2018 FIFAワールドカップ・グループF
2018 FIFAワールドカップ・グループFのリーグ戦は6月17日から6月27日にかけて6試合が行われる[1]。グループFには、ドイツ、メキシコ、スウェーデン、韓国の4カ国が入っており、試合の勝敗による勝ち点などでグループ内での順位が決まり、上位2チームが決勝トーナメントに進出する[2]。
出場チーム
[編集]組番 | チーム | ポット | 連盟 | 予選成績 | 出場決定日 | 出場回数 | 前回出場 | 最高成績 | FIFAランキング | |
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2017年10月[3] | 2018年6月[4] | |||||||||
F1 | ドイツ | 1 | UEFA | 欧州予選グループC1位 | 2017年3月28日 | 19回目[nb 1] | 2014 | 優勝 (1954), (1974), (1990), (2014) | 1 | 1 |
F2 | メキシコ | 2 | CONCACAF | 5次予選1位 | 2017年9月1日 | 16回目 | 2014 | ベスト8 (1970), (1986) | 16 | 15 |
F3 | スウェーデン | 3 | UEFA | 欧州予選プレーオフ勝者 | 2017年11月13日 | 12回目 | 2006 | 準優勝 (1958) | 25 | 24 |
F4 | 韓国 | 4 | AFC | 3次予選グループA2位 | 2017年9月5日 | 10回目 | 2014 | 4位 (2002) | 62 | 57 |
- Notes
- ^ ドイツとしては9回目。西ドイツ時代の10回の出場も含まれる。
順位表
[編集]順 | チーム | 試 | 勝 | 分 | 敗 | 得 | 失 | 差 | 点 | 出場権 |
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1 | スウェーデン | 3 | 2 | 0 | 1 | 5 | 2 | +3 | 6 | 決勝トーナメントに進出 |
2 | メキシコ | 3 | 2 | 0 | 1 | 3 | 4 | −1 | 6 | |
3 | 韓国 | 3 | 1 | 0 | 2 | 3 | 3 | 0 | 3 | |
4 | ドイツ | 3 | 1 | 0 | 2 | 2 | 4 | −2 | 3 |
試合結果
[編集]ドイツ vs メキシコ
[編集]ドイツ[6] | メキシコ[6] |
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Man of the Match: 副審:[5] |
スウェーデン vs 韓国
[編集]スウェーデン[8] | 韓国[8] |
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Man of the Match: 副審:[7] |
韓国 vs メキシコ
[編集]韓国[10] | メキシコ[10] |
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Man of the Match: 副審:[9] |
ドイツ vs スウェーデン
[編集]ドイツ[12] | スウェーデン[12] |
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Man of the Match: 副審:[11] |
韓国 vs ドイツ
[編集]韓国[14] | ドイツ[14] |
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Man of the Match: 副審:[13] |
メキシコ vs スウェーデン
[編集]メキシコ[16] | スウェーデン[16] |
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Man of the Match: 副審:[15] |
ドイツの敗退
[編集]優勝候補ドイツ
[編集]ドイツは前大会の2014年FIFAワールドカップの優勝国であり、FIFAランキングは世界1位であった。同チームには様々な国家にルーツを持つ選手や様々な宗教的背景を持つ選手が所属し、多様性ある社会を作る上での模範例とされてきた[17]。欧州予選では全チーム最多の43得点をあげて失点はわずかに4であり、圧巻の10戦全勝を飾った。ドイツは優勝候補の筆頭と目されていた[18]。
ドイツ代表内の亀裂
