松田弘

松田 弘
出生名 松田 弘
生誕 (1956-04-04) 1956年4月4日(68歳)[1]
出身地 日本の旗 日本宮崎県
学歴 宮崎県立宮崎大宮高校 中退[2]
ジャンル
職業
担当楽器
活動期間 1977年 -
レーベル
事務所 アミューズ(1978年 - )
共同作業者
公式サイト SOUTHERN ALL STARS OFFICIAL SITE

松田 弘(まつだ ひろし、1956年〈昭和31年〉4月4日[1] - )は、日本の男性ミュージシャンシンガーソングライター。ロックバンドであるサザンオールスターズのメンバーで、ドラムを担当[3]宮崎県出身[3]。所属事務所はアミューズ[1]。所属レコード会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント、所属レーベルタイシタレーベル宮崎県立宮崎大宮高校中退[2]。愛称は、ヒロシ[4]弘くん[5]

概要

1978年にサザンオールスターズのドラムスとしてメジャーデビューを果たし、1983年にアルバム『EROS』でソロ活動を開始した[6]。以降、サザンの活動と並行して様々なジャンルを取り入れたソロアルバムを発売している[7]

人物

音楽性

小学生のころにグループ・サウンズに影響され、特に沢田研二を聞いていたという[8]スティーヴィー・ワンダーを始めとするディスコソウルファンクといったブラックミュージックなどを特に好み、ドラムプレイはそれらのジャンルからの影響を色濃く受けている[9]。ブラックミュージックのヴィジュアルに近付けるために1970年代初頭には髪型をアフロヘアーにし、ディスコでバンド活動をしていた[8][9][10]。松田は「癒される音楽も好きだし弾けた音楽も好きな自分もいる」ことを自認している[9]。また「未だにスティーヴィー・ワンダーの『迷信』のイントロを叩くだけでその日の調子がわかる(笑)」という[9]

桑田佳祐はサザンらしさの要因に松田の存在を挙げている[11]。桑田は、松田について「とにかく歌心ってもんをとってもわかってる感じのドラマー」[12]、「あいつは貪欲なの、何に対しても」[12]、「サザンの本当のリーダーは彼じゃないかなってのは僕は思うんですよね」[13]といい、1978年に松田が一時郷里に引き返したことがあったがその際については「ひきとめたのね、一所懸命。車の中でも口説いたの。もっとやってくれ!って」[14]などと語った。高音が際立つ澄んだハイトーンボイス[注釈 1]が特徴的で、サザンではドラムスと共に、コーラスでも重要な役割を担っている[16]。特にライブでは桑田の歌声と対照的な高音域の歌声で、原由子との相性の良い幅広いコーラスワークを聴かせている[16][11]。桑田以外のメンバーは体調不良や休養でライブにおいてサポートメンバーを立てていた時期があるが、松田だけはデビュー以来常にステージに上がり続けている。サザンの1993年末に行われたライブ『「しじみのお味噌汁」コンサート』では全12公演中、中盤の4公演が松田の体調不良(急性肺炎)のため、ライブ自体が年明けに順延になった。それだけ松田は決して外すことができない重要人物であり、ラジオ番組での桑田の発言からも、信頼が厚いことが窺える[16][17]

サザンの和洋折衷な世界観を肯定的に考えており、特に「JAPANEGGAE (ジャパネゲエ)」を気に入っている[18]。サザンのアルバム『Young Love』のジャケット写真では、ローリング・ストーンズのアルバム『サタニック・マジェスティーズ』のジャケットのパロディで登場する[19]

エピソード

サザンの楽曲「そんなヒロシに騙されて」については「名前は貸したけど自分のことを歌っているわけではない」とコメントしている[20]

サザンのアルバム『キラーストリート』に収録されている「The Track for the Japanese Typical Foods called "Karaage" & "Soba" 〜 キラーストリート (Reprise)」では、から揚げが食べられないことが歌詞でネタにされている[21]。また、子供のころに川に入って魚に囲まれて以来魚が大の苦手であり、メンバー全員が知っている[22]

子供のころから熱心な読売ジャイアンツのファンであり、宮崎で行われるキャンプを見に行ってはサインをもらっていたという[23]。桑田からは「サザンの原辰徳」とも呼ばれている[4]。2019年のサザン全国ツアーではメンバー紹介の際に「オレは巨人が大好きだー!! 原監督を胴上げするぞー!!」と叫んだ[24]

