全国高等学校演劇大会

全国高等学校演劇大会

第70回大会会場・不二羽島文化センタースカイホール(岐阜県羽島市
日本の旗 日本
主催文化庁
全国高等学校演劇協議会
初回1955年昭和30年)
第1回大会
最新回2024年令和6年)
第70回大会
(第70回全国高等学校演劇指導者講習会・第48回全国高等学校総合文化祭演劇部門)
最新受賞者【最優秀賞】
徳島県立城東(2年連続2回目)
【優秀賞(上演順)】
岐阜県立長良(初)
宮崎県立宮崎南(初)
青森県立青森中央(2年ぶり6回目)
【優良賞】
上記以外の上演校
【創作脚本賞】
鹿児島県立伊集院
【舞台美術賞】
千葉県立松戸
【内木文英賞】
山口県立下関中等
【審査員特別賞(演出賞)】徳島県立城東
公式サイトhttp://koenkyo.main.jp
テレビ/ラジオ放送
放送局NHK Eテレ『青春舞台』

全国高等学校演劇大会(ぜんこくこうとうがっこうえんげきたいかい)は、高等学校の演劇全国大会全国高等学校総合文化祭演劇部門である。

毎年7月下旬から8月上旬に開催される。文化庁および全国高等学校演劇協議会が主催。

歴史

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終戦直後の1945年から新制高校での演劇活動が再開された。東京、愛知、北海道で都道県組織が立ち上がった。1949年、東京で東京都高等学校演劇コンクールが行われた。地区大会と中央発表大会のコンクール形式であった。1955年には演劇創造活動についてプロから学ぼうという趣旨の元で全国の高校演劇指導者が集まることを目的に、全国高等学校演劇指導者講習会が発足、その後1963年頃からコンクール制に移行し、毎年全国大会が開催されている。

講習会の中で素材上演として第1回は、1955年に東京の一橋講堂で行われ、参加校は芝商業高等学校忍岡高等学校のわずか2校であった[1]。 その後1965年第11回大会から審査方式による大会に変更され、杉並高等学校が最優秀賞を、嘉穂東高等学校が優秀賞を受賞。1977年以降からは全国高等学校総合文化祭の一部門となり、現在に至っている。[2]

大会の方式

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全国高等学校演劇大会(以下、全国大会)を目指す高校は、まず、都道府県を数地区に分割して行われる地区大会(おおむね7月から10月に開催)に参加することになる。ここで優秀な上演をおさめ、上位大会推薦校となると、都道府県大会(おおむね8月から11月に開催)に駒を進められる[注 1]

都道府県大会においても、同様に推薦校が選出され、全国を9つに分けたブロック大会(11月から1月に開催)への出場権が得られる。

なお、都道府県によっては参加校数が少ないため、地区大会がなくそのまま県大会出場となる県がある(滋賀県や徳島県など)。また、北海道は地域が広大なため、10つの支部に分けられており道大会がブロック大会と同一となっている。逆に横浜市は参加校が多いため、市内を数ブロックに分けた市大会を開催している[3]

ブロック・都道府県大会一覧[3]
ブロック 都道府県(支部) 上演校数 全国大会推薦枠 備考
2024年度 2016年度
北海道 北海道(石狩、道南、後志、空知、上川、オホーツク、釧根、十勝、苫小牧、室蘭) 88 97 1 [注 2]
東北 青森岩手宮城秋田山形福島 170 190 1
関東 栃木群馬埼玉新潟長野 826 261 3 [注 3]
茨城千葉東京神奈川山梨静岡 512
中部日本 富山石川福井岐阜愛知三重 220 251 1
近畿 滋賀京都大阪兵庫奈良和歌山 228 240 1
中国 鳥取島根岡山広島山口 141 139 1
四国 徳島香川愛媛高知 39 56 1
九州 福岡佐賀長崎熊本大分宮崎鹿児島沖縄 183 172 1
1918 10

上記各ブロック大会における全国大会推薦校計10校に加え、全国大会開催県から1校、持ち回り枠[注 4]1校を合わせた計12校が全国大会へ出場する。

なお、全国大会は上述のように、次年度の7月下旬から8月上旬にかけて開催される。そのため、他の体育競技や文化部大会とは異なり、ブロック大会に出場した3年生は、必然的に全国大会には出場できないことになる。

