伊都郡

和歌山県伊都郡の範囲(1.かつらぎ町 2.九度山町 3.高野町 薄黄:後に他郡に編入された区域)

伊都郡(いとぐん)は、和歌山県紀伊国)の

人口21,149人、面積332.87km²、人口密度63.5人/km²。(2024年10月1日、推計人口

以下の3町を含む。

郡域

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1879年明治12年)に行政区画として発足した当時の郡域は、かつらぎ町の一部(新城字嶽原・長ノ盛)を除く上記3町に橋本市および紀の川市の一部(上鞆渕)と奈良県五條市の一部(畑田町の一部)を加えた区域にあたる。

歴史

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古代

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式内社

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延喜式神名帳に記される郡内の式内社

神名帳 比定社 集成
社名 読み 付記 社名 所在地 備考
伊都郡 2座(大1座・小1座)
小田神社 ヲタノ 小田神社 和歌山県橋本市高野口町小田
丹生都比女神社 ニツ- 名神大 月次新嘗 丹生都比売神社 和歌山県伊都郡かつらぎ町上天野 紀伊国一宮[注 1] [1]
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  1. ^ 『中世諸国一宮制の基礎的研究』では、紀伊国の一宮として日前神宮・國懸神宮、丹生都比売神社、伊太祁曽神社の3社が挙げられる (中世諸国一宮制 & 2000年, p. 522-525)。

近世

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知行 村数 村名
藩領 紀伊和歌山藩 1町
87村
下宿村、背ノ山村、移村、窪村、萩原村、中村(現・かつらぎ町笠田中)[1]、島村、佐野村、東村(現・かつらぎ町笠田東)、広浦村、柏木村、大谷村、新在家村、大藪村、丁ノ町村、新田村、妙寺村、西飯降村、大畑村、中飯降村、短野村、滝村、東谷村、平村、広口村、大野村、名倉村、入郷村、小田村、南名古曽村、北名古曽村、浄土寺村、伏原村、端場村、学文路村、丹生川村、神野々村、岸上村、野村、柏原村(現・橋本市)、出塔村、山田村、吉原村、広野村、田原村、上中村、下中村、九重村、嵯峨谷村、竹尾村、市脇村、東家村、寺脇村、古佐田村、橋本町、原田村、妻村、河瀬村、下兵庫村、上兵庫村、中島村、中下村、芋生村、垂井村、上宿村、赤塚村、下上田村、恋野村、只野村、須河村、谷奥深村、彦谷村、小原田村、菖蒲谷村、辻村、橋谷村、慶賀野村、矢倉脇村、柱本村、馬場村(現・橋本市南馬場)、胡麻生村、細川上村[2]、細川下村[2]、境原村、杉尾村、霜草村、山内村、平野村
その他 高野山 1町
71村
上天野村、下天野村、神田村、東渋田村、西渋田村、上古沢村、中古沢村、下古沢村、笠木村、椎出村、西郷村、東郷村、北又村、九度山村、三谷村、兄井村、寺尾村、山崎村、教良寺村、平沼田村、皮張村、慈尊院村、中道村、清水村、馬場村(現・橋本市北馬場)[3]、東畑村、西畑村、向副村、賢堂村、横座村、河根村、東富貴村、西富貴村、上筒香村、中筒香村、下筒香村、西ヶ峯村、南村、林村、平原村、柏原村(現・高野町)、東又村、杖ヶ藪村、南宿村、北宿村、市平村、大滝村、相之浦村、中南村、久木村、池ノ窪村、新子村、北寺村、簗瀬村[4]、峰村、古向村、有中村、中越村、臼谷村、滝谷村、湯川村[5]、新城村、中村(現・かつらぎ町新城)、上番村、志賀村、花阪村、細川村、星山村、日高村、御所村、星川村、高野山寺内[6]