[編集]しかし、大会前にトルコ系ドイツ人のメスト・エジルとイルカイ・ギュンドアンが、トルコ大統領レジェップ・タイイップ・エルドアンと面会して一緒に写真を撮影していたことが物議を醸した。エルドアンは言論弾圧や人権侵害を続ける独裁者だとして、ドイツを含む欧州で強く批判されていた[19][20]。ドイツの高級新聞ターゲスシュピーゲル紙はエジルとギュンドアンを批判し、アンケート調査では回答者の70%以上が「彼らを代表チームに招集するべきでない」と答えるなど、団結に亀裂が入ったまま大会を迎えた[17]。
グループリーグ第2戦目まで
[編集]ドイツの状況
[編集]本戦グループリーグ初戦のメキシコ戦では、監督のフアン・カルロス・オソリオが半年かけて作り上げた対策に屈して敗戦した[21] が、第二戦のスウェーデン戦では先制されたのち同点に追いつき、後半アディショナルタイム内にトニ・クロースが決勝ゴールを放って勝利した[22]。
リーグ各国の状況
[編集]この時点でグループリーグ各国は3戦中2戦を終えた。メキシコが2勝0敗で勝ち点6、得失点差+2と暫定首位であり、ドイツとスウェーデンがそれぞれ1勝 1敗で勝ち点3と得失点差0でともに並び、総得点の基準によって暫定的に2位はドイツ、3位はスウェーデンとなっていた。一方、韓国は0勝2敗で勝ち点0と暫定4位であった。
それぞれが残す最終試合の結果により、グループリーグを第2位以内として通過し、決勝トーナメントへ進出できるかどうかが決まる。本リーグは混戦を呈しており、各国ともに、同時刻に行われる別会場での第3国同士の試合結果に依存して条件は複雑に異なった。暫定首位のメキシコも敗北すれば敗退の可能性が残されており、暫定2位と3位のドイツとスウェーデンは確実な進出のためには自国の勝利が必要となった。また最下位の韓国にも自国が勝利しつつ他の試合の結果によっては進出の可能性が残されていた。
決勝トーナメント進出のために各国が達成すべき条件は以下であった。
順位 | 国名 | 勝ち点 | 得失点差 | 総得点 | 第3試合の対戦国 | 別会場での試合の結果 | 進出のために自国が達成すべき条件 |
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1 | メキシコ | 6 | 2 | 3 | スウェーデン | 無条件 | スウェーデンに勝利または引き分けで第1位進出 |
引き分け 韓国が勝利 | 無条件に進出が確定 | ||||||
ドイツが勝利 | スウェーデンに勝利または引き分け スウェーデンに敗北し、得失点差でスウェーデンまたはドイツを上回る | ||||||
2 | ドイツ | 3 | 0 | 2 | 韓国 | スウェーデンが勝利 | 韓国に勝利し、得失点差でスウェーデンまたはメキシコを上回る |
引き分け | 韓国に勝利または引き分け | ||||||
メキシコが勝利 | 韓国に勝利または引き分け 韓国に敗北し、得失点差でメキシコまたはスウェーデンを上回る | ||||||
3 | スウェーデン | 3 | 0 | 2 | メキシコ | ドイツが勝利 引き分け | メキシコに勝利 |
韓国が勝利 | メキシコに勝利または引き分け | ||||||
4 | 韓国 | 0 | −2 | 1 | ドイツ | メキシコが勝利 | ドイツに2点差以上で勝利 ドイツに1点差で勝利し、総得点でスウェーデンより上 |
グループリーグ第3戦
[編集]このような状況下でドイツは第三試合の韓国戦を迎えた。一方、韓国は連敗で勝ち点0のまま前大会王者でFIFAランク世界1位のドイツ戦を迎えることに諦観の雰囲気もあったが、シン・デヨン監督は「1%の希望も捨てず、最後まで逆転のチャンスを作る」と試合に臨んだ[23]。
前半戦では本試合および同刻の別試合(スウェーデン対メキシコ)ともに両者無得点であり、膠着状態のままハーフタイムを迎えた。
スウェーデンの優勢
[編集]しかし、後半戦が始まってすぐに別会場でスウェーデンが得点してリードし、暫定的にスウェーデンとメキシコが勝ち点6で首位・第2位と並んだ。スウェーデンは後半62分、後半74分とさらに得点し、最終的に3−0の大差でメキシコを破ることとなった[24]。
ドイツの危機
[編集]このため、後半74分時点でいまだ無得点のドイツは暫定3位に転落し、残りわずかな時間で韓国へ大量得点しなければグループリーグの通過がきわめて厳しい状況に陥った。得点を求めてボールを支配し(支配率は全体の74%に達し、コーナーキックは韓国の3倍を得た)、26本のシュートを浴びせたものの、後半90分終了時点で無得点であった[25]。
アディショナルタイムでの連続2失点
[編集]決勝トーナメント進出へわずかな希望を託すアディショナルタイムには、左CKからのこぼれ球を金英權にゴールへ押し込まれた。これは主審のマーク・ガイガーにより一度はオフサイドと判定されてゴールを認められなかったものの、本大会から導入されたビデオ・アシスタント・レフェリーによって判定は取り消され、決定的となる失点が認められた[26]。ドイツは勝利どころか0-1とリードされ、いっそう絶望的な状況となった。
