信越本線

信越本線
信越本線を走行するE653系「しらゆき」 (2022年7月9日 長鳥駅 - 塚山駅間)
信越本線を走行するE653系しらゆき
(2022年7月9日 長鳥駅 - 塚山駅間)
基本情報
日本の旗 日本
所在地 群馬県長野県新潟県
種類 普通鉄道在来線幹線
起点 高崎駅篠ノ井駅直江津駅
終点 横川駅長野駅新潟駅
駅数 59駅(貨物駅含む)
電報略号 シエホセ[1]
開業 1885年10月15日
一部廃止 1997年10月1日(横川駅 - 軽井沢駅
所有者 東日本旅客鉄道(JR東日本)
上沼垂信号場 - 東新潟港駅間除く全線)
日本貨物鉄道(JR貨物)
(上沼垂信号場 - 東新潟港駅間)
運営者 上記各第1種鉄道事業者および
日本貨物鉄道
(高崎駅 - 安中駅間・篠ノ井駅 - 長野駅間・直江津駅 - 上沼垂信号場間・越後石山駅 - 新潟貨物ターミナル駅間の第2種鉄道事業者)
使用車両 使用車両を参照
路線諸元
路線距離 29.7 km(高崎駅 - 横川駅間)
9.3 km(篠ノ井駅 - 長野駅間)
136.3 km(直江津駅 - 新潟駅間)
2.4 km(越後石山駅 - 新潟貨物ターミナル駅間)
3.8 km(上沼垂信号場 - 東新潟港駅間)
軌間 1,067 mm
線路数 複線(上沼垂信号場 - 東新潟港間は単線
電化方式 直流1,500V架空電車線方式
(上沼垂信号場 - 東新潟港間は非電化
閉塞方式 複線自動閉塞式(複線区間)
連査閉塞式(上沼垂信号場 - 焼島駅間)
タブレット閉塞式(焼島駅 - 東新潟港駅間、休止中)
保安装置 ATS-P(高崎駅 - 横川駅間、篠ノ井駅 - 長野駅間、新潟駅構内)
ATS-Ps(宮内駅 - 新潟駅間[注釈 1]
ATS-SN(直江津駅 - 宮内駅間)[2]
最高速度 120 km/h
路線図

青線はしなの鉄道えちごトキめき鉄道のいずれかに経営移管された区間
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信越本線(しんえつほんせん)は、群馬県高崎市高崎駅から同県安中市横川駅まで、長野県長野市篠ノ井駅から同市長野駅まで、および新潟県上越市直江津駅から同県新潟市中央区新潟駅までの区間を結ぶ、東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線幹線)である。このほか、越後石山駅 - 新潟貨物ターミナル駅間、上沼垂信号場 - 東新潟港駅間に貨物支線を持つ。

元々は高崎駅から新潟駅までを途切れる区間なく結んでいた路線であった。1997年および2015年北陸新幹線長野新幹線)新規開業および延伸開業に伴って廃止され、バス転換された区間または第三セクター鉄道に移管された区間については「概要」節で挙げた各記事も参照。

概要

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篠ノ井駅 - 長野駅間を除き、しなの鉄道とえちごトキめき鉄道に移管された軽井沢駅 - 関山駅間は、2018年に開業130周年を迎え、189系電車による記念列車が運転された。

路線名が表すとおり、長野県新潟県を意味する「信越地方」を通る路線であり、元々は近世の中山道善光寺街道北陸道に沿って、高崎駅から長野駅直江津駅などを経て新潟駅に至る路線であった。1997年平成9年)10月1日北陸新幹線高崎駅 - 長野駅間先行開業に伴い、新幹線の並行在来線区間のうち、碓氷峠を越える横川駅 - 軽井沢駅間が廃止(JRバス関東碓氷線に転換)、軽井沢駅 - 篠ノ井駅間が第三セクターしなの鉄道に経営が移管され、当路線は2区間に分断された。さらに2015年(平成27年)3月14日の北陸新幹線長野駅 - 金沢駅間延伸開業に伴い、長野駅 - 直江津駅間も経営分離され、長野駅 - 妙高高原駅間がしなの鉄道に、妙高高原駅 - 直江津駅間がえちごトキめき鉄道に移管され、当路線は3区間に分断された。「本線」級のJR線が分断されるのは信越本線が初の事例である。

