反日

(はんにち、: anti-Japanese)とは、日本に対して悪意や反感を抱くこと。「反日運動」「反日感情」などを指す[1]

概要

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中華人民共和国大韓民国朝鮮民主主義人民共和国の反日が、台湾など日本が統治下においた地域のある他の国より圧倒的に強い背景には、中国には中華思想朝鮮半島には小中華思想があるからと分析されている。特に大韓民国は小中華思想によって、「中国へは反韓感情の高まりを恐れそれを招くような事象に対して消極的な態度をとる」一方で、「日本へは積極的かつ過激な対応をとる」という違い、中国を畏怖して強く出られない傾向は、複数のメディアや専門家からも指摘されている[2][3][4][5][6][7][8]岡本隆司京都府立大学准教授は中国の反日については、中華思想に基づいて、かつて朝貢していた琉球沖縄県)は尖閣諸島を含めて自国の「属国」であるという領土認識、異なる民族のいる13億の人民を団結させるために中国共産党政権が反日を軸にして愛国心・自尊心を植えつけたことが背景にあると述べている[8]

2015年にはアメリカ政府高官にもこのような背景が理解されるようになっており、バラク・オバマ政権の国務次官補ジョー・バイデン政権で国務副長官であるウェンディ・ルース・シャーマンは2015年2月に、「愛国的な感情が政治的に利用されている。政治的指導者にとって、かつての敵を悪く言うことで自国民の安価な拍手や歓心を買うことは簡単だが、こうした挑発は機能停止を招くだけで進歩はなく、麻痺をもたらす」と韓国と中国が日本を国内政治に利用している点を指摘し、批判している[9]

中華人民共和国の反日

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日本の有識者懇談会による報告書には1950年代半ばから「日本に厳しい歴史教育や反日教育」などをしていたとされたが、下記の理由のために初代中国共産党主席毛沢東が率いる時代の中華人民共和国は反日教育どころか戦勝記念日さえ無視していた[10]。実際に中華人民共和国の反日教育とは、主に第3代中国共産党総書記江沢民以降の中華人民共和国に開始されたものである[11]。1976年9月9日に毛沢東が亡くなるまで、中国共産党・中華人民共和国は、「国民党への勝利」は祝うが、日本関連のイベントは行っていない。それを祝うことは国民党を褒めることだからであった。そのため、毛沢東は「抗日戦争勝利記念行事」も参加したことがない[10]。戦前の日本の侵攻開始直後は中国共産党は中国国民党に掃討されかけで、壊滅状態であった。「紅一方面軍」の約9万人は、1935年10月時点には約7000人にまで減り、「紅四方面軍」は1935年5月の約8万人から1936年10月時点には約3万人強になっており、他の方面軍を合計しても合計数万人に満たなかった。1945年の日本の敗戦時には、毛沢東は「あともう1年長く戦ってくれればよかったのに」とこぼした[12]。毛沢東の秘書だった李鋭は「(抗日戦争中)毛沢東は日本軍と協力して国民党軍を挟み撃ちしようとした。だから、日本軍に、より多くの地域を占領させてこそ“愛国”だ(その方が日本軍とともに国民党軍を挟み撃ちしやすい)」とさえ言っていた[13]。日中戦争の間、中国共産党は戦力の10%しか使わずに、日本軍と戦わないようにすることで戦力を温存していた。日中戦争中の戦力温存と民兵取り込みのため、中国共産党軍は戦後に国共内戦が始まると国民党軍を圧倒し、1949年10月1日に中華人民共和国が誕生した時には中国共産党軍(人民解放軍)は550万人にまでなっていた[12]。そのため、1964年7月10日に訪中した日本社会党佐々木更三委員長が、過去の戦争を謝罪したときに、毛沢東は「何も申し訳なく思うことはありません。日本軍国主義は中国に大きな利益をもたらし、中国人民に権力を奪取させてくれました。みなさんの皇軍なしには、我々が権力を奪取することは不可能だったのです」と日中戦争を起こしたことへ感謝を示した[14]。このように毛沢東「日本軍の中国進攻に感謝する」という趣旨の言葉を残している[12]中国人民解放軍空軍は戦後に創立されたが、これは1945年10月以降に奉天から引き揚げ中の日本陸軍第4錬成飛行隊(飛行隊長・林弥一郎少佐)によって、パイロットと整備員を育成したおかげである[14][15]中ソ対立が起こる1955年までソ連が祝う対日勝利記念日にも、ソ連のお蔭で勝利したという趣旨の祝電(謝意)を送っていただけである。毛沢東の存命中の中華人民共和国は、「国民党軍を倒して誕生した国」であると自己認識していたので、建国記念日である国慶節(10月1日)に関しては毎年盛大に祝っていた。1972年9月には、日本の田中角栄元首相の訪中と日中国交正常化が行われたが、中国共産党の中央文献研究室が編集し、中央文献出版社から出版された「毛沢東年譜」でもそれに関する記述に多くのページが割かれ、日本を讃えている。国交正常化後から1976年9月9日に毛沢東が亡くなるまで対日強硬路線や反日政策、反日教育を国家として行うことも無かった。毛沢東存命時の中華人民共和国は日米安保批判や台湾解放を主張しながらも、江沢民以後の中華人民共和国と比べると日本に友好的だった[10]。ただし、毛沢東はスターリンと合作し、コミンフォルム影響下時代の日本共産党へ干渉し、山村工作隊中核自衛隊など武装組織を結成させ、自国で成功した暴力革命路線をとらせたことはある(日中共産党の関係#日本共産党の分裂と中国共産党)。日本全国で騒擾事件や警察に対する襲撃事件等の暴力的破壊活動を繰り広げる武装闘争は、日本国民からの非難と昭和27年(1952年)10月の衆院選における同党候補の全員落選の結果を招いた。そのため、日本共産党は路線変更と昭和30年(1955年)7月の第6回全国協議会(6全協)で、武装闘争時代を「誤りのうちもっとも大きなものは極左冒険主義である」(=革命情勢がないのに武装蜂起した)などと自己批判を余儀なくされている[16]

