ロビン・ヨーント

ロビン・ヨーント
Robin Yount
ブルワーズでのコーチ時代(2006年)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 イリノイ州ダンビル
生年月日 (1955-09-16) 1955年9月16日(69歳)
身長
体重
6' 0" =約182.9 cm
170 lb =約77.1 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 遊撃手外野手
プロ入り 1973年 1巡目(全体3位)
初出場 1974年4月5日
最終出場 1993年10月3日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
選手歴
コーチ歴
殿堂表彰者
選出年 1999年
得票率 77.5%
選出方法 BBWAA[:en]選出

ロビン・R・ヨーントRobin R. Yount, 1955年9月16日 - )は、アメリカ合衆国イリノイ州ダンビル出身の元プロ野球選手遊撃手外野手)。

現役時代をミルウォーキー・ブルワーズ一筋で過ごした球団史上最高のフランチャイズ・プレイヤー[1]であり、2020年現在、通算試合数・打数・得点・安打・二塁打・三塁打・打点・塁打・四球の球団記録を全て保持している[2]

兄のラリー・ヨーントは元投手[3]で、弟の代理人も務めた。

経歴

[編集]

現役時代

[編集]
現役時代

1973年MLBドラフト1巡目(全体3位)でミルウォーキー・ブルワーズから指名を受け入団。同年A-級で打率.285、3本塁打、25打点を記録。「メジャーに行っても守りは良いが、打つ方は駄目」という評価だった[4]

1974年4月5日のボストン・レッドソックスとの開幕戦でメジャーデビュー[5]。107試合に出場し打率.250、3本塁打、26打点を記録した。

1975年は4月に打率.386を記録するなど前半戦は.289だったが、後半戦で.242[6]と失速した。20歳の誕生日目前の9月14日のレッドソックス戦で、メル・オットが47年間保持していた10代での最多出場記録241を更新[7]

1976年は全試合出場ながら打率.252、2本塁打に終わる。

1978年は開幕に間に合わなかったが、9月6日のトロント・ブルージェイズ戦でキャリア初の1試合2本塁打を記録[8]するなど打率.293、9本塁打、71打点を記録。オフに突然プロゴルファー転向を宣言し、球団と対立して物議を醸すが[9][4]、翌年のスプリングトレーニングには復帰した。

1980年ウエイトトレーニングによりパワーが付き[9][4]、前半戦で打率.325、13本塁打を記録し[10]オールスターゲームに初選出される。シーズン通算で打率.293、23本塁打、87打点、10三塁打、121得点、リーグ最多の49二塁打を記録し、同年から制定されたシルバースラッガー賞を受賞した。

1981年50日間に及ぶストライキでシーズンが中断・短縮された影響で96試合の出場に留まる。同年は前後期制の変則日程となり、チームは後期優勝。ニューヨーク・ヤンキースとのディビジョンシリーズでは打率.316を記録するが、チームは2勝3敗で敗退した。

1982年は前半戦で打率.327、15本塁打、57打点の成績で[11]、2年ぶりにオールスターゲームに選出され、先発出場を果たした。チームはボルチモア・オリオールズと地区優勝を争い、最後の直接対決4連戦で1勝すれば優勝が決まるが、3連敗を喫して同率で並ばれる。10月3日のシーズン最終戦でジム・パーマーから2本塁打を放って勝利に貢献し、球団創設以来初の地区優勝を果たした[7][12]。キャリアハイの打率.331、29本塁打、114打点、210安打、いずれもリーグトップの46二塁打、長打率.578、OPS.957、367塁打を記録。カリフォルニア・エンゼルスとのリーグチャンピオンシップシリーズでは打率.250、本塁打・打点は共に0だったが、チームは2連敗の後3連勝で初のリーグ優勝。セントルイス・カージナルスとのワールドシリーズでは第1戦で4安打、第5戦でも本塁打を含む4安打を放つ[13]など打率.414、6打点を記録するが、チームは3勝4敗で敗退。カージナルスの監督ホワイティ・ハーゾグからは「現在のメジャーで3本の指に入る選手」と絶賛された[4]MVPの投票では1位票28票中27票を獲得して受賞し[14]、2度目のシルバースラッガー賞、初のゴールドグラブ賞も獲得した。

1983年はリーグ最多の10三塁打を記録するが、打率.308、17本塁打、80打点と前年より全体的に成績を落とした。

1985年から肩を手術したため外野手に転向[1]

1986年は4月に打率.408を記録するなど前半戦で打率.330[15]。シーズン通算で打率.312ながら9本塁打と7年ぶりの1桁に終わった。

1987年はチームがMLBタイ記録の開幕13連勝[16]。4月15日のオリオールズ戦でフアン・ニエベスが球団史上初のノーヒットノーランを達成した際には、9回二死からエディ・マレーの右中間へのライナー性の打球をダイビングキャッチして、快挙達成に貢献[4]。打率.312、21本塁打、103打点、198安打と復活を果たした。

