粟津則雄
人物情報 | |
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生誕 | 1927年8月15日 日本・愛知県西尾市 |
死没 | 2024年4月19日 (96歳没) 日本・東京都練馬区 |
出身校 | 東京大学 |
学問 | |
研究分野 | 文学・美学 |
研究機関 | 法政大学、いわき市立草野心平記念文学館 |
粟津 則雄(あわづ のりお、1927年(昭和2年)8月15日 - 2024年(令和6年)4月19日)は、日本の文芸評論家、フランス文学者、美術評論家、詩人、翻訳家。日本芸術院会員。「歴程」同人。法政大学名誉教授。
経歴
[編集]1927年、愛知県西尾市生まれ。京都府立第一中学校、第三高等学校で学び、卒業した。1948年、東京帝国大学文学部仏文科に入学。1952年に東京大学を卒業し、その後はフランス文学の翻訳、美術評論等を多く手掛けた。
1964年に法政大学経済学部助教授となり、後に教授昇格。1997年に法政大学を定年退職して名誉教授となった。草野心平と1960年代に出会って以降、生涯にわたって交友が深く、後にいわき市立草野心平記念文学館長を務めた。日本芸術院会員に選出されている[1]。
小林秀雄とアルチュール・ランボーに影響を受け、フランスの詩、美術、音楽について多数の評論活動を行い、正岡子規など多くの近代日本の文学・美術論も著した。創作活動では「歴程」同人。2014年に収集した美術品約100点が練馬区立美術館に一括寄贈され、2016年には「粟津則雄コレクション展 “思考する眼”の向こうに」が開かれた[2]。
2024年4月19日に心筋梗塞のため東京都練馬区の施設で死去。96歳没[3]。
受賞・栄典
[編集]- 1970年:『詩人たち』、『詩の空間』で藤村記念歴程賞を受賞。
- 1982年:『正岡子規』により亀井勝一郎賞を受賞。
- 2010年:『粟津則雄著作集』に対して鮎川信夫賞特別賞を受賞。
- 1993年:紫綬褒章を受章。
- 1999年:勲三等瑞宝章を受章。
- 2010年:日本芸術院賞・恩賜賞を受賞。
著作
[編集]著書
[編集]- 『ルドン 生と死の幻想』(美術出版社、美術選書) 1966
- 『詩の空間 粟津則雄文学論集 1957-1966』(思潮社) 1969
- 『詩人たち 粟津則雄文学論集 1966-1967』(思潮社) 1969
- 『思考する眼 画家とことば』(美術出版社、美術選書) 1969
- 『詩の意味 粟津則雄文学論集 1967-1969』(思潮社) 1970
- 『近代芸術の意味』(未來社) 1970
- 『表現の場』(冬樹社) 1972
- 『現代詩史』(思潮社) 1972
- 『解体と表現 現代文学論』(筑摩書房) 1972
- 『詩の行為』(思潮社) 1973
- 『アルテュール・ランボオ』(日本放送出版協会、NHKブックス) 1973
- 『出会いの旋律 音楽論集』(芸術生活社) 1974
- 『憂鬱なる旅行者』(立風書房) 1975
- 『ランボオとボードレール』(第三文明社、レグルス文庫) 1975
- 『音楽の魔』(音楽之友社) 1976
- 『大岡・中原・富永』(第三文明社) 1976
- 『孤立と共鳴 近代画家論』(読売新聞社) 1977
- 『ゴッホの旅』(平凡社カラー新書) 1977、増補版『ゴッホ紀行』(平凡社) 1984
- 『主題と構造 武田泰淳と戦後文学』(集英社) 1977
- 『思考のアラベスク』(第三文明社) 1977
- 『少年ランボオ』(思潮社) 1977
- 『絵とかたち わが現代芸術家論』(新潮社) 1977、講談社学術文庫 1985
- 『西欧への問い』(朝日新聞社) 1978
- 『文体の発見 本居宣長から中島敦まで』(青土社) 1978
- 『ランボオの生成』(思潮社) 1979
- 『詩歌のたのしみ』(角川書店) 1979
- 『文学の内面』(立風書房) 1980
- 『ヨハネの微笑 近代芸術断想』(小沢書店) 1980
- 『音楽の風景』(共同通信社) 1980
- 『萩原朔太郎論』(思潮社) 1980
- 『現代詩史 戦後現代詩史・戦後詩人論』(思潮社) 1980
- 『暗い眼 情景集』(青土社) 1980
- 『小林秀雄論』(中央公論社) 1981
- 『正岡子規』(朝日新聞社、朝日評伝選) 1982 / 改訂 講談社文芸文庫 1995
- 『書物との対話』(青土社) 1982
- 『音楽の表情』(共同通信社) 1982
- 『日常と記憶』(彌生書房) 1983
- 『音楽のたのしみ』(青土社) 1983、新版 2012
- 『オディロン・ルドン 神秘と象徴』(美術出版社) 1984
- 『影の女』(福武書店) 1984
- 『美の近代』(岩波新書) 1986
- 『音楽と文学との対話』(音楽之友社、音楽選書) 1986
- 『眼とかたち』(未來社) 1988
- 『ダンテ地獄篇精読』(筑摩書房) 1988
- 『日本洋画22人の闘い』(新潮選書) 1988
- 『聖性の絵画』(日本文芸社) 1989
- 『幻視と造形』(未來社) 1991
- 『ヨーロッパ美術紀行』(筑摩書房) 1992
- 『自画像は語る』(新潮社) 1993
- 『精神の対位法』(日本文芸社) 1994