松田によると「人生で一番大きな出来事は10代のときに妻と出会ったこと」である[22]。息子の松田翔[25]もドラマーで、サザンのアルバム『キラーストリート』に収録されている「愛と死の輪舞」ではドラムを演奏している[26]。また、桑田が制作した松田のボーカル曲の一つである「翔(SHOW) 〜鼓動のプレゼント」は、当時妻のお腹にいた彼に向けて歌われた歌である[27]。娘の松田麻衣もアーティストで、自身がプロデュースするプロジェクト“BEAT CLUB”への出演経験もある[28]

が好き[29]

来歴

1972年、松田が大森隆志にドラムを貸す形で大森と知り合う[30][2]。1973年に一浪の後、宮崎県立宮崎大宮高校に入学。1974年に音楽で生計を立てようと決意し高校を中退、地元の人気バンド「クエスチョン」のドラマーとなるが、1975年に解散した[2]

1977年2月に青山学院大学に入学していた大森の紹介で、同大学のサークルで音楽活動をしていた桑田佳祐らと知り合った。当時桑田が結成した「サザンオールスターズ」は解散状態だったが、松田が加入したことによって再結成した[30][2][31]

メジャーデビュー後

1978年6月25日にビクター音楽産業より、サザンオールスターズとして「勝手にシンドバッド」でメジャーデビューを果たした。

1980年に発売されたサザンの3枚目アルバム『タイニイ・バブルス』に収録されている「松田の子守唄」では初のボーカルを務めた[32]。以降、サザンの楽曲でいくつかボーカルを担当している[16]。また、その中でも「遥かなる瞬間」「君に贈るLOVE SONG」については作詞・作曲も担当している[33][34]

1983年に1枚目シングル「トゥナイト・ザ・ナイト」、1枚目アルバム『EROS』でソロデビューを果たした[30]。これらの作品はドラム中心のサウンドを避けて、ボーカルに重心を置いた作品に仕上がっている[35]。1986年にサザンの活動休止に合わせ、桑田が結成したバンド・KUWATA BANDにドラムスとして参加した[30][36]

1997年に2枚目シングル「それでも時は」、2枚目アルバム『DRMS(ディルムス)』を発売[30]。アルバムのタイトルは“Drums”と“Dreams”を合わせた造語である[37]

2002年に8組の女性シンガーを招き、デュエットして制作した3枚目アルバム『[FUTARi.]O.S.T.』を発売[38]。翌2003年に自身が音楽を担当した映画『マナに抱かれて』のサウンドトラック『[マナに抱かれて]O.S.T.』が発売された[30]

2008年にディスコやファンクを取り入れたアルバム『GOOD CELEBRATION』を発売した[30]。2009年8月30日に山中湖で開催されたライブイベント「SWEET LOVE SHOWER 2009」に「桑田佳祐 & SUPER MUSIC TIGERS」のドラマーとして参加。松田によるとサザンの活動休止のリアリティを感じたのはこのイベントの後からだったという[39][40][注釈 2]。2011年6月25日放送の桑田のラジオ番組『桑田佳祐のやさしい夜遊び スペシャル』にゲスト出演し、娘の松田麻衣が妊娠中であり孫が生まれることを公表した[41]

2019年2月20日にサザンも含めて自身の楽曲全てがサブスクリプション型サービスでのストリーミング配信が解禁された[42]

2020年8月26日にサザンのホームページにて、音楽活動の一時休止が発表された。春先から肩の違和感を覚え、病院で検査の結果、右肩腱板断裂と診断された。既に手術は受けており、休止の間は完全な回復をするためリハビリ治療に専念し[43]、同年12月の年越しライブから活動を再開している[44]

2022年8月からサザンの公式YouTubeチャンネルで、『松田弘のサザンビート』と題した配信番組が開始された[45]。この番組は松田自らがサザンの楽曲のドラム解説、ライブやレコーディング時のエピソード、サザンにまつわる秘話を語り、時にはゲストを招いたりする番組となっている[45]

作品

シングル

# 発売日 タイトル 形態 規格品番 収録アルバム
1 1983年5月21日 トゥナイト・ザ・ナイト EP VIHX-1608 EROS
1993年7月21日 8cmCD VIDL-163
2 1997年10月22日 それでも時は VIDL-30081 DRMS(ディルムス)

