インド・ヨーロッパ祖語の *kw は qu になる。この点はラテン語と一致し、オスク語・ウンブリア語が p になるのと異なる。
- 語頭で h と f が交替する。上の例で foied(ラテン語 hodie)がそれにあたる。同様の現象はサビニ語やエトルリア語にも見られる。
- 二重母音は ai > ē, ou > ō のように変化した。
- 語末子音が消滅する。上の例では cra(ラテン語 cras)がそれにあたる。
- ラテン語と同様に、第二変化の単数属格が -ī になる。
- 第二変化の単数与格が -oi になる。
- 三人称単数の第二次語尾が -d で終わる。
- 未来形に -f- (ラテン語の -b-)が使われる(上の例の pipafo, carefo)。
- 完了形に畳音が使われる。
脚注
[編集]- ^ James P. T. Clackson (2004). “Latin”. In Roger D. Woodard. The Cambridge Encyclopedia of the World's Ancient Languages. Cambridge University Press. p. 789. ISBN 9780521562560
- ^ a b L. R. Palmer (1988) [1954]. The Latin Language. University of Oklahoma Press. pp. 59-60. ISBN 080612136X
- ^ ジャクリーヌ・ダンジェル 著、遠山一郎・高田大介 訳『ラテン語の歴史』白水社〈文庫クセジュ〉、2001年、34頁。ISBN 4560058431。