- 『世紀末文化私観』(新潮社) 1994
- 『雪のなかのアダージョ』(新潮社) 1998
- 『日本美術の光と影』(生活の友社) 1998
- 『音楽との対話』(音楽之友社) 1999
- 『自画像の魅力と謎 自己を見つめた11人の画家たち』(日本放送出版協会、NHKライブラリー) 2001
- 『あなたへの手紙』(思潮社) 2002
- 『沈黙に向きあう』(青土社) 2005
- 『日本人のことば』(集英社新書) 2007
- 『ことばと精神 - 粟津則雄講演集』(未來社) 2009
- 『私の空想美術館』(生活の友社) 2010
- 『見者ランボー』(思潮社) 2010
- 『畏怖について など』(思潮社) 2012
- 『美との対話 私の空想美術館』(生活の友社) 2014
- 『ピカソ 二十世紀美術断想』(生活の友社) 2016
- 『西行覚書』(思潮社) 2016
- 著作集
- 「粟津則雄著作集」(思潮社、第1期7巻まで) 2006 - 2009、(第2期) 2014 - 2016
- 『詩人論』
- 『絵画論』
- 『美術論』
- 『作家論』
- 『文学論』
- 『音楽論』
- 『芸術論』
- 『文学論 Ⅱ』
- 『作家論 Ⅱ』
- 『美術論 Ⅱ』
- 『小説・随筆』
編著・共著
[編集]- 『ランボオの世界』(青土社) 1972
- 『ルドン』(新潮美術文庫36:新潮社) 1975
- 『ピカソ』(新潮美術文庫42:新潮社) 1975
- 『草野心平集』(彌生書房、現代の随想20) 1983
- 『筆まかせ抄』(正岡子規、岩波文庫) 1985
- 『粟津則雄が語る20世紀の素敵な演奏家たち』河野保雄との対談(芸術現代社)2007
- 『安東次男全詩全句集』(中村稔共編、思潮社) 2008
- 『ことばへの凝視 粟津則雄対談集』(未來社、転換期を読む) 2013
翻訳
[編集]- 『ファン・ゴッホ書簡全集』全3巻(二見史郎・宇佐見英治・島本融共訳、みすず書房) 1963(限定版)
- 改訂版『ファン・ゴッホ書簡全集』全6巻(同上、みすず書房) 1969-1970、新版 1984
- 『わが父ルノワール』(ジャン・ルノワール、みすず書房) 1964
- 復刊 2008ほか
- 『ボードレール詩集』(みすず書房) 1966、新版1998
- 『テスト氏 / 未完の物語』(ポール・ヴァレリー、現代思潮社) 1967、新版1980 / 福武文庫 1990
- 『ヴァイオリンは語る』(ジャック・ティボー、白水社) 1969 / 白水Uブックス 1992
- 『ヴァン・ゴッホ』(アントナン・アルトー、新潮社) 1971 / 改訳 筑摩叢書 1986、ちくま学芸文庫 1997
- 『神経の秤 / 冥府の臍』(アントナン・アルトー、清水徹共編訳、現代思潮社) 1971、新版 1993、オンデマンド版 2007
- 『ランボーの生涯』(アンリ・マタラッソーマ / ピエール・プティフィス共著、渋沢孝輔共訳、筑摩叢書) 1972
- 『アンドレ・マッソン版画作品集』(ロジェ・パスロン編、美術出版社) 1974
- 『素晴しき時の震え』(ガエタン・ピコン、叢書 創造の小径:新潮社) 1975
- 『想像力の散歩』(ジャック・プレヴェール、叢書 創造の小径:新潮社) 1977
- 『アントニー・クラーヴェ版画作品集』(ロジェ・パスロン、美術出版社) 1979
- 『ことばとイメージ 詩画集』(ムンク、美術公論社) 1992
- 『ボードレール詩集』(思潮社、海外詩文庫) 1993
- 『シュルレアリスムと絵画』(アンドレ・ブルトン、瀧口修造監修、巌谷國士, 大岡信, 宮川淳, 松浦寿輝共訳、人文書院) 1997
- 『ぼくはエクセントリックじゃない グレン・グールド対話集』(音楽之友社) 2001
- 『間接的言語と沈黙の声』(メルロー=ポンティ・コレクション:みすず書房、朝比奈誼, 佐々木宗雄, 木田元共訳) 2002
- 『ジャコメッティとの最後の会話 ある芸術家の精神的遺言』(ジャン・クレイ、球形工房) 2021。小著
- モーリス・ブランショ
- 『文学空間』(出口裕弘共訳、現代思潮社) 1962、新版 1977 / 現代思潮新社 2020
- 『カフカ論』(筑摩書房、筑摩叢書) 1968、増補版 1977、復刊 1984
- 『来るべき書物』(現代思潮社) 1968 / 改訳 筑摩書房 1989、復刊 2006 / ちくま学芸文庫 2013
- 『マラルメ論』(清水徹共訳、筑摩叢書) 1977、復刊 1984
- 『カミュ論』(筑摩叢書) 1978、復刊 1986
- 『踏みはずし』(筑摩書房) 1987
- アルチュール・ランボー
- 『ランボオ全作品集』(思潮社) 1965
- 『ランボオ詩集』(思潮社) 1966
- 『ランボオ全詩』(思潮社) 1988、新版 1995
- 『地獄の季節 ランボオ詩集』(集英社文庫) 1992、作家論:村上龍
連載中
[編集]- 私の空想美術館 月刊「美術の窓」、生活の友社
論文
[編集]脚注
[編集]- ^ デジタル版日本人名大事典『正岡子規』講談社文芸文庫、年譜
- ^ 練馬区立美術館
- ^ “文芸評論家の粟津則雄さん死去 | 共同通信”. 共同通信 (2024年4月23日). 2024年4月23日閲覧。