なお、整備新幹線ではない上越新幹線の並行在来線である長岡駅 - 新潟駅間は新幹線開業後も経営分離されず、JR東日本の路線となっている。

信越本線分断の状況(2023年現在)
区間 距離 事業者 路線名 移管(廃止)日
高崎駅 - 横川駅 29.7 km JR東日本 信越本線 存続
横川駅 - 軽井沢駅 11.7 km 廃止(JRバス関東の碓氷線に転換) 1997年10月1日
軽井沢駅 - 篠ノ井駅 65.1 km しなの鉄道 しなの鉄道線
篠ノ井駅 - 長野駅 9.3 km JR東日本 信越本線 存続
長野駅 - 妙高高原駅 37.3 km しなの鉄道 北しなの線 2015年3月14日
妙高高原駅 - 直江津駅 37.7 km えちごトキめき鉄道 妙高はねうまライン
直江津駅 - 新潟駅 136.3 km JR東日本 信越本線 存続

現在も信越本線として残されている区間のうち、直江津駅 - 新潟駅間は、JR東日本の羽越本線奥羽本線、第三セクター鉄道のえちごトキめき鉄道日本海ひすいラインあいの風とやま鉄道線IRいしかわ鉄道線ハピラインふくい線西日本旅客鉄道(JR西日本)の北陸本線湖西線とともに、日本海縦貫線を形成しており、優等列車貨物列車が多く運行されている。また、新潟県内では、上越中越下越地方を結ぶ動脈ともなっている。そのうち直江津駅 - 柏崎駅間では日本海沿岸を走る。篠ノ井駅 - 長野駅間には中央本線(西線)・篠ノ井線から乗り入れる東海旅客鉄道(JR東海)の特急「しなの」が設定されており、松本名古屋方面との広域輸送を担っている。高崎駅 - 横川駅間には定期優等列車の設定はなく、ローカル輸送が中心である。

高崎駅 - 横川駅間は旅客営業規則の定める大都市近郊区間の「東京近郊区間」、直江津駅 - 新潟駅間が同「新潟近郊区間」に含まれ、高崎駅 - 横川駅がIC乗車カードSuica」の首都圏エリアに、新潟駅 - 宮内駅間の全駅および柏崎駅・直江津駅が新潟エリアに、それぞれ含まれている。

ラインカラーは、高崎駅 - 横川駅間は黄緑色、篠ノ井駅 - 長野駅間と直江津駅 - 新潟駅間はスカイブルーである[注釈 2]

路線データ

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新潟近辺の鉄道路線図
  • 管轄・路線距離(営業キロ):全長181.5 km(支線含む)
    • 東日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者
      • 高崎駅 - 横川駅間 29.7 km
      • 篠ノ井駅 - 長野駅間 9.3 km
        キロポスト高崎起点のものがそのまま使用され、線内各踏切に書かれているキロ数表示も高崎からの通算表示となっている。
      • 直江津駅 - 新潟駅間 136.3 km
        キロポストは直江津起点のものが使用される[3]
    • 日本貨物鉄道
    • (第一種鉄道事業)
      • 上沼垂信号場 - 東新潟港駅間 3.8 km(焼島駅 - 東新潟港駅間は休止中)
    • (第二種鉄道事業)
      • 高崎駅 - 安中駅間(10.6 km)
      • 篠ノ井駅 - 長野駅間(9.3 km)
      • 直江津駅 - 上沼垂信号場間(134.4 km)
      • 越後石山駅 - 新潟貨物ターミナル駅間(2.4 km)※ 旅客鉄道会社の営業キロ設定なし
  • 軌間1,067 mm
  • 駅数:59
    • 旅客駅:55(起終点駅含む)
      • 信越本線所属の旅客駅に限定した場合、高崎駅(高崎線所属[4])が除外され、54駅となる。
    • 貨物駅:4(起終点駅・休止駅含む、旅客併設駅を除く)
  • 複線区間:上沼垂信号場 - 東新潟港駅間を除く全線。
    なお白新線と重なる上沼垂信号場 - 新潟駅間(1.9 km)は複々線であるが、新潟駅付近連続立体交差事業のため、2017年度時点では仮線3線で運用していた[5]
  • 電化区間:上沼垂信号場 - 東新潟港駅間を除く全線(直流1,500 V
  • 閉塞方式
    • 複線自動閉塞式(複線区間)
    • 連査閉塞式(上沼垂信号場 - 焼島駅間)
    • タブレット閉塞式(焼島駅 - 東新潟港駅間 休止中)
  • 保安装置[2]
    • ATS-P(高崎駅 - 横川駅間、篠ノ井駅 - 長野駅間、新潟駅)
    • ATS-Ps(宮内駅 - 新潟駅[注釈 1]間)
    • ATS-SN(直江津駅 - 宮内駅間)
  • 最高速度電車または気動車):
    • 高崎駅 - 横川駅間 100 km/h
    • 篠ノ井駅 - 長野駅間 優等列車120 km/h、普通列車110 km/h
    • 直江津駅 - 新潟駅間 120 km/h
  • 運転指令所
    • 高崎駅 - 横川駅間:高崎総合指令室(運転取扱は高崎駅、安中駅が行い、横川駅の信号設備は安中駅から制御される)
    • 篠ノ井駅 - 長野駅間:長野総合指令室(CTC
    • 直江津駅 - 新潟駅間:新潟総合指令室(直江津駅 - 越後石山駅間CTC)