アルバム

# 発売日 タイトル 発売名義 形態 規格品番 収録曲
1 1983年5月21日 EROS 松田弘 CD VICL-8065
  1. NEED YOUR LOVE
  2. STREET LIFE
  3. ユラユラ・パラダイス
  4. 蒼いパリッシュ
  5. 夢・散歩道
  6. FUNK FUN
  7. ANGEL
  8. トゥナイト・ザ・ナイト
  9. RAINY NIGHT
  10. プロポーズ
2 1997年10月22日 DRMS(ミニアルバム) VICL-60126
  1. Thursday Music Club
  2. ふたり
  3. INVADED
  4. Sexual Chat〜大人の童話〜
  5. それでも時は
3 2002年11月27日 [FUTARi.]O.S.T. 松田弘&QUIET LOVE NOTES VICL-61008
  1. Better Days
  2. 二人のメロディ
  3. 愛は戻らない
  4. Forbidden Love
  5. 静かな日々
  6. SIESTA
  7. Love Letter
  8. 砂の女
  9. 微笑みを君と・・・
  10. Dear One
  11. 蒼いパリッシュ
4 2003年6月4日 [マナに抱かれて]O.S.T. 松田弘 VICL-61138
  1. MANA.〜Overture〜
  2. Windy Yard
  3. Happy Meal
  4. A Promise
  5. Saddness
  6. 愛は戻らない
  7. Misconception!
  8. Love Letter
  9. Kilauea
  10. Orange Memories
  11. Heaven's Island
  12. Ohia-Lehua
  13. Turquoise Blue (Ukulele Ver.)
  14. Melancholy
  15. Turquoise Blue
  16. Dear One
  17. Increase
  18. Strange Motion
  19. Fear,Panic,Rainbow
  20. Nagisa
  21. Futari
  22. TSUNAMI(有里知花)
5 2008年4月23日 GOOD CELEBRATION BOOGIE MATSUDA&FUNKY★FREAKS VICL-62804
  1. GOOD CELEBRATION
  2. SHINING STAR
  3. 愛×脳FEELING
  4. GALAXY
  5. HEAVEN
  6. 愛という名の季節(とき)

出典:[46]

参加作品

アーティスト名 発売日 タイトル 形態 規格品番 レーベル オリコン順位 備考
吉田拓郎LOVE2 ALL STARS 1997年11月1日 みんな大好き CD FLCF-3702 フォーライフ 4位 「こっちを向いてくれ」と「たどり着いたらいつも雨降り」に参加。
チーム・アミューズ!! 2011年5月25日 Let's try again ASCM-6092 アミューズソフトエンタテインメント 2位

提供作品

楽曲提供

プロデュース作品

出演

テレビ番組

音楽監督

脚注

注釈

  1. ^ スイートボイスとも評される[15]
  2. ^ 2009年からサザンは無期限活動休止に入り[30]、2013年から活動を再開している[40]

