アルファタウリ・AT01
イタリア・トスカーナGP仕様(2020年9月) | |||||||||||
カテゴリー | F1 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
コンストラクター | アルファタウリ | ||||||||||
デザイナー |
| ||||||||||
先代 | トロ・ロッソ STR14 | ||||||||||
後継 | アルファタウリ・AT02 | ||||||||||
主要諸元 | |||||||||||
エンジン | ホンダ RA620H 1.6L V6ターボ | ||||||||||
タイヤ | ピレリ | ||||||||||
主要成績 | |||||||||||
チーム | スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ | ||||||||||
ドライバー | ダニール・クビアト ピエール・ガスリー | ||||||||||
出走時期 | 2020年 | ||||||||||
通算獲得ポイント | 107 | ||||||||||
初戦 | 2020年オーストリアGP | ||||||||||
初勝利 | 2020年イタリアGP | ||||||||||
最終戦 | 2020年アブダビGP | ||||||||||
|
アルファタウリ・AT01 (AlphaTauri AT01) は、スクーデリア・アルファタウリが2020年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カーである。
本年より「スクーデリア・トロ・ロッソ」から「スクーデリア・アルファタウリ」に変更されたため[1]、アルファタウリとしては最初のフォーミュラ1カーとなる[2]。
概要
[編集]2020年2月14日、オーストリアのザルツブルク空港に親会社のレッドブル・グループが保有する「ハンガー7」で行われた体制発表会で初公開され[3]、翌日にイタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリでシェイクダウンを行った[4][5]。製造責任者は、テクニカルディレクターを務めるジョディ・エギントン[6]。
チーム名の変更によりカラーリングはアルファタウリのブランドカラーであるホワイトとダークネイビーに一新され、パワーユニット(PU)を供給するホンダのロゴのみがワンポイントで赤く描かれた[7]。このデザインはFIA公式F1.comのファン投票にて、今シーズンの『ベスト・カラーリング賞』に選出されている[8]。
サスペンション、ギアボックス、ハイドロリックといったパーツは引き続きレッドブル・テクノロジーから提供されるが[3]、フロントウィングのマシン外側に向けて気流を導くアウトウォッシュコンセプトやフロントサスペンションについては、姉妹チームであるレッドブルのRB16とは一線を画している[9]。
2020年シーズン
[編集]ドライバーはピエール・ガスリーとダニール・クビアトのコンビを継続。
プレシーズンテストでは予定されたテストを順調にこなし、シーズンへ向けて準備[10]を整えたが、2019新型コロナウイルスの世界的流行の影響により、F1は休止状態となった。 それを経て迎えたシーズンだが、開幕戦となった7月のオーストリアGPでは、ガスリー[11]が、第2戦シュタイアーマルクGPではクビアト[12]が今季初入賞を記録。
以降の成績だが、ガスリーは開幕戦と後述の初優勝も含め、計10回入賞[13][14]。予選も第2戦で今季初のQ3進出を果たし、特に第13戦エミリア・ローマニャGPでの自身最高位タイとなる4番手獲得[15](同決勝はマシントラブルでリタイア)。シーズンの半分は予選Q3進出を果たした。 一方でクビアトは第2戦も含め、最終的に計7回入賞[16][17]。しかし、予選は第12戦までQ2止まりとなり、決勝も第4戦のホイールのリムのオーバーヒートが原因のタイヤバースト[18]やレース戦略のミス[19]などの不運[20]が続いた。それでも、第13戦で今季初のQ3進出の8番手からシーズン最高位となる4位入賞[21]や第15戦バーレーンGP以降の予選では3戦連続Q3進出[22]などを記録したものの、結果だけ見ればガスリーの後塵を拝した[23]。差がついた一因として、クビアトはステアリングのフィーリングなどのマシン特性をつかむのに時間がかかったこと[24]を挙げている。
