WTAファイナルズ(WTA Finals)は、毎年10月末から11月上旬に行われるWTAツアーの年間最終戦である。
1972年にアメリカ・フロリダ州のボカラトンで「バージニアスリム選手権」として第1回が行われ、1979年以降、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで行われた。歴代の冠スポンサーの中には日本のトヨタ自動車も名前を連ねたことがある。1995年から2000年までは「チェイス選手権」の名称であった。
最近は大会会場の変更が多く、2001年はドイツ・ミュンヘンの「オリンピアハレ」で行われ、2002年から2005年まではロサンゼルスで開催された。2006年・2007年の2年間スペイン・マドリードで行われた後、2008年はカタールのドーハに会場を移す。2011年からはトルコのイスタンブール、2014年からはシンガポール、2019年から28年までは中国深圳市で開催される。2021年は新型コロナウイルスの流行を理由に、会場がメキシコのグアダラハラに変更された。
2002年までは、年間最終ランキング16名の選手に出場資格が与えられ、1回戦からのトーナメントで試合が行われていた。しかし2003年以後、男子年間最終戦の「テニス・マスターズ・カップ」と同じ方式に変更された。出場資格選手は世界ランキング上位8名の選手に減らされ、4人ずつの2組に分かれて総当たり戦(ラウンド・ロビン)を行い、上位選手2名が決勝トーナメントに進出する。その4名で準決勝 → 決勝が行われ、優勝者が決定する。
このWTAツアー最終戦は、1998年までは決勝戦が最大5セット・マッチで行われ、女子テニスツアーでは唯一5セット・マッチで行われるゲームであった。この制度は1984年、当時の世界ランキング1位だったマルチナ・ナブラチロワがあまりにも強すぎたことから導入された。しかし女子選手に5セット・マッチは体の負担が大きすぎるという声が大きく、1999年からは決勝戦も通常の最大3セット・マッチで行われている。本大会シングルスの優勝者にはビリー・ジーン・キング・トロフィー、ダブルスにはマルチナ・ナブラチロワ・トロフィーが授与される。
2009年からは翌週に大会に出場出来なかった選手によるWTAトーナメント・オブ・チャンピオンズが行われるようになった。2015年からはWTAエリート・トロフィーとして開催されている。
都市 | 開催年 | 会場 | サーフェス | 座席数 |
ボカラトン | 1972–1973 | – | クレー | – |
ロサンゼルス | 1974–1976 | – | カーペット | – |
ニューヨーク | 1977 | マディソン・スクエア・ガーデン | カーペット | 18,000 |
オークランド | 1978 | オークランド・アラメダ・カウンティ・コロシアム・アリーナ | カーペット | – |
ニューヨーク | 1979–2000 | マディソン・スクエア・ガーデン | カーペット | 18,000 |
ミュンヘン | 2001 | オリンピアハレ | ハード | 12,000 |
ロサンゼルス | 2002–2005 | ステイプルズ・センター | ハード | 17,000 |
マドリード | 2006–2007 | マドリード・アリーナ | ハード | 10,500 |
ドーハ | 2008–2010 | カリファ国際テニスコンプレックス | ハード | 6,911 |
イスタンブール | 2011–2013 | スィナン・エルデム・ドーム | ハード | 15,000 |
シンガポール | 2014–2018 | シンガポール・インドア・スタジアム | ハード | 10,000 |
深圳 | 2019* | 深圳湾体育中心 | ハード | 12,000 |
グアダラハラ | 2021 | パンアメリカン・テニス・センター | ハード | 2,592 |
フォートワース | 2022 | ディッキーズ・アリーナ | ハード | 12,000 |
カンクン | 2023 | | ハード | 6,000 |
リヤド | 2024–2026 | キングサウード大学 | 屋内ハード |
年 | 優勝者 | 準優勝者 | 決勝結果 | 備考 |
1972年 | クリス・エバート | ケリー・レイド | 7-5, 6-4 | |
1973年 | クリス・エバート | ナンシー・リッチー | 6-3, 6-3 | |
1974年 | イボンヌ・グーラゴング | クリス・エバート | 6-3, 6-4 | |
1975年 | クリス・エバート | マルチナ・ナブラチロワ | 6-4, 6-2 | |
