ウィリアムズ・FW43
イタリア・トスカーナGP仕様 (2020年9月、ムジェロ・サーキット) | |||||||||
カテゴリー | F1 | ||||||||
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コンストラクター | ウィリアムズ | ||||||||
デザイナー | デイビッド・ワーナー[1] ジョナサン・カーター[1] デイヴ・ウィーター | ||||||||
先代 | ウィリアムズ・FW42 | ||||||||
後継 | ウィリアムズ・FW44 | ||||||||
主要諸元 | |||||||||
エンジン | メルセデスAMG F1 M11 EQ Performance 1.6L V6ターボ | ||||||||
タイヤ | ピレリ | ||||||||
主要成績 | |||||||||
チーム | ウィリアムズ・レーシング | ||||||||
ドライバー | ジョージ・ラッセル ニコラス・ラティフィ ジャック・エイトケン | ||||||||
出走時期 | 2020年 | ||||||||
通算獲得ポイント | 23 | ||||||||
初戦 | 2020年オーストリアGP | ||||||||
最終戦 | 2021年アブダビGP | ||||||||
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ウィリアムズ・FW43 (Williams FW43) は、ウィリアムズが2020年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カーである。2021年シーズンはBスペックのFW43Bが使用されている。
概要
[編集]- FW43
前年のFW42はクラッシュテストに6回不合格した影響から、プレシーズンテストまでにマシンが完成せず数日の欠席を余儀なくされたが、本年のFW43はクラッシュテストを1回で合格し[3]、2月19日からカタロニア・サーキットで始まったプレシーズンテストに間に合わせた[4]。
FW42のコンセプトを維持し、限りあるリソースの中で効率よくパフォーマンス向上をもたらす部分を選んで改善した。メルセデスパワーユニット(PU)の弱点であったオーバーヒートの問題をはじめ、フロントアップライトの剛性やブレーキにも対策が施されている[5]。
チーム名だが、2023年末までROKiTとのタイトルスポンサー契約を締結しており、当初は前年と同じチーム名で登録され、スポンサーを配慮したカラーリングとしてホワイト、ブルー(スカイブルー)、レッドの鮮やかなデザインに変更された[6]。ところが、詳細は不明だが、5月29日付でROKiTとのタイトルスポンサー契約が解消されたこと[7]が発表された。そして、それは即時効力が発揮され、発表と同時にチーム名からロキットの名が削除され、それ以降のエントリーリスト上のチーム名は「ウィリアムズ・レーシング」となっている。また、これを受け、カラーリングの変更が行われ、ホワイトとブルー(正確にはスカイブルーとネイビーブルー)を主体としたデザインとなり、スポンサーのロゴの配置の変更も行われた[8][9]。このほか以前はあったABK BEERのロゴも外れている。
- FW43B
2021年は本来新たな車両規定が導入される予定であったが、前年型シャシーのフロア後部に新たな規制を追加し、トークン制による開発制限を設けるレギュレーションの導入が決定。これにより、全チーム前年型をベースにしたマシンを使用することとなり、ウィリアムズは「ウィリアムズ・FW43B」と命名して参戦する事を発表[10]。3月5日にオンラインで詳細が公開された[11]。カラーリングは2020年型から変更され、ホワイト、ブルー、ブラックにイエローがアクセントとして入ったものになった。Bスペックでの参戦を表明したのは1992年のウィリアムズ・FW14B以来29年ぶりとなる。ただし、シーズン中にBスペック版を投入したことを明言した経歴も含めれば、1995年のウィリアムズ・FW17以来となる。
2020年シーズン
[編集]ドライバーはジョージ・ラッセルが残留し、リザーブドライバーを務めていたニコラス・ラティフィが昇格した[12]。技術部門はレッドブルからデイビッド・ワーナーが移籍してチーフデザイナーに、ルノーからジョナサン・カーターが移籍して副チーフデザイナー兼デザイン部門責任者に、デザイン部門のアダム・カーターがチーフエンジニアに就任した[13]。
プレシーズンテストはメルセデスPUのトラブルにより走行時間を失ったが[14]、ラッセルのタイムが前年のテストのベストタイムを上回ったようにパフォーマンスが改善したことを示唆させた[15]。2019新型コロナウイルスの世界的流行の影響により、F1は休止状態となった影響でチーム運営に逆風が吹き荒れる中[16]参戦。決勝での入賞[17]はないが、第3戦で2台とも予選Q2進出に成功[18]したように、前年がすべて予選Q1落ちの状況と比べれば、予選の成績は向上している[19][20]。 しかし、決勝では戦闘力不足やミス故に入賞は叶わず最上位は4度の11位(うちラッセルが1回、ラティフィが3回)とあと一歩で入賞は叶わず、ウィリアムズは年間獲得ポイントが0で終わるという不名誉な形でシーズンを終えた。一応前年のFW42と比較するとQ1落ちが常連と化していた時に比べ幾度かQ2に進出するなどマシンの戦闘力は上昇したものの成績はドイツでロバート・クビサが獲得した1ポイントより下となってしまう形となった。
