UEFAチャンピオンズリーグ 2010-11 決勝

UEFAチャンピオンズリーグ 2010-11 決勝
大会名 UEFAチャンピオンズリーグ 2010-11
開催日 2011年5月28日
会場 ウェンブリー・スタジアム(ロンドン)
UEFA最優秀選手 リオネル・メッシ (バルセロナ)[1]
ファン最優秀選手 リオネル・メッシ (バルセロナ)[2]
主審 カッシャイ・ヴィクトル[3]
観客数 87,695[4]
天気 曇り
気温15度
湿度76%[5]

UEFAチャンピオンズリーグ 2010-11 決勝とは、2011年5月28日にロンドンにあるウェンブリー・スタジアムで行われた、UEFAチャンピオンズリーグ2010-11シーズンの決勝戦である。ウェンブリー・スタジアムで決勝戦が行われるのは2007年改築以来初のことである[6][注 1]

決勝に進出したのはスペインFCバルセロナイングランドマンチェスター・ユナイテッドFCで、バルセロナが2-0で勝利した2008-09シーズン決勝戦(en:2009 UEFA Champions League Final)と同じ組み合わせとなった[7]。主審はハンガリーカッシャイ・ヴィクトルが務めた[3]。両チームとも、過去に3度の優勝経験を誇るチームで[注 2]、決勝トーナメントではバルセロナはアーセナルシャフタール・ドネツクレアル・マドリード[8]、対するマンチェスター・ユナイテッドはオリンピック・マルセイユチェルシーシャルケ04を破っての決勝進出となった[9]。また、この試合はリーガ・エスパニョーラ2010-11の優勝チーム[10]プレミアリーグ2010-11の優勝チーム[11]という、国内リーグ王者同士の対戦となった。試合は前半にバルセロナがペドロ・ロドリゲスの得点で先制、マンチェスター・ユナイテッドもウェイン・ルーニーの得点で一時は同点に追いついたものの[12]、後半にリオネル・メッシダビド・ビジャのゴールでバルセロナが勝ち越し、結果バルセロナが通算4度目となるチャンピオンズ・リーグ優勝を成し遂げた[13]

この試合に勝ち大会優勝が決まったバルセロナは、2011年8月26日にモナコで行われるUEFAスーパーカップ2011UEFAヨーロッパリーグ王者のFCポルトと対戦することが決まり[14][15]、また2011年12月に日本で開催されるFIFAクラブワールドカップ2011に欧州サッカー連盟所属チーム代表として参加することが決まった[16]

試合前

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決勝会場選考

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ウェンブリー・スタジアム

2009年1月29日、スイスニヨンにあるUEFA本部で開かれた理事会で決勝戦の会場選考が行われた。ドイツミュンヘンにあるアリアンツ・アレーナ[注 3]、同じくドイツのベルリンにあるオリンピアシュタディオンといった候補をおさえて[18]、2011年に行われる決勝戦の会場にイングランド、ロンドンにあるウェンブリー・スタジアムが選ばれた[17][19]。決勝戦が行われた日は、イギリスの5月のバンク・ホリデーにあたり、この日にはイングランドのフットボールリーグの、フットボールリーグ・プレーオフ英語版決勝戦が行われるのが伝統的な習慣であった。しかしUEFAの要請でプレーオフ決勝戦は場所を変更せざるを得なくなったため、フットボールリーグは契約違反を理由にFA協会に補償を請求した[20]。2011年1月21日、フットボールリーグ1のプレーオフ決勝戦を2011年5月29日に、フットボールリーグ2のプレーオフ決勝戦を5月28日に、マンチェスターにあるオールド・トラッフォードで開催するということでフットボールリーグとFA協会は合意に至った。フットボールリーグ・チャンピオンシップは予定通りの日に行われることとなった[21][22]カンファレンス・ナショナルの決勝戦は2011年5月21日にシティ・オブ・マンチェスター・スタジアムで行われることとなった[23]

