離宮
離宮(りきゅう)とは、皇居や王宮とは別に設けられた宮殿のことである。
一般的には王族・皇族等が居住するために建設された宮殿とは別の敷地に建設される。例えば皇太子などが成人・結婚し、天皇・皇帝と別に住居を構える場合などが当たる。また、避暑・避寒、静養のために建てられるものもある。
西洋の離宮
[編集]ドイツ
[編集]- ベルビュー宮殿 - フェルディナント・フォン・プロイセンの夏の離宮。現在は連邦大統領官邸として使用されている。
- シャルロッテンブルク宮殿 - 1699年、プロイセン公国のフリードリヒ3世(後のプロイセン王国のフリードリヒ1世)の王妃ゾフィー・シャルロッテのために夏の離宮として創建された[1][2]。
- ニンフェンブルク宮殿 - バイエルン王国ヴィッテルスバッハ家の夏の離宮。選帝侯フェルディナンド・マリアが息子マクシミリアン2世エマヌエルの誕生を祝って建築を開始。1664年に完成した[3]。
オーストリア
[編集]フランス
[編集]- 大トリアノン宮殿 - ルイ14世の公妾であったフランソワーズ・アテナイスのために造られた[7]。
- 小トリアノン宮殿 - ルイ16世の王妃マリー・アントワネットの私的な宮殿[8]。
イタリア
[編集]- パラッツォ・デル・テ - マントヴァ侯国のフェデリーコ2世・ゴンザーガが建てた離宮[9]。
スウェーデン
[編集]- ドロットニングホルム宮殿 - 17世紀にニコデムス・テッシン父子によって建築された離宮[10]
- ソルリデン宮殿 - スウェーデンのエーランド島にある宮殿。夏の離宮として用いられる
デンマーク
[編集]ポーランド
[編集]ロシア
[編集]- エカテリーナ宮殿 - 18世紀にバルトロメオ・ラストレッリによって建築された離宮[15]
アメリカ
[編集]東洋の離宮
[編集]中国
[編集]- 中南海 - 紫禁城の西側にあり、現在は中国共産党の中枢の建物群がある。
- 頤和園
- 円明園
- 避暑山荘
- 瀋陽故宮 - 清
- 華清宮
- 興慶宮
- 長楽宮
- 銅雀台
- 瑤華宮
- 雍和宮
- 西垂宮
- 平陽封宮
- 梁山宮
- 長安宮
- 黄陽宮
- 望夷宮
- 林光宮
- 歩壽宮
- 歩高宮
- 蘭池宮
台湾
[編集]朝鮮
[編集]タイ
[編集]ベトナム
[編集]インド
[編集]日本
[編集]日本では一定規模の建造物と敷地を有するものを離宮とし、小規模のものを御用邸と称している。また、明治以前には上皇や法皇の譲位後の離宮として「後院」と呼ばれる離宮が築かれて専属の役人が置かれた。なお、平安時代の天皇の追号には後院の名称に由来するものが多い。また、幕末から明治にかけて天皇家の子供たちの夭折があまりにも多いことから明治16年(1883年)に侍医らが連名で改善案をまとめた上申書を提出し、その中に避暑のための離宮の建設があったことから、箱根離宮、日光御用邸が建設された[24]。
現存する離宮
[編集]かつて存在した離宮
[編集](五十音順)
- 赤坂離宮:東京都港区 - 明治時代に皇太子嘉仁親王(のちの大正天皇)の東宮御所として建てられた。戦後は国立国会図書館(1948年–1961年)、法務庁法制意見長官(1948年–1960年)、裁判官弾劾裁判所(1948年–1970年)、内閣憲法調査会(1956年-1960年)、東京オリンピック組織委員会(1961–65年)などに使用された後、迎賓館に改装され現在に至る。
- 霞関離宮(現在の国会前庭南地区):東京都千代田区 - もともとはジョサイア・コンドルの設計により1884年(明治17年)に竣工した有栖川宮邸であったが、1896年(明治29年)11月24日、宮内省の懇望により買い上げられ、以後「霞関離宮」と称した。おもに外国使節の宿舎として使用され、大正時代には摂政となった皇太子裕仁親王(のちの昭和天皇)の東宮仮御所としても用いられた。1945年(昭和20年)5月、東京大空襲で被災し、戦後取り壊された。
- 芝離宮(現在の旧芝離宮恩賜庭園):東京都港区 - 維新前は紀伊藩の浜屋敷だったが、1871年(明治4年)有栖川宮邸となり、1875年(明治8年)、皇太后宮非常御立退所として宮内省管轄に。1924年(大正13年)東京市へ下賜され旧芝離宮恩賜庭園となる。
- 鳥羽離宮:京都府京都市 - 12世紀から14世紀頃まで使用された。
- 名古屋離宮(名古屋城):愛知県名古屋市
- 二条離宮(元離宮二条城):京都府京都市 - 大正天皇即位の儀式である即位礼の饗宴場として二条離宮が使用された(現清流園の位置)[25]。
- 箱根離宮(現在の神奈川県立恩賜箱根公園):神奈川県箱根町 - 明治17年(1884年)、芦ノ湖に半島状にせり出した塔ケ島を中心に16万3千平方メートルの土地を買収し、明治19年7月に完成したが、大正12年(1923年)の関東大震災と昭和5年(1930年)の北伊豆地震によって倒壊し、跡地は終戦後に県の所有となり、昭和21年に県立の恩賜箱根公園として一般に開放された[26]。
- 浜離宮(現在の浜離宮恩賜庭園):東京都中央区
- 武庫離宮(現在の須磨離宮公園):兵庫県神戸市 - 西本願寺法主である大谷光瑞が1903年(明治36年)に造営した別邸を1907年(明治40年)に宮内庁が買い上げ、1914年(大正3年)に竣工し、大正天皇、皇太子(後の昭和天皇)や溥儀などが滞在したが、1945年(昭和20年)3月17日の神戸大空襲により全焼。1946年(昭和21年)に米軍の射撃練習場になるが、1956年(昭和31年)に日米合同委員会で接収解除が決定され、1967年(昭和42年)に須磨離宮公園として開園した。[27]
