チリトリー
チリトリーは、任天堂が1979年に発売した無線操縦式ロボット掃除機。任天堂がコンピュータゲームに重きを置くようになる前に制作していたテーブルゲームや玩具の一種である[1]。
概要
[編集]携帯型ゲーム機の開発にも携わった横井軍平が開発した製品で[2]、のちに横井は『横井軍平ゲーム館』(ちくま文庫)の中で、「1チャンネルラジコンのレフティ(任天堂発売の「レフティRX」)を、実用的な仕事をさせるように応用させたかった」、「新聞のマンガで、ラジコン自動車に掃除機を乗せるという物が、チリトリーを作っている時に出た」などと振り返っている[3]。この「新聞のマンガ」とは、当時の朝日新聞朝刊で連載されていた4コマ漫画「フジ三太郎」と思われる。昭和54年(1979年)3月25日の紙面に、以下のような漫画が掲載されている。
1コマ目:「あたると方向のかわるオモチャ」というオモチャの自動車の絵。
2コマ目:そのオモチャを見ているビワ子(フジ三太郎の妻)。
3コマ目:ビワ子は家の外でおしゃべりをしており、その間、オモチャの自動車の上に掃除機を載せ、部屋の中を自動で掃除して回る様子が描かれる。(フジ三太郎は基本的には4コマ漫画だが、この回は3コマ目が大きく描かれ、3コマ漫画となっている)
21世紀になってからの動向
[編集]チリトリーは後に評価が上がっており、ニュースサイトのGIGAMENは、「早過ぎたロボット掃除機」と評している[4]。
発売から20年以上経った2002年に、iRobot社から、チリトリーと似たようなコンセプトの「ルンバ」が発売され[注釈 1]、それ以降、多くの電機メーカーがロボット掃除機を製作・販売しているが、任天堂はその先駆けとなる製品を20年以上前に作っていた、ということになる[4][3]。
製品について
[編集]ボタン・スイッチ類については、本体にスイッチ兼取っ手が1個、リモコンにボタン1個が付いている程度である。本体に単二電池4個と9V角形乾電池1個、リモコンに9V角形乾電池1個を使う[1]。
本体のスイッチを入れると本体がその場で時計回りに回転し、リモコンのボタンを押している間、その時本体が向いている方向に直進する[1]。本体が壁にぶつかると自動的に方向転換する[3]。
吸引力はあまり強くはなく、消しくずやパンくずを吸い込む程度[1]。
目や模様などのステッカーが付属しており、本体に貼って表情を付けることができた[1]。
チリトリーに関する作品
[編集]- メイド イン ワリオ - ミニゲームの一つとして登場(フィールド上のゴミを全て吸い取るとクリア)。また、2人対戦用のミニゲームとして「VSチリトリー」というものもある(一人がゲームボーイアドバンスのLボタンを、もう一人がRボタンを使い、それぞれチリトリーを操作し、より早く一定量のゴミを吸い取ったほうの勝利)。
- あそぶメイドイン俺 - ミニゲームの一つとして登場。画面をポイント後Aボタンを押してチリトリーを操縦し、ゴミを全て吸い取るとクリア。緑色の火の玉に当たるとミスとなる。
- メイド イン ワリオ ゴージャス - ミニゲームの一つとして登場。ニンテンドー3DS本体を傾けてチリトリーを操縦し、ゴミを全て吸い取るとクリア。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ ルンバはチリトリーと異なり、電源を入れると自動で部屋を掃除する。
出典
[編集]- ^ a b c d e “世界の任天堂が「ルンバ」の20年前に作っていた自動掃除ロボット「チリトリー」”. Daily News Agency (2012年6月8日). 2017年5月2日閲覧。
- ^ “[https://web.archive.org/web/20081006082417/http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/special/20080929/1019224/?P=3 【任天堂「ファミコン」はこうして生まれた】 第4回:携帯型ゲーム機を発想 | 新幹線で携帯型ゲーム機を着想]”. 日経BP. 2008年10月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年10月6日閲覧。
- ^ a b c “ルンバのさきがけ? 70年代に任天堂が出した「チリトリー」とは(動画)”. The Huffington Post Japan (2015年8月24日). 2017年5月2日閲覧。
- ^ a b “早過ぎたお掃除ロボット 任天堂チリトリー”. GIGAMEN. 2017年5月2日閲覧。
関連項目
[編集]- 掃除用ロボット
- ルンバ
- マリオカート ライブ ホームサーキット - 2020年10月16日に任天堂から発売されたラジコンカーセット(Nintendo Switchと連動)