近現代

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町村制以前

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  • 明治2年(1869年)8月 - 高野山領が堺県の管轄となる。
  • 明治3年4月27日1870年5月27日) - 堺県の管轄地域が五條県の管轄となる。
  • 明治4年
  • 明治初年 - 広野村が吉原村に合併。(2町157村)
  • 明治5年(1872年) - 東畑村が清水村に合併[7]。(2町156村)
  • 明治7年(1874年) - 中村(現・かつらぎ町笠田中)が改称して笠田中村となる。
  • 明治8年(1875年)(2町149村)
    • 中村(現・かつらぎ町新城)が新城村に合併。
    • 峰村・古向村・有中村・中越村・臼谷村・滝谷村が簗瀬村に合併。
  • 明治9年(1876年) - 南名古曽村・北名古曽村が合併して名古曽村となる。(2町148村)
  • 明治11年(1878年) - 寺脇村が東家村に合併。(2町147村)
  • 明治12年(1879年
    • 1月20日 - 郡区町村編制法の和歌山県での施行により、行政区画としての伊都郡が発足。郡役所が妙寺村の遍照寺に設置。
    • 2ヶ所存在した馬場村が、南馬場村(現・橋本市南馬場)、北馬場村(現・橋本市北馬場)にそれぞれ改称。
    • 下宿村が高田村に、上宿村が真土村にそれぞれ改称。

町村制以降

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1.橋本村 2.名倉村 3.端場村 4.山田村 5.紀見村 6.富貴村 7.学文路村 8.河根村 9.九度山村 10.天野村 11.花園村 12.大谷村 13.四郷村 14.信太村 15.応其村 16.岸上村 17.高野村 18.見好村 19.妙寺村 20.隅田村 21.恋野村 22.笠田村(紫:橋本市 桃:かつらぎ町 赤:九度山町 橙:高野町)
  • 明治22年(1889年4月1日 - 町村制の施行により、以下の町村が発足。(22村)
    • 橋本村 ← 市脇村、東家村、小原田村、菖蒲谷村、橋本町、古佐田村、妻村、原田村(現・橋本市)
    • 名倉村 ← 大野村、名倉村、入郷村[飛地](現・橋本市)
    • 端場村(単独村制。現・橋本市)
    • 山田村 ← 吉原村、山田村、出塔村、柏原村、野村、神野々村(現・橋本市)
    • 紀見村 ← 辻村、橋谷村、慶賀野村、矢倉脇村、柱本村、杉尾村、境原村、細川上村、細川下村、胡麻生村、北馬場村(現・橋本市)
    • 富貴村 ← 東富貴村、西富貴村、上筒香村、中筒香村、下筒香村(現・高野町)
    • 学文路村 ← 向副村、賢堂村、横座村、清水村、西畑村、南馬場村、学文路村(現・橋本市)
    • 河根村 ← 河根村、東郷村、北又村、市平村、丹生川村(現・九度山町)
    • 九度山村 ← 九度山村、慈尊院村、入郷村[飛地を除く]、下古沢村、中古沢村、上古沢村、笠木村、椎出村(現・九度山町)
    • 天野村 ← 上天野村、下天野村、神田村、志賀村、新城村、那賀郡長谷宮村[字嶽原・長ノ盛](現・かつらぎ町)
    • 花園村 ← 簗瀬村、北寺村、新子村、池ノ窪村、中南村、久木村(現・かつらぎ町)
    • 大谷村 ← 大谷村、新在家村、大藪村、柏木村(現・かつらぎ町)