そのうち、第8戦イタリアGPでは、両者共に中団の位置からのスタートながら2台とも入賞を望める位置を走行し、レース中盤のセーフティーカーと赤旗中断により入賞圏内に浮上。特にガスリーがピットストップのタイミングを合わせることに成功し、大きく順位を上げ暫定3位となり、赤旗後のリスタートではスタートダッシュを決め首位へ浮上。36周目以降は2位のカルロス・サインツ(マクラーレン)と一進一退の攻防を展開。最終的にガスリーがそのまま逃げ切ることに成功[25]し、トップでチェッカーを受けた。これにより、アルファタウリとしては初表彰台を優勝で飾り、ファエンツァのチームとしては2008年イタリアグランプリ以来の2度目の優勝を飾る結果となった。また、クビアトも9位に入っており、チーム初のダブル入賞も記録することとなった。
シーズンの総合成績は、順位こそ前シーズンの6位から後退した7位に終わるが[26]、イタリアGPでのガスリーの初優勝[27]やトロ・ロッソ時代も含めチーム史上初の100ポイント超えを達成している。
スペック
[編集]シャシー
[編集]- 名称:AT01[28]
- シャシー構造: スクーデリア・アルファタウリ カーボンコンポジットモノコック
- サスペンション
- フロント: スクーデリア・アルファタウリ(SAT)/レッドブル・テクノロジー(RBT) - SAT カーボンコンポジットウィッシュボーン、RBT プッシュロッド インボードトーションバースプリング&ダンパー
- リア: レッドブル・テクノロジー - カーボンコンポジットウィッシュボーン/プルロッド トーションバースプリング&ダンパー
- ブレーキダクト: スクーデリア・アルファタウリ フロント&リア
- ステアリング: スクーデリア・アルファタウリ/レッドブル・テクノロジー パワーアシスト
- ギアボックス: レッドブル・テクノロジー カーボンコンポジットメインケース 縦置き、油圧式 8速
- ディファレンシャル: 油圧、マルチプレート
- クラッチ: 油圧、カーボンマルチプレート
- ブレーキシステム: スクーデリア・アルファタウリ/レッドブル・テクノロジー
- ドライバーズシート: スクーデリア・アルファタウリ - ドライバーに合わせた成形カーボンコンポジット
- タイヤ: ピレリ
- 燃料システム: スクーデリア・アルファタウリ/レッドブル・テクノロジー
- 重量:746kg
パワーユニット
[編集]- 名称: ホンダ RA620H
- 気筒数: V型6気筒
- 排気量: 1,600cc
- 最高回転数: 15,000rpm (レギュレーションで規定)
- バルブ数: 24(1気筒あたり4バルブ、吸気2、排気2、レギュレーションで規定)
- バンク角: 90度
- エンジンマネージメント: ホンダ、レギュレーションで定められたECU
- オイル: モービル1
- 重量: 145kg
記録
[編集](key)
年 | No. | ドライバー | AUT | STY | HUN | GBR | 70A | ESP | BEL | ITA | TUS | RUS | EIF | POR | EMI | TUR | BHR | SKR | ABU | ポイント | ランキング |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2020 | 26 | クビアト | 12† | 10 | 12 | Ret | 10 | 12 | 11 | 9 | 7 | 8 | 15 | 19 | 4 | 12 | 11 | 7 | 11 | 107 | 7位 |
10 | ガスリー | 7 | 15 | Ret | 7 | 11 | 9 | 8 | 1 | Ret | 9 | 6 | 5 | Ret | 13 | 6 | 11 | 8 |
脚注
[編集]- ^ “スクーデリア・トロロッソF1、2月14日に「アルファタウリ」へと名称変更”. autosport web (2020年2月1日). 2020年2月16日閲覧。
- ^ “ホンダのパートナー、アルファタウリF1の2020年マシン名は『AT01』。発表会詳細が明らかに”. autosport web (2020年2月12日). 2020年2月16日閲覧。
- ^ a b “「アルファタウリ『AT01』の風洞データは良好、ホンダも大きく進歩した」チーム代表、2020年の目標は選手権5位と宣言”. autosport web (2020年2月15日). 2020年2月16日閲覧。
- ^ “【動画】ホンダPU搭載のアルファタウリ『AT01』がコースデビュー”. autosport web (2020年2月15日). 2020年2月17日閲覧。
- ^ “【ギャラリー】アルファタウリ・ホンダAT01、コースデビュー! 晴天のミサノを駆ける”. motorsport.com (2020年2月16日). 2020年2月16日閲覧。