さらに、捨て身の反撃に出るためにゴールキーパーのマヌエル・ノイアーまでもが前進して11人全員で攻撃したことが裏目に出て、韓国の高速なカウンターを受けて孫興ミンにゴールを奪われ、絶望的な追加失点を喫した。直後に試合終了が宣告され、ドイツは0-2で敗れた[27]。
ドイツ史上初の敗退
[編集]この結果により、ドイツは史上初めてグループリーグで敗退することとなった(西ドイツ時代から統一ドイツを通じて初めて)[28]。この波乱には大きな反響があり、元イングランド代表のゲーリー・リネカーは「サッカーはシンプルだ。22人がボールを争い、最後はドイツが勝つ」という自身の有名な格言を「サッカーはシンプルだ。22人がボールを争い、最後はドイツが勝つとは限らない」と改変したジョークをSNS上に投稿した[29]。
大会後、ドイツ国内からの批判に晒されていたエジルは「私は勝てばドイツ人、負ければ移民として扱われた」などと述べ、ドイツサッカー連盟の会長ラインハルト・グリンデルを批判するとともに、人種差別を理由として代表引退を表明した[19][30]。一方でFCバイエルン・ミュンヘン会長のウリ・ヘーネスが「クソみたいなプレーだった」とエジルを酷評するなど、混乱が続いた[31]。
なお、今回の結果で3大会連続で前回大会の優勝国がグループステージ敗退に追い込まれることとなった。
出典
[編集]- ^ “2018 FIFA World Cup Russia™ - Match Schedule” (PDF). FIFA.com. 2017年12月2日閲覧。
- ^ “2018 FIFA World Cup Russia™ - Regulations” (PDF). FIFA.com. 2017年12月2日閲覧。
- ^ “Men's Ranking 16 October 2017” (英語). FIFA (2017年10月16日). 2017年12月2日閲覧。
- ^ “Men's Ranking 07 June 2018” (英語). FIFA (2018年6月7日). 2018年6月7日閲覧。
- ^ a b c d “Match report – Group F – Germany-Mexico” (PDF). FIFA.com. Fédération Internationale de Football Association (17 June 2018). 17 June 2018閲覧。
- ^ a b “Tactical Line-up – Group F – Germany-Mexico” (PDF). FIFA.com. Fédération Internationale de Football Association (17 June 2018). 17 June 2018閲覧。
- ^ a b c d “Match report – Group F – Sweden-Korea Republic” (PDF). FIFA.com. Fédération Internationale de Football Association (2018年6月18日). 2018年6月19日閲覧。
- ^ a b “Tactical Line-up – Group F – Sweden-Korea Republic” (PDF). FIFA.com. Fédération Internationale de Football Association (2018年6月18日). 2018年6月18日閲覧。
- ^ a b c d “Match report – Group F – Korea Republic-Mexico” (PDF). FIFA.com. Fédération Internationale de Football Association (23 June 2018). 2018年6月24日閲覧。
- ^ a b “Tactical Line-up – Group F – Korea Republic-Mexico” (PDF). FIFA.com. Fédération Internationale de Football Association (23 June 2018). 23 June 2018閲覧。
- ^ a b c d “Match report – Group F – Germany-Sweden” (PDF). FIFA.com. Fédération Internationale de Football Association (23 June 2018). 2018年6月24日閲覧。