毛沢東の死後・反日政策の開始

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江沢民は、天安門事件で若者たちを虐殺したことへの中国国民の恨みを他の「敵」へ転化させるため、更には天安門事件で喪失した共産党政権の求心力回復のため、「愛国主義教育とセットした反日洗脳教育」を国家プロジェクトとして全力で推進した。以来、中国では根強い反日感情を植え付けられた「反日世代」が生まれ、「日本と日本人には何をしてもいい」という価値観を持つ中国人が増えた[17]。1980年代に反日教育は始まり、1989年の天安門事件以降である1990年代に強化された。以降から中国人は、日本への行為ならば、おとがめの対象となりにくい「愛国無罪」であることを学んだ[18]。中国共産党を率いる江沢民は、1989年天安門事件における共産党と一般中国大衆の溝深化、ソ連崩壊に危機を感じた。そのため、日本が「天皇訪中」したりするなど「天安門事件による西側諸国による制裁解除」のきっかけになってあげたにも関わらず、江沢民による中国国内の日本共産党の求心力維持のために「反日」を柱とする教育を実施・強化した。これが天安門事件時点で弱まっていた反日感情が、冷戦以降に急激に強まった原因となっている[19][20][21][22][23][17]

江沢民の始めた「日本に経済協力を求めるのと同時に、国民には反日教育を推進」路線は退任後も続き、彼第5代中国共産党総書記習近平の政権の下地となっている[23]

中国では言論の自由表現の自由が必ずしも保障されておらず、政府ならびに中国共産党への抗議活動を禁じている。中国の大学学生会も政府や中国共産党の指導下に置かれており、自主的な政治活動は認められていない。暴徒化したデモ隊が度々、他の中国人たちが保有する日本車を破壊したり、中国人が経営する日本料理店を襲撃している[24][25][26][27]

駐香港日本領事館前で焼かれる日本国旗(2012年)


産経新聞の元中国特派員である矢板明夫は2017年に「政治基盤が弱い習近平政権だから、毎年のように手を変えて国民の反日感情を利用している。」、「尖閣諸島国有化反対や、靖国神社参拝反対などの反日キャンペーンは習政権の政治基盤が弱いからこそ行っているものだ。」と述べている[28]