- ^ “アルファタウリF1技術責任者エギントンが語る開発の裏側(1)ジェームズ・キーから引き継いだ特殊な任務”. autosport web (2021年2月17日). 2021年2月18日閲覧。
- ^ “新生アルファタウリ・ホンダF1が2020年型マシン『AT01』を初公開。ホワイト×ダークネイビーにカラーを一新”. autosport web (2020年2月15日). 2020年2月16日閲覧。
- ^ “2020年の新F1マシン「ベスト・カラーリング賞」発表 アルファタウリ・ホンダが圧倒的ナンバー1!”. TopNews (2020年2月29日). 2020年3月1日閲覧。
- ^ “F1新車”雑感”解説:レッドブルとは異なるコンセプト……アルファタウリ1号機の真価は?”. motorsport.com (2020年2月16日). 2020年2月16日閲覧。
- ^ ホンダと組んだアドバンテージを最大限に活かしたアルファタウリAT01。PU戦略にも期待/全チーム戦力分析www.as-web.jp(2020年3月8日)2020年7月7日閲覧。
- ^ 紙一重…ガスリー、7位入賞の裏で「一時リタイヤ寸前に追い込まれた」formula1-data.com(2020年7月6日)2020年7月7日閲覧。
- ^ アルファタウリ・ホンダ、”残念”な10位入賞「もっと多くを期待していた」formula1-data.com(2020年7月13日)2020年7月13日閲覧。
- ^ 2020 Driver Standings: Pierre Gaslywww.formula1.com 2021年1月1日閲覧。
- ^ ピエール・ガスリー、今季10度目の入賞で5年目を締め括る「今年はあらゆる面で前進したシーズンだった」formula1-data.com(2020年12月14日)2021年1月1日閲覧。
- ^ “ピエール・ガスリー、自己ベストに並ぶ”最高”の4番手「どうやら僕はイタリアでは速いらしい!」”. formula1-data.com (2020年11月1日). 2020年12月22日閲覧。
- ^ 2020 Driver Standings: Daniil Kvyatwww.formula1.com 2021年1月1日閲覧。
- ^ ダニール・クビアト、11位締めで”フリーエージェント”を宣言「共に激動の1年を戦ってきたチームの皆に感謝」formula1-data.com(2020年12月14日)2021年1月1日閲覧。
- ^ タイヤは無関係だった…ピレリ、F1イギリスGPのクビアトのクラッシュの原因を特定formula1-data.com(2020年8月7日)2020年9月7日閲覧。
- ^ ダニール・クビアト、入賞圏外11位…戦略に不満「ハードタイヤでスタートしていれば」formula1-data.com(2020年8月31日)2020年9月7日閲覧。
- ^ 今年はツキがないと嘆くクビアト、入賞圏外戦の8割は不運「それでもページをめくって前に進む」formula1-data.com(2020年10月21日)2021年1月1日閲覧。
- ^ ダニール・クビアト、見事4位入賞「最高に楽しかった!」ただしシート喪失は免れずformula1-data.com(2020年11月2日)2021年1月1日閲覧。
- ^ ダニール・クビアト、”人生最高の走り”で見事7番手「自分好みのマシンさえあれば僕は速く走れる!」formula1-data.com(2020年12月14日)2021年1月1日閲覧。
- ^ 速いのはどちらのドライバー? 2020年F1 前半6戦の対チームメイト成績表formula1-data.com(2020年8月27日)2020年10月22日閲覧。
- ^ クビアト、ステアリングのフィーリングを変えてパフォーマンス改善!jp.motorsport.com(2020年11月11日)2021年1月2日閲覧。
- ^ ピエール・ガスリー、諦めず全てを投げ売って掴んだ初優勝「2位じゃ満足できなかった…」formula1-data.com(2020年9月7日)2020年9月7日閲覧。
- ^ アルファタウリ・ホンダF1コラム:マシンパッケージはライバル勢に負けず劣らずも、総合力で敵わず選手権7位www.as-web.jp(2020年12月27日)2021年1月1日閲覧。
- ^ “アルファタウリ・ホンダ、F1初優勝は「正当な結果」。真のパートナーが理解した日本人の精神性。”. Number Web (2020年9月7日). 2021年1月1日閲覧。
- ^ “AT01”. SCUDERIA ALPHATAURI (2019年2月14日). 2019年2月16日閲覧。