ロゴの発表

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ハイネケンの缶ビールに描かれた決勝のロゴ

トッテナム・ホットスパーFCFWで、元イングランド代表キャプテンのゲーリー・リネカーがUEFAの2011年決勝親善大使を務めることとなった[24]。大使としての最初の仕事は、2010年8月26日に行われたグループ・ステージの組み合わせ抽選会だった[24][25]。リネカーは2010年11月25日にウェンブリー・スタジアムで行われた2011年決勝のロゴ発表にも立ち会った[26]SKYスポーツリチャード・キース英語版が司会を務めたこのイベントでは、大会ディレクターのジョルジョ・マルケッティ [27]などが参加した。決勝戦のロゴはヨーロピアン・チャンピオン・クラブズ・カップのイラストを中央に置き、2匹のライオンをその脇にあしらった、紋章のようなデザインとなった[28]。ロゴのデザインをしたロンドンのデザイナーによると、ライオンは決勝戦でタイトルをかけて争う二つのチームをあらわしたという。古いものを現代的なものの中に取り入れるこうしたデザインの手法は、デザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッドサヴィル・ロウに軒を連ねる紳士服の仕立て屋たちに見られるような、イギリスの現代的デザインを彷彿とさせるという意見もある[注 4][29]

チケット販売

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チケット価格[30]

ウェンブリー・スタジアムの内部
カテゴリー1 300ポンド
カテゴリー2 225ポンド
カテゴリー3 150ポンド
カテゴリー4(車イス用) 80ポンド
カテゴリー2(ファミリー用)[注 5] 338ポンド

ウェンブリー・スタジアムは通常9万人を収容することができるが、この決勝戦では約8万6千人の収容が上限とされた。チケットは決勝に進出した両チームのサポーターにそれぞれ2万5千人分割り当てられ、1万1千人分は一般販売とされた。申込期間は2011年2月24日から3月18日17時(GMT)で、4月6日までに応募者の中から抽選で選ばれることになった[31][32]

チケットの販売イベントは2011年2月17日にロンドンのシティ・ホールで行われ、チケットの販売開始の告知や上記の販売方法の説明が行われた。このイベントには親善大使のリネカーも参加し、2011年UEFA女子チャンピオンズリーグの決勝大使であるホープ・パウエル英語版、UEFAチャンピオンズ・フェスティバル大使のグレアム・ル・ソー、UEFA4代目副会長のマリオ・レフカリトス、イングランドサッカー協会副会長のバリー・ブライト英語版も参加した。ル・ソーとパウエルには地元の子供たちから記念のチケットがプレゼントされた[33]

価格の高騰

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5月28日にUEFAは決勝のチケットの価格を一人当たり80〜300ポンド[注 6]と発表した(表『チケット価格』参照)。2009年に行われた決勝戦では、カテゴリー3のチケットは80ポンドであったため、2年でチケット代は約2倍となった計算となる[37]。また、チケット代とは別途にヨーロッパ内からの注文の場合には26ポンド、ヨーロッパ外からの注文の場合には36ポンドが、発券手数料として必要であった[30]。ジョルジオ・マルケッティは、「価格は他のイベントと比較しても不当に高いとは誰も思わないはず」と説明したが、ファンの間ではUEFAの決定に対する不満が噴出[37]、UEFA会長のミシェル・プラティニは「間違いだった」と認め謝罪した[38]

試合球

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UEFAチャンピオンズリーグ 2000-01 決勝から始まったチャンピオンズリーグ決勝戦の慣例通り、この決勝戦でも試合球はドイツのスポーツメーカー、アディダス社の提供となった。例年チャンピオンズリーグの決勝戦で使用されるボールと同じような、「スターボール」のデザインが施されたアディダス・フィナーレ英語版・ロンドンは、2011年3月3日にウェンブリー・スタジアムで披露された。イングランドの国旗に見られる聖ゲオルギウス十字にならい、ボールには白地に赤い星のマークがあしらわれ、ボールの中央にはオレンジ色に輝く星が描かれた。ボールの技術的構造はUEFAチャンピオンズリーグ 2009-10 決勝で使用されたアディダス・フィナーレ・マドリードと同じものであった[39]