高崎駅 - 横川駅間がJR東日本高崎支社、篠ノ井駅 - 長野駅間が同長野支社、直江津駅 - 新潟駅間(越後石山駅 - 新潟貨物ターミナル駅間の支線を含む)が同新潟支社の管轄である。

運行形態

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高崎駅 - 横川駅間

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北陸新幹線の開業後も高規格な複線電化路線として残されているが、首都圏長野県の信越本線沿線各市町を結ぶ都市間輸送は、既に北陸新幹線の開業および信越本線の分断によりその役割を終えており、高崎駅 - 横川駅間は臨時列車を除けば各駅に停車する普通列車のみの運行で、ほぼ群馬県内のローカル輸送に徹した形となっている。この区間は群馬県内で完結しているが、新幹線開業後も一貫して「信越線」と案内されている。全区間で毎時1 - 2本程度の普通列車が運転されており、全ての列車が高崎駅と横川駅を始発終着駅とする。この区間のラインカラーは黄緑色になっている。ワンマン運転は行っていない。列車によってはJRバス関東碓氷線に接続しており、さらに、軽井沢でしなの鉄道線の列車と接続する場合もある。

臨時列車

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高崎駅 - 横川駅間では、蒸気機関車(SL)牽引による臨時快速列車SLぐんま よこかわ」が、土休日を中心に設定される。往復のうちどちらかは電気機関車(EL)牽引による「ELぐんま よこかわ」かディーゼル機関車(DL)牽引による「DLぐんま よこかわ」となる。横川駅には転車台機回し線がないため、最後尾に復路で列車を牽引する機関車を連結して運転し、折り返し時に機関車の付け替えを行わず、最後尾の機関車が先頭になって列車を牽引している。

SLぐんまよこかわ

貨物輸送

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高崎駅 - 安中駅間には、福島臨海鉄道小名浜駅との間での鉱石輸送用の高速貨物列車(通称「安中貨物」)が1日1往復運行されている[7]

篠ノ井駅 - 長野駅間

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この区間は北陸新幹線開業以降も引き続きJR東日本が運営している。しかし、篠ノ井駅 - 長野駅間で完結する列車は下りが平日朝に1本、上りが日中に1本あるのみで、その他は全てが篠ノ井線またはしなの鉄道しなの鉄道線北しなの線との直通列車であり、実質的に篠ノ井線の一部のようになっている。2023年3月18日のダイヤ改正から長野発の篠ノ井行きの区間列車が設定されたが2024年3月16日のダイヤ改正で消滅している。

優等列車として、名古屋駅からの特急しなの」が走っている。

普通・快速列車は基本的には長野市周辺の輸送を担っているが、しなの鉄道線直通列車は朝夕を中心に軽井沢駅発着の列車もある。篠ノ井線直通列車は日中は松本駅発着の列車が多いが、朝夕は飯田線中央本線直通の長距離列車が多く、最遠で飯田線には飯田駅発着、中央本線には大月駅発着で運行され、特急と同じく山梨県長野県内の主要都市間輸送を担っている面もある。

犀川橋梁を渡る211系(川中島 - 安茂里間 2022年5月)

貨物輸送

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篠ノ井駅 - 長野駅間には、コンテナ車による北しなの線北長野駅への高速貨物列車が、平日に1日2往復運行されている。それぞれ、首都圏発着、中京圏発着となっており、前者は隅田川駅発着、後者は名古屋貨物ターミナル駅発・稲沢駅着である[8]

直江津駅 - 新潟駅間

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