1988年6月12日のシカゴ・ホワイトソックス戦でサイクル安打を達成[17]。全試合に出場し、打率.306、13本塁打、91打点、リーグ最多の11三塁打を記録した。

1989年7月2日のニューヨーク・ヤンキース戦で史上5番目の若さで通算2500本安打を達成[7]。後半戦で打率.339[18]と調子を上げ、打率.318、21本塁打、103打点、195安打を記録し、2度目のMVPを外野手として受賞。異なるポジションでの受賞はハンク・グリーンバーグスタン・ミュージアルに次いで史上3人目[9]。また1980年代に記録した1731安打はMLB最多となった[19]。11月13日にフリーエージェントとなり[20]エンゼルス入団が確実となったが、ファンから残留要望の手紙が殺到して翻意し、12月19日に再契約[4][20]

1990年はキャリアワーストの打率.247と不本意な成績に終わる。

1992年9月9日のクリーブランド・インディアンス戦でホセ・メサから二塁打を放ち[21]、通算3000本安打を達成。36歳11ヶ月24日での達成はタイ・カッブハンク・アーロンに次いで史上3番目の若さだった[1]

引退後

[編集]
ヨーントの背番号「19」。
ミルウォーキー・ブルワーズの永久欠番1994年指定。

1994年2月11日に現役引退を表明[7]。5月29日にヨーントの背番号19』がブルワーズの永久欠番に指定された[22]

1999年に資格初年度でノーラン・ライアンジョージ・ブレットと共にアメリカ野球殿堂入り[23]

コーチとしては2002年から2004年までアリゾナ・ダイヤモンドバックスでベースコーチ及びベンチコーチを務め、2006年2008年は永久欠番『19』を背負って古巣ブルワーズでコーチを務めた。2014年よりブルワーズのスペシャルアドバイザーに就任し、スプリング・トレーニングにおいて後進の指導を行っている。

選手としての特徴

[編集]

詳細情報

[編集]

年度別打撃成績

[編集]
















































O
P
S
1974 MIL 107 364 344 48 86 14 5 3 119 26 7 7 5 2 12 0 1 46 4 .250 .276 .346 .622
1975 147 607 558 67 149 28 2 8 205 52 12 4 10 5 33 3 1 69 8 .267 .307 .367 .674
1976 161 690 638 59 161 19 3 2 192 54 16 11 8 6 38 3 0 69 13 .252 .292 .301 .593
1977 154 663 605 66 174 34 4 4 228 49 16 7 11 4 41 1 2 80 11 .288 .333 .377 .710
1978 127 545 502 66 147 23 9 9 215 71 16 5 13 5 24 1 1 43 5 .293 .323 .428 .752
1979 149 626 577 72 154 26 5 8 214 51 11 8 10 3 35 3 1 52 15 .267 .308 .371 .679
1980 143 647 611 121 179 49 10 23 317 87 20 5 6 3 26 1 1 67 8 .293 .321 .519 .840
1981 96 411 377 50 103 15 5 10 158 49 4 1 4 6 22 1 2 37 4 .273 .312 .419 .731
1982 156 704 635 129 210 46 12 29 367 114 14 3 4 10 54 2 1 63 19 .331 .379 .578 .957
1983 149 662 578 102 178 42 10 17 291 80 12 5 1 8 72 6 3 58 11 .308 .383 .503 .886
1984 160 702 624 105 186 27 7 16 275 80 14 4 1 9 67 7 1 67 22 .298 .362 .441 .803
1985 122 527 466 76 129 26 3 15 206 68 10 4 1 9 49 3 2 56 8 .277 .342 .442 .784
1986 140 595 522 82 163 31 7 9 235 46 14 5 5 2 62 7 4 73 9 .312 .388 .450 .838
1987 158 723 635 99 198 25 9 21 304 103 19 9 6 5 76 10 1 94 9 .312 .384 .479 .862
1988 162 696 621 92 190 38 11 13 289 91 22 4 2 7 63 10 3 63 21 .306 .369 .465 .834
1989 160 690 614 101 195 38 9 21 314 103 19 3 3 4 63 9 6 71 9 .318 .384 .511 .896
1990 158 683 587 98 145 17 5 17 223 77 15 8 4 8 78 6 6 89 7 .247 .337 .380 .717
1991 130 571 503 66 131 20 4 10 189 77 6 4 1 9 54 8 4 79 13 .260 .332 .376 .707
1992 150 629 557 71 147 40 3 8 217 77 15 6 4 12 53 9 3 81 9 .264 .325 .390 .714
1993 127 514 454 62 117 25 3 8 172 51 9 2 5 6 44 5 5 93 12 .258 .326 .379 .705
MLB:20年 2856 12249 11008 1632 3142 583 126 251 4730 1406 271 105 104 123 966 95 48 1350 217 .285 .342 .430 .772
  • 各年度の太字はリーグ最高