- 吉野離宮(宮滝遺跡):奈良県吉野町 - 飛鳥時代の離宮。
設置が決まったものの実現に至らなかった離宮
[編集]中東の離宮
[編集]イラン
[編集]トルコ
[編集]関連項目
[編集]脚注
[編集]出典
[編集]- ^ “ドイツ シャルロッテンブルク宮殿の庭園”. 2024年9月19日閲覧。
- ^ “ドイツ シャルロッテンブルク宮殿の観光・見所について |現地オプショナルツアーの[みゅう]”. www.myushop.net. 2024年9月19日閲覧。
- ^ “ニンフェンブルク城 (Schloss Nymphenburg), ミュンヘン - Book tickets for tours and activities”. www.classictic.com. 2024年9月19日閲覧。
- ^ シェーンブルン宮殿 JTB
- ^ ベルベデーレ宮殿 JTB
- ^ ヘルブルン宮殿 JTB
- ^ “フランスハネムーンで絶対行きたい!世界遺産・ヴェルサイユ宮殿【離宮・庭園編】”. ハネムーンS. 2023年11月24日閲覧。
- ^ “マリーアントワネットの隠れ家・美しすぎるベルサイユ離宮トリアノンの行き方・見所・基本情報ガイド – Jams Paris”. 2023年11月24日閲覧。
- ^ 望月, 由美子、モチヅキ, ユミコ、Mochizuki, Yumiko「パラッツォ・デル・テの「ムーサたちのロッジア」の図像分析―16 世紀マントヴァ宮廷におけるオルフェウス神話の受容―」『札幌市立大学研究論文集』第13巻第1号、2019年7月30日、55–70頁、ISSN 1881-9427。
- ^ ドロットニングホルム宮殿 JTB
- ^ “ビジターズ インフォメーション | The Royal Danish Collection”. www.kongernessamling.dk. 2024年9月19日閲覧。
- ^ “BUYMA TRAVEL|離宮ローゼンボー城で、ヨーロッパ最古の王室デンマーク王家の歴史と財宝ご案内”. BUYMA TRAVEL. 2024年9月19日閲覧。
- ^ “【ローゼンボー城】17世期に建設されたデンマーク王の離宮|NAVIA”. NAVIA (2021年7月27日). 2024年9月19日閲覧。
- ^ ヴィラヌフ宮殿 JTB
- ^ エカテリーナ宮殿 JTB
- ^ フリヘエ宮殿 JTB
- ^ “昌徳宮|韓国 世界遺産|阪急交通社”. 阪急交通社. 2024年9月17日閲覧。
- ^ 20世紀西洋人名事典,367日誕生日大事典. “ラーマ6世とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2024年9月17日閲覧。
- ^ “バンコク:チットラダー宮殿地図 - 旅行のとも、ZenTech”. www.travel-zentech.jp. 2024年9月17日閲覧。
- ^ “世界遺産フエの観光情報|ベトナム最後の王朝が眠る古都”. HISベトナム旅行情報. 2024年9月17日閲覧。
- ^ “トゥドゥック帝陵 / Lăng Tự Đức”. ベトナム フエ 観光. 2024年9月17日閲覧。
- ^ “ジャイプール、インドのマハラジャ宮殿都市の見どころ”. 2024年9月17日閲覧。 “ジャイプールで一番の観光スポットといえば、ジャイプールを象徴するピンク色の美しい建物、旧市街にあるハワーマハル(風の宮殿)。1799年に建設され た離宮で、シティパレスと地下通路でつながっており、宮殿に暮らす高貴な女性たちが、ジャイプールの街のお祭りなどを見るための場所だったとか。”
- ^ “宮中の女性が窓からそっと外を眺めた、ジャイプルの風の宮殿 | いい旅インド|オーダーメイドであなただけのインド旅行を”. 2024年9月17日閲覧。 “1799年、ジャイプルを治めていた藩王(マハラジャ)の第5代当主サワイ・プラテープ・シンによって建てられました。”
- ^ 明治16年と同21年の上申書からみた明治天皇皇子女夭折問題 深瀬泰旦、日本医史学雑誌 第61巻第2号(2015)
- ^ 歴史|二条城 世界遺産・元離宮二条城
- ^ 箱根離宮 富士・芦ノ湖のぞむ景勝…北伊豆地震で全壊、恩賜公園に 産経新聞、2017.12.8
- ^ “須磨離宮公園を探訪 空襲で焼失、元は皇室の別荘 | M's KOBE - 神戸新聞NEXT”. www.kobe-np.co.jp (2019年5月28日). 2024年9月17日閲覧。
- ^ “世界遺産の宮殿もある!イランの首都テヘランでおすすめの観光スポット4選”. skyticket 観光ガイド. 2024年9月17日閲覧。
- ^ “ドルマバフチェ宮殿”. 2024年9月17日閲覧。 “1839年に戴冠したオスマン帝国の第31代スルタン、アブドゥルメジットⅠ世は、建築家カラベト・バルヤン(アルメニア出身)に建設を委託した。1843年に着工した工事は、13年後の1856年に完成。現在の宮殿名-ドルマバフチェ-は、“埋め立てられた庭”を意味している。”
- ^ “アウトプット: イスタンブール・ドルマバフチェ宮殿ガイドツアー - Hellotickets”. www.hellotickets.jp. 2024年9月17日閲覧。