フェスティバル

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2011年5月21日、ロンドンのハイド・パークにあるスピーカーズ・コーナーでUEFAチャンピオンズ・フェスティバル2011が開会し、2011チャンピオンズリーグ・ファイナル[注 7]は公式に開会した。余興の試合が行われたり、ヨーロッパ・カップの歴史を紹介したり、小さなサッカー用のグラウンドを一般に開放したりと、様々なアトラクションが催され、決勝戦のキックオフの数時間前まで約1週間にわたりフェスティバルは続いた[40]

決勝への道のり

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バルセロナ ラウンド マンチェスター・ユナイテッド
チーム
スペインの旗 バルセロナ 6 4 2 0 14 3 +11 14
デンマークの旗 コペンハーゲン 6 3 1 2 7 5 +2 10
ロシアの旗 ルビン・カザン 6 1 3 2 2 4 −2 6
ギリシャの旗 パナシナイコス 6 0 2 4 2 13 −11 2
グループ・ステージ[41]
チーム
イングランドの旗 マンチェスターU 6 4 2 0 7 1 +6 14
スペインの旗 バレンシア 6 3 2 1 15 4 +11 11
スコットランドの旗 グラスゴー・レンジャーズ 6 1 3 2 3 6 −3 6
トルコの旗 ブルサスポル 6 0 1 5 2 16 −14 1
対戦相手 結果 詳細 決勝トーナメント 対戦相手 結果 詳細
イングランドの旗 アーセナル 4–3 1–2(A); 3–1(H) 1回戦[42] フランスの旗 オリンピック・マルセイユ 2–1 0–0(A); 2–1(H)
ウクライナの旗 シャフタール・ドネツク 6–1 5–1(H); 1–0(A) 準々決勝[43] イングランドの旗 チェルシー 3–1 1–0(A); 2–1(H)
スペインの旗 レアル・マドリード 3–1 2–0(A); 1–1(H) 準決勝[44] ドイツの旗 シャルケ04 6–1 2–0(A); 4–1(H)

両チームの過去の直接対決

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UEFAカップウィナーズカップ 1983-84 準々決勝 [45]
Leg 日付 ホームチーム スコア アウェーチーム 得点者
1st. 1984年3月7日 バルセロナ 2-0 マンチェスターU バルセロナHogg 35(OG)、Rojo 90
2nd. 1984年3月21日 マンチェスターU 3-0 バルセロナ マンチェスターUロブソン 21,50、ステープルトン 51
合計 バルセロナ 2-3 マンチェスターU
UEFAカップウィナーズカップ1990-91 決勝英語版[45] 会場:ロッテルダムフェイエノールト・スタディオン [46]
日付 スコア 得点者
1991年5月15日 マンチェスターU 2-1 バルセロナ マンチェスターUヒューズ 67,74
バルセロナクーマン 79
UEFAチャンピオンズリーグ 1994-95 グループ・ステージ [45]
日付 ホームチーム スコア アウェーチーム 得点者
1994年10月19日 マンチェスターU 2-2 バルセロナ マンチェスターUヒューズ 19、シャープ 79
バルセロナロマーリオ 33、バケーロ 49
1994年11月2日 バルセロナ 4-0 マンチェスターU バルセロナストイチコフ 2,59、ロマーリオ 45、フェレール 88
UEFAチャンピオンズリーグ 1998-99 グループステージ [45]
日付 ホームチーム スコア アウェーチーム 得点者
1998年9月16日 マンチェスターU 3-3 バルセロナ マンチェスターUギグス 16、スコールズ 24、ベッカム 63
バルセロナアンデルソン 47、ジオヴァンニ 59(PK)、エンリケ 70(PK)
1998年11月25日 バルセロナ 3-3 マンチェスターU バルセロナアンデルソン 1、リバウド 57,73
マンチェスターUヨーク 25,68、コール 53
UEFAチャンピオンズリーグ 2007-08 準決勝 [45]
Leg 日付 ホームチーム スコア アウェーチーム 得点者
1st. 2008年4月23日 バルセロナ 0-0 マンチェスターU
2nd. 2008年4月29日 マンチェスターU 1-0 バルセロナ マンチェスターUスコールズ 14
合計 バルセロナ 0-1 マンチェスターU
UEFAチャンピオンズリーグ 2008-09 決勝[45] 会場:ローマスタディオ・オリンピコ [47]
日付 スコア 得点者
2009年5月27日 バルセロナ 2-0 マンチェスターU バルセロナエトオ 10、メッシ 70