全国大会ではプロの演劇人や高校演劇関係者を含む7人の審査員による審査が行われ、最優秀賞1校・優秀賞3校・内木文英賞[注 5]1校・創作脚本賞1本・舞台美術賞1作品がそれぞれ与えられる。審査員特別賞が設けられることもある(2024年度大会時点)。なお、最優秀校・優秀校の4校は国立劇場で行われる優秀校公演に出演することになり[注 6]、最優秀校の作品は毎年9月にNHK『青春舞台』においてテレビ放送される。

上演規則

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2017年度・第63回大会開催会場の仙台銀行ホール イズミティ21のエントランス

全国大会における上演規則は以下の通りである[3]。なお、ブロック・都道府県・地区大会など、全国大会の下部大会においても若干の差異はあるが、すべて同じ規則が適用される。

  • 全国大会には、全国大会に推薦された上演時と同じ脚本で臨まなくてはならない。
  • 上演時間は60分以内、装置の設置・撤去時間は30分以内としなくてはならない。上演時間が規定を超えた場合、失格とはならないが、評価を一つ下げる。(ブロックや府県大会において失格の大会もある)
  • キャスト(出演者)およびスタッフ(脚本を除く。演出を含む「裏方」全般)は在校生のみで構成されなくてはならない。[注 7]

なお、脚本については既成脚本(プロによる脚本、古典作品など)、創作脚本いずれともの使用が認められている。創作脚本は1人の生徒が書いたもの、演劇部員がアイディアを出し合ったもの、顧問の教員や外部コーチが書いたものなどすべてが認められている。

開催地・結果一覧

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全国高等学校演劇大会 データ[1]
年度 開催地 会場 参加