    • 四郷村 ← 滝村[飛地を除く]、広口村、平村、東谷村(現・かつらぎ町)
    • 信太村 ← 田原村、下中村、上中村、九重村、嵯峨谷村、竹尾村(現・橋本市)
    • 応其村 ← 名古曽村、小田村、伏原村、浄土寺村(現・橋本市)
    • 岸上村(単独村制。現・橋本市)
    • 高野村 ← 相之浦村、大滝村、高野山寺内、細川村、西郷村、西ヶ峯村、林村、南村、柏原村、東又村、平原村、杖ヶ藪村、花坂村、湯川村(現・高野町)
    • 見好村 ← 山崎村、教良寺村、三谷村、兄井村、寺尾村、皮張村、平沼田村、東渋田村、西渋田村、島村、星川村、星山村、御所村、日高村(現・かつらぎ町)
    • 妙寺村 ← 妙寺村、中飯降村、西飯降村、大畑村、短野村、丁ノ町村、新田村、滝村[飛地](現・かつらぎ町)
    • 隅田村 ← 河瀬村、下兵庫村、上兵庫村、中島村、中下村、芋生村、垂井村、真土村[大部分]、平野村、山内村、霜草村(現・橋本市)
    • 恋野村 ← 下上田村、中道村、赤塚村、恋野村、只野村、谷奥深村、彦谷村、須河村、南宿村、北宿村(現・橋本市)
    • 笠田村 ← 高田村、移村、背ノ山村、窪村、萩原村、笠田中村、東村、佐野村、広浦村(現・かつらぎ町)
    • 上番村が那賀郡鞆淵村の一部となる。
    • 真土村の一部が奈良県宇智郡牧野村の一部となる。
  • 明治23年(1890年) - 郡役所が橋本町に移転。
  • 明治27年(1894年5月10日 - 橋本村が町制施行して橋本町となる。(1町21村)
  • 明治30年(1897年9月1日 - 郡制を施行。
  • 明治43年(1910年)9月1日(4町18村)
    • 名倉村が町制施行・改称して高野口町となる。
    • 九度山村が町制施行して九度山町となる。
    • 妙寺村が町制施行して妙寺町となる。
  • 大正9年(1920年6月1日 - 笠田村が町制施行して笠田町となる。(5町17村)
  • 大正12年(1923年)4月1日 - 郡会が廃止。郡役所は存続。
  • 大正15年(1926年7月1日 - 郡役所が廃止。以降は地域区分名称となる。
  • 昭和3年(1928年11月1日 - 高野村が町制施行して高野町となる。(6町16村)
  • 昭和27年(1952年1月1日 - 端場村が応其村に編入。(6町15村)
  • 昭和29年(1954年8月1日 - 隅田村・恋野村が合併し、改めて隅田村が発足。(7町13村)
  • 昭和30年(1955年
    • 1月1日 - 橋本町・岸上村・山田村・紀見村・隅田村・学文路村が合併して橋本市が発足し、郡より離脱。(5町9村)
    • 3月1日 - 見好村・天野村が合併し、改めて見好村が発足。(5町8村)
    • 3月31日
      • 大谷村・四郷村・笠田町が合併して伊都町が発足。(5町6村)
      • 九度山町・河根村が合併し、改めて九度山町が発足。(5町5村)
    • 4月15日 - 高野口町・応其村・信太村が合併し、改めて高野口町が発足。(5町3村)
  • 昭和33年(1958年
    • 6月1日 - 富貴村が高野町に編入。(5町2村)
    • 7月1日 - 伊都町・妙寺町・見好村が合併してかつらぎ町が発足。(4町1村)
  • 平成17年(2005年10月1日 - 花園村がかつらぎ町に編入。(4町)
  • 平成18年(2006年)3月1日 - 高野口町が橋本市と合併し、改めて橋本市が発足、郡より離脱。(3町)

