村松定孝
村松 定孝(むらまつ さだたか、1918年6月17日 - 2007年10月5日)は、日本の国文学者。上智大学名誉教授。専門は近代文学。長男は名城大学人間学部教授の村松定史。
略歴
[編集]山梨県西八代郡市川大門町(現在の市川三郷町)生まれ。 1941年、早稲田大学国文科卒。 泉鏡花に心酔し、卒業論文の段階から鏡花本人を訪ね、親しく話を聞いた。 戦争をはさんで、1949年、早稲田大学大学院博士課程修了、獨協学園高校教諭、1957年昭和女子大学講師、1960年助教授、教授を経て、1968年、上智大学教授、1989年に定年退職。
鏡花研究の権威で、その著書『泉鏡花』は何度も改訂再版されている。 ほかに樋口一葉など女性作家も扱い、実証的な手法での研究で知られる。 また、古典の児童向け翻訳も多く、児童文学研究も行う。 1988年に『あぢさゐ供養頌 - わが泉鏡花』で大衆文学研究賞受賞、1989年に児童文化功労者、1993年に勲四等瑞宝章受章。
著書
[編集]単著
[編集]- 『泉鏡花』(河出書房、河出市民文庫) 1954
- 『近代日本文学の系譜』上・下(寿星社) 1955
- 『丹羽文雄』(東京ライフ社) 1956
- 『近代文学のあゆみ』(福村書店、少年少女のための国民文学) 1957
- 『評伝 樋口一葉』(実業之日本社) 1959
- 『平家物語の旅』(人物往来社) 1963
- 『作家の家系と環境』(至文堂) 1964
- 『文章作法』(寧楽書房) 1964
- 『泉鏡花』(寧楽書房) 1966
- 『太平記の旅』(人物往来社) 1968
- 『近代日本文学 成立と展開』(右文書院) 1969
- 『文学に現われた女性の生き方』(青雲書房) 1969
- 『平家物語の世界』(秋田書店) 1970
- 『文章表現法』(東京堂出版) 1970
- 『わたしは幽霊を見た』(少年少女講談社文庫) 1972
- 『日本伝説100選』(秋田書店) 1972
- 『ことばの錬金術師 - 泉鏡花』(社会思想社、現代教養文庫) 1973、新版 1993
- 『泉鏡花研究』(冬樹社) 1974
- 増補版(日本図書センター、近代作家研究叢書) 1992
- 『近代日本文学の軌跡』(右文書院) 1975
- 『ことばと人生』(桜楓社) 1978
- 『きみは幽霊を見たか』(少年少女講談社文庫) 1978
- 『近代女流作家の肖像』(東京書籍) 1980
- 『文学概論』(双文社出版) 1982
- 『評伝 徳川家康』(ぎょうせい) 1983
- 『「落人伝説」を読む 日本人はなぜ滅びゆく貴人を慕い憧れるのか』(PHP研究所) 1983
- 『あぢさゐ供養頌 わが泉鏡花』(新潮社) 1988
- 『新・日本伝説100選』(秋田書店) 1990
- 『新釈 太平記』(ぎょうせい) 1991
- 『言葉の影像 鏡花五十年』(東京布井出版) 1994
- 『定本 泉鏡花研究』(有精堂出版) 1996
- 『教育と文芸のひずみ』(高文堂出版社) 1998
編著・翻案
[編集]- 『児童たけくらべ』(日本文学社) 1940
- 『曽我兄弟物語』(講談社) 1955
- 『現代日本文学』(石丸久・伊狩章、矢島書房) 1955
- 『竹取物語』(講談社) 1958
- 『源平盛衰記』(講談社) 1958
- 『太閤記』(講談社) 1961
- 『曽我物語』(ポプラ社) 1966
- 『海外における日本近代文学研究』(武田勝彦、早稲田大学出版部) 1968
- 『日本人 日本人に残されたもの』(アンセルモ・マタイス、ヴェリタス出版社) 1971
- 『文学用語解説辞典』(福田陸太郎、東京堂出版) 1971
- 『日本児童文学研究』(上笙一郎、三弥井書店) 1974
- 『近代日本文学における中国像』(紅野敏郎・吉田熈生、有斐閣) 1975
- 『国語表現事典』(大矢武師、東京堂出版) 1981
- 『泉鏡花事典』(有精堂出版) 1982
- 『幻想文学伝統と近代』(双文社出版) 1989
- 『四字成語活用辞典』(東京堂出版) 1989
- 『近代作家名文句辞典』(東京堂出版) 1990
- 『現代女性文学辞典』(渡辺澄子、東京堂出版) 1990
- 『近代作家エピソード辞典』(東京堂出版) 1991
- 『近代作家書簡文鑑賞辞典』(東京堂出版) 1992
参考文献
[編集]- 日本近代文学大事典、文藝年鑑
- 「父・村松定孝 文学の道しるべ」村松定史『児童文芸』2009-02