校数

最優秀校 備考
1955 1 東京都 一橋講堂 2
1956 2 東京都 一橋講堂 2
1957 3 東京都 一橋講堂 1
1958 4 東京都 一橋講堂 5
1959 5 東京都 一橋講堂 7
1960 6 愛知県 愛知文化講堂 5
1961 7 東京都 イイノホール 6
1962 8 東京都 一橋講堂 5
1963 9 神奈川県 神奈川県立青少年センター 9
1964 10 福岡県 八幡市民会館 9
1965 11 岡山県 天満屋葦川会館 9 東京都立杉並 この年より最優秀・優秀を決定するようになる
1966 12 東京都 日本青年館 11 北海道札幌啓北商業(定時制)
1967 13 福島県 いわき市常磐文化センター 11 神奈川県/成美学園女子 この年より最優秀1校・優秀3校と現行通りとなる
1968 14 東京都 朝日生命ホール 11 福島県立原町
1969 15 北海道 札幌市民会館 11 岐阜県立岐阜北
1970 16 岐阜県 岐阜市民会館 12 東京都立忍岡
1971 17 埼玉県 浦和市埼玉会館 11 埼玉県/川口市立川口女子
1972 18 東京都 国立劇場 11 青森県立八戸北
1973 19 大阪府 豊中市民会館 11 青森県立弘前
1974 20 福岡県 福岡市民会館 12 青森県立八戸北
1975 21 広島県 広島市公会堂 11 鹿児島県/鹿児島女子 創作脚本賞創設
1976 22 青森県 八戸市公会堂 11 北海道/北星学園女子 舞台美術賞創設。北星学園女子は最優秀・創作脚本・舞台美術の3冠。
1977 23 千葉県 千葉県文化会館 11 東京都/日本大学鶴ヶ丘 全国高等学校総合文化祭の一部門となる
1978 24 兵庫県 神戸文化ホール 11 北海道札幌開成
1979 25 大分県 大分県立芸術会館 11 山形県立天童
1980 26 石川県 金沢市観光会館 11 北海道札幌藻岩
1981 27 秋田県 秋田市文化会館 11 大阪府/追手門学院
1982 28 栃木県 宇都宮市文化会館 11 北海道札幌開成
1983 29 山口県 宇部市渡部翁記念会館 11 東京都/京華女子
1984 30 岐阜県 各務原市民会館 11 徳島県立日和佐
1985 31 岩手県 岩手県民会館 11 北海道/札幌静修
1986 32 大阪府 吹田市文化会館 11 千葉県立船橋二和
1987 33 愛知県 愛知県勤労会館 11 愛知県/愛知
1988 34 熊本県 熊本県立劇場 11 広島市立舟入
1989 35 岡山県 倉敷市民会館 11 愛知県/椙山女学園
1990 36 山梨県 山梨県民文化ホール 11 青森県立八戸北
1991 37 香川県 丸亀市民会館 11 千葉県立船橋二和
1992 38 沖縄県 沖縄コンベンションセンター劇場 11 北海道/札幌静修
1993 39 埼玉県 浦和市文化センター 11 千葉県立船橋二和
1994 40 愛媛県 松山市民会館 10 福島県立湯本 上演許可が取れていない作品があったため1校が失格扱い
1995 41 新潟県 長岡市立劇場 11 山形県立山形南
1996 42 北海道 札幌市教育文化会館 10 静岡県/浜松海の星 上演許可が取れていない作品があったため1校が上演記録抹消
1997 43 奈良県 橿原文化会館 10 愛知県立一宮 上演許可が取れていない作品があったため1校が上演記録抹消
1998 44 鳥取県 鳥取県立県民文化会館 11 鹿児島県/池田
1999 45 山形県 山形市民会館 17 東京都立白鷗
2000 46 静岡県 浜松市教育文化会館 11 愛媛県立川之江
2001 47 福岡県 福岡サンパレスホール 11 愛媛県立川之江
2002 48 神奈川県 グリーンホール相模大野 11 福島県立小名浜
2003 49 福井県 鯖江市文化センター 11 香川県立丸亀 生徒講評委員会試行
2004 50 徳島県 鳴門市文化会館 11 栃木県/作新学院 台風により1日目中止。最終日に7校が上演し、コンテストとして成立した。
2005 51 青森県 八戸市公会堂 11 青森県立青森中央 生徒講評委員会が正式部門として発足
2006 52 京都府 京都府八幡市文化センター 11 京都府/同志社
2007 53 島根県 島根県民会館 12 岐阜県立岐阜農林 持ち回り枠開始、出場校が現行の12となる。
2008 54 群馬県 桐生市市民文化会館 12 青森県立青森中央
2009 55 三重県 四日市市文化会館 12 北海道帯広柏葉
2010 56 宮崎県 メディキット県民文化センター 12 群馬県立前橋南 宮崎県で発生した口蹄疫の影響により北海道ブロック代表鹿追高校が出場辞退。録画ビデオによる参考作品としての上演を行った。[4]
2011 57 福島県(香川県) 綾歌総合文化会館アイレックス 12 山口県立華陵 東日本大震災の影響で、当初福島県での開催だったが、代替地として香川県で開催。
2012 58 富山県 富山県民会館 12 青森県立青森中央
2013 59 長崎県 長崎市公会堂 12 大阪府/大阪市立鶴見商業
2014 60 茨城県 ひたちなか市文化会館 12 福岡県/久留米大学附設
2015 61 滋賀県 ひこね市文化プラザ 12 大分県立大分豊府
2016 62 広島県 アステールプラザ 12 岐阜県立岐阜農林
2017 63 宮城県 仙台銀行ホールイズミティ21 12 兵庫県立東播磨
2018 64 長野県 サントミューゼ 上田市交流文化芸術センター 12 香川県立丸亀
2019 65 佐賀県 鳥栖市民文化会館 12 神奈川県/逗子開成高校
2020 66 高知県 高知県立県民文化ホール(現地上演なし) 12 新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、全上演校、現地上演中止・ビデオ配信の措置が取られた。これにより審査も行われず、1964年以来56年ぶりに賞の受賞が行われない大会となった。
2021 67 和歌山県 紀南文化会館 12 福岡県/クラーク記念国際(福岡中央キャンパス)
2022 68 東京都 なかのZERO 12 愛媛県立松山東
2023 69 鹿児島県 川商ホール 12 徳島県立城東
2024 70 岐阜県 不二羽島文化センター 12 徳島県立城東
最優秀賞受賞回数(ブロック別)
回数 ブロック 最新最優秀校(年度)
14 関東 神奈川県/逗子開成(2019)
12 東北 青森県立青森中央(2012)
8 北海道 北海道帯広柏葉(2009)
8 四国 徳島県立城東(2024)
6 中部日本 岐阜県立岐阜農林(2016)
5 九州 クラーク記念国際〈福岡中央キャンパス〉(2021)
4 近畿 兵庫県立東播磨(2017)
2 中国 山口県立華陵(2011)
最優秀賞受賞回数(都道府県別)
回数 都道府県(支部)
8 北海道
7 青森県・(北海道石狩)
5 東京都
3 福島県・千葉県・愛知県・岐阜県・徳島県・愛媛県
2 山形県・神奈川県・大阪府・香川県・福岡県・鹿児島県
1 栃木県・群馬県・埼玉県・静岡県・京都府・兵庫県・広島県・山口県・大分県・(北海道十勝)
0 岩手県・秋田県・宮城県・茨城県・新潟県・長野県・山梨県・富山県・石川県・福井県・滋賀県・三重県・奈良県・和歌山県・岡山県・鳥取県・島根県・高知県・佐賀県・長崎県・熊本県・宮崎県・沖縄県
最優秀賞受賞回数(学校別)
回数 学校名
3 青森県立八戸北(1972、1974、1990)
青森県立青森中央(2005、2008、2012)
千葉県立船橋二和(1986、1991、1993)
2 札幌開成(1978、1982)
札幌静修(1985、1992)
岐阜県立岐阜農林(2007、2016)
香川県立丸亀(2003、2018)
愛媛県立川之江(2000、2001)