なおラッセルはサヒールグランプリにて新型コロナウイルスの検査で陽性と判定されたため本レースの欠場が決まったルイス・ハミルトンの[21]代役としてメルセデスから出場することとなったため、代役としてジャック・エイトケンがこのマシンを操った[22]。
2021年シーズン
[編集]ドライバーは両名とも続投。マシンの基本設計は前年型を引き続き使用することが義務付けられているが、空力コンセプトの変更は可能であり、ラッセルによれば、風の影響を受けやすくなるものの、条件が整った時に速さを発揮することを狙ったマシンとして開発されたとコメントしている[23]。
今シーズンはマシンとドライバーも含め格段に進化と成長を成し遂げ、第9戦オーストリアGPでラッセルがチームに2018年イタリアグランプリ以来の予選Q3進出の記録をもたらした(決勝は11位完走)[24]。第11戦ハンガリーGPでは両ドライバーがQ1で敗退するも、決勝ではダブル入賞を果たす[25]。第12戦のベルギーGPでは、ラッセルがQ3進出とフロントローを獲得し[26]、翌日の決勝は荒天の為、通常のレース走行は行われなかったものの、ハーフポイントレースの要件を満たした形かつほぼ予選時の順位のまま終了。その結果、ラッセルがF1キャリア初の2位表彰台を獲得した[27]。
スペック
[編集](この節の出典[28])
シャシー
[編集]- 型式: FW43
- シャシー: カーボンファイバーコンポジットモノコック
- サスペンション
- フロント: ダブルウィッシュボーン、プッシュロッド式トーションバースプリング、アンチロールバー
- リア: ダブルウィッシュボーン、プルロッド式トーションバースプリング&アンチロールバー
- ステアリング: パワーアシスト
- ブレーキシステム(フロント/リア): カーボンセラミックディスク
- ギアボックス: パドル式8速セミオートマチック
- ドライブ: 後輪駆動
- 重量: 746kg
- タイヤ: ピレリ P-Zero
パワーユニット
[編集]- 型式: メルセデスAMG F1 M11 EQ Performance
- 気筒数: V型6気筒
- バンク角度: 90度
- ロケーション: ミッドシップ、縦置き
- 重量: 145kg
- 構造: アルミニウムブロック&ヘッド
- 排気量: 1,600cc
- ボア: 80mm
- ストローク: 53mm
- バルブトレイン: 4バルブ(1シリンダーあたり)、DOHC
- 燃料噴射: 直接噴射
- 潤滑剤: ドライサンプ
- 過給器: ターボ
記録
[編集](key)
FW43
[編集]年 | No. | ドライバー | AUT | STY | HUN | GBR | 70A | ESP | BEL | ITA | TUS | RUS | EIF | POR | EMI | TUR | BHR | SKR | ABU | ポイント | ランキング |
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2020 | 63 | ラッセル | Ret | 16 | 18 | 12 | 18 | 17 | Ret | 14 | 11 | 18 | Ret | 14 | Ret | 16 | 12 | 15 | 0 | 10位 | |
89 | エイトケン | 16 | |||||||||||||||||||
6 | ラティフィ | 11 | 17 | 19 | 15 | 19 | 18 | 16 | 11 | Ret | 16 | 14 | 18 | 11 | Ret | 14 | Ret | 17 |
FW43B
[編集]年 | No. | ドライバー | BHR | EMI | POR | ESP | MON | AZE | FRA | STY | AUT | GBR | HUN | BEL | NED | ITA | RUS | TUR | USA | MXC | SÃO | QAT | SAU | ABU | ポイント | ランキング |
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2021 | 63 | ラッセル | 14 | Ret | 16 | 14 | 14 | 17 | 12 | Ret | 11 | 12 | 8 | 2 | 17† | 9 | 10 | 15 | 14 | 16 | 13 | 17 | Ret | Ret | 23 | 8位 |
6 | ラティフィ | 18† | Ret | 18 | 16 | 15 | 16 | 18 | 17 | 16 | 14 | 7 | 9 | 16 | 11 | 19 | 17 | 15 | 17 | 16 | Ret | 12 | Ret |
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b “Fired up: Williams FW43 engine roars into life ahead of 2020 launch”. formula1.com (2020年2月6日). 2020年3月1日閲覧。
- ^ “ウイリアムズF1、2020年型新マシン『FW43』をオンラインで公開。若手コンビで不振脱却を目指す”. autosport web (2020年2月17日). 2020年3月1日閲覧。
- ^ “ウイリアムズF1の2020年型シャシーがクラッシュテストに合格「プレシーズンテストに間に合う」と自信”. autosport web (2020年1月17日). 2020年3月1日閲覧。