変遷表

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自治体の変遷
明治22年以前 明治22年4月1日 明治22年 - 昭和19年 昭和20年 - 昭和29年 昭和30年 - 昭和64年 平成1年 - 現在 現在
市脇村、東家村、小原田村、
菖蒲谷村、橋本村、古佐田村
妻村、原田村
橋本村 明治27年5月1日
町制
橋本町 昭和30年1月1日
橋本市
平成18年3月1日
橋本市
橋本市
岸上村 岸上村 岸上村 岸上村
吉原村、山田村、出塔村、
柏原村、野村、神野々村
山田村 山田村 山田村
辻村、橋谷村、慶賀野村、
矢倉脇村、柱本村、杉尾村、
境原村、細川上村、細川下村、
胡麻生村、北馬場村
紀見村 紀見村 紀見村
向副村、賢堂村、横座村、
清水村、西畑村、南馬場村、
学文路村
学文路村 学文路村 学文路村
河瀬村、下兵庫村、上兵庫村、
中嶋村、中下村、芋生村、
垂井村、真土村(大部分)、平野村、
山内村、霜草村
隅田村 隅田村 昭和29年8月1日
隅田村
下上田村、中道村、赤塚村、
恋野村、只野村、谷奥深村、
彦谷村、須河村、南宿村、
北宿村
恋野村 恋野村
大野村、名倉村、入郷村(一部) 名倉村 明治43年9月1日
町制改称
高野口町
高野口町 昭和30年4月15日
高野口町
田原村、下中村、上中村、
九重村、嵯峨谷村、竹尾村
信太村 信太村 信太村
名古曽村、小田村、伏原村、
浄土寺村
応其村 応其村 応其村
端場村 端場村 端場村 昭和27年1月1日
応其村に編入
妙寺村、中飯降村、西飯降村、
大畑村、短野村、丁ノ町村、
新田村、滝村(一部)
妙寺村 明治42年9月1日
町制
妙寺町 妙寺町 昭和33年7月1日
かつらぎ町
かつらぎ町 かつらぎ町
高田村、移村、背山村、
窪村、萩原村、笠田中村、
東村、佐野村、広浦村
笠田村 大正9年4月1日
町制
笠田町 昭和30年3月31日
伊都町
大谷村、新在家村、大藪村、
柏木村
大谷村 大谷村 大谷村
滝村(大部分)、広口村、平村、
東谷村
四郷村 四郷村 四郷村
山崎村、教良寺村、三谷村、
兄井村、寺尾村、皮張村、
平沼田村、東渋田村、西渋田村、
島村、星川村、星山村、
御所村、日高村
見好村 見好村 見好村 昭和30年3月1日
見好村
上天野村、下天野村、神田村、
志賀村、新城村、那賀郡長谷宮村(一部)
天野村 天野村 天野村
梁瀬村、北寺村、新子村、
池之窪村、中南村、久木村
花園村 花園村 花園村 花園村 平成17年10月1日
かつらぎ町に編入
九度山村、慈尊院村、入郷村(大部分)、
下古沢村、中古沢村、上古沢村、
笠木村、椎出村
九度山村 明治42年9月1日
町制
九度山町 昭和30年3月31日
九度山町
九度山町 九度山町
河根村、東郷村、北又村、
市平村、丹生川村
河根村 河根村 河根村
相ノ浦村、大滝村、高野山、
細川村、西郷村、西ヶ峯村、
林村、南村、樫原村、
東又村、平原村、杖ヶ藪村、
花坂村、湯川村
高野村 昭和3年11月1日
町制
高野町 高野町 高野町 高野町 高野町
東富貴村、西富貴村、上筒香村、
中筒香村、下筒香村
富貴村 富貴村 富貴村 昭和33年6月1日
高野町に編入

行政

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歴代郡長

『和歌山県史 人物』による[8]

氏名 就任年月日 退任年月日 備考
1 松山管吾 明治12年(1879年)1月21日
2 一色小十郎 明治15年(1882年)9月11日
3 中西光三郎 明治16年(1883年)11月5日
4 岡文一郎 明治20年(1887年)11月18日
5 稲葉通久 明治23年(1890年)5月2日
6 三輪国次郎 明治30年(1897年)12月18日
7 佐々木米三郎 明治35年(1902年)5月27日
8 小林保 明治37年(1904年)5月4日
9 田能稔 明治40年(1907年)3月11日
10 豊永狷介 明治43年(1910年)3月31日
11 月沢増男 大正3年(1914年)4月11日
12 村地信夫 大正4年(1915年)9月1日
13 関屋延之助 大正6年(1917年)10月
14 柳瀬謹三 大正8年(1919年)6月23日
15 宮原顕三 大正10年(1921年)8月26日
16 稲内清二 大正12年(1923年)3月16日 大正15年(1926年)6月30日 郡役所廃止により、廃官

脚注

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  1. ^ 記載は「笠田・中村」
  2. ^ a b 細川村1村として記載。
  3. ^ 「清水組・馬場村」・「清水組馬場村ノ内・町田村」・「清水但馬場村ノ内・田宮村」に分かれて記載。
  4. ^ 記載は鋪地村。
  5. ^ 上湯川村・下湯川村に分かれて記載。
  6. ^ 無高のため「旧高旧領取調帳」には記載なし。本項では便宜的に1町に数える。
  7. ^ 明治6年とする資料もあり。
  8. ^ 和歌山県史編さん委員会 1989, 付表37頁.

参考文献

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  • 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 30 和歌山県、角川書店、1985年7月1日。ISBN 404001300X 
  • 旧高旧領取調帳データベース
  • 和歌山県史編さん委員会 編『和歌山県史 人物』和歌山県、1989年。 

関連項目

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