1994年の読売ジャイアンツ

1994年の読売ジャイアンツ
成績
日本一
日本S 4勝2敗(対西武
セントラル・リーグ優勝
70勝60敗0分 勝率.538
本拠地
都市 東京都文京区
球場 東京ドーム
球団組織
オーナー 正力亨
経営母体 読売新聞社
監督 長嶋茂雄
選手会長 吉村禎章
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1994年の読売ジャイアンツ(1994ねんのよみうりジャイアンツ)では、1994年における読売ジャイアンツの動向についてまとめる。

この年の読売ジャイアンツは、2回目の長嶋茂雄監督体制の2年目のシーズンである。

概要

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球団創設60周年を迎えたこの年、正力オーナーから「記念の年は何が何でも優勝せよ」と厳命された監督の長嶋茂雄は前年オフから導入のFA中日の主砲・落合博満を獲得。また、横浜を自由契約になった屋鋪要も入団。外国人もダン・グラッデンヘンリー・コトーに一新するなど、大型補強で開幕に臨んだ。チームは広島との開幕2連戦を勝ち越し、4月を13勝6敗と勝ち越して開幕ダッシュに成功。2年目の松井秀喜や4番・落合など打線の活躍が目立ったが、5月18日の広島戦で槙原寛己完全試合槙原寛己の完全試合も参照)を達成するなど投手陣も奮闘。5月は13勝10敗で若干足踏みしたものの、ケガで戦列離脱していた原辰徳が復帰した6月には大きく勝ち越して首位をキープし前半戦を終了。後半戦も白星街道まっしぐらかと思われたが、主力打者が軒並み不振に陥り打線が停滞。投手陣も好投しながら打線が援護できず、開幕から1度も首位の座から転落することがなかったチームも8月以降は前半最下位の広島に1.5ゲーム差で急接近され、さらには中日が終盤に9連勝し猛追。最終戦で中日に同率首位で並ばれ、勝ったほうが優勝の10.8決戦ナゴヤ球場)は落合が中日のエース今中慎二から先制本塁打を放つなど打線が奮起。長嶋監督は先発の槙原を2回途中で降ろして斎藤にスイッチし、終盤には桑田を抑えで起用するなどの総力戦で中日の反撃を3点に食い止め、4年ぶりにリーグ優勝を達成。日本シリーズ西武との対決となり2勝2敗で迎えた第5戦に緒方耕一が満塁弾を放って王手をかけると、続く第6戦は槙原が1失点で完投勝利。チームは4勝2敗で西武を破り藤田元司監督時代の1989年以来5年ぶりの日本一となり長嶋も日本シリーズの舞台で初めて胴上げされた。

チーム成績

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レギュラーシーズン

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オーダー変遷
開幕:4/9 5/1 6/1 7/1 8/2 9/2 優勝:10/8
1 グラッデン グラッデン 緒方耕一 グラッデン グラッデン 緒方耕一 コトー
2 川相昌弘 川相昌弘 川相昌弘 川相昌弘 川相昌弘 川相昌弘 川相昌弘
3 松井秀喜 松井秀喜 松井秀喜 松井秀喜 松井秀喜 松井秀喜 松井秀喜
4 落合博満 落合博満 落合博満 落合博満 落合博満 落合博満 落合博満
5 篠塚和典 コトー コトー 岡崎郁 岡崎郁 吉村禎章 原辰徳
6 コトー 岡崎郁 西岡良洋[注 1] コトー 原辰徳 岡崎郁 グラッデン
7 岡崎郁 村田真一 村田真一 原辰徳 コトー 篠塚和典 元木大介
8 村田真一 緒方耕一 長嶋一茂 村田真一 大久保博元 村田真一 村田真一
9 斎藤雅樹 槙原寛己 香田勲男 斎藤雅樹 ジョーンズ 桑田真澄 槙原寛己

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1994年セントラル・リーグ順位変動
順位 4月終了時 5月終了時 6月終了時 7月終了時 8月終了時 9月終了時 最終成績
1位 巨人 -- 巨人 -- 巨人 -- 巨人 -- 巨人 -- 巨人 -- 巨人 --
2位 中日 1.5 中日 3.5 中日 9.5 中日 8.0 広島 4.0 中日 中日 1.0
3位 ヤクルト 3.5 横浜 4.5 ヤクルト 阪神 9.0 中日 6.5 広島 2.5 広島 4.0
4位 横浜 4.0 ヤクルト 5.5 横浜 11.5 ヤクルト 10.0 阪神 8.0 横浜 5.5 阪神 8.0
5位 広島 5.5 阪神 7.0 阪神 14.0 広島 11.0 ヤクルト 9.0 阪神 6.0 ヤクルト
6位 阪神 6.5 広島 9.5 広島 15.5 横浜 13.0 横浜 11.5 ヤクルト 7.0 横浜 9.0
期間
成績
13勝6敗
勝率.684
13勝10敗
勝率.565
16勝6敗
勝率.727
9勝12敗
勝率.429
11勝15敗
勝率.423
4勝10敗
勝率.286
4勝1敗
勝率.800


