ディスカウントジャパン運動
ディスカウントジャパン運動(ディスカウントジャパンうんどう、朝: 디스카운트 재팬[1][2])とは、韓国による国際社会における日本の価値や評判を下げて、日本の地位失墜をめざす運動のこと[1][3]。2005年に韓国のインターネット運動組織であるVANKが宣言して以降、様々な運動が実施されている[1]。ジャパン・ディスカウントとも呼称される[4]。鈴置高史は、この運動を「世界を舞台に日本を貶めて快哉を叫ぶ韓国の国民的運動」と定義し、「卑日」という言葉で表現している[5]。
鈴置は反日との違いは、反日が「日本に譲歩をさせて何かを得る」ことを目的であり終着点であるのに対して、この運動は「日本を貶める、卑しめる」ことを目的とし、日本が誠実な対応をしても、「日本の存在」そのものが攻撃対象のために終わりがないと説明している[6]。
概要
[編集]VANK
[編集]2005年3月25日、韓国政府が後援する民間組織[7] (VANK) が、「日本の歴史歪曲や竹島領有権主張は、単に韓国と日本両国の問題ではなく、世界の平和に深刻な脅威になることがあるという点を全世界に知らせる」ことを目的とし、国際社会における日本の価値や評判を下げて、日本の地位失墜をめざす『ディスカウント・ジャパン運動』を提唱した[1]。VANKのパク・ギテ団長は「アジア各国と米国人の感情を引き出し、『米国真珠湾襲撃』『南京大虐殺』『フィリピン捕虜虐殺』を入れた動画を製作、英文ウェブサイトに掲載して米国とアジア各国に広報して、日本を世界から孤立させる『過去の歴史包囲網(과거사 포위망)』を構築する」「この왕따(いじめ)プログラムは日本国民がアジアと世界に向けて堂々と立てられるように助けるために推進する」と宣言している[8]。
日本でのオリンピック招致妨害工作
[編集]2020年の夏季オリンピックの開催地の決定に向けて日本が候補となった際に、韓国ではディスカウントジャパンとして「放射能がいっぱいで、危ない国・日本」のキャンペーンが行われた[9]。
開催地決定直前の2013年9月6日、韓国政府は福島第一原子力発電所の汚染水問題を理由に青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県で漁獲された水産物を全面輸入禁止にすると発表した[10][11][12]。その時期から日本でのオリンピック招致を妨害しようとする工作であり[12]、日本が落選するためのネガティブキャンペーンの一環であるとの見方がなされた[11][13]。
慰安婦問題
[編集]第二次世界大戦中の日本軍の慰安婦・慰安所制度について、性奴隷制度であったとする慰安婦の碑、慰安婦像の世界各地での建立運動など積極的な非難活動を行っている。韓国メディアの東亜日報によれば、日本に恥をかかせるため、世界に広める運動を行っているとしている[4][14]。
アングレーム国際漫画祭での慰安婦関連作品の展示
[編集]2013年、韓国政府は、日本の慰安婦問題を世界に流布させるためにフランスのアングレーム国際漫画祭に慰安婦を描いた漫画を出品させる計画をすすめ[15][16]、2014年1月に開幕した漫画祭では韓国館の大半を使用して、日本軍の従軍慰安婦に関する漫画、アニメが展示された[17][18]。韓国女性家族相の趙允旋は、「ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)は多くの人が知っているが、従軍慰安婦は世界にあまり知られていない」と述べ、この問題が世界で知られることを望むと会見で述べた[18]。
2014年2月3日、菅義偉内閣官房長官は「文化交流や友好促進など(開催)趣旨にそぐわない」と韓国政府を批判した[19]。
ユネスコ世界遺産への登録妨害
[編集]旭日旗を「戦犯旗」と呼称
[編集]2012年頃から日本国の旭日旗を「戦犯旗」という造語を用いて国際社会から追放することを推進している。2018年に韓国で開催された国際観艦式に招待された海上自衛隊は、旭日旗を自衛艦旗としているため、韓国側から自衛艦旗を降ろして参加することを要請。日本がこれを拒否すると、誠信女子大教授の徐敬徳は「日本はドイツとは違い、戦後、誠意を込めた謝罪どころか、戦犯旗を海上自衛隊の旗としてまた使用するなど破廉恥な行動を続けてきた」「ドイツは戦後、ナチスの旗の使用を法でも禁止したのに対し、日本は敗戦後しばらく使用しなかったが、また戦犯旗を復活させた。帝国主義思想を捨てられなかったという証拠」という内容のメールを世界45か国の海軍に送付し、「韓国側の要求を無視して日本海上自衛隊が戦犯旗を付ければ、世界の主要メディアにこうした事実を知らせ、『国際的な恥』をかかせる計画」と中央日報のインタビューに応じた[20]。
脚注
[編集]- ^ a b c d 이동현 (2005年3月25日). “[정치] 반크,‘일본 디스카운트’ 운동 역사왜곡등 진실 전세계 홍보” (朝鮮語). 文化日報 2023年4月1日閲覧。
- ^ “‘디스카운트 재팬’운동” (朝鮮語). スポーツ京郷 (京郷新聞). (2005年3月25日) 2023年4月1日閲覧。