- ^ a b “Tactical Line-up – Group F – Germany-Sweden” (PDF). FIFA.com. Fédération Internationale de Football Association (23 June 2018). 23 June 2018閲覧。
- ^ a b c d “Match report – Group F – Korea Republic v Germany” (PDF). FIFA.com. Fédération Internationale de Football Association (27 June 2018). 2018年6月28日閲覧。
- ^ a b “Tactical Line-up – Group F – Korea Republic v Germany” (PDF). FIFA.com. Fédération Internationale de Football Association (27 June 2018). 2018年6月28日閲覧。
- ^ a b c d “Match report – Group F – Mexico v Sweden” (PDF). FIFA.com. Fédération Internationale de Football Association (27 June 2018). 2018年6月28日閲覧。
- ^ a b “Tactical Line-up – Group F – Mexico v Sweden” (PDF). FIFA.com. Fédération Internationale de Football Association (27 June 2018). 2018年6月28日閲覧。
- ^ a b “ドイツ代表どころか国も揺るがす"エジルとギュンドアン"の禍根 | footballista | フットボリスタ”. www.footballista.jp (2018年6月27日). 2021年8月4日閲覧。
- ^ “【図解・スポーツ】サッカーW杯2018・優勝候補の現状(1)ドイツのW杯成績(2018年4月):時事ドットコム”. 時事ドットコム. 2021年8月4日閲覧。
- ^ a b “「勝てばドイツ人、負ければ移民」2つの祖国に引き裂かれたMFエジル 独サッカー連盟に怒りの代表引退(木村正人) - 個人”. Yahoo!ニュース. 2021年8月4日閲覧。
- ^ “トルコ、EUと溝深まる 死刑復活や加盟交渉見直し視野”. 日本経済新聞 (2017年4月19日). 2021年8月4日閲覧。
- ^ メキシコのドイツ撃破を演出した戦術家 オソリオ監督が仕掛ける“次の一手”は? 2018年6月24日
- ^ “ドイツ対スウェーデン(グループF)|2018ワールドカップ(W杯)ロシア大会 - サッカー:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2021年8月4日閲覧。
- ^ INC, SANKEI DIGITAL (2018年6月28日). “【ロシアW杯】「歴史的瞬間!」 ドイツ下した韓国 予選リーグ敗退にも大歓喜”. 産経ニュース. 2021年8月4日閲覧。
- ^ “メキシコ対スウェーデン(グループF)|2018ワールドカップ(W杯)ロシア大会 - サッカー:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2021年8月4日閲覧。
- ^ “韓国対ドイツ(グループF)|2018ワールドカップ(W杯)ロシア大会 - サッカー:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2021年8月4日閲覧。
- ^ “ドイツ最下位敗退 決定機外しVAR判定弾に沈む - 海外サッカー : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2021年8月4日閲覧。
- ^ 王者ドイツ無残 空砲26発、焦り空回り敗退 日本経済新聞 2018年6月28日
- ^ “【サッカーW杯】 前回王者のドイツ敗退 1次リーグで韓国に0-2”. BBCニュース (2018年6月28日). 2021年8月4日閲覧。
- ^ “リネカー氏「最後はドイツが勝つ」の有名な格言を「勝つとは限らない」に修正”. スポーツ報知 (2018年6月28日). 2021年8月4日閲覧。
- ^ エジル「代表引退」表明 独に衝撃、政治議論に 毎日新聞 2018年7月24日
- ^ バイエルン会長、代表引退のエジルに残したのは辛辣な言葉「クソみたいなプレーだった」 goal 2018年7月23日