1976年 | イボンヌ・グーラゴング・コーリー | クリス・エバート | 6-3, 5-7, 6-3 | |
1977年 | クリス・エバート | スー・バーカー | 2-6, 6-1, 6-1 | |
1978年 | マルチナ・ナブラチロワ | イボンヌ・グーラゴング・コーリー | 7-6, 6-4 | |
1979年 | マルチナ・ナブラチロワ | トレーシー・オースチン | 6-3, 3-6, 6-2 | |
1980年 | トレーシー・オースチン | マルチナ・ナブラチロワ | 6-2, 2-6, 6-2 | |
1981年 | マルチナ・ナブラチロワ | アンドレア・イエガー | 6-3, 7-6 | |
1982年 | シルビア・ハニカ | マルチナ・ナブラチロワ | 1-6, 6-3, 6-4 | |
1983年 | マルチナ・ナブラチロワ | クリス・エバート・ロイド | 6-2, 6-0 | |
1984年 | マルチナ・ナブラチロワ | クリス・エバート・ロイド | 6-3, 7-5, 6-1 | 決勝戦に5セット・マッチ導入 |
1985年 | マルチナ・ナブラチロワ | ヘレナ・スコバ | 6-3, 7-5, 6-4 | |
1986年1月 | マルチナ・ナブラチロワ | ハナ・マンドリコワ | 6-2, 6-0, 3-6, 6-1 | |
1986年11月 | マルチナ・ナブラチロワ | シュテフィ・グラフ | 7-6, 6-3, 6-2 | |
1987年 | シュテフィ・グラフ | ガブリエラ・サバティーニ | 4-6, 6-4, 6-0, 6-4 | |
1988年 | ガブリエラ・サバティーニ | パム・シュライバー | 7-5, 6-2, 6-2 | |
1989年 | シュテフィ・グラフ | マルチナ・ナブラチロワ | 6-4, 7-5, 2-6, 6-2 | |
1990年 | モニカ・セレシュ | ガブリエラ・サバティーニ | 6-4, 5-7, 3-6, 6-4, 6-2 | |
1991年 | モニカ・セレシュ | マルチナ・ナブラチロワ | 6-4, 3-6, 7-5, 6-0 | |
1992年 | モニカ・セレシュ | マルチナ・ナブラチロワ | 7-5, 6-3, 6-1 | |
1993年 | シュテフィ・グラフ | アランチャ・サンチェス・ビカリオ | 6-1, 6-4, 3-6, 6-1 | |
1994年 | ガブリエラ・サバティーニ | リンゼイ・ダベンポート | 6-3, 6-2, 6-4 | 伊達公子が日本人選手として初出場 |
1995年 | シュテフィ・グラフ | アンケ・フーバー | 6-1, 2-6, 6-1, 4-6, 6-3 | |
1996年 | シュテフィ・グラフ | マルチナ・ヒンギス | 6-3, 4-6, 6-0, 4-6, 6-0 | |
1997年 | ヤナ・ノボトナ | マリー・ピエルス | 7-6, 6-2, 6-3 | |
1998年 | マルチナ・ヒンギス | リンゼイ・ダベンポート | 7-5, 6-4, 4-6, 6-2 | |
1999年 | リンゼイ・ダベンポート | マルチナ・ヒンギス | 6-4, 6-2 | 決勝戦を3セット・マッチに戻す |
2000年 | マルチナ・ヒンギス | モニカ・セレシュ | 6-7, 6-4, 6-4 | |
2001年 | セリーナ・ウィリアムズ | リンゼイ・ダベンポート | 不戦勝 | |
2002年 | キム・クライシュテルス | セリーナ・ウィリアムズ | 7-5, 6-3 | |
2003年 | キム・クライシュテルス | アメリ・モレスモ | 6-2, 6-0 | |
2004年 | マリア・シャラポワ | セリーナ・ウィリアムズ | 4-6, 6-2, 6-4 | 大会史上最年少優勝 |
2005年 | アメリ・モレスモ | マリー・ピエルス | 5-7, 7-6, 6-4 | |
2006年 | ジュスティーヌ・エナン=アーデン | アメリ・モレスモ | 6-4, 6-3 | |
2007年 | ジュスティーヌ・エナン | マリア・シャラポワ | 5-7, 7-5, 6-3 | |
2008年 | ビーナス・ウィリアムズ | ベラ・ズボナレワ | 6-7, 6-0, 6-2 | |
2009年 | セリーナ・ウィリアムズ | ビーナス・ウィリアムズ | 6-2,7-6 | |
2010年 | キム・クライシュテルス | キャロライン・ウォズニアッキ | 6-3, 5-7, 6-3 | |
2011年 | ペトラ・クビトバ | ビクトリア・アザレンカ | 7-5, 4-6, 6-3 | |
