浮固
浮固(うきがため)は柔道やブラジリアン柔術、総合格闘技等で用いられる寝技、固技の抑込技の一種。講道館や国際柔道連盟 (IJF) での正式名。IJF略号UGT。
バリエーション
[編集]エッキー固
[編集]エッキー固(エッキーがため) (Ecky-Gatame) はロサンゼルスオリンピック60 kg級銅メダリストであるイギリスのニール・エカーズリーが発案したとされている浮固の基本形である。
右技で説明すると、取は受の右側に位置し、左腕と胸で受の右腕を抱えて挟み込む。左脚を伸ばすようにして受の首を跨ぎ、頭が受の下半身へ向くようにして、受の右腕を挟み込んだまま、上体で受の胴に覆いかぶさる。そこから、右腕を大きく回して、受の下半身を取りに行く。この時、相手の臀部を抱え込み、帯を掴む。右足で相手の左腕をロックし、抑え込みに入る。
講道館柔道では抑込技と認定していなかったが、多様化する技術への対応のために講道館技研究部で技名称の再検討を行った結果、2017年に浮固を正式に認めることになった。IJF国際ルールでは以前からこの技名称「浮固」が認められていた[1]。別名イングリッシュホールドダウン (English Hold-Down) [2]。ブラジリアン柔術での別名S字マウント(えすじマウント)。
ニーオンベリー
[編集]![]() | この節の加筆が望まれています。 |
ニーオンベリーは明治期には講道館柔道にも存在した浮固。右技で説明すると、受の右側に立ちながら身を屈め、右手で受の左上袖を取り左手で受の右上袖を取って、右足は受の直ぐ右脇のそばに置き、両手右脚を用いて、受を起こさないようにする[3]。
柔道家の川石酒造之助の昭和期の書籍の浮固は右手で受の左襟を取り左手で受の右上袖を取って、右膝を受の胸、右脇腹に乗せ、ブラジリアン柔術でもニーオンベリーとしてポイントが得られる形で明治期講道館のものよりブラジリアン柔術のものに近くなっている[4]。1905年(明治38年)の第一回一高対東京高商戦で関孝治(東京高商)が大浦寿清(一高)に対し試みるが決まらず[5]。
ブラジリアン柔術ではポイントが与えられる。右技で説明すると右膝か右脛で相手の腹か脇腹か胸を抑え、左足は床につき、左膝を床についてはいけない。これを3秒間維持すると2ポイントが得られる。基本形の両手は片襟片袖。胃あたりに力を入れると良いとされる。別名ニー・オン・ザ・ベリー、ニー・イン・ベリー、ニー・オン・ストマック、膝固(ひざがため)[6]。IJFの膝固とは異なる技である。
外部リンク
[編集]- 浮固 / Uki-gatame - YouTube KODOKANチャンネル
脚注
[編集]- ^ 柔道の技名称について
- ^ Oon Yeoh (2016年12月). “JudoCrazy E-Mag (December)”. pp. 32-37. 2024年7月30日閲覧。 “Where Are They Now? Neil Eckersley”
- ^ 『通俗柔道図解』岡崎屋、1905年(明治38年)10月、156-157頁 。
- ^ Mikinosuke KAWAISHI. Ma méthode de judo. Jean Gailhat(仏訳、イラスト). フランス: Judo international. p. 154. "UKI-GATAME"
- ^ 柔道部八十年史編集委員会 編『一橋大学柔道部八十年史』一橋柔友会、日本、1983年5月20日、44-45頁。「關更に浮固を試み」
- ^ 井口義為『殺活自在乱捕秘伝柔術教範』榎本法令館書店、1926年、219-220頁。「柔術膝固図解」