決勝直近の両チームの成績

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決勝直前の5試合の成績を見ると、バルセロナは2勝3分け、対するマンチェスターUは3勝1敗1分けという成績であった。

バルセロナ[45] マンチェスターU[45]
日付 大会名 対戦相手 結果 日付 大会名 対戦相手 結果
5月21日 国内リーグ マラガ(A) ○3-1 5月22日 国内リーグ ブラックプール(H) ○4-2
5月15日 国内リーグ ラ・コルーニャ(H) △0-0 5月14日 国内リーグ ブラックバーン(A) △1-1
5月11日 国内リーグ レバンテ(A) △1-1 5月8日 国内リーグ チェルシーFC(H) ○2-1
5月8日 国内リーグ エスパニョール(H) ○2-1 5月4日 UCL シャルケ04(H) ○4-1
5月3日 UCL レアル・マドリード(H) △1-1 5月1日 国内リーグ アーセナル(A) ●0-1

試合

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概要

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バルセロナ
マンチェスター・ユナイテッド
バルセロナ[4]
GK 1 スペインの旗 ビクトル・バルデス 85分に警告 85分
RB 2 ブラジルの旗 ダニエウ・アウヴェス 60分に警告 60分 88分に交代退場 88分
CB 14 アルゼンチンの旗 ハビエル・マスチェラーノ
CB 3 スペインの旗 ジェラール・ピケ
LB 22 フランスの旗 エリック・アビダル
DM 16 スペインの旗 セルヒオ・ブスケツ
CM 6 スペインの旗 シャビ・エルナンデス キャプテン
CM 8 スペインの旗 アンドレス・イニエスタ
RF 7 スペインの旗 ダビド・ビジャ 86分に交代退場 86分
CF 10 アルゼンチンの旗 リオネル・メッシ
LF 17 スペインの旗 ペドロ・ロドリゲス 90+2分に交代退場 90+2分
控え
GK 38 スペインの旗 オイエル・オラサバル
DF 5 スペインの旗 カルレス・プジョル 88分に交代出場 88分
DF 21 ブラジルの旗 アドリアーノ
MF 15 マリ共和国の旗 セイドゥ・ケイタ 86分に交代出場 86分
MF 20 オランダの旗 イブラヒム・アフェライ 90+2分に交代出場 90+2分
MF 30 スペインの旗 ティアゴ・アルカンタラ
FW 9 スペインの旗 ボージャン・クルキッチ
監督
スペインの旗 ジョゼップ・グアルディオラ
マンチェスターU[4]
GK 1 オランダの旗 エトヴィン・ファン・デル・サール
RB 20 ブラジルの旗 ファビオ・ダ・シウヴァ 69分に交代退場 69分
CB 5 イングランドの旗 リオ・ファーディナンド
CB 15 セルビアの旗 ネマニャ・ヴィディッチ キャプテン
LB 3 フランスの旗 パトリス・エヴラ
RM 25 エクアドルの旗 アントニオ・バレンシア 79分に警告 79分
CM 16 イングランドの旗 マイケル・キャリック 61分に警告 61分 77分に交代退場 77分
CM 11 ウェールズの旗 ライアン・ギグス
LM 13 大韓民国の旗 朴智星
SS 10 イングランドの旗 ウェイン・ルーニー
CF 14 メキシコの旗 ハビエル・エルナンデス
控え
GK 29 ポーランドの旗 トマシュ・クシュチャク
DF 12 イングランドの旗 クリス・スモーリング
MF 8 ブラジルの旗 アンデルソン
MF 17 ポルトガルの旗 ナニ 69分に交代出場 69分
MF 18 イングランドの旗 ポール・スコールズ 77分に交代出場 77分
MF 24 スコットランドの旗 ダレン・フレッチャー
FW 7 イングランドの旗 マイケル・オーウェン
監督
スコットランドの旗 アレックス・ファーガソン