2012年 | セリーナ・ウィリアムズ | マリア・シャラポワ | 6-4, 6-3 | |
2013年 | セリーナ・ウィリアムズ | 李娜 | 2-6, 6-3, 6-0 | |
2014年 | セリーナ・ウィリアムズ | シモナ・ハレプ | 6-3, 6-0 | |
2015年 | アグニエシュカ・ラドワンスカ | ペトラ・クビトバ | 6-2, 4-6, 6-3 | |
2016年 | ドミニカ・チブルコバ | アンゲリク・ケルバー | 6-3, 6-4 | |
2017年 | キャロライン・ウォズニアッキ | ビーナス・ウィリアムズ | 6-4, 6-4 | |
2018年 | エリナ・スビトリナ | スローン・スティーブンス | 3-6, 6-2, 6-2 | |
2019年 | アシュリー・バーティ | エリナ・スビトリナ | 6-4, 6-3 | |
2020年 | 大会開催なし |
2021年 | ガルビネ・ムグルサ | アネット・コンタベイト | 6-3, 7-5 | |
2022年 | キャロリン・ガルシア | [注釈 1] アリーナ・サバレンカ | 7-6(7-4), 6-4 | |
2023年 | イガ・シフィオンテク | ジェシカ・ペグラ | 6-1, 6-0 | |
2024年 | コリ・ガウフ | 鄭欽文 | 3-6, 6-4, 7-6(7-2) | |
年 | 優勝者 | 準優勝者 | 決勝結果 |
1974年 | ロージー・カザルス ビリー・ジーン・キング | フランソワーズ・デュール ベティ・ストーブ | 6-1, 6-7, 7-5 |
1975年-76年 | ダブルス競技実施なし |
1977年 | マルチナ・ナブラチロワ ベティ・ストーブ | フランソワーズ・デュール バージニア・ウェード | 7-5, 6-3 |
1978年-81年 | ダブルス競技実施なし |
1982年 | マルチナ・ナブラチロワ パム・シュライバー | キャシー・ジョーダン アン・スミス | 6-4, 6-3 |
1983年 | マルチナ・ナブラチロワ パム・シュライバー | クラウディア・コーデ=キルシュ エヴァ・プファッフ | 7-5, 6-2 |
1984年 | マルチナ・ナブラチロワ パム・シュライバー | ジョー・デュリー アン清村 | 6-3, 6-1 |
1985年 | マルチナ・ナブラチロワ パム・シュライバー | クラウディア・コーデ=キルシュ ヘレナ・スコバ | 6-7, 6-4, 7-6 |
1986年1月 | ハナ・マンドリコワ ウェンディ・ターンブル | クラウディア・コーデ=キルシュ ヘレナ・スコバ | 6-4, 6-7, 6-3 |
1986年11月 | マルチナ・ナブラチロワ パム・シュライバー | クラウディア・コーデ=キルシュ ヘレナ・スコバ | 7-6, 6-3 |
1987年 | マルチナ・ナブラチロワ パム・シュライバー | クラウディア・コーデ=キルシュ ヘレナ・スコバ | 6-1, 6-1 |
1988年 | マルチナ・ナブラチロワ パム・シュライバー | ラリサ・サブチェンコ ナタリア・ズベレワ | 6-3, 6-4 |
1989年 | マルチナ・ナブラチロワ パム・シュライバー | ラリサ・サブチェンコ ナタリア・ズベレワ | 6-3, 6-2 |
1990年 | キャシー・ジョーダン エリザベス・スマイリー | アランチャ・サンチェス・ビカリオ メルセデス・パス | 7-6, 6-4 |
1991年 | マルチナ・ナブラチロワ パム・シュライバー | ジジ・フェルナンデス ヤナ・ノボトナ | 4-6, 7-5, 6-4 |
1992年 | アランチャ・サンチェス・ビカリオ ヘレナ・スコバ | ラリサ・ネーランド ヤナ・ノボトナ | 7-6, 6-1 |
1993年 | ジジ・フェルナンデス ナターシャ・ズベレワ | ラリサ・ネーランド ヤナ・ノボトナ | 6-3, 7-5 |
1994年 | ジジ・フェルナンデス ナターシャ・ズベレワ | アランチャ・サンチェス・ビカリオ ヤナ・ノボトナ | 6-3, 6-7, 6-3 |
1995年 | アランチャ・サンチェス・ビカリオ ヤナ・ノボトナ | ジジ・フェルナンデス ナターシャ・ズベレワ | 6-2, 6-1 |
1996年 | リンゼイ・ダベンポート メアリー・ジョー・フェルナンデス | アランチャ・サンチェス・ビカリオ ヤナ・ノボトナ | 6-3, 6-2 |
1997年 | リンゼイ・ダベンポート ヤナ・ノボトナ | ナタリー・トージア アレクサンドラ・フセ | 6-7, 6-3, 6-2 |