- ^ “ウイリアムズF1、ラッセル&ラティフィが『FW43』に好感触「1周目から自信を持つことができた」”. autosport web (2020年2月20日). 2020年3月1日閲覧。
- ^ “【津川哲夫のF1新車初見チェック】光明が見えてきたウイリアムズ。それでも気になるFW43のサスペンション位置と運営面”. autosport web (2020年2月19日). 2020年3月1日閲覧。
- ^ “ウイリアムズF1『FW43』:昨年型のコンセプトを維持し、効率的な改善図る「ポジティブな兆し」と首脳陣”. autosport web (2020年2月17日). 2020年3月1日閲覧。
- ^ “ROKiTと契約を解除したウイリアムズ、開幕までにマシンのカラーリングを変更”. jp.motorsport.com (2020年5月29日). 2020年5月29日閲覧。
- ^ “ウイリアムズF1が新カラーリングを発表。ROKiT離脱で2020年マシンカラーが変更”. jp.motorsport.com (2020年6月26日). 2020年6月27日閲覧。
- ^ “Coolな外観…ウィリアムズF1、”ROKiT後”の新たなFW43のカラーリング”. formula1-data.com (2020年6月26日). 2020年6月27日閲覧。
- ^ ウイリアムズ、新体制で初の新車発表を3月5日実施。命名規則継続し『FW43B』にjp.motorsport.com(2021年2月5日)2021年10月22日閲覧。
- ^ “ウイリアムズ2021年型F1『FW43B』:かつての名車にインスパイアされたカラーリングに。新たなスポンサーロゴも加わる予定”. autosport web (2021年3月5日). 2021年10月22日閲覧。
- ^ “ルーキーのラティフィ、F1でラッセルと再戦へ「彼と戦うことをとても楽しみにしている」”. autosport web (2020年1月16日). 2020年3月1日閲覧。
- ^ “最下位からの脱出目指すウイリアムズF1、レッドブル&ルノーのデザイナーを引き抜き”. autosport web (2020年1月29日). 2020年3月1日閲覧。
- ^ “ウイリアムズF1、メルセデス製パワーユニットにトラブル続出で3基目を投入。テストプログラムに支障”. www.as-web.jp (2020年2月27日). 2020年3月1日閲覧。
- ^ “ウイリアムズ、復活の兆し見せるもラッセルは慎重姿勢「まだ僕たちが一番遅い」”. motorsport.com (2020年3月1日). 2020年3月1日閲覧。
- ^ “ウイリアムズF1、施設や歴代マシンを担保に新規融資を確保”. motorsport.com (2020年4月11日). 2020年7月13日閲覧。
- ^ 今や中団の一角……前進した今季のウイリアムズ、弱点は”バトルでの弱さ”?jp.motorsport.com(2020年7月13日)2020年10月17日閲覧。
- ^ F1速報 ハンガリーGP予選Q1︰ホンダ1台がノックアウト…ウィリアムズは2018年以来のダブルQ2!formula1-data.com(2020年7月18日)2020年7月20日閲覧。
- ^ 嬉しい反面、悔しさも……ウイリアムズのラッセル、Q3まであとコンマ1秒の大健闘jp.motorsport.com(2020年7月12日)2020年7月13日閲覧。
- ^ ウィリアムズF1、ラッセルが2018年イタリアGP以来の最高位もたらすformula1-data.com(2020年7月12日)2020年7月13日閲覧。
- ^ “メルセデスF1のルイス・ハミルトン、新型コロナウイルスに感染。今週末の第16戦サクヒールGPを欠場”. www.as-web.jp (2020年12月1日). 2020年12月2日閲覧。
- ^ “メルセデス、ハミルトンの代役にラッセルを抜擢。エイトケンがウイリアムズからF1デビュー:サクヒールGP”. www.as-web.jp (2020年12月2日). 2020年12月2日閲覧。
- ^ ウイリアムズF1、”尖った”空力コンセプトで浮上目指す。浮き沈みの激しい1年を覚悟jp.motorsport.com(2021年3月17日)2021年10月22日閲覧。
- ^ ラッセル、ウイリアムズで予選9番手の快挙「ミディアムタイヤでQ3進出。久々にテンションが上がった!」F1第9戦www.as-web.jp(2021年7月4日)2021年10月22日閲覧。
- ^ ウイリアムズがダブル入賞「長く苦しい時期だった。言葉が見つからない」とラッセル/F1第11戦www.as-web.jp(2021年8月2日)2021年10月22日閲覧。
- ^ F1 Topic:「失うモノは何もない」一か八かの作戦で予選2番手を獲得したラッセルとウイリアムズwww.as-web.jp(2021年8月29日)2021年10月22日閲覧。
- ^ ラッセルが2位でF1初ポディウム「変な経緯であっても、表彰台は表彰台」ウイリアムズ/F1第12戦www.as-web.jp(2021年8月30日)2021年10月22日閲覧。
- ^ “2020 Williams FW43 Mercedes Specifications”. ultimatecarpage.com (2020年2月18日). 2020年3月1日閲覧。