「米中の覇権争い」の開始後である2021年頃の中国共産党は、日本を敵に回しても習近平には何一つ良いことはないため[29]、「過度な反日感情」は、自国の外交においてマイナスになると考えるようにはなっている[29]。それでも中国当局は反日感情を煽るSNSの「反日投稿」自体を基本的に規制自体はいつでも出来るものの、普段はせずに放任している[30][31][32][33]。反日インフルエンサーによる「日本を核攻撃すべき」投稿が人気を集めた際には削除した[29]。「愛国無罪」の中国の風潮を背景に、反日をPV稼ぎするインフルエンサーが溢れている[18]。2023年時点でも中国は反日教育だけでなく、反日ドラマや反日映画が沢山放映されており、中国国内専用SNSといつ閉鎖的で海外の情報に触れることが難しい環境となっている。後述の襲撃事件らが起こる直近には、「日本人学校はスパイを養成している」といったデマ動画が中国のSNSで人気を集めていた。2024年6月には中国の江蘇省蘇州市で日本人学校のスクールバスを待っていた日本人母子2人が刃物で襲われた蘇州日本人学校スクールバス襲撃事件が起きた[34]。また、同年4月に同じ蘇州で日本人旅行者が刺傷させられた事件があった。同年9月には母親といた日本人の子供が殺害される深圳日本人男児刺殺事件が起きている。靖国落書き、NHK中国職員による言論テロなど反日テロが多発している[17]。深圳日本人男児刺殺事件へ中国共産党宣伝部傘下である中国メディアらは沈黙して報道せず、中国当局は慰霊したSNS投稿へ削除措置をした[30]

朝鮮民族の反日

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韓国や北朝鮮の朝鮮民族漢字で姓一文字が占めるが、統一新羅以後は複数文字姓の人々は生き延びるために中国式の名前に変えさせられるなど歴史的に最も屈辱を与えられてきた。しかし、中国に対しては執拗に謝罪要求や憎悪の感情をしたりしない。歴史小説家井沢元彦によると朝鮮半島の反日の根底と中国に対する姿勢とは大きく異なる背景は、「事大主義」と「小中華思想」にあるとし、自らを中国に次ぐ文明国である「小中華」、日本などを夷狄と下と認識していたのに、上に立った日本に対してのみ謝罪要求や千年の憎悪を抱いていると解説している[2]

韓国人は日本関連の事案になると、「反日」の旗の下で団結する[35]外交官で元駐韓日本大使だった武藤正敏は「自国民が最も殺傷された朝鮮戦争中国大陸に属国にされてきた歴史があるのに、中国が韓国人が好まない言動をした際の反発が韓国政府の一度の弱い抗議や世論もインターネットでの一時的な反発など限定的で卑屈とも取れる静かさ」なのに対して、日本関連で全く同じ言動を行った場合には大規模なデモや韓国政府の強硬発言などが起きるのを武藤は外交官時代から経験してきたと述べている。そのため、武藤は韓国の左派が反日デモを好んで行うことを考慮しても中国には韓国人が強い態度を取れないのは、韓国の右派も含めた国民的な募華思想や中国が自国の上の存在との認識が韓国人内部に無意識にあり、逆に同思想に置いて日本は格下であるからとしている[4]

特定アジアと批判される上記の3か国の反日、台湾などその他の国の反日の違いは、反日を牽制・対抗できるだけの勢力・言論が国内に存在しないことである[注釈 1]

平井敏晴漢陽女子大学助教授は、「日韓の架け橋」という言葉を韓国に住むようになってから、積極的に使いたいとは思えなくなったと述べている。中央日報による2020年7月8日の報道では、日本に敵意を抱いている韓国人は71.9%で、対北朝鮮の65.7%を上回っている。平井はこれは日本の首相が安倍晋三以外の別の人になろうとも、差異が起こることはないと指摘してる[37]。韓国社会の民族主義も高まっており、同調査で国際結婚家庭で韓国籍を持つ子どもたちのことを韓国人だと思えるか、という質問に肯定的な回答をしたのは、10年前の36.0%から17.0%と減少している[37]。平井は「日韓の架け橋」ではなく、「無理して付き合いを深めるよりも、興味のある人が肩の力を抜いて往来し、互いに協力できることはそれなりにやればいい」と日韓は適度に距離を置いて、相手国を好きな人々のみが交流する程度がいい関係になると提言している[37]