- ^ 加藤達也「【追跡〜ソウル発】反日韓国、今年も「慰安婦」を漫画やユネスコで世界にPR」『産経新聞』2014年1月18日、1面。2023年4月1日閲覧。
- ^ a b 河村直哉「【西論】歴史認識戦争 韓国を“走狗”に使う中国…「横暴」に日本人は屈しない 編集委員・河村直哉」『産経WEST』2014年1月1日、3面。2023年4月1日閲覧。
- ^ 鈴置, 高史「早読み 深読み 朝鮮半島 これが「卑日」だったのか―― 世界遺産妨害の次は天皇提訴」『日経ビジネスオンライン』2015年7月23日、1面。オリジナルの2017年7月27日時点におけるアーカイブ。2023年4月1日閲覧。
- ^ 鈴置, 高史「早読み 深読み 朝鮮半島 これが「卑日」だったのか―― 世界遺産妨害の次は天皇提訴」『日経ビジネスオンライン』2015年7月23日、2面。オリジナルの2017年7月27日時点におけるアーカイブ。2023年4月1日閲覧。
- ^ ペ・ソンギュ「VANK支援問題:李大統領、予算配分を直接指示」『朝鮮日報』2008年10月25日。オリジナルの2008年10月28日時点におけるアーカイブ。2023年4月1日閲覧。
- ^ “반크, '아시아서 일본 왕따시키기' 전략 펼친다” (朝鮮語). 聯合ニュース. (2013年5月3日) 2023年4月1日閲覧。
- ^ 室谷克実「【新・悪韓論】東京より放射線量が多いソウル いつもの日本非難の鉄面皮」『夕刊フジ』2013年9月12日。2014年6月6日閲覧。
- ^ 貞国聖子、貝瀬秋彦「福島など8県の全水産物、韓国が輸入禁止へ 汚染水問題」『朝日新聞』2013年9月6日。2023年4月1日閲覧。
- ^ a b 「韓国の水産物輸入禁止、群馬県も対象 「海ないのに」困惑の声」『産経新聞』2013年9月7日。2023年4月1日閲覧。
- ^ a b マット安川「韓国の日本産水産物禁輸措置は五輪招致妨害工作 未知への挑戦、日本は原発事故処理で世界に先んじよ~小山和伸氏」『JBpress』2013年9月20日、1面。2023年4月1日閲覧。
- ^ “韓国政府が姑息にも東京五輪を妨害、韓国の原発が発する放射能汚染被害を「隠蔽工作」”. Gooブログ. 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」 (2013年9月7日). 2023年4月1日閲覧。
- ^ 「太平洋を渡って、日本の恥を悟らせた少女の銅像」『東亜日報』2013年8月2日。2023年4月1日閲覧。
- ^ 「慰安婦問題を漫画で伝える 外国語版も制作=韓国」『聯合ニュース日本語版』2013年8月13日。2023年4月1日閲覧。
- ^ 三井美奈「韓国、「慰安婦」テーマに展示へ…仏の漫画祭」『読売新聞』2013年12月1日。オリジナルの2013年12月15日時点におけるアーカイブ。2014年6月6日閲覧。
- ^ 三井美奈「仏漫画祭、韓国「慰安婦」テーマに展示60点」『読売新聞』2014年1月31日。オリジナルの2014年1月31日時点におけるアーカイブ。2014年6月6日閲覧。
- ^ a b 「仏漫画祭で「慰安婦展」=会場に韓国閣僚も」『時事通信』2014年1月30日。オリジナルの2014年4月21日時点におけるアーカイブ。2014年6月6日閲覧。
- ^ 「【慰安婦漫画】菅長官、韓国政府に不快感 「文化や友好促進の趣旨にそぐわない」」『MSN産経ニュース』2014年2月3日。オリジナルの2014年8月12日時点におけるアーカイブ。2014年6月5日閲覧。
- ^ 「徐敬徳教授、世界の海軍に「旭日旗は戦犯旗」とメール送信」『中央日報日本語版』2018年10月1日。2023年4月1日閲覧。
関連文献
[編集]- 鈴置高史『中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』日経BP社(出版) 日経BPマーケティング(発売)、2013年2月25日。ISBN 978-4-8222-7414-6。
- 鈴置高史『中国という蟻地獄に落ちた韓国』日経BP社(出版) 日経BPマーケティング(発売)、2013年11月25日。ISBN 978-4-8222-7436-8。
- 鈴置高史『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』日経BP社(出版) 日経BPマーケティング(発売)、2014年4月22日。ISBN 978-4-8222-7782-6。
- 室谷克実『悪韓論』新潮社〈新潮新書 516〉、2013年4月17日。ISBN 978-4-10-610516-6。
- 室谷克実『呆韓論』産経新聞出版、2013年12月5日。ISBN 978-4-8191-1235-2。
関連項目
[編集]- 国家ブランド委員会
- 日本海呼称問題
- 2011年のフジテレビ騒動
- 告げ口外交
- 日本戦犯企業製品表示に関する条例案(戦犯企業) - イエローバッジ
- ジャパンバッシング - 反日 - 侮日
- ネガティブキャンペーン
- 呆韓論 - 悪韓論 - 新・悪韓論 - 早読み 深読み 朝鮮半島