リオネル・メッシ
UEFA選出マン・オブ・ザ・マッチ
アルゼンチンの旗 リオネル・メッシ (バルセロナ)[1]


ファン選出マン・オブ・ザ・マッチ[注 8]
アルゼンチンの旗 リオネル・メッシ (バルセロナ)[2]

審判団
ハンガリーの旗 エレーシュ・ガーボル (副審)[3]
ハンガリーの旗 リング・ジェルジ (副審)[3]
ハンガリーの旗 ファービアーン・ミハーイ (追加副審)[3]
ハンガリーの旗 ボグナール・タマーシュ (追加副審)[3]
ハンガリーの旗 バド・イシュトヴァーン英語版 (第4審判)[3]
ハンガリーの旗 キシュパール・ロベルト (予備副審)[3]

試合展開

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前半

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立ち上がりの時間帯、マンチェスターUは積極的なプレスと押し上げで、バルセロナに時間とスペースを与えなかった[48]。試合開始から間もない時間帯のバルセロナは落ち着いてプレーをすることができず、ファン・デル・サールが送ったロングフィードへの対応をハビエル・マスチェラーノが誤り、ビクトル・バルデスがパンチングでクリアする場面もあった[48]

主審を務めたヴィクトル・カッサイ

それでも次第にバルセロナはペースを上げていき[48]、マンチェスターUは自陣に釘付けとなった[48]。前半27分、相手陣内でボールを受けたシャビがそのまま持ち上がり、斜め前方のペドロにパス、ペドロはペナルティーエリアの右方向からニアポスト際に流し込み、バルセロナが先制した[48]。苦しい展開となったマンチェスターUだが、バルセロナの先制ゴールから7分後の前半34分、マンチェスターUはエリック・アビダルのスローインからボールを奪い、マイケル・キャリックとのワンツーでウェイン・ルーニーがバルセロナの守備を突破しライアン・ギグスにパス、ルーニーはギグスの折り返しを受け、同点となるゴールを左サイドネットに決めた[48]

後半

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同点には追いついたがマンチェスターUの攻撃は長続きせず、後半もバルセロナが試合をコントロールした[48]。後半9分、メッシは中盤でボールを受けると、パトリス・エブラのマークを受ける前に中央に切れ込み、ゴール前約20メートルの距離からミドルシュートを決め、再びバルセロナが勝ち越した[48]。その後もバルセロナの攻勢が続き、後半24分にはセルヒオ・ブスケツが途中出場のナニに競り勝ち、そのブスケツのパスを受けたビジャがコントロールシュートを決めて3点目のゴールを決めた[48]