貿易摩擦に端を発する経済的な理由からの一時的な反日感情は1980年代から1990年代アメリカヨーロッパでもみられ、当時「ジャパンバッシング」(日本叩き)と呼ばれた。また、1960年代後半から1970年代にかけて東南アジアに対する日本の急速な経済進出に対する批判運動が行われた[38][39]。韓国などの反日男性を「下半身は親日」との表現がある[40]。更に、日本側は特定アジアの宗教的とも言える反日への辟易から「国交は仕方なく維持しても、情緒上は断交する。」と距離を置こうとするのに対して、北朝鮮による日本への国交正常化要求や韓国・中国の国交断絶は求めずにツートラックと称して日本から金銭的技術的支援・自国への観光誘致・文化交流を要求をしている。反日国家と強く認識して以降から旅行者が年々減少しているように遠ざかろうと反感を持つ日本人に対して、毎年増加する大量の日本への観光客や永住権・就職など反日しながら日本に近づいてくることから「近づく反日」と言われている[41][42][43]

韓国の反日・対日二重基準

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日本国外での現象については、日本・日本人・日系人日本文化・日本製品などを排斥・非難する行為を形容する語として用いられる。鄭大均は2012年時点に韓国では安全保障や北朝鮮・中国・親北勢力の日韓離間を警戒すべき右派の大統領や政府の方が人気取りで反日をしてきたと述べている[44]。そのため、韓国国内が北朝鮮や中国には沈黙するが、枝葉末節で韓国の安保の後方支援を担ってきた日本には韓国支援世論の激減を招くような言動をするようになっている。このように反日自体が目的になるほど過激化が進んでいて、金日成の「韓国はアメリカと日本という2本の冠のひもによって維持されており、このうち1本が切れただけでも冠が飛んでいくように韓国は崩壊してしまうというものだ。」という冠のひも戦術が既に成就出来る段階になってしまったと嘆いている[44]冠のひも戦術は金日成時代からの日米韓離間のための戦略になっていてるが、日本の右派や韓国左派主導の反日に批判的な一部の在日韓国人・韓国人らは韓国の対日姿勢から冠のひも戦術を実践しているのではと懸念を表明している[45][46][47]

アメリカのシンクタンクでは2019年に韓国の反日が日米韓安全保障にまで及んでいることにアメリカ政府内で懸念があり、日韓軍事情報包括保護協定破棄は日本の後方支援によって存在・維持されている在韓米軍撤退・米韓同盟破棄へ繋がると指摘している[48]

朝鮮日報によると親北団体以外の左派団体の反日デモでも、北朝鮮・中国の利益となるために北朝鮮が韓国に要求している日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄要求が堂々と主張されるようになった。日米韓の安全保障協力を望むアメリカ政府は破棄の動きをちらつかせる韓国の文在寅政権に対して、そのまま延長するように警告したが、2019年8月22日に韓国政府は破棄を発表した[49]

毎年天皇誕生日には、日本大使館主催で天皇誕生日祝賀レセプションが開かれている。ソウルにある在韓日本大使館でも開催されているが、大使館前で天皇の写真を燃やしたり、裂くパフォーマンスが行われている[50]

朝鮮日報は2018年に韓国は日本との合意や約束を覆すことを「大したことない」「これまでのパターン通り時間が経てば解決するだろう」と軽視する正常性バイアスに陥って、日本の対韓国世論が「韓国から離れよう」とのムードになっていることに多くの韓国人が気づいていないと指摘している[51]金泳三大統領の「日本の性根をたたき直してやる」、金大中大統領による日本人を拉致した北朝鮮工作員の辛光洙を日本側の要請を無視した北朝鮮送還、盧武鉉大統領の「外交戦争も辞さない」発言などによって、国際社会で影響力を持つ日本による、多くの韓国人が気づいていない支援中止などの対抗措置を受けたように韓国側が反日の代償を支払うことになると警告している[51]。韓国国内にも反日よりも北朝鮮・中国への対抗を優先する韓国保守派の一部からは、中国や北朝鮮には限りなく寛大、卑屈で反日反米な外交とそれを支持する同国民に批判がある[52][53]