出典

  1. ^ a b c サザンオールスターズ アミューズ 2021年4月12日閲覧。
  2. ^ a b c d e ACTIVITIES-1977 SOUTHERN ALL STARS OFFCIAL SITE 2020年7月13日閲覧
  3. ^ a b プロフィール 松田弘 SOUTHERN ALL STARS OFFICIAL SITE 2021年4月12日閲覧。
  4. ^ a b 桑田佳祐「ただの歌詩じゃねえかこんなもん」(1984年、新潮社、p46)
  5. ^ SWITCH Vol.31 No.8 Southern All Stars [僕らのサザン、みんなのサザン] p36
  6. ^ 『サザンオールスターズ 公式データブック 1978-2019』(2019年)リットーミュージック出版 p11,202
  7. ^ サザンオールスターズ会報『代官山通信 vol.134』p7
  8. ^ a b サザンオールスターズ会報『代官山通信 vol.134』p5
  9. ^ a b c d BOOGIE MATSUDAが動き出した! 金色に回り出せ、心のミラーボール! sas-fan.net(サザンオールスターズ旧公式サイト) 2021年4月11日閲覧
  10. ^ サザンオールスターズの松田弘(ドラム)と関口和之(ベース)が、各ソロ作品発表! ロッキング・オン 2008年3月3日配信 2021年4月11日閲覧
  11. ^ a b サザン 桑田佳祐「弘の存在があるということ自体が、“すごくサザンらしい”要素のひとつです」 BARKS 2018年8月9日配信 2021年8月24日閲覧。
  12. ^ a b 桑田佳祐『ロックの子』98頁、講談社、1985年
  13. ^ 2008年のライブ・ビデオ『真夏の大感謝祭 LIVE』初回限定盤封入 BONUS DVD “-サザン'08「夏」ドキュメント- 完全版 + I AM YOUR SINGER MOVIE”より。
  14. ^ 桑田佳祐『ロックの子』104頁、講談社、1985年
  15. ^ 松田弘 フジテレビジョン 2021年8月26日閲覧。
  16. ^ a b c d 桃鉄音楽も担当…桑田以外も魅力的なサザンメンバーの素顔女性自身 2017年6月27日配信 2021年4月11日閲覧
  17. ^ ACTIVITIES 1993 SOUTHERN ALL STARS OFFICIAL SITE 2021年4月11日閲覧
  18. ^ 『人気者で行こう』は、今からでもグラミー賞に推薦したいほどのMasterpieceである。 otoCoto 2016年11月13日配信 2021年9月22日閲覧。
  19. ^ 『Young Love』は高次元で洋楽ロックを取り込んだ20世紀のサザンオールスターズの最高傑作! OKMUSIC 2019年3月27日配信 2021年4月17日閲覧。
  20. ^ 別冊カドカワ 総力特集桑田佳祐 p214
  21. ^ サザンオールスターズ - The Track for the Japanese Typical Foods called “Karaage”&“Soba” SOUTHERN ALL STARS OFFICIAL SITE
  22. ^ a b サザンオールスターズ30周年記念ライブ「真夏の大感謝祭」パンフレット
  23. ^ 【エンタがビタミン♪】サザン話題のCM曲『栄光の男』が生まれたワケ。桑田佳祐が見た“長嶋茂雄の引退”。 Techinsight 2013年8月14日配信 2021年4月12日閲覧
  24. ^ G党のサザン松田、本拠地・東京Dで絶叫「原監督を胴上げするぞ」 サンスポ 2019年6月17日配信 2021年8月27日閲覧。
  25. ^ サザンのドラム息子夫婦と アントニオ小猪木 GREEブログ 2021年4月13日閲覧
  26. ^ サザンオールスターズ - 愛と死の輪舞(ロンド) SOUTHERN ALL STARS OFFICIAL SITE
  27. ^ サザンオールスターズ - 翔 〜鼓動のプレゼント SOUTHERN ALL STARS OFFICIAL SITE
  28. ^ ARTIST 松田麻衣 BEATCLUB 2021年4月13日閲覧
  29. ^ サザンオールスターズ会報『代官山通信』 Vol.154 p26
  30. ^ a b c d e f g h 『サザンオールスターズ 公式データブック 1978-2019』(2019年)リットーミュージック出版 p10-15
  31. ^ サザンオールスターズ会報『代官山通信 vol.134』p5
  32. ^ 『サザンオールスターズ 公式データブック 1978-2019』(2019年)リットーミュージック出版 p109
  33. ^ サザンオールスターズ - 遥かなる瞬間 SOUTHERN ALL STARS OFFICIAL SITE
  34. ^ サザンオールスターズ - 君に贈るLOVE SONG SOUTHERN ALL STARS OFFICIAL SITE
  35. ^ 『サザンオールスターズ 公式データブック 1978-2019』(2019年)リットーミュージック出版 p203
  36. ^ 『サザンオールスターズ 公式データブック 1978-2019』(2019年)リットーミュージック出版 p163
  37. ^ 『サザンオールスターズ 公式データブック 1978-2019』(2019年)リットーミュージック出版 p205
  38. ^ 『サザンオールスターズ 公式データブック 1978-2019』(2019年)リットーミュージック出版 p206-207
  39. ^ 桑田佳祐、超豪華メンバーと一夜限りのレアライブ音楽ナタリー 2009年8月31日配信 2021年1月25日閲覧。
  40. ^ a b SWITCH Vol.31 No.8 Southern All Stars [僕らのサザン、みんなのサザン] p38
  41. ^ 原由子『あじわい夕日新聞〜夢をアリガトウ〜』P114 – 115、朝日新聞出版、2013年
  42. ^ サザン関連全972曲 サブスク一斉解禁 メンバーソロ曲も対象に オリコン 2019年12月20日配信, 2019年12月20日閲覧。
  43. ^ サザンオールスターズのドラマー松田弘が右肩腱板断裂で音楽活動を一時休止 音楽ナタリー 2020年8月26日配信, 2020年8月27日閲覧。
  44. ^ サザンオールスターズ、今年の大晦日は無観客で“ほぼほぼ年越しライブ” 音楽ナタリー 2020年11月27日配信, 2021年1月6日閲覧。
  45. ^ a b 松田弘(サザンオールスターズ)の動画企画、『松田弘のサザンビート』が始動 THE FIRST TIMES 2022年8月12日配信, 2022年8月12日閲覧。
  46. ^ 『サザンオールスターズ公式データブック 1978-2019』リットーミュージック出版 p202-210
  47. ^ 松田弘”. www.fujitv.co.jp. 2022年1月29日閲覧。

関連項目

外部リンク