データ

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チームデータ

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個人データ

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バルセロナ[50][51][52][53]
選手 No 時間 ゴール シュ アシ パス 成功 % 警告 Red card
V・バルデス 1 93:08 0 0 0 0 29 20 69% 5751 0 0 1 0
D・アウベス 2 87:53 0 1 1 0 62 47 76% 9940 2 0 1 0
ピケ 3 93:08 0 0 0 0 58 52 90% 9876 1 0 0 0
シャビ 6 93:08 0 1 3 1 136 124 91% 11950 0 0 0 0
ビジャ 7 85:27 1 2 4 0 29 23 79% 9038 1 0 0 0
イニエスタ 8 93:08 0 3 5 1 107 98 92% 10638 0 0 0 0
メッシ 10 93:08 1 3 3 0 91 83 91% 9128 0 0 0 0
マスチェラーノ 14 93:08 0 0 0 0 65 57 88% 8747 0 0 0 0
ブスケツ 16 93:08 0 0 0 1 83 74 89% 10600 0 0 0 0
ペドロ 17 91:49 1 1 2 0 38 30 79% 10170 1 0 0 0
アビダル 22 93:08 0 0 0 0 61 51 84% 10467 0 1 0 0
オイエル 38 0 0 0 0 0 0 0 0% 0 0 0 0 0
プジョル 5 5:15 0 0 0 0 6 4 67% 629 0 0 0 0
ボージャン 9 0 0 0 0 0 0 0 0% 0 0 0 0 0
ケイタ 15 7:41 0 0 0 0 4 2 50% 887 0 0 0 0
アフェライ 20 1:19 0 1 1 0 3 2 67% 264 0 0 0 0
アドリアーノ 21 0 0 0 0 0 0 0 0% 0 0 0 0 0
ティアゴ 30 0 0 0 0 0 0 0 0% 0 0 0 0 0
マンチェスター・ユナイテッド[50][51][52][53]
選手 No 時間 ゴール シュ アシ パス 成功 % 警告 Red card
ファン・デル・サール 1 93:08 0 0 0 0 38 22 58% 4485 0 0 0 0
エヴラ 3 93:08 0 0 0 0 35 22 63% 8581 0 0 0 0
ファーディナンド 5 93:08 0 0 0 0 51 40 78% 8480 0 0 0 0
ルーニー 10 93:08 1 1 2 0 47 31 66% 10500 1 0 0 0
ギグス 11 93:08 0 0 0 1 43 31 72% 11160 2 0 0 0
朴智星 13 93:08 0 0 0 0 28 21 75% 11056 2 0 0 0
エルナンデス 14 93:08 0 0 1 0 18 12 67% 8762 1 5 0 0
ヴィディッチ 15 93:08 0 0 0 0 40 33 83% 9176 1 0 0 0
キャリック 16 76:19 0 0 0 0 38 30 79% 9574 1 0 1 0
ファビオ 20 68:28 0 0 0 0 22 14 64% 6844 1 0 0 0
バレンシア 25 93:08 0 0 0 0 34 24 71% 10490 7 0 1 0
クシュチャク 29 0 0 0 0 0 0 0 0% 0 0 0 0 0
オーウェン 7 0 0 0 0 0 0 0 0% 0 0 0 0 0
アンデルソン 8 0 0 0 0 0 0 0 0% 0 0 0 0 0
スモーリング 12 0 0 0 0 0 0 0 0% 0 0 0 0 0
ナニ 17 24:40 0 0 1 0 8 6 75% 2819 0 0 0 0
スコールズ 18 16:49 0 0 0 0 17 15 88% 1925 0 0 0 0
フレッチャー 24 0 0 0 0 0 0 0 0% 0 0 0 0 0
  は両チームで最も大きな数字であることを表す。

試合後

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トロフィーの授与

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例年優勝セレモニーの際には、UEFA会長の手からチャンピオンズリーグ優勝トロフィーを受け取るのは優勝チームのキャプテンが行うのが習慣であった。しかしバルセロナのキャプテン、カルレス・プジョルと試合中にキャプテンマークを付けていたシャビ・エルナンデスが、キャプテンマークを2011年3月15日に肝臓摘出手術を受け復帰を果たしたエリック・アビダルに譲ったため[注 9]、アビダルがトロフィーを受け取ることとなった。アビダルは後にこのことについて感謝の言葉を述べている[54]