1994年セントラル・リーグ最終成績
順位 球団 勝率
1位 読売ジャイアンツ 70 60 0 .538 優勝
2位 中日ドラゴンズ 69 61 0 .531 1.0
3位 広島東洋カープ 66 64 0 .508 4.0
4位 ヤクルトスワローズ 62 68 0 .477 8.0
4位 阪神タイガース 62 68 0 .477 8.0
6位 横浜ベイスターズ 61 69 0 .469 9.0

日本シリーズ

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1994年 日本シリーズ
日付 試合 ビジター球団(先攻) スコア ホーム球団(後攻) 開催球場
10月22日(土) 第1戦 西武ライオンズ 11 - 0 読売ジャイアンツ 東京ドーム
10月23日(日) 第2戦 西武ライオンズ 0 - 1 読売ジャイアンツ
10月24日(月) 移動日
10月25日(火) 第3戦 読売ジャイアンツ 2 - 1 西武ライオンズ 西武ライオンズ球場
10月26日(水) 第4戦 読売ジャイアンツ 5 - 6 西武ライオンズ
10月27日(木) 第5戦 読売ジャイアンツ 9 - 3 西武ライオンズ
10月28日(金) 移動日
10月29日(土) 第6戦 西武ライオンズ 1 - 3 読売ジャイアンツ 東京ドーム
優勝:読売ジャイアンツ(5年ぶり18回目)

オールスターゲーム1994

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  • 選出選手及びスタッフ
ポジション 名前 選出回数
コーチ 長嶋茂雄
投手 斎藤雅樹 4
槙原寛己 5
桑田真澄 7
捕手 村田真一
外野手 松井秀喜
  • 太字はファン投票による選出。

個人成績

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投手成績

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  • 色付きは規定投球回数(130イニング)以上の選手
  • 太字はリーグ最高
選手








































W
H
I
P
 
/桑田真澄 28 27 10 1 3 14 11 1 836 207.1 175 16 51 4 185 6 0 65 58 2.52 1.09
/斎藤雅樹 30 27 11 5 2 14 8 0 820 206.1 183 16 32 6 144 2 0 60 58 2.53 1.04
/槙原寛己 29 26 7 4 1 12 8 0 762 185.0 169 12 49 7 153 5 2 62 58 2.82 1.18
/木田優夫 28 13 1 0 0 6 8 1 376 87.2 86 11 37 2 61 3 0 52 48 4.93 1.40
/香田勲男 21 11 1 1 0 2 3 1 314 70.2 79 7 32 3 40 0 0 41 35 4.46 1.57
/橋本清 52 0 0 0 0 2 4 3 273 67.1 48 6 28 0 69 0 0 21 18 2.41 1.13
/ジョーンズ 14 13 0 0 0 7 2 0 272 61.1 64 1 27 0 35 1 1 33 28 4.11 1.48
/岡田展和 41 0 0 0 0 2 0 1 256 60.0 52 5 27 2 40 1 1 26 22 3.30 1.32
/宮本和知 25 10 1 0 0 4 7 0 270 59.2 79 7 24 0 37 0 0 40 39 5.88 1.73
/石毛博史 45 0 0 0 0 5 4 19 221 51.2 43 5 28 1 53 2 0 18 18 3.14 1.37
/水野雄仁 27 0 0 0 0 1 2 0 151 35.2 40 4 10 0 22 1 0 21 20 5.05 1.40
/柏田貴史 16 0 0 0 0 1 0 0 81 18.0 20 2 8 2 10 1 0 11 7 3.50 1.56
/松谷竜二郎 7 1 0 0 0 0 2 0 74 16.2 20 2 3 1 16 1 1 10 9 4.86 1.38
/門奈哲寛 6 2 0 0 0 0 1 0 71 15.1 18 3 11 0 9 1 0 8 8 4.70 1.89
/木村龍治 7 0 0 0 0 0 0 0 53 12.1 10 0 5 0 9 0 0 4 2 1.46 1.22
/吉田修司 2 0 0 0 0 0 0 0 27 4.0 13 1 2 0 2 0 0 11 11 24.75 3.75