2019年に韓国の与党共に民主党のシンクタンクが民主研究レポートとして、日韓対立は中道層にも受けが良くて2020年の総選挙で共に民主党に有利だが、与党指導部中心に行われた第一野党自由韓国党(現・国民の力)への「親日批判」は与党の支持層を結集させる効果はあるが、支持層を拡大させる効果は大きくないと報告していたことが判明して大きな波紋を呼んだ。自由韓国党のスポークスマンは「大統領、大統領府、共に民主党が反日を助長し、何故、竹槍だ義兵だ騒いだのか。この報告書を見ると全てのパズルが合う」と批判した。正しい政党のスポークスマンは「国が滅びようが、国民が死のうが、総選挙だけ勝てばという発想が驚くべきだ」「反日感情を作って総選挙の材料として活用する共に民主党」と批判した。民主平和党代表も「共に民主党の公式謝罪が必要であり、(シンクタンク)トップを直ちに解任しなければならない」 と批判した[54][55][56]

朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊は韓国の反日についてヘイトスピーチではないかと述べている。[57]

西野純也教授は、韓国政権の言動を反日とか親日というのは正しくなく、よく言えば現実主義者、悪く言えば「韓国国民の顔色をうかがうポピュリスト」として韓国政府の言動を全て『反日』か『親日』と区分する意見に反駁している[58]

朝鮮日報によると、否定出来ない韓国の歴史的事実として、独立後も法的に日本文化など日本関連を禁止をしながらも日本を「習作」「参考」、正確には日本の模倣や盗作をあらゆる分野でしてきた[59]。しかし、韓国人は現実の日本を見ることを望まずに、反日主義維持のために想像の「日帝」「外勢」に対する「独立運動」の永続を意識的・無意識的に望んでいると指摘している[59]。1998年金大中大統領が「日本の大衆文化」を公的に解禁したが、実態はそれ以前から韓国人は日本のモノを享受していた[59]。朝鮮日報は、韓国企業が日本企業からの技術供与を受けていたこと、日本文化が公式禁止されて韓国アニメとされていたことで韓国人はマジンガーZを日本のアニメと知らないことも指摘している。朝鮮日報は、上記のような韓国人に普遍的に見られる日本に対する二重基準姿勢を批判し、その最たるモノとして反日スローガンを唱える正義連や文在寅政権などが悪用してきた反日主義を韓国国内から追放する必要性を指摘している[59]

韓国左派(進歩陣営)や北朝鮮による右派政権攻撃への反日利用

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韓国に自首した元北朝鮮スパイのチョ・ザンファンは1974年5月15日東亜日報のインタビューで北朝鮮政府の反米から反日対南戦略転換したとの指令内容を暴露している。北朝鮮政府は朝鮮戦争後にまず反米世論喚起のための扇動を韓国国内で工作員や自国シンパにさせたが韓国人に効果が無かった。そのことから、新たな対韓戦略として韓国国内で国民的な反日運動を起こし、高まった反日感情を反韓国政府(反朴正煕政権)運動に誘導。それで、日本との関係を悪化させることで国際社会において韓国を孤立させ、吸収統一に導くことを命令されたと暴露している[60]

黒田勝弘は韓国の反日を理解する上で、民族主義は右派のモノだから右派の韓国人だけが反日的な言動をするという考えを放棄しないといけないと述べている。むしろ韓国の左派は日本よりも北朝鮮へのシンパシーを感じるほどの韓国の右派を越える民族主義な点、民族主義批判が基本の西欧の左派とは違うことを知ることが必要だと指摘している。韓国の右派も左派同様に民族主義ながらも大韓民国という国家を民族主義より上に置いている。黒田によると韓国の右派は親米で、好き嫌いは問わず中国には強く出れず、「学ぶところはある」が日本を好まず、日本よりも北朝鮮が嫌いなのが特徴である。韓国の左派は北朝鮮の主張する経済・安保的に依存する中国を除いた外国勢力排除に賛意を示し、李承晩が始めた大韓民国よりも北朝鮮に国家の正統性があるとするほどの極度民族主義で、彼らが主体となる時のデモは右派のよりも大規模化や長期的なのが特徴だと述べている。黒田は更に日本の左派も、日本の民族主義を批判するが、特に北朝鮮を支持してきたように朝鮮半島や中国の排外的なレベルの民族主義にもシンパシーを示す特徴があるとしている[61]。黒田は韓国の右派も左派も最近の朝鮮戦争や併合以前の歴史を忘却したかのように中国に接するのに、日韓関係を安保上重視すべき韓国の右派まで反日迎合を行って国益を失っているとし、国民の反北朝鮮感情よりも反日感情が強くなることは支持層の減少という韓国の右派にとって危機を招くことなので、親米と反日は両立不可能なのに気づいていないことを批判している。韓国の右派は国民に結束力を生む民族主義を金日成など北朝鮮に取られ、左派の方が民族主義が強いことで思想的背景や理論的支柱が弱く、国益重視の対日言動への攻撃に迎合や逃避している度に言動の範囲を狭めて日韓離間勢力に攻撃の隙を与えていると述べている[61]