試合直後の両監督の弁

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ジョゼップ・グアルディオラ

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ジョゼップ・グアルディオラ
  • 2009年に同じくマンチェスターUと対戦したチャンピオンズリーグの決勝戦と比べて
    この決勝戦は2009年のローマでの決勝と比べても内容が良かった。この試合ではずっといいプレーを見せられたし、2年前より多くのチャンスを作った[55]
  • 試合内容について
    チャンスを多く作り、その好機を生かして得点を挙げた。こちらから繰り返しプレスをかけ、マイケル・キャリックやライアン・ギグスを抑え込んだところに、バルセロナというチームの質の高さが現れていた[55]
  • マンチェスターUについて
    先制したのはバルセロナだったが、あの時点ではどう転んでもおかしくない展開だった。マンチェスター・ユナイテッドは厄介な相手だった。この試合でバルセロナが対戦したチームは、ほぼ毎年リーグタイトルを手にする強豪だ[55]
  • アレックス・ファーガソンについて
    常々敬意を抱いてきたが、この試合を経てその思いはいっそう強くなった。マンチェスター・ユネイテッドのようなビッグクラブを25年にわたって率い、常に新しいチームを作り続けてきた。その姿勢に尊敬の念を抱く[55]
  • マン・オブ・ザ・マッチを受賞したリオネル・メッシについて
    リオネル・メッシはこれまで見てきた中でも最高の選手で、 おそらく今後もこうした選手は現れないだろう。バルセロナには良い選手が揃っているが、メッシ抜きでは、バルセロナがここまでの大躍進を遂げることはなかったはずだ[55]

アレックス・ファーガソン

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アレックス・ファーガソン
  • バルセロナについて
    バルセロナはこれまでに対戦した中で最高のチームだった。素晴らしいチームにはサイクルがあり、バルセロナがそのピークを迎えているのは間違いない。この状態があと何年か続き、うまく世代交代できるかどうかは誰にも分からない。バルセロナのサッカーには哲学があるが、常にシャビやイニエスタ、メッシのような選手を発掘できるとは限らない。彼らのような選手は滅多に現れないものだ[55][56]
  • 試合内容について
    マンチェスター・ユナイテッドはマンマークで守るチームではなく、なるべく普段通りのプレーを心がけた。バルセロナは華麗なパスワークで観客を魅了するチームで、リオネル・メッシにはほとんど対処することができなかった[55]
  • 敗戦について
    今回の敗北は、1994年に0-4で敗れたバルセロナ戦と同じく成長への足掛かりとなるだろう。あの敗戦を境に成長し、今でも成長したいという気持ちを抱き続けている[55]

注釈

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  1. ^ 改築前の旧スタジアムでは、1963年、1968年、1971年,1978年,1992年に決勝戦が行われている[6]
  2. ^ バルセロナは1992年、2006年、2009年に優勝[8] 。マンチェスターUは1968年、1999年、2008年に優勝 [9]
  3. ^ このとき開かれた理事会で、アリアンツ・アレーナはUEFAチャンピオンズリーグ 2011-12 決勝の会場に選ばれた[17]
  4. ^ UEFA.com曰く[28]
  5. ^ 大人一人と小児一人。
  6. ^ チケット購入者はクレジット・カードで代金を支払い、3月18日から4月5日までの間に請求されることとなっていたが[30]、これは当時のポンド為替相場市場では約90〜345ユーロ[34]、約10,000〜41,000日本円[35]、約130〜490米ドル相当の金額であった[36]
  7. ^ 決勝戦の試合そのものを含めたイベント全体のこと。
  8. ^ UEFAが公式HPでファンに対してアンケート[2]
  9. ^ 試合中はシャビがキャプテンマークを付けていたが、バルセロナの本来のキャプテンはこの試合ではスターティング・メンバーから外れたプジョルであった[54]

出典

[編集]
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外部リンク

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