主な打撃成績

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  • 色付きは規定打席(403打席)以上の選手
  • 太字はリーグ最高
選手











































O
P
S
 
/松井秀喜 130 569 503 70 148 23 4 20 239 66 6 3 1 4 57 1 4 101 12 .294 .368 .475 .843
/川相昌弘 130 567 473 69 143 18 4 0 169 33 3 0 35 2 54 0 3 51 13 .302 .376 .357 .733
/落合博満 129 540 447 53 125 19 0 15 189 68 0 0 0 6 81 4 6 56 13 .280 .393 .423 .815
/グラッデン 98 410 374 46 100 19 0 15 164 37 2 1 6 1 29 0 0 64 6 .267 .319 .439 .758
/コトー 107 403 383 45 96 16 0 18 166 52 2 4 1 2 14 0 3 82 11 .251 .281 .433 .715
/村田真一 120 380 330 29 82 12 0 10 124 41 1 1 5 3 36 2 6 88 5 .248 .331 .376 .706
/岡崎郁 111 363 327 35 84 15 0 6 117 45 1 1 1 3 32 1 0 32 13 .257 .320 .358 .678
/元木大介 90 248 218 26 61 6 0 4 79 25 1 2 6 1 21 0 2 23 3 .280 .347 .362 .709
/原辰徳 67 227 200 26 58 4 1 14 106 36 0 2 2 1 22 1 2 21 5 .290 .364 .530 .894
/緒方耕一 113 195 174 22 40 4 4 0 52 7 9 2 5 2 14 3 0 26 0 .230 .284 .299 .583
/吉村禎章 81 174 160 14 28 6 0 3 43 23 0 0 0 0 14 0 0 20 9 .175 .241 .269 .510
/篠塚和典 57 161 147 22 35 5 0 2 46 13 0 0 3 1 9 2 1 15 5 .238 .285 .313 .598
/大久保博元 62 130 119 14 35 2 0 9 64 18 0 0 0 1 9 4 1 27 2 .294 .346 .538 .884
/岸川勝也 25 39 34 5 7 1 0 1 11 5 0 0 0 0 5 0 0 7 1 .206 .308 .324 .631
/屋鋪要 87 34 29 10 4 1 0 0 5 2 4 2 0 1 4 1 0 5 0 .138 .235 .172 .408
/福王昭仁 32 34 33 5 8 0 2 1 15 3 0 0 1 0 0 0 0 6 0 .242 .242 .455 .697
/長嶋一茂 46 32 29 5 5 1 0 1 9 1 0 0 0 0 3 1 0 7 4 .172 .250 .310 .560
/西岡良洋 33 27 23 1 2 0 0 0 2 1 0 1 2 0 2 0 0 2 0 .087 .160 .087 .247
/井上真二 11 13 10 2 1 0 0 1 4 1 0 1 1 0 2 0 0 6 0 .100 .250 .400 .650
/藤田浩雅 7 8 7 1 2 1 0 1 6 3 0 0 0 0 1 0 0 0 0 .286 .375 .857 1.232
/後藤孝志 20 7 6 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 2 0 .000 .143 .000 .143

できごと

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選手・スタッフ

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[2]

表彰選手

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桑田真澄(投手、2年連続5度目)
川相昌弘(遊撃手、2年連続5度目)

ドラフト

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  • 網掛けの選手は逆指名による入団
順位 選手名 ポジション 所属 結果
1位 河原純一 投手 駒澤大学 入団
2位 織田淳哉 投手 早稲田大学 入団
3位 福井敬治 投手 智辯学園高 入団
4位 斉藤宜之 外野手 横浜高 入団
5位 高村良嘉 内野手 新日本製鐵光 入団

関連項目

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脚注

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注釈

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  1. ^ 偵察メンバーの桑田真澄と交代。
  2. ^ 奇しくも両名とも背番号が「17」。また5月18日は藤本の誕生日でもあった。
  3. ^ 「勝った方が優勝」は、1973年 - 1982年パ・リーグプレーオフを除けば、1973年10月22日の「阪神×巨人」戦(阪神甲子園球場)以来21年弱振り。
  4. ^ 9月に出口幸夫から改名。

出典

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  1. ^ 『1995 ベースボール・レコード・ブック』ベースボール・マガジン社、1994年。ISBN 4-583-03171-8 
  2. ^ 読売巨人軍公式HP 背番号変遷”. 読売ジャイアンツ. 2015年10月5日閲覧。