2022年7月の安倍元首相暗殺事件においても、韓国右派系の朝鮮日報のコメント欄にのみ追悼コメントへの共感が集まっていたが、それにさえも批判コメントがついていた。その他の主要メディアであるJTBC(韓国の左派的TV)・YTN(韓国の24時間ニュースチャンネル)・KBS(韓国放送公社)・MBC(文化放送 、公営メディア)のコメント欄は暗殺賛美など反日コメントが殺到し、それに多数のいいね・共感数が集まり、哀悼の言葉や生前の功績を評価するようなコメントは皆無という韓国に漂う反日の空気を示した[62]。「日韓関係悪化の責任がある人物なので気の毒とは思わない」との非難や、安倍元首相暗殺犯を安重根になぞらえて美化したりとの反応が多数上がった[63]

韓国左派政治家では文在寅元大統領と李洛淵のみ、当たり障りのない内容で形式的な内容であるものの、一応は安倍元首相の冥福を祈るコメントを出した。具体的な内容として、李洛淵による哀悼表明はFacebookに「安倍元首相の冥福を祈る」「最近の米国でもそうだったが、安倍元首相襲撃でも私は民主主義の危機を感じる」と文大統領と同レベルの当たり障りのない内容だった。しかし、共に民主党権利党員だけが使用可能な「共に民主党権利党員掲示板」では李洛淵へのみ批判が殺到した。他の「共に民主党」の議員らも暗殺された安倍元首相を批判する意見を表明した。週間ダイヤモンド・オンラインは共に民主党は与党だった過去5年強固な反日姿勢を貫いていたために亡くなった安倍元首相への反日感情抑制が出来ないのだとし、大人気なく反日統制できない同党のレベルも低いと指摘した[63]

1985年三民闘( 民族統一・民主争取・民主解放闘争委員会)共同委員長を務め、 米国文化院占拠事件を主導したことで投獄された運動圏開発独裁時代の韓国における左派学生活動家)出身者で元韓国左派のハム・ウンギョンは、2023年韓国左派政党である 共に民主党の日本の処理水に関する「怪談」扇動していることについて、「反日感情を煽るという明白な意図を持って始めた戦い」と解説し、「科学対怪談の戦い」というよりも、「反日民族主義との戦いであり自由同盟を守る戦いだ」と語っている。彼は、 反日民族主義を韓国へ広めたのは自分たち運動圏だとし、「 全斗煥政権と戦うためにあらゆる武器を探し、 主体思想(主体思想派)も持ち込んだが、最も役に立ったのが多数を憤らせる反日感情だった」と明かしている。そして、韓国には民族主義は百害無益だと反省したとし、血縁中心の民族主義なのは北朝鮮だけで十分とした。

ソウル大学人文学部学生会長、 祖国統一汎民族連合(汎民連)韓国本部事務処長を務めた運動圏出身ミン・ギョンウ代案連帯代表も過去の「 狂牛病騒ぎ」の前例を挙げ、民主党の「汚染水」との主張は怪談扇動に過ぎないと批判している。ミン代表は進歩陣営(韓国左派)による2008年の狂牛病扇動や韓米FTA反対運動で疑念を感じ、進歩陣営批判的に転じた人物である。彼は狂牛病騒動について、韓国左派はファクト(真実)の話をしたことがないと指摘し、 李明博政権の退陣させるだけの目的で、韓国国民の健康は本心ではどうでも良いデモであり、「効果的に扇動に使ったなら、残りは気にしない」との当時の陣営内の様子を暴露している[64]

韓国における反日デモ

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韓国では、日本の在外公館や日本企業が入っている施設に侵入し、反日デモをおこなう例もある[65][66][67]産経新聞は、違法行為も辞さない過激な反日デモには北朝鮮支持を標榜する団体が深く関与していると報じた[66]。首相や天皇の人型や、国旗の日章旗旭日旗を燃やしたり踏み付けたりするなどすることが多い。韓国では公用の外国国旗を汚辱したり、訪問中の外国元首を冒涜することは刑法107条および109条で禁止されているが、昭和天皇上皇明仁、あるいは現職や過去の著名な総理大臣の肖像画像、日本国旗・旭日旗に対して行われる汚辱や冒涜デモは罪に問われない[68][69]