徳島県立城東(2023、2024)

川之江・城東は連覇。

春季全国高等学校演劇研究大会

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上記の全国大会とは別に、3月中旬に春季全国高等学校演劇研究大会が開催されている。特徴としては審査が行われず、生徒同士の観劇を通して演劇の研究をすることにある。そのため、サブタイトルとして、フェスティバル20XXと称する。春フェスとも呼ばれている[5]。各ブロック大会の次点校が推薦され、開催県枠を含めた計10校が出場する。2005年度に試行大会が開催され、2006年度第1回大会より継続して開催されている。年度内のため、3年生も含めたオリジナルスタッフでの最後の舞台となる。

歴代開催地一覧

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著名な出場者

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Wikipediaに記事がある人物を記載している。

その他の出場者や高校演劇出身者は「高校演劇」を参照

著名な関係者

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第59回大会の審査員を務め、後述の『幕が上がる』を執筆、高校生対象のワークショップを開催するなど高校演劇と関わりが多い。
劇作家・演出家・俳優・高校教員。青森中央高校の脚本を担当し、第51・54・58回大会最優秀賞へ導く。諸大会の審査員も務める。
劇作家・演出家。審査員を担当する他、本大会の上演規則に則って作られた作品「いつ高」シリーズを発表している。

脚注

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  1. ^ a b 全国大会の歩み | 全国高等学校演劇協議会
  2. ^ 「私の高校演劇」 内木文英
  3. ^ a b c 全国高等学校演劇協議会規約をもとに作成。
  4. ^ 北海道代表鹿追高校 全国大会出場辞退について
  5. ^ 第12回春季全国大会(横浜市)は「フェスティバル2018」と呼ばれる。
  1. ^ 横浜市など、参加校数が多いために地区大会へ駒を進めるための「市大会」を開催している地区もある。
  2. ^ 北海道のみ、都道府県大会とブロック大会が同一であり「全道大会」と称される。
  3. ^ 関東ブロックは北大会・南大会と2つの大会に分けて開催される。全国大会推薦枠も各1校ずつある。最大加盟校数を擁するブロックには推薦枠が1校追加されるため、2018年現在関東ブロックからは全国大会に3校推薦される。
  4. ^ 9ブロックのうち、ひとつのブロックの推薦枠が1校追加される。追加されるブロックは1年ごとに持ち回りである(北海道→東北→関東…といった具合である)。
  5. ^ 高校演劇の模範となる作品に対して与えられる賞であり、第59回大会より設立された。最初の受賞校はさくら清修高校(栃木県)。
  6. ^ 国立劇場の優秀校公演では審査は行われないため、全国大会が名実ともに高校演劇の日本一を決める大会である。
  7. ^ なお、北海道ブロックにおいては顧問の教員が主役以外のキャストとして出演することが認められている。

関連項目

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外部リンク

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