1998年 | リンゼイ・ダベンポート ナターシャ・ズベレワ | ナタリー・トージア アレクサンドラ・フセ | 6-7, 7-5, 6-3 |
1999年 | マルチナ・ヒンギス アンナ・クルニコワ | アランチャ・サンチェス・ビカリオ ラリサ・ネーランド | 6-4, 6-4 |
2000年 | マルチナ・ヒンギス アンナ・クルニコワ | ニコル・アレント マノン・ボーラグラフ | 6-2, 6-3 |
2001年 | リサ・レイモンド レネ・スタブス | カーラ・ブラック エレーナ・リホフツェワ | 7-5, 3-6, 6-3 |
2002年 | エレーナ・デメンチェワ ヤネッテ・フサロバ | カーラ・ブラック エレーナ・リホフツェワ | 4-6, 6-4, 6-3 |
2003年 | ビルヒニア・ルアノ・パスクアル パオラ・スアレス | キム・クライシュテルス 杉山愛 | 6-4, 3-6, 6-3 |
2004年 | ナディア・ペトロワ メガン・ショーネシー | カーラ・ブラック レネ・スタブス | 7-5, 6-2 |
2005年 | リサ・レイモンド サマンサ・ストーサー | カーラ・ブラック レネ・スタブス | 6-7, 7-5, 6-4 |
2006年 | リサ・レイモンド サマンサ・ストーサー | カーラ・ブラック レネ・スタブス | 3-6, 6-3, 6-3 |
2007年 | リーゼル・フーバー カーラ・ブラック | カタリナ・スレボトニク 杉山愛 | 5-7, 6-3, [10-8] |
2008年 | リーゼル・フーバー カーラ・ブラック | クベタ・ペシュケ レネ・スタブス | 6-1, 7-5 |
2009年 | マリア・ホセ・マルティネス・サンチェス ヌリア・リャゴステラ・ビベス | リーゼル・フーバー カーラ・ブラック | 7-6, 5-7, [10-7] |
2010年 | ヒセラ・ドゥルコ フラビア・ペンネッタ | クベタ・ペシュケ カタリナ・スレボトニク | 7-5, 6-4 |
2011年 | リーゼル・フーバー リサ・レイモンド | クベタ・ペシュケ カタリナ・スレボトニク | 6-4, 6-4 |
2012年 | マリア・キリレンコ ナディア・ペトロワ | アンドレア・フラバーチコバ ルーシー・ハラデツカ | 6-1, 6-4 |
2013年 | 謝淑薇 彭帥 | エカテリーナ・マカロワ エレーナ・ベスニナ | 6-4, 7-5 |
2014年 | サニア・ミルザ カーラ・ブラック | 謝淑薇 彭帥 | 6-1, 6-0 |
2015年 | マルチナ・ヒンギス サニア・ミルザ | ガルビネ・ムグルサ カルラ・スアレス・ナバロ | 6-0, 6-3 |
2016年 | エカテリーナ・マカロワ エレーナ・ベスニナ | ベサニー・マテック=サンズ ルーシー・サファロバ | 7-6(7-5), 6-3 |
2017年 | ティメア・バボシュ アンドレア・フラバーチコバ | キキ・ベルテンス ヨハンナ・ラーション | 4-6, 6-4, [10-5] |
2018年 | ティメア・バボシュ クリスティナ・ムラデノビッチ | バルボラ・クレイチコバ カテリナ・シニャコバ | 6-4, 7-5 |
2019年 | ティメア・バボシュ クリスティナ・ムラデノビッチ | 謝淑薇 バルボラ・ストリコバ | 6-1, 6-3 |
2020年 | 大会開催なし |
2021年 | バルボラ・クレイチコバ カテリナ・シニャコバ | 謝淑薇 エリーズ・メルテンス | 6-3, 6-4 |
2022年 | [注釈 1] ベロニカ・クデルメトバ エリーズ・メルテンス | バルボラ・クレイチコバ カテリナ・シニャコバ | 6-2, 4-6, [11-9] |
2023年 | ラウラ・シグムント [注釈 1]ベラ・ズボナレワ | ニコール・メリチャー エレン・ペレス | 6-4, 6-4 |
2024年 | ガブリエラ・ダブロウスキー エリン・ラウトリフ | カテリナ・シニャコバ テイラー・タウンゼント | 7-5, 6-3 |
- ^ a b c As of 1 March 2022, the WTA announced that players from Russia will not compete in tournaments under the name or flag of Russia due to the Russian invasion of Ukraine.[2]
太字は現役選手
- WTAツアー公式メディア・ガイド、1996年版 (189・190ページ/ダブルス記録は190ページに従った)