日本における「反日」の使用

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元ミス・ユニバース日本代表として宮本エリアナが選出されるすることが報道されると、宮本が「日本代表のイメージに合っていない」として一部で疑念が呈する人々がいた[70]。その後、宮本がインタビューで、日本は現在多民族の親を持つ子供たちがわずか2%を占めている圧倒的に均質な国だとして、「革命を起こしたい("I want to start a revolution.)」「100年か200年後したら純粋な日本人なんてほとんどわずかしか残っていない[70](In 100-200 years there will be very few pure Japanese left.[70])」と答えた。純粋な日本人はいなくなるとの発言は反日だとして、強い反発や批判が起きた。宮本は「純日本人は少なくなる。」「革命を起こしたい。」は日本が人種的に多様な国になり、差別偏見がなくなって欲しいとの意味だったと述べている[71]

赤報隊事件では「反日分子には極刑あるのみ」と犯行声明に朝日新聞を反日とする表現があった。

俳優でタレントの坂上忍がテレビ番組で自民党議員を批判した後、バズフィードによると「インターネット上に投稿された『坂上忍は在日で、恒心教というネット炎上由来の架空団体所属』だとする不確定な情報」[72]ウィキペディアにて追記されるなどして荒らされた[72]

明仁天皇(当時)が高麗神社に参拝した際にインターネット上で反日左翼と非難する書き込みがなされた[73]

反基地活動をしていた沖縄県の翁長雄志知事(当時)について、インターネット上で反日、売国奴とする書き込みがなされた[74]

安倍晋三首相は『Hanada』にて、反日的な人たちが2020年東京オリンピック開催に強く反対していると述べた[75]

韓中の人々による反日への反抗・反「反日」

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圧倒的少数派や国外民からあるが、韓国人や中国人において、上記の反日に対して対抗する反反日な人も存在する。

シンシアリーは「国内で牽制勢力が皆無なこと」が韓国における反共と反日の決定的な差だと結論付けている。韓国では反共、つまり北朝鮮への対応は右派左派で互いに牽制・マウンティングし合って対立しているが、反日については右派左派関係なく一致して日本を叩くために協力すると明かしている[76]

例えば台湾では、日本統治時代を肯定的に評価・日本の主張を支持する言論に対して、批判する者もいるが支持や容認する者もいて日本に関しての言論の自由が守られている。それに対して、同じく自由主義陣営なはずの韓国では、日本統治時代に関する肯定的な言論・出版をすることや大局的・経済的・安保的な面から日本と過去の問題で対立しても最終的に韓国の国益にならないこと・韓国側の主張が間違っているなどの反日に批判・牽制の意見を持つ者は実名が大衆に発覚すると国民情緒法に基づく吊るし上げ法の不遡及を無視した刑事罰・賠償をされている[76]。そのことを知っているため、反日に批判的な少数派はそれを恐れて黙らざるを得ないと述べている。韓国では反日言動・言論に関しては台湾より、共産国家の北朝鮮・中国の言論統制状態に近いと述べている[76]

外務省の書籍にて、元中国人で日本に帰化した楊逸から「インタビュー 私の反「反日」論 利益を図らずに外交する日本政治(反日意識と形成過程)」が掲載されている[77]

韓国ソウル市の仁憲高校のマラソン大会では「日本の経済侵略に反対する!」「安倍自民党は滅亡する!」というスローガンを強制していた。学校による反日行為強要へ、学生2人からの抗議事態が発生している。学生は反日行為の強要が同校では日常的に行われていたこと、社会通念上許されない発言でもそ反日を煽るものであれば全て正しい教育であるかのように教師らも振る舞っていたことを告発している[78]