年度別守備成績

[編集]
内野守備


一塁(1B) 遊撃(SS)
























1974 MIL - 107 148 327 19 55 .962
1975 - 145 273 402 44 80 .939
1976 - 161 290 510 31 104 .963
1977 - 153 256 449 26 94 .964
1978 - 125 246 453 30 78 .959
1979 - 149 267 517 25 97 .969
1980 - 133 239 455 28 89 .961
1981 - 93 161 370 8 83 .985
1982 - 154 253 489 24 95 .969
1983 - 139 256 420 19 86 .973
1984 - 120 199 402 18 80 .971
1985 2 9 1 0 0 1.000 -
1986 3 13 0 1 1 .929 -
1993 7 43 1 0 7 1.000 -
MLB 12 65 2 1 8 .985 1479 2588 4794 272 941 .964
外野守備


左翼(LF) 中堅(CF)
























1985 MIL 69 143 3 6 2 .961 40 115 1 2 0 .983
1986 - 131 353 11 1 4 .997
1987 - 150 377 4 5 2 .987
1988 - 158 443 11 2 2 .996
1989 - 144 367 8 6 2 .984
1990 - 157 418 3 4 0 .991
1991 - 117 315 1 2 1 .994
1992 - 139 371 7 2 1 .995
1993 - 114 297 6 1 1 .997
MLB 69 143 3 6 2 .961 1150 3056 52 25 13 .992

表彰

[編集]

記録

[編集]

背番号

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c 藤澤文洋『メジャーリーグ・スーパースター名鑑』研究社、2003年、204 - 205頁頁。ISBN 4-327-37689-2 
  2. ^ Milwaukee Brewers Batting Leaders” (英語). Baseball-Reference.com. 2021年4月19日閲覧。
  3. ^ Larry Yount Statistics and History” (英語). Baseball-Reference.com. 2013年3月10日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 伊東一雄「祝'99年の殿堂入り ロビン・ヨーント 転機を乗り越えエリートが歩んだ20シーズン」『月刊メジャー・リーグ』1999年3月号、ベースボールマガジン社、1999年、雑誌 08625-3、46、47頁。
  5. ^ 1974 Batting Gamelog” (英語). Baseball-Reference.com. 2013年3月8日閲覧。
  6. ^ 1975 Batting Splits” (英語). Baseball-Reference.com. 2013年3月8日閲覧。
  7. ^ a b c d Robin Yount from the Chronology” (英語). BaseballLibrary.com. 2008年12月14日閲覧。
  8. ^ Career Home Runs” (英語). Baseball-Reference.com. 2013年3月8日閲覧。
  9. ^ a b c The Ballplayers - Robin Yount” (英語). BaseballLibrary.com. 2011年6月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年12月14日閲覧。
  10. ^ 1980 Batting Splits” (英語). Baseball-Reference.com. 2013年3月8日閲覧。
  11. ^ 1982 Batting Splits” (英語). Baseball-Reference.com. 2013年3月8日閲覧。
  12. ^ October 3, 1982 Milwaukee Brewers at Baltimore Orioles Play by Play and Box Score” (英語). Baseball-Reference.com. 2008年12月14日閲覧。
  13. ^ Postseason Batting Gamelogs” (英語). Baseball-Reference.com. 2013年3月8日閲覧。
  14. ^ Baseball Awards Voting for 1982” (英語). Baseball-Reference.com. 2008年12月14日閲覧。
  15. ^ 1986 Batting Splits” (英語). Baseball-Reference.com. 2013年3月9日閲覧。
  16. ^ 千葉功『メジャーリーグ 栄光の「大記録」』ベースボールマガジン社、2005年、97頁頁。ISBN 4-583-61303-2 
  17. ^ Jun 12, 1988, Brewers at White Sox Box Score and Play by Play” (英語). Baseball-Reference.com. 2013年3月9日閲覧。
  18. ^ 1989 Batting Splits” (英語). Baseball-Reference.com. 2013年3月9日閲覧。
  19. ^ Robin Yount Biography” (英語). National Baseball Hall of Fame and Museum. 2008年12月14日閲覧。
  20. ^ a b Robin Yount Transactions” (英語). Baseball-Reference.com. 2008年12月14日閲覧。
  21. ^ Sep 9, 1992, Indians at Brewers Box Score and Play by Play” (英語). Baseball-Reference.com. 2013年3月9日閲覧。
  22. ^ Brewers Retired Numbers” (英語). MLB.com. 2008年12月14日閲覧。
  23. ^ Hall of Fame Voting 1999 election” (英語). National Baseball Hall of Fame and Museum. 2008年12月14日閲覧。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]