尹政権による脱反日の動き

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反日の政治的利用や韓国国内世論に流されず、北朝鮮や中国との協調を重視する左派勢力・反日利用勢力と対決する大統領として、尹錫悦が登場した[79][80][81][82]。尹大統は脱反日路線を掲げ[82][83]、北朝鮮と連携しているような過激な反日親北の労組や市民団体への根絶に動いた。民主労総は、韓国労総、北朝鮮の朝鮮職業総連盟(職盟)も共同開催した「8.15全国労働者大会(南北労働者決議大会)」で米軍撤収、米韓同盟解体などを主張、連帯書と共同決議文を作成、従北主義論議を提起した。翌年の捜査で民主労総本部内にある支部の幹部ら2人が北朝鮮の指令を受け、反韓国政府活動をスパイ組織「自主統一民衆前衛」・その下部組織に所属していたことも判明した。正義記憶連帯(正義連。挺身隊問題対策協議会)を含む、文在寅政権下で多額の税金投入されていた市民団体にもメスを入れた[84]。彼は韓国の反日について、「われわれの社会には排他的な民族主義と反日を叫び、政治的な利益を得ようとする勢力が存在する」と指摘し、反日の政治利用を批判している[85][86][87]。彼は1965年の日韓国交正常化が韓国に与えた恩恵について、「(朴正熙大統領の)決断のおかげでサムスン現代LGポスコのような企業が世界的な競争力を備えた企業に成長することができた」とし、(日韓国交正常化が)経済成長の原動力になったと語った。日韓請求権協定も「韓国政府が国民の個人請求権を一括して代理し、日本の支援金を受領する」取り決めだとの認識を明言した。尹は自身が反日を政治利用しないことについて、「(反日を政治利用することは韓国)大統領としての責務を捨てることになると思った」と強調した[85]。「韓国が先に障害物を取り除けば日本も呼応する」との認識を示し、それを実行して日韓交流を深めた大統領として、朴正熙、金大中を評価した[87]。逆に韓国左派・野党共に民主党市民団体は反日にしがみつき、尹大統領を攻撃し、反日感情を扇動している[83][88][89]

2023年8月15日という光復節日本の朝鮮半島統治が終わった日)の演説でも、共産全体主義勢力が「民主主義運動家人権運動家進歩主義行動家」の振りをしながら、「虚偽の扇動と卑劣な工作」をしてきたとして、「私たちは決してこのような共産全体主義勢力、その盲従勢力、追従勢力(従北勢力)に騙されたり、屈服してはなりません」と表明した。演説では一切反日発言しなかった[90]。アメリカ合衆国のABC放送は、歴代の韓国の大統領は光復節に日本へ非難・謝罪要求してきたことと比較し、尹大統領が日本は「普遍的価値を共有するパートナー」とし、「両国の安保は深く関わっており、共に歩まなければならない」との発言を報道した。これは後の日米韓の協力の深化や三カ国首脳会談に繋がったため、米国の官民やメディアから、国内での政治的損失よりも韓日関係の改善を優先した尹大統領について、「果敢な選択があったからこそ、今回の韓米日首脳会談が実現した」など高く評価する声が相次いだ。アメリカ合衆国の時事誌フォーリン・ポリシーは逆に文在寅前大統領について、「日本との関係改善に関心がほとんどなかった」と報道した[91]

2024年4月時点の尹大統領の支持率は3割台と低迷しており、国会選挙後で尹政権側は敗北したが、敗因は外交より、物価高騰など経済問題とされ、若年層の対日観も中高年層ほどには反日的でなくなっているとされている[92]

脚注

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注釈

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  1. ^ シンシアリーは、「国内で牽制勢力が皆無なこと」が韓国における反共と反日の決定的な差だと結論付けている。韓国では反共、つまり北朝鮮への対応は右派左派で互いに牽制・マウンティングし合って対立しているが、反日については右派左派関係なく一致して日本を叩くために協力すると明かしている。例えば台湾では、日本統治時代を肯定的に評価・日本の主張を支持する言論に対して、批判する者もいるが支持や容認する者もいて日本に関しての言論の自由が守られている。それに対して、同じく自由主義陣営なはずの韓国では、日本統治時代に関する肯定的な言論・出版をすることや大局的・経済的・安保的な面から日本と過去の問題で対立しても最終的に韓国の国益にならないこと・韓国側の主張が間違っているなどの反日に批判・牽制の意見を持つ者は実名が大衆に発覚すると国民情緒法に基づく吊るし上げ法の不遡及を無視した刑事罰・賠償をされていることを知っているため、それを恐れて黙らざるを得ないと述べている。韓国では反日言動・言論に関しては台湾より、共産国家の北朝鮮・中国の言論統制状態に近いと述べている[36]

出典

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参